緑のお医者の徒然植物記

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2021/01/30

クンシラン ヒガンバナ科 No,358

 クンシラン ヒガンバナ科

別名=クリビア  多年草 (君子蘭)

クンシランは南アフリカ原産で、ヒガンバナ科の非耐寒性常緑の多年草植物です。




日本でも古くから栽培されていて、日本人には馴染み深い鉢花です。

開花期は2月から4月頃ですが園芸店などでは、2月から3月頃につぼみの着いた株が出回ります。

草姿がランに似ているので、クンシランと言う和名が付いています。

スズランやオリヅルランなどと同じで、ラン科の植物ではありません。

5月、大半のクンシランは花が終わり、新芽が伸び始めています。

秋までに葉を多く出させ、花芽形成につなげるための株づくりを行います。

置き場所、水やり、肥料など日常の管理を行うことが大切です。

土が盛り上がり表面に根が出ているようであれば、植え替えが必要です。

そのままにしておくと、生育が悪くなり、新しい葉があまり出なくなります。




クンシランの葉の寿命はそれぞれ2〜3年程度で、葉の枚数が16~17枚になるまで成長して初めて、花芽が形成される性質を持っています。

一度花を咲かせた事のある株は、新しい葉が1年に6〜7枚展開すると、花芽が1つ形成されると言う法則がクンシランにはあります。

花が咲かなくなったり、2年に1回しか花が咲かなかったりするのは、葉の枚数が花芽を形成する枚数に達しなかった可能性があります。

花を咲かせるためには、1枚ても多くの葉を出させる事です。


✿花が咲かない要因

⑴根づまり

旺盛に生育する植物で、2〜3年に1回は植え替えを必要とします。

植え替えないと根の成長が悪くなり、肥料をよく吸収できず、安定な成長が望めません。

⑵根腐れ

葉に光沢がなかったり、株がぐらつき、傾いてたりしている場合は、根腐れしている事があります。

すぐに枯れると言う事はありませんが、健全な生育ができないので、早めに植え替えを行います。

⑶日照不足

夏の生育旺盛な時期に、暗い所に置くと、日照不足で新しい葉の枚数が少なくなるので、直射日光が当たらない戸外の半日陰に置きます。

真夏は寒冷紗などを利用して日よけを行います。

⑷花芽形成後、開花まで1年半

クンシランの花芽は夏頃にできますが、その花芽が開花するのは、翌春ではなく実は翌々春です。

去年しっかり育てたのに、今年は花が咲かなかったと言う場合は、来年開花するかも知れません。

✿多くの葉を出させるために植え替える。

根が土の表面から出るのは、鉢中に根がいっぱいだったり、根が酸素を求めていたりするためです。

根づまりや、根腐れを避け、葉を多く出させるためには、一回り大きな鉢に植え替えます。

幼株なら毎年が目安で、昨年植え替えていなければ、今年植え替えをします。

数年育てていると、親株の周りに子株が数株出てくると同時に、植え替えを何度か繰り返した事で、鉢段々サイズが大きくなります。

大株に育てることもできますが、管理が大変になるので、子株の葉が6〜10枚ぐらいになったら、株分けを行うと良いでしょう。

✿植え替えの適期=4月中旬〜6月中旬

腐って茶色く変色した根を取り除き、鉢底にゴロ土を入れて株を据えたら、赤玉土6、軽石1、腐葉土3の混合土に、リン酸分の多い暖効性肥料を混ぜたものを加えて、根の間に土を馴染ませます。

根が隠れるまで土を入れてたら、最後に水を十分与えます。

株分けも同時期に行います。

子株がいくつも出ていて、株分けが必要な場合は、株を鉢から抜き出し、親株と子株が繋がっている根の部分をハサミなどで切って、親、子株を分けます。

分けた株は植え替えと同じ手順で根の量に相応しいサイズの鉢に植え付けます。

植え替えを行う時に、根のすき間に土を馴染ませようと、棒で突くというのは必要な事ですが、どこでもかまわず棒で突くと、根が切れたり傷をつけてしまうので注意します。

植え替えが終わって最後に、鉢を何度も地面にトントンと叩きすぎると、土が締まってしまい、空気の入り込むすき間が少なくなります。

土を落ち着かせる時は、何度も行わないよう注意しましょう。


✿春から夏の生育管理、環境

4月中旬頃から戸外で生育させますが、真夏の直射日光に当てると、葉焼けして葉が褐色に変色することがあります。


                 (クンシランの葉焼け)


葉色が薄くぼやけるのも葉焼けの一歩手前の状態です。

見た目もよくありませんが、光合成に影響が出ます。

葉焼けした部分だけ切り取り、少しでも緑の部分を残すようにします。

それは光合成以外に、葉の寿命そのものは、2〜3年あると言う事でもあります。

春から秋までは、風通しの良い半日陰に置くか、寒冷紗などを利用して30〜50%の遮光を行い、葉焼けを防止します。

✿🚰水やり

水やりは、生育期なので鉢の表面の土が乾いたら、鉢縁に沿うようにして、鉢底から水が流れ出すまでたっぷりと与えます。

土の乾き具合をよく見て与えない
と、与え過ぎた場合に葉が徒長して姿が乱れてしまいます。

また、葉の中央に水が溜まり、軟腐病発生の原因になる事もあるので、葉の上から水やりした場合は、注意が必要です。

✿肥料
2ヶ月に1回、有機質の固形肥料か、三要素等量(チッソ、リン、カリ)の暖効性肥料を施します。

ただし、真夏の置き肥は根に負担がかかるので、7月中旬から9月上旬頃は、液体肥料を月2〜3回施すようにします。

✿病害虫

風通しのよい、半日陰の場所で管理し、定期的に肥料を施して抵抗力のある、株づくりをすることが最も効果的な予防になります。

特に一番怖い軟腐病にかからないように、水やりの仕方に気をつけるようにしましょう。

✿開花中

花を長く楽しむには、なるべく涼しい場所で管理しましょう。

高温の場所では花の寿命も短くなりがちです。

暗い場所では花色が淡くなりやすいので、日当たりの良い窓辺などに置きます。

花の重さで、花茎が折れそうになった場合は支柱などで支えてあげると、最後の一輪まで花を咲かせ、楽しむことができるでしょう。

✿秋から冬の生育管理、環境

クンシランは花芽があっても寒さ5〜10℃に一ヶ月半程当たらないと、花茎を伸ばさない性質がある。

軒下などに置き、霜に直接当てないようにして管理します。

目安として12月上旬頃までは、戸外の半日陰で管理すると良いでしょう。

その後、室内に入れて暖かく日当たりに置くと、1月中旬頃から花茎が伸びてきます。

低温に当てずに室内に入れると、花茎が余り伸びずに開花してしまう事があります。

✻🚰水やり
気温が低下し、休眠期になって行くので、水やりの間隔も長くなりますが、鉢土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。

与える時はたっぷりと与え、与えない時は全く与えないというように、メリハリをつけます。

水やりを行う事によって、鉢土中の空気の入れ替えも行われていると理解しましょう。




✻肥料

9月に1回置き肥を施します。

置き肥は葉の真下に置かない。

冬は休眠期に入るので、肥料は必要ありません。

休眠中に肥料を与えると、根を傷めてしまう事になってしまいます。

クンシランは花が咲いていない時期でも、観葉植物として楽しめる植物だと思います。


      「4月15日撮影」

クンシランの花は、よく見るとみんな違う花色をしています。

販売されている多くの株は、種を蒔いて殖やされているものが多く、同じ品種でも変異があり、色々と楽しめます。

花弁の形や開き具合も様々です。

自分好みの株を選んで楽しむのも良いでしょう。

葉が一文字に出ていれば、生育良好とされ、日光によく当たって生育が良い株と言えるでしょう。

逆に、葉が乱れているのは日照不足気味の株です。

葉に光沢と張りがある株を選ぶ事もポイントになります。

花茎が葉の中央より少しずれた場所から、伸びているものがあります。

この様な株は生育が良好とされ、来年度も開花する可能性が高い株とされます。