緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/04/06

クルミ No,427

 クルミ クルミ科  胡桃 呉桃

原産地=日本(本州、東海地方以西、四国、九州)
朝鮮半島、中国、台湾、ヨーロッパ

北半球の熱帯から温帯に8属60種程があり、日本には3属3種が自生する。

クルミは、太古の時代から貴重な食料や材料資源として栽培されてきた。

日本原産の「オニグルミ」や「ヒメグルミ」は殻が堅く、食べる部分が少ないのでほとんど栽培されていないが、江戸時代以降に渡来し「テウチグルミ」や「ペルシャグルミ」及びその変種である「シナノグルミ」やこれらの改良種が栽培されている。




✫生育環境

雌花と雄花の咲く時期が異なるので、数種類混植する必要がある。

花期は9月から10月
また、冷涼で土壌の深い所を好む。

✣害虫
クルミミガ、カミキリムシなどが発生するので、カルホス乳剤、ダイセンなどを時々散布する。

✻殖やし方

実生苗に接ぎ木が一般的で5月から6月頃が適期です。
実生は3月、10月から11月に播きます。

植え付け、移植は11月から3月
せん定は11月から12月

✿肥料

油かす、鶏ふん、堆肥等の有機質肥料を十分施す。





✿広徳寺クルミ

韓国最初のクルミの木として知られる。
天然記念物第(398号)



天安市高徳面、海抜699㍍の広徳山麓にある広徳寺に、樹齢400年のクルミの木がある。

広徳寺は季節を問わず、多くの参詣者が訪れ、天安名物の「くるみ饅頭」の原材料となるクルミの原産地でもある。

✻所在地
忠清南道天安市東南区広徳面広徳寺ギル30







2021/04/05

イスノキ No,426

 イスノキ  マンサク科  イスノキ属

別名=ヒョンノキ、ユスノキ、ユシノキ、クシノキ
柞、蚊母樹

原産地=日本(本州、四国、九州)台湾、韓国、済州島、中国

暖かい地方の沿岸に自生する。
沖縄の方言説もあるが、語源は不明である。

別名が多いが、おそらく転訛して意味不明となったのでしょう。

親しまれている「ヒョンノキ」の名は、厚い葉によくできる虫こぶを鳴らして遊ぶ音に由来する。

またこの虫こぶにはタンニンが含まれ、染料の材料として使われる。

赤色の美しい花を咲かせるが、葉に隠れてあまり目立たない。





造園には、庭木、生垣に使われるほか、盆栽にもされる。

鹿児島県の伊集院と言う地名はイスノキが多い地域である。

平安朝の租税である稲穂を貯蔵する倉院が置かれたことから「いすいん」と呼ばれるようになったことに由来する。

✻生育環境

日当たりは選ばないが、乾燥地は好まない。
強いせん定、移植にも耐える。
移植は春と秋に行える。

✫肥料

油かす、化成肥料などの寒肥を施す。






2021/04/04

ブロック塀とフェンス設置作業 No,425

 造園工事

ブロック積み

ブロックは、正式には補強コンクリートブロックといいます。
これは、ブロックの間に鉄筋を通して、補強できるようになっているためです。

近年、地震によって多くの不良ブロック塀が倒れ、改めてこの鉄筋の重要性が再認識されています。





参考に出来るように、一般的に購入しやすいホームセンターで揃えたもの


コンクリートブロック塀が、地震によって倒れないようにするためには、鉄筋と共に控壁(ひかえかべ)を設けることが大切です。



                         A図「ブロック塀の控壁」

控壁とは、塀に対して直角に付けられた小さな袖壁で、建築基準法によると、高さ1.2mより高いブロック塀は3.4m以内毎に、基礎のところで、鉄筋の入った塀の高さの5分の1以上の長さの控壁を設けなければならないことになっています。


                      「横筋及び控壁の配筋」



           「掘削もすべて人力で行った例として」

(A図)従って、塀の基礎は部分的に出っ張った凸形の平面形になります。



               「基礎及びブロック補強用の配筋」

✣型枠(かたわく)を組む。


                        「ブロック塀の基礎の例」

✣ブロックの段数によって基礎の基準も変わる。



型枠の中には砂利を敷き打ち固め、地盤沈下の補強にメッシュ網を入れ、同時に鉄筋を組み込む。



「基礎となる部分のコンクリートを打ちます」



高さとしてはブロック3段ですが、道路沿いである事と、フェンスを取り付ける事から鉄筋を入れています。

また、東日本大震災があったことからも、鉄筋を使用しました。


古くから設置されている低いブロック塀には、ほとんど補強用の鉄筋は入っていないのではないでしょうか。

また、基準法の高さでも配筋されていない不良ブロック塀があると思います。




                        「ブロック積み3段完成」




フェンス取り付けをする場合は、配筋(縦筋)の位置も考えないとフェンスの柱をブロックに差し込む場合に不具合が生じます。



最後にフェンスの通りが曲がっていないかなど確認、調整してコンクリートを打ちます。


                      「ブロック、フェンス完成」




ブロック、フェンスの作業が終わったあと、庭の改造とせん定作業



日数的にはブロック、フェンスが準備期間も入れて約2週間、庭の改造とせん定で1週間程です。

尚、すべて一人作業です。







2021/04/03

シダレヤナギ No,424

 シダレヤナギ ヤナギ科 落葉広葉樹

別名=イトヤナギ 「枝垂柳」原産地=中国

古く奈良時代以前から奈伎良(なぎら)とも呼ばれた。

ヤナギはヤナギ科ヤナギ属の樹の総称で風見草、遊び草と呼ばれることがある。

世界に約350種、種に北半球に分布し、日本ではヤナギと言えば「シダレヤナギ」を指すことが多い。


古くから各地で栽培され、ときに野生化している。
日本には雌の木がないとされる。

湿気のある土地を好み、水際の川や池の周りに植えるなど水害防止対策の植栽木として利用されていた。

それは湿潤を好み、強靱な根をよく張ること、また倒れて埋没しても再び初芽し再生する生長力があるからです。

自然の状態の河川敷では、湖畔林として広範囲に生えていることがある。

環境適応力も高く、公害にも強いことから街路樹に利用されることも多い樹である。

シダレヤナギと言えば銀座が有名で、その最盛期は明治17年から昭和43年頃であるが、通行量の増加と共に邪魔者扱いされるようになっていった。



                          「佐原、ヤナギの風景」


平安時代初期の僧侶空海(弘法大師、774~835年)が中国を訪れていた時代には✻長安では、旅立つ人に柳の枝を折って手渡し送る習慣があったと言う。

柳と留(ともに音読みリウ)が通じることから、柳の枝を✫環にしたものを渡すことが当時中国において旅人へ餞(はなむけ)の慣習であったと解説されている。

還と環と(もに音読みホワンホワン)が通じて、また帰ってくることを願う意味が込められている訳である。

✫環(たまき)とは輪のようになった玉のこと

✻長安
シルクロードの起点とされることもある現在の陝西省(せんせいしょう)の省都西安市に相当する。

長く垂れ下がる枝は長寿の象徴とされ、柳の枝で作った箸を元旦には使う長寿を祈念する風習もあった。

柳は女性を例え表す樹木ともされる。

強風の雨の中、子どもを抱えた女性が柳の下を通り抜ける際、風に揺れる柳の枝が首に巻き付き死んだとされる逸話があったりして、柳に霊が宿り、柳の木には人の死に関わる話がいくつかあるようで、そのことから時代劇などでは怪奇や、幽霊話など纏わる話が柳の木にはあるのかも知れません。



✿せん定

普通落葉樹のせん定は冬期に行いますが、シダレヤナギのせん定は夏場の7月から8月頃に行います。

シダレヤナギの原産地は中国の暖かい地方で本来、暖地性の樹であるので冬にせん定すると枯れてしまうことがあるからです。


ヤナギ類は、萌芽力が強いので、強く刈り込んでも比較的平気とされます。

徒長枝や立ち枝など混んだ枝を整理し、新枝を切り詰めます。
徒長枝は付け根から切り取ります。

ヤナギ類でもネコヤナギやウンリュウヤナギは暖地性ではないので、冬場にせん定しても構いません。

逆に夏場だと枯れてしまうことになると言うことです。

また、ユキヤナギはバラ科の植物でヤナギ科ではありません。


肥料は街路樹として利用されることからもわかるように、あまり必要としません。

✣病害虫

ウドン粉病、サビ病、灰そ病などが発生することがあります。

害虫はアブラムシ、カイガラムシ、カミキリムシ、アメリカシロヒトリなどが発生することがあります。


✿柳の効能

解熱鎮痛薬として古くから用いられてきた歴史がある。

日本でも枝が歯痛止めや爪楊枝の材料として用いられた。
葉には多量のビタミンCが含まれている。


✿シダレヤナギ天然記念物

✣羽黒の柳(シダレヤナギ)
推定樹齢100〜200年とされる一方で、400年とする言い伝えもある。


かつては樹高30㍍を誇る巨木であったが、通行の妨げになるために整姿をするなどしたほか、幹の空洞化も進み、大枝が折れるなどして現在に至る。

✣所在地
秋田県横手市上内町1-1


✻笹原のシダレヤナギ



推定樹齢100〜200年以上

✻所在地
長野県茅野市湖東笹原543







2021/04/02

オガタマノキ No,423

 オガタマノキ モクレン科 常緑高木

別名=ダイシコウ、トキワコブシ
招霊の木、小賀玉の木

分布=本州、関東地方以西の太平洋側、四国、九州、沖縄
台湾、フィリピン

暖地の沿岸林に多く生え、アジアに約45種が分布する。
神社によく植えられ神事に使われる。

「招霊」おぎたまが転訛してこの名があると言われている。

オガタマノキ属は雄しべのつく部分の間に柄があるのが特徴。

樹高は10㍍ほどにもなり、材は南の暖かい地方では有用材として栽培されている。

耐寒性は弱く日当たりのよい所を好む。

モクレン科の植物だが同属ではないオガタマノキ属である。




✿植え付け、移植

6月から7月が植え付けの適期です。

大木の移植は特に難しい。
せん定は弱くしたほうが花つきがよい。

◉肥料

寒肥と、花後に油かす、鶏ふん、化成肥料を施す。

✿開花

2月から4月頃に3〜4cmの白い花で、中心は紅紫色を帯び芳香がある。

                  (花被片は基部が紅色を帯びる)

花被片は普通12個あり、すべて花弁状。
日当たりの方が花つきがよい。

✣果実

袋果が集まった集合果、長さ5〜10cmのブドウの房状で、9月から10月に熟し、一個の袋果に種子が2〜3個入っている。

✻種類
5月から6月頃黄白色の花をつけるカラタネオガタマ(トウオガタマ)は別種である。

変種にはホソバオガタマノキ、ヒロハオガタマノキなどがある。


✿オガタマノキの天然記念物

✣永利のオガタマノキ
国指定天然記念物
推定樹齢は約800年



かつてはもっと樹高もあったことが想像できる樹形である。

✻所在地
さつま川内市永利町886-21
石神神社境内


✣小長井のオガタマノキ
国指定天然記念物
樹齢1000年以上で、日本一のオガタマノキとされる。



✻所在地
長崎県諫早市小長井町川内






2021/04/01

タムシバ No,422

 タムシバ モクレン科 落葉低木〜小髙木

別名=カムシバ、ニオイコブシ  「 田虫葉」

分布=本州、四国、九州

山地や深山に生える。
特に日本海側の多雪山地に多く、関東地方ではほとんど見られない。

樹高は3〜5㍍が普通だが、10㍍超えることもある。

「タムシバ」の名前の由来は、葉にタムシに似た斑点があるからという説と、葉を噛むと甘いのでカムシバが転訛してタムシバになったと言う2節がある。

満開の花で山が白く見えることもある。

雪の重みで幹の根元が斜めにカーブしていることが多い。





✣タムシバとコブシの違い

花はコブシより大きく、それぞれにとても甘い香りがある。

コブシによく似ているが、花のすぐ下葉がないのが特徴ですぐに見分けはつく。

葉はコブシより薄く、裏面が白っぽいことなどで区別する。
果実がコブシは下向きに、タムシバは上向きに伸びる。

✿生育環境

比翼で適度な湿気を含んだ土壌が最適で、日当たりに気を使う必要はないが、できれば午前中のみ日に当てるといった方法を取るのが良い。
移植は4月から5月頃。

✪肥料

1月から2月に油かす、化成肥料などを寒肥として施す。


✻開花

4月から5月頃、枝の先に1個ずつ咲く。



花の中央の緑色の突起した部分が雌しべの集まりで、赤褐色の棒状の雄しべが周りを取り囲む。



8月から9月頃、種子は白い糸でぶら下がり、野鳥が好んで食べる。