ウメ バラ科
春は一番多くの種類の花が咲く華やかな季節です。
彩りが少ない寒い時期に花を咲かせるウメは、香りも良く観賞用花木として親しまれています。
また、果実は食用や薬用としても利用され、古代より栽培されてきた利用価値の高い花木です。
「ウメ」と言う語源には様々な諸説があります。
①「梅」の漢字はメイmeiまたはマイmuiと発音しますが、これを日本語的に読んだと言う説。
②中国から薬として渡来した白梅の実から作る、烏梅(うばい、梅のくんせい)の音読みとする説。
③朝鮮語の「マイ」に由来する説。
④ウメの「メ」は実で、熟れる実
熟実(うむみ)が転訛して「ウメ」になったと言うように様々な説があります。
学名では、アルメリアカ·ムメ
(Armeniaca.mume)で以前の属名は、プルヌス(Prunusサクラ属)でアンズ、スモモ、モモ、サクラも同じ属でした。
本来Prunusはスモモ属を意味し、そして✭APG分類体系ではサクラ属が細分化され、プルヌス属は本来のスモモ属とされた。
✭APG分類体系とは
1998年に公表された被子植物の新しい分類体系です。
被子植物系統グループはこの分類を実行する植物学者の団体です。
この部分は特に命名されておらず
「APG体系」や「APG分類体系」などと呼ばれます。
対象とする生物の系統関係、祖先と子孫の関係に基づいて分類を行う系統分類の一つ。
その後分類が大きく変わった研究グループもある。
ウメとアンズはアンズ属アルメリアカになり、モモはモモ属アミグダルスとなり、サクラの仲間はサクラ属ケラススCerasusに分けられました。
属名のアルメリアカはトルコの東側の国アルメリアの事で、アンズの原産地がアルメリアと思い違いをしたためです。
種小名の「ムメ」はシーボルトが初めて日本に来た際(1823~1830年)
江戸時代の呼び方に基づいて付けたものです。
✿アンズ属の仲間と原産地
アンズ属はバラ科に属し、ウメ、アンズ、マンシュウアンズ、モウコアンズなど8種程の野生種が中国を中心として分布している。
ウメは温暖帯に分布し、他の7種は冷湿帯に分布しています。
ウメの原産地はチベット東部と中国西南部雲南、四川省から広東省に至る地域と指定され、日本への渡来は弥生時代と言う説と、万葉集に初めて登場するので、奈良時代7世紀後半と言う説があります。
アンズはウメより葉の葉柄が長く区別できる。
✿花芽と葉芽
枝の先端につく小さな芽(頂芽)が葉芽で、脇の方の葉腋につく大きな芽が花芽です。
原則として1箇所に1つ付くが、どちらかが複数つくなど変異もある。
ウメは1つの花芽に1つの花しか咲きませんが、サクラの仲間は1つの花芽で複数の花が咲きます。
花芽の形成は日長や温度変化が関係していますが、ウメは高温で花芽が分化します。
そのため、7月〜8月頃春から伸びた枝、主に長さ30cm以下の短枝に花芽をつけます。
花芽を形成した翌年の1月〜3月に開花し、葉は花後に展開します。
アンズの花と似ていますがアンズは、ガク裂片が反り返っているので区別できます。
ウメは殆ど花柄がなく、ガク片は反り返らない。
花弁の基本数は5枚ですが、一重咲きでも6〜8枚の花弁を持つ花や、八重咲きもあります。
雄しべは多数で、一本ずつ同心状の環状に配列されていますが、八重咲きは雄しべが花弁化したものです。
雌しべは一本ですが、複数ある座論梅(ざろんばい)と言う品種もある。
子房には密毛があり、スモモの子房は無毛で花柄が1.5cm程あることで区別できる。
✿花の色々
ウメの園芸品種は長い栽培歴史の中で、江戸時代にたくさんの品種改良が進められ、今では300品種以上あると言われています。
園芸品種の分類では、花を鑑賞する「花梅」果実を収穫する「実梅」に分けられ、更に花の色で「白梅」と「紅梅」の二大別されます。
更に、花や茎葉の形や性質によって、細かく分類されます。
ウメの花は花色、花形、花弁の状態で複雑に組み合わされ、変化に富んでいます。
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ウメの盆栽の分類No,60
ウメ(梅)No,112
✫一般的な梅酒の作り方
青梅(果実)1kg
砂糖 500g
原酒1.8㍑
(焼酎35度ホワイトリカー)
傷のない果実を選び水洗いしたら、完全に水気を拭き取ります。
容器に果実と砂糖を入れ、静かに原酒を注ぎ入れて密封します。
3ヶ月から飲用できますが、一年待つと風味が良くなります。
果実は一年で取り出します。