アセロラ キントラノオ科 常緑小低木
別名=バルバドチェリー、西インドチェリー
原産地=アメリカ南部からカリブ海の諸島、南アメリカ北部
カリブ海に浮かぶ西インド諸島では、遥か昔から食べられていたとされる。
15世紀の頃に、スペイン人やイギリス人によって世界に広がって行った。
15世紀とは、いわゆる大航海時代のことである。
ヨーロッパ人によるアフリカ、アジア、アメリカ大陸への大規模な航海が行われた時代である。
15世紀中から17世紀中まで続いたとされ、主にポルトガルとスペインにより行われた。
いわゆるアメリカ大陸を発見した時代を言う。
日本へは、沖縄がアメリカの統治下にあった1958年に、ヘンリー仲宗根さんが8本のアセロラの挿し木を持ち込んだ事が、アセロラ栽培の始まりでした。
戦後の沖縄復興のため、彼はアセロラの他にもパパイヤやパインなど、6つの果実種を持ち込みました。
しかし、アセロラは栽培方法が難しく、果実が熟しても日持ちがしないなどいつしか忘れ去られていた植物でした。
その後、研究の果てにアセロラの効能が注目され、本格的に栽培されることになり、その効能が知れ渡って行ったのです。
✻ヘンリー仲宗根
のちに沖縄熱帯果樹の父と呼ばれたヘンリー仲宗根は1947〜1948年に当時の琉球政府からの要請で来日し、以来、政府の委託を受けて沖縄に熱帯果樹、花木、野菜の普及促進に尽力した。
持ち込んだ8本の挿し木を、名護農業試験場に植えたのが始まりとされる。
✿アセロラの効能
ビタミンCを摂取することで、コラーゲンの減少を防ぎ、肌を美しく保ってくれます。
アセロラに含まれるポリフェノールの一種のアントシアニンは活性酸素を除去するが、強い抗酸化作用があります。
そのため、活性酸素が多量に発生すると生じやすい日焼け、しみ、そばかすを防いでくれます。
ナトリウムの排出を促進するカリウムも比較的多く含まれ、高血圧や動脈硬化、脳梗塞や心筋梗塞の予防効果にも期待できる。
✿果実
果実はビタミンCに富み、アセロラ飲料としても知られています。
甘酸っぱく、生食でき、飲料の他にジャムやシャーベットなどに利用されます。
果実は初め緑色で熟すと赤くなりますが、熟した果実は日持ちが悪く、フルーツショップなどでも見かける事があまりありません。
✣樹形
常緑樹で大きくなっても5㍍くらいで、枝は細長く垂れ下がる傾向があります。
葉は対生、長さ2〜7cm程で先が少し尖る楕円形、あるいは披針形で全縁。
表面は濃い緑色で光沢がある。
✿花
雌雄同株の花は淡紅色で、花腋から散形状に3〜5個ずつ着きます。
原産地では年に5回程度の開花が見られる。
✻生育環境、植栽
果実の収穫を獲るには、日当たりの良い事が大切です。
土壌は水はけが良ければあまり選びません。
乾燥には強い方である。
刈り込んだ整形的な利用もできますが、果実や花は少なくなります。
風当たりの強い所では、葉や樹形が乱れ、傷みやすいので風よけが必要です。
目安として0℃以上であれば越冬できますが、0℃以下になる所では温室や日当たりがある室内に取り込み管理します。
結実を確実的にさせるには、開花した花にその日の内にジベレリン(植物ホルモン)を散布します。
(50〜1000ppm)=50㎎〜1000㎎を散布。
✻水1㍑辺り
ppm % mg
1ppm 0.0001 % 1mg
10ppm 0.001% 10mg
100ppm 0.01% 100mg
1000ppm 0.1% 1000mg
✻せん定
果実を結実させるには、枝が込み過ぎないように細長い枝を切り戻します。
花は当年枝の葉腋に着くので果実を実らせるためには、新しい枝を切り詰め過ぎない事が大切です。
✫殖やし方
挿し木が主体ですが実生は初芽率がよくありません。
✻病害虫
主な病気では古い葉に黒い斑点ができるウイルスによる、炭疽病(たんそびょう)がありますが、ジネブ剤やトッブジンM水和剤などを散布し防除します。
✻害虫
カイガラムシ類、ネコブセンチュウなどが発生することがあります。
カイガラムシ類は冬期にマシン油乳剤を散布し防除します。
被害数が少なければ剥ぎ取って捕殺する。
❆ネコブセンチュウについては別枠で記しています。
ネコブセンチュウ(土壌線虫)No,411-1