緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/02/03

フウキラン 着生蘭 No,363

 フウキラン  富貴蘭

別名=フウラン 「着生蘭」

元々温暖な地方で、樹木に着生するラン科の植物で1属一種。

茨城県南部から九州、南西諸島に分布し、わずかに朝鮮半島や中国にも見られる。

野生種に対して、変異株を収集したものを「フウキラン」と呼びます。

江戸時代には、将軍や諸大名が金と力で300種もの貴品、珍品を山野から集めた記録がある程の流行りだったようです。

1属一種で、交雑によらず、突然変異でできた品種がこのように発展した事は、チョウセイラン(長生蘭、セッコクの園芸品種)を始め、ハナショウブ、ニホンサクラソウなど日本の独特の技とも言えるでしょう。

✿性質

フウキランは常緑短茎性の蘭で、日当たりの良い樹上や、岩上の風通しの良い所に着生します。

茎は短く、独特の堅くて厚いトヨ状の葉を左右2列に互生し、一年に2〜3枚程度の新しい葉を出します。

普通5年くらいで葉が落ちますが、品種や管理の良いものは8年くらいもつ時もあります。

葉の枚数が多いものは、状態が良く少ないものは弱っている傾向があり、その株の健康状態の目安になります。

✿花

花は葉腋から生じ、白色花、まれに淡桃色の赤花が3〜10輪、7月下旬頃に咲き、芳香を放ちます。

近年では、品種改良が進み、花色も増えているようです。




✿耐寒性

温暖な地域に自生するものは、熱帯産の洋ラン程でもありませんが、寒さには弱い。

冬越しの際に、根は水分の吸収を止め休眠します。

体内の水分を減らして、耐寒性を増やし、やや寒い地方での越冬を可能にしています。

フウキランの自生する地域では、休眠期間中、加湿や保温の必要はありませんが、冬の乾燥や寒風は水分を奪うので傷みが激しくなり、ひどい場合は枯死してしまいます。

乾燥を防ぐ為の保護や加湿が必要です。

特にフウキランは変異した株であるため、野生種より弱い傾向があります。

斑入り種は日照にも弱く、夏は十分な保護が必要です。

✿栽培のポイント

自生地では、照葉樹の中部から上部分に着生が多く見られますが、針葉樹や岩の上に着生する事もあります。

環境に対する適応性は強く、その特性を理解していれば難しい植物ではないと思います。

ただし、植物が好まない状態にすると弱ってしまい、回復も難しい事になってしまいます。

⑴根が空気に触れる事を好むので、通気性を良くする事が大切です。

⑵根先が緑色や、ルビー色に透き通っている時は、成長期ですので水も肥料も十分に与え、白く不透明な時は休眠期なので、乾燥気味に管理して肥料は与えません。

⑶朝の2〜3時間は直射日光で、それ以外は1年を通して半日陰で育てます。

斑入り種は、やや強い70%位の遮光が適しています。

✿植え付け、植え替え

一般的にランの性質として、根の動き出す直前の4月上旬頃が適しています。

また、暖かい地方では3月中下旬が適しています。

最も自然環境に近い状態で、鉢植え栽培するには、過湿を避けるために腰高の鉢を使い、排水が良く根が空気に触れやすい形に植え付けます。

✭植え付け方
木炭を使った(風蘭鉢)植え

◉鉢に入れる前の状態


①傷んだ根や枯れ葉などを取り除き植え込みの準備をします。

②木炭をミズゴケで1cm程度覆い
木炭の上部は多めに覆う。

③根を折らないように木炭の上に広げてまたがせます。

④長めのミズゴケを網目状に根に巻きつけ、根と株を固定します。


⑤鉢底の穴に防虫網を入れ、鉢にはめ込むように植え付けます。

植え込みの高さは3〜4cm程、鉢から盛り上げる程度。
✫場合によって、それ以上に高植えして植え込む事もあります。




鉢底と木炭は(防虫網と木炭の間)少し空けて通気を良くする。

⑥根を押さえたミズゴケの乱れを切りそろえ、潅水します。

✻木炭を使わない空洞植え




✻風蘭鉢

現在、花鉢の多くはビニールポットやプラスチック製の成形品の鉢が、多く出回っていますが、江戸時代には「白磁染付」の焼成された素晴らしい、瀬戸や有田焼でした。

当時、栽培するには素焼鉢や瓦焼鉢が利用され、人の目にとまる場所に置く時や、販売される時などでは、美しい鉢が使われていました。




“江戸蔵前八幡神社において展示会
当時流行した「オモト」の品種図譜”

図譜を見ると分かるように、江戸時代には植物鑑賞する為に、植木鉢にも拘っていた事が伺えます。


                            ( 現代の風蘭鉢)


✿水やり
ミズゴケに✫緑藻が付かないように管理します。

✫緑藻(りょくそう)
緑藻とは緑色植物のうち、陸上植物の苔植物、維管束植物を除いたものの総称で、緑色藻とも言う。

5〜10月の成長期は2日に1回、休眠期は週に1回を目安として与えます。

✿肥料

着生ランは一般に多肥や濃い肥料は避けます。

5月頃に根の成長を見て、豆粒大の固形の油粕を2〜3個置き肥する。

追肥には液肥を標準の3〜4倍に薄め、成長期間中に3〜4回を目安に与える程度で十分です。

✿置き場所、環境

野生の植物の栽培は、適した環境をいかに作るかが最も重要になります。

日照は、気温の高い午後の直射日光は避けます。

生育期(4月〜9月)は、通気性を良くするために、涼しい風の通る木に吊るすか、ヨシズを張った棚に置き、冬期は暖地ではビニールで覆う程度で、凍る恐れのある地方では、室内などで保護します。

最低温度5℃を目安に湿り過ぎないようにして、暖かい日には葉水を与えます。

❆病害虫

過湿または乾かし過ぎた場合、生育不良になり、生理病が発生することがあるので通風には注意します。

鉢植えは、ミズゴケが古くなると発生するので、早めの植え替えが予防になります。







2021/02/02

ダイオウショウ (大王松)No,362

 ダイオウショウ  マツ科

ダイオウマツ、英名=ロングリーフパイン


北アメリカの南東部に分布する、常緑針葉高木で、アメリカ合衆国南部に位置するアラバマ州の州木


日本へは大正時代の初期に渡来
東北地方中部以南で植栽できる。

3本ずつまとまって出る葉は、長さ20〜30cm程になり、世界中のマツ科の中で最も長い葉を持つとされる。


この為、上に向って伸びた葉でも
垂れる。

その姿が大きな特徴である。

長さ15〜25cm程の球果(マツカ
サ)が実ります。

マツカサはフラワーアシンジの材料などに利用されます。

葉が長めの種類では、同じアメリカ原産のストローブマツやリキダマツなどが渡来していますが、植物園などで見られる程度です。

✿生育環境

日当たりの場所が適します。

土壌は水はけが良く、やや乾き気味の所に適し、湿地には向きません。

自然樹形を基本に、枝を整えて利用します。

せん定はできますが、枝を切り詰め過ぎると葉が少なくなって、樹勢が衰えるため、長い枝を切り戻したり不要な枝を切り取る程度にします。




✫病害虫

春から秋にかけて、葉先から黄変する「葉枯れ病」、葉先の黃変部にすす状の斑点が出る「すす葉枯れ病」などが発生する事があります。

トップジンMの水和剤などを散布
して防除します。

害虫はマツノマダラカミキリムシが媒介する、マツノザイセンチュウ、マツカレハの食害などがあります。

特に、マツノザイセンチュウは
被害を受けると、ほとんど枯死し、これに対する適切な防除法は
ありません。

近年では、害虫が振動に弱いと言う事が、解明されている。

予防の為に樹幹に振動を与えて防除する方法も、試されている。

センチュウは樹液の中を泳ぎ廻る程の小さいもので、樹勢を衰えさせ、やがて被害樹は枯死してしまう。

早い段階での治療が重要である。










2021/02/01

ガジュマル 歩く木 No,361

 ガジュマル クワ科 (榕樹)

イチジク属

分布=九州(屋久島以南)沖縄
台湾、東南アジア、インド
オーストラリア

海岸の隆起珊瑚の上などに生える
が、海辺に自生する多くは、地面を這うように伸び、一見すると草のように見える。

大木になると四方に枝を広げ、枝から気根を多数垂らす。

気根は地面につくと支柱根となって木を支える。

✭支柱根は木の根の構造の一つで、地上にある幹や枝から出て、地中に入り、支柱のような形態になった根のこと。


幹、枝からの気根が支えるガジュマル

高さは10〜20㍍になる。

1991年に環境庁が発行した「日本の巨樹、巨木林」によると鹿児島県屋久島町栗生神社に主幹の幹周りが9㍍、幹の合計28.31㍍と言う巨木があり、沖縄県東風平(こちんだ)町には主幹23.5㍍の巨木がある。


             (東風平のガジュマル)

沖縄では、防風林、防潮林、公園樹として植えられる事が多い。

材は器具材として利用される。

雌雄同株で個体によって花期(6月〜8月)はまちまちである。

花は直径7㍉程の球形で花嚢と呼ばれ、花らしい形をしていない。

✺花嚢(かのう)については
ブログNo,348オオイタビを参照


                      (ガジュマルの花嚢)


✿“歩く木”ガジュマル

ガジュマルは幹や枝から気根と呼ばれる根を出し、その根が垂れ下り、地上に到達した気根はそこで
成長し、新たな幹となります。

新たな幹は、もとあった場所から
動いたように見える事からガジュマルは「歩く木」と呼ばれます。

ガジュマルのゲノムを中国、福建省農林大学などの国際研究グループがゲノムを解読し、他のイチジクの木のゲノムと比較しました。

✻ゲノムとは、生物が正常な生命活動を営むために必要な、最小限の遺伝子群を含む染色体の一組、DNAなどの全ての遺伝情報のことで、種によってその数は異なります。
(遺伝情報の全体、総体)



研究の結果、ガジュマルのゲノムには同じ「塩基配列」が繰り返される、重複が多い事が判明しました。

重複とは複数の同じものが重なる、そのような状態の事ですが、この領域は、ゲノム全体の約27%を占めているとされ、重複によって植物の成長を促進する植物ホルモンであるオーキシンの合成と、輸送に関与する遺伝子の数が増えていました。

研究グループのメンバーである、米イリノイ大学のレイ·ミン教授は、「気根のオーキシンのレベルの上昇が、気根の生成を引き起こしたようだ」と解説しています。

✭塩基配列(えんきはいれつ)
核酸の分子内での、4種ある塩基の並ぶ順序の事で、遺伝情報の発現はこれによる。






2021/01/31

奈良尾のアコウ の樹 No,360

 アコウ(赤榕、赤秀)クワ科

イチジク属別名=アコギ、アコノキ
分布=本州、紀伊半島、四国、九州
沖縄、中国南部、台湾

沖縄の方言からこの名があると言う説。

そのきのこが緑青(ろくしょう)色をしていることと言う説。

緑青色とは孔雀石(マラカイト)のような、銅が酸化する事で生成される、青緑色の錆のような色。

アコウは雀榕と書く事から、関係はあるのかも知れません。

海辺などに生える常緑高木で、上に伸びるより横に広がる様な樹形になるものが多い。

幹の周囲から気根を多数出し、根はぐにゃぐにゃに曲がり、石や岩を抱き込む様に這う事も多いが、ガジュマルのように高い枝から気根を垂らすことはなく、気根は幹からしか出ない。

花や果実は幹の途中に唐突につく。


                        (幹についた花嚢)

常緑樹だが、一斉に落葉したあと、すぐに新葉を出す傾向がある。

開花の時期や周期は、個体差が多く一定していない。

雌雄同株、花期はまちまちで花も
果実もほぼ一年中見られる。

花嚢(かのう)は直径約8㍉の球形で、葉腋や幹、特に枝には多数
密集してつく。


イチジク属の特徴である花嚢には、雄花、雌花、虫えい花が一緒に入っている。

花嚢は早く落ちて花期まで残らない。

✭花嚢についてはブログNo,348
オオイタビを参照

奄美大島では、この木にはケンムン(クインムン)と言う赤毛の妖怪が住んでいると言われているのだが、確かにそんな伝承も納得できる様な雰囲気のある樹木だと思う。

アコウの実を食べた鳥、コウモリ、サルなどの動物によって、他の樹木の枝や幹の上に運ばれ、種子の混じった糞を排泄する。

他の樹木で発芽したものが成長し、やがてその樹を覆い尽くし、枯らしてしまう事から「絞め殺しの木」とも呼ばれますが、この言葉は立派な学術用語です。

最終的に絞め殺した木だけが残る
と言う事ですが、全てのアコウの木がそうなる訳ではありません。

ツル植物が地面から発芽し、やがて他の植物に這い登っていくのに対し、アコウは上から下へと成長していくのです。

動物による種子の移動がなければ、他の植物を絞め殺す事も無いのかも知れない。

自らの樹幹上に種子を落として、発芽したとしても、それは生まれ変わりと言う事にもなるのではないかと、思うわけで「絞め殺しの木」と言う汚名を小生は樹医の立場から、樹木の生命力を称え、取り払ってあげたいものである。

✿奈良尾のアコウ

故郷でもある五島列島の奈良尾の郷に、国指定天然記念物(1961年4月27日)の「奈良尾のアコウ」樹齢650年以上がある。

幅約2㍍の奈良尾神社参道をまたぐように根が二股に分かれ、人が樹下を通り抜ける事ができる。


                   (奈良尾のアコウ)

幼少期、すぐ側に住んでいたおじさんの家が有り、泊りがけで行った時には何度も通り抜けたものです。

その頃から「ざぁ〜まに」大きな木だと、思ったものです。
実に大きな、大きな樹木です。

この木の下をくぐると、長生きできるという言い伝えがあるのですが幼すぎて、そんな事も知りませんでした。


今思えば、そのおかげで長生きできたんだと思える事が、これまでの人生の中で2度あった事で、迷信でも無かったのだと、、、思います。

五島には奈良尾以外にも、アコウの樹があります。

アコウの樹が育つための様々な生育条件、環境など、とても良いのだと思います。

五島樫の浦のアコウ=五島市

玉之浦のアコウ、三井楽町、宇久
島などおそらくは、無人島も多い事などから、発見されていない
樹もまだあるのかも知れません。

五島は教会も多く、また、世界遺産登録された所もあり、これから観光スポットとしても盛り上がって行く事でしょう。

もしも、五島列島に訪れる機会があった時には、”幻のうどん“とも言われる「五島うどん」もぜひ、食べてみてください。🌻🤗


✿奈良尾(ならお)のアコウ
所在地=長崎県南松浦郡新上五島町奈良尾郷34

奈良尾神社











メタセコイア 化石の木 No,359

 メタセコイア ヒノキ科

メタセコイア属 落葉樹1属1種
スギ科とする説もある。
スギの名は真っ直ぐ伸長する樹姿から名付けられたもの。

和名=アケボノスギ(曙杉)イチイヒノキ
和名のアケボノスギは英名の
「dawn  redwood」または学名の 
「Meta  sequoia」を訳したもの

メタセコイアは、日本を含む北半球で化石として発見されるのみで、絶滅した植物として考えられていた。

日本では2016年1月に、福島県広
町の中生代白亜紀の地層から、発見された化石が国内最古の、メタセコイアの化石とされている。




✻中生代白亜紀とは

約1億4500万年前から6600年前ま
での時期で、地質時代の年代区分の一つで、中生代の最後の紀に当る。


ドーバー海峡地域の✫チョーク(白亜)を含む地層と言う意味で、1822年、J.B.J.オマリウス·ダロアが命名した。

✫チョークとは(白堊、白亜)を意味する。

黒板に欠かせないチョーク、昔はこの地層から切り出したものを、チョークとして使用していたが、現在では他の材質(ホタテの貝殻や卵の殻)が主成分となって、工業生産されている。


中生代白亜紀は、三畳紀、ジュラ紀白亜紀の3つに分けられている。

セコイアの化石は世界中で、(7000万年〜100万年前)第三紀層から見つかっていましたが、兵庫、和歌山、岐阜県下などで見つかった粘土層内にある植物遺体に着目した、当時大学教授だった三木茂氏は、従来から知られているセコイアとは違う、最も古い樹木である事を発見しました。


メタセコイアと名付けて発表。


時は1941(昭和16)年、太平洋戦
争勃発の年の出来事だった。

「メタ」とは、ラテン語で後の、
従来のものとは異なった、という
意味があります。




大戦が終わった1945年、不足した
木材資源を確保するための、森林調査が行われた。

その調査の折、中国四川省、磨刀
渓村(現在の湖北省利川市)の奥地で、御神木扱いの未知の大木が
発見されました。

現地では、「水杉=スイサン」と呼ばれたもので発見後「生きている化石」と呼ばれることも多い。

この大木は「メタセコイア」の生木だと三木茂氏(のちに植物学者)が判断した事で、新たな展開が始まった。



メタセコイアの現存樹が発見された事で、今までセコイア属となっていた様々な化石が、メタセコイア属へ変更されと同時に、セコイアよりもメタセコイアの方が古くから存在する事がわかったのです。


アメリカ、ハーバード大学のメリル博士の主導のもと、詳しい現地調査と種の採取が実施され、その後湖北省に自生地が発見され、1948年にアメリカで、メタセコイアの育苗が始まりました。

1949年、初芽2年目の苗木がアメリ
カより贈られ皇居内に植栽されました。

戦後間もなく、敗戦国へ戦勝国から貴重な第一期の育苗が、持ち込まれた事は異例であり、発見国への敬意と、昭和天皇が生物に造詣(ぞうけい)深かった事によるものだと言われています。

その後、育苗の一部が発見者の三木茂氏が結成した、メタセコイア
保存会(1950年)に送られ、保存
会によって日本国内の研究機関や
自治体に配布された。

メタセコイアは「化石の木」という話題性や樹姿など生育がよく、安定している事などから、メタセコイアブーム(昭和30年代)の要因となった。

✻植物学者

三木茂(1901〜1974年)メタセコイア命名者





❆生きている化石

絶滅したと思われていた生き物が
現在も生きてることが発見されるとそれを「生きていた化石」と呼ばれます。

植物では、メタセコイアの他に
「イチョウ」がありますが、イチョウは約2億年前に生まれ、その後に訪れた氷河期に、絶滅したと考えられていました。

ところが江戸時代に長崎の出島に
来た、ドイツ人の医師ケンペルが
イチョウの木が日本にあることを
発見したのです。

それにより、イチョウは氷河期を
「生き抜いた木」と呼ばれている。


✻メタセコイアは樹種としては貴重な樹であったものだが、記念植樹用、公園樹、街路樹として、あちこちに植栽された。

木材資源の確保のためとされていた樹木であったが、繊維が短い点が木材には不向きである事が、早い段階で明らかになったため、木材として利用が進むことが余り無かったようです。

一方で、美しい木材の表面を活かした利用が進んでいる、という話もあるようです。

✿関連参考ブログ
樹木はなぜ大きくなるの?
世界の巨樹、巨木  No,214
(ジャイアントセコイア)

世界一の樹齢木
ブリッスルコンパイン巨樹
No,253-1

◉関東エリアの主なメタセコイア

✻メタセコイア並木道=茨城県ひたちなか市

✻水元公園メタセコイアの森(公園)=東京都葛飾区

✻メタセコイア林(植物園)
東京都文京区

✻旧秋川高校メタセコイア並木
東京都あきる野市

✻メタセコイア(生きた化石樹林)
植物園、美術館
東京都台東区

✻メタセコイアの巨木群(公園)
東京都世田谷区

✻メタセコイアの並木(公園)
神奈川県平塚市

✻メタセコイアの林(公園)
神奈川県川崎市

✺滋賀県高島市
マキノ高原のメタセコイア並木

メタセコイアは地方に多く植栽され

晩秋には紅葉を楽しむ人々も多い。







2021/01/30

クンシラン ヒガンバナ科 No,358

 クンシラン ヒガンバナ科

別名=クリビア  多年草 (君子蘭)

クンシランは南アフリカ原産で、ヒガンバナ科の非耐寒性常緑の多年草植物です。




日本でも古くから栽培されていて、日本人には馴染み深い鉢花です。

開花期は2月から4月頃ですが園芸店などでは、2月から3月頃につぼみの着いた株が出回ります。

草姿がランに似ているので、クンシランと言う和名が付いています。

スズランやオリヅルランなどと同じで、ラン科の植物ではありません。

5月、大半のクンシランは花が終わり、新芽が伸び始めています。

秋までに葉を多く出させ、花芽形成につなげるための株づくりを行います。

置き場所、水やり、肥料など日常の管理を行うことが大切です。

土が盛り上がり表面に根が出ているようであれば、植え替えが必要です。

そのままにしておくと、生育が悪くなり、新しい葉があまり出なくなります。




クンシランの葉の寿命はそれぞれ2〜3年程度で、葉の枚数が16~17枚になるまで成長して初めて、花芽が形成される性質を持っています。

一度花を咲かせた事のある株は、新しい葉が1年に6〜7枚展開すると、花芽が1つ形成されると言う法則がクンシランにはあります。

花が咲かなくなったり、2年に1回しか花が咲かなかったりするのは、葉の枚数が花芽を形成する枚数に達しなかった可能性があります。

花を咲かせるためには、1枚ても多くの葉を出させる事です。


✿花が咲かない要因

⑴根づまり

旺盛に生育する植物で、2〜3年に1回は植え替えを必要とします。

植え替えないと根の成長が悪くなり、肥料をよく吸収できず、安定な成長が望めません。

⑵根腐れ

葉に光沢がなかったり、株がぐらつき、傾いてたりしている場合は、根腐れしている事があります。

すぐに枯れると言う事はありませんが、健全な生育ができないので、早めに植え替えを行います。

⑶日照不足

夏の生育旺盛な時期に、暗い所に置くと、日照不足で新しい葉の枚数が少なくなるので、直射日光が当たらない戸外の半日陰に置きます。

真夏は寒冷紗などを利用して日よけを行います。

⑷花芽形成後、開花まで1年半

クンシランの花芽は夏頃にできますが、その花芽が開花するのは、翌春ではなく実は翌々春です。

去年しっかり育てたのに、今年は花が咲かなかったと言う場合は、来年開花するかも知れません。

✿多くの葉を出させるために植え替える。

根が土の表面から出るのは、鉢中に根がいっぱいだったり、根が酸素を求めていたりするためです。

根づまりや、根腐れを避け、葉を多く出させるためには、一回り大きな鉢に植え替えます。

幼株なら毎年が目安で、昨年植え替えていなければ、今年植え替えをします。

数年育てていると、親株の周りに子株が数株出てくると同時に、植え替えを何度か繰り返した事で、鉢段々サイズが大きくなります。

大株に育てることもできますが、管理が大変になるので、子株の葉が6〜10枚ぐらいになったら、株分けを行うと良いでしょう。

✿植え替えの適期=4月中旬〜6月中旬

腐って茶色く変色した根を取り除き、鉢底にゴロ土を入れて株を据えたら、赤玉土6、軽石1、腐葉土3の混合土に、リン酸分の多い暖効性肥料を混ぜたものを加えて、根の間に土を馴染ませます。

根が隠れるまで土を入れてたら、最後に水を十分与えます。

株分けも同時期に行います。

子株がいくつも出ていて、株分けが必要な場合は、株を鉢から抜き出し、親株と子株が繋がっている根の部分をハサミなどで切って、親、子株を分けます。

分けた株は植え替えと同じ手順で根の量に相応しいサイズの鉢に植え付けます。

植え替えを行う時に、根のすき間に土を馴染ませようと、棒で突くというのは必要な事ですが、どこでもかまわず棒で突くと、根が切れたり傷をつけてしまうので注意します。

植え替えが終わって最後に、鉢を何度も地面にトントンと叩きすぎると、土が締まってしまい、空気の入り込むすき間が少なくなります。

土を落ち着かせる時は、何度も行わないよう注意しましょう。


✿春から夏の生育管理、環境

4月中旬頃から戸外で生育させますが、真夏の直射日光に当てると、葉焼けして葉が褐色に変色することがあります。


                 (クンシランの葉焼け)


葉色が薄くぼやけるのも葉焼けの一歩手前の状態です。

見た目もよくありませんが、光合成に影響が出ます。

葉焼けした部分だけ切り取り、少しでも緑の部分を残すようにします。

それは光合成以外に、葉の寿命そのものは、2〜3年あると言う事でもあります。

春から秋までは、風通しの良い半日陰に置くか、寒冷紗などを利用して30〜50%の遮光を行い、葉焼けを防止します。

✿🚰水やり

水やりは、生育期なので鉢の表面の土が乾いたら、鉢縁に沿うようにして、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与えます。

土の乾き具合をよく見て与えない
と、与え過ぎた場合に葉が徒長して姿が乱れてしまいます。

また、葉の中央に水が溜まり、軟腐病発生の原因になる事もあるので、葉の上から水やりした場合は、注意が必要です。

✿肥料
2ヶ月に1回、有機質の固形肥料か、三要素等量(チッソ、リン、カリ)の暖効性肥料を施します。

ただし、真夏の置き肥は根に負担がかかるので、7月中旬から9月上旬頃は、液体肥料を月2〜3回施すようにします。

✿病害虫

風通しのよい、半日陰の場所で管理し、定期的に肥料を施して抵抗力のある、株づくりをすることが最も効果的な予防になります。

特に一番怖い軟腐病にかからないように、水やりの仕方に気をつけるようにしましょう。

✿開花中

花を長く楽しむには、なるべく涼しい場所で管理しましょう。

高温の場所では花の寿命も短くなりがちです。

暗い場所では花色が淡くなりやすいので、日当たりの良い窓辺などに置きます。

花の重さで、花茎が折れそうになった場合は支柱などで支えてあげると、最後の一輪まで花を咲かせ、楽しむことができるでしょう。

✿秋から冬の生育管理、環境

クンシランは花芽があっても寒さ5〜10℃に一ヶ月半程当たらないと、花茎を伸ばさない性質がある。

軒下などに置き、霜に直接当てないようにして管理します。

目安として12月上旬頃までは、戸外の半日陰で管理すると良いでしょう。

その後、室内に入れて暖かく日当たりに置くと、1月中旬頃から花茎が伸びてきます。

低温に当てずに室内に入れると、花茎が余り伸びずに開花してしまう事があります。

✻🚰水やり
気温が低下し、休眠期になって行くので、水やりの間隔も長くなりますが、鉢土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。

与える時はたっぷりと与え、与えない時は全く与えないというように、メリハリをつけます。

水やりを行う事によって、鉢土中の空気の入れ替えも行われていると理解しましょう。




✻肥料

9月に1回置き肥を施します。

置き肥は葉の真下に置かない。

冬は休眠期に入るので、肥料は必要ありません。

休眠中に肥料を与えると、根を傷めてしまう事になってしまいます。

クンシランは花が咲いていない時期でも、観葉植物として楽しめる植物だと思います。


      「4月15日撮影」

クンシランの花は、よく見るとみんな違う花色をしています。

販売されている多くの株は、種を蒔いて殖やされているものが多く、同じ品種でも変異があり、色々と楽しめます。

花弁の形や開き具合も様々です。

自分好みの株を選んで楽しむのも良いでしょう。

葉が一文字に出ていれば、生育良好とされ、日光によく当たって生育が良い株と言えるでしょう。

逆に、葉が乱れているのは日照不足気味の株です。

葉に光沢と張りがある株を選ぶ事もポイントになります。

花茎が葉の中央より少しずれた場所から、伸びているものがあります。

この様な株は生育が良好とされ、来年度も開花する可能性が高い株とされます。