アコウ(赤榕、赤秀)クワ科
イチジク属別名=アコギ、アコノキ
分布=本州、紀伊半島、四国、九州
沖縄、中国南部、台湾
沖縄の方言からこの名があると言う説。
そのきのこが緑青(ろくしょう)色をしていることと言う説。
緑青色とは孔雀石(マラカイト)のような、銅が酸化する事で生成される、青緑色の錆のような色。
アコウは雀榕と書く事から、関係はあるのかも知れません。
海辺などに生える常緑高木で、上に伸びるより横に広がる様な樹形になるものが多い。
幹の周囲から気根を多数出し、根はぐにゃぐにゃに曲がり、石や岩を抱き込む様に這う事も多いが、ガジュマルのように高い枝から気根を垂らすことはなく、気根は幹からしか出ない。
花や果実は幹の途中に唐突につく。
(幹についた花嚢)
開花の時期や周期は、個体差が多く一定していない。
雌雄同株、花期はまちまちで花も
果実もほぼ一年中見られる。
花嚢(かのう)は直径約8㍉の球形で、葉腋や幹、特に枝には多数
密集してつく。
イチジク属の特徴である花嚢には、雄花、雌花、虫えい花が一緒に入っている。
花嚢は早く落ちて花期まで残らない。
✭花嚢についてはブログNo,348
オオイタビを参照
奄美大島では、この木にはケンムン(クインムン)と言う赤毛の妖怪が住んでいると言われているのだが、確かにそんな伝承も納得できる様な雰囲気のある樹木だと思う。
アコウの実を食べた鳥、コウモリ、サルなどの動物によって、他の樹木の枝や幹の上に運ばれ、種子の混じった糞を排泄する。
他の樹木で発芽したものが成長し、やがてその樹を覆い尽くし、枯らしてしまう事から「絞め殺しの木」とも呼ばれますが、この言葉は立派な学術用語です。
最終的に絞め殺した木だけが残る
と言う事ですが、全てのアコウの木がそうなる訳ではありません。
ツル植物が地面から発芽し、やがて他の植物に這い登っていくのに対し、アコウは上から下へと成長していくのです。
動物による種子の移動がなければ、他の植物を絞め殺す事も無いのかも知れない。
自らの樹幹上に種子を落として、発芽したとしても、それは生まれ変わりと言う事にもなるのではないかと、思うわけで「絞め殺しの木」と言う汚名を小生は樹医の立場から、樹木の生命力を称え、取り払ってあげたいものである。
✿奈良尾のアコウ
故郷でもある五島列島の奈良尾の郷に、国指定天然記念物(1961年4月27日)の「奈良尾のアコウ」樹齢650年以上がある。
幅約2㍍の奈良尾神社参道をまたぐように根が二股に分かれ、人が樹下を通り抜ける事ができる。
幼少期、すぐ側に住んでいたおじさんの家が有り、泊りがけで行った時には何度も通り抜けたものです。
その頃から「ざぁ〜まに」大きな木だと、思ったものです。
実に大きな、大きな樹木です。
この木の下をくぐると、長生きできるという言い伝えがあるのですが幼すぎて、そんな事も知りませんでした。
今思えば、そのおかげで長生きできたんだと思える事が、これまでの人生の中で2度あった事で、迷信でも無かったのだと、、、思います。
五島には奈良尾以外にも、アコウの樹があります。
アコウの樹が育つための様々な生育条件、環境など、とても良いのだと思います。
五島樫の浦のアコウ=五島市
玉之浦のアコウ、三井楽町、宇久
島などおそらくは、無人島も多い事などから、発見されていない
樹もまだあるのかも知れません。
五島は教会も多く、また、世界遺産登録された所もあり、これから観光スポットとしても盛り上がって行く事でしょう。
もしも、五島列島に訪れる機会があった時には、”幻のうどん“とも言われる「五島うどん」もぜひ、食べてみてください。🌻🤗
✿奈良尾(ならお)のアコウ
所在地=長崎県南松浦郡新上五島町奈良尾郷34
奈良尾神社
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