緑のお医者の徒然植物記

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2021/04/03

シダレヤナギ No,424

 シダレヤナギ ヤナギ科 落葉広葉樹

別名=イトヤナギ 「枝垂柳」原産地=中国

古く奈良時代以前から奈伎良(なぎら)とも呼ばれた。

ヤナギはヤナギ科ヤナギ属の樹の総称で風見草、遊び草と呼ばれることがある。

世界に約350種、種に北半球に分布し、日本ではヤナギと言えば「シダレヤナギ」を指すことが多い。


古くから各地で栽培され、ときに野生化している。
日本には雌の木がないとされる。

湿気のある土地を好み、水際の川や池の周りに植えるなど水害防止対策の植栽木として利用されていた。

それは湿潤を好み、強靱な根をよく張ること、また倒れて埋没しても再び初芽し再生する生長力があるからです。

自然の状態の河川敷では、湖畔林として広範囲に生えていることがある。

環境適応力も高く、公害にも強いことから街路樹に利用されることも多い樹である。

シダレヤナギと言えば銀座が有名で、その最盛期は明治17年から昭和43年頃であるが、通行量の増加と共に邪魔者扱いされるようになっていった。



                          「佐原、ヤナギの風景」


平安時代初期の僧侶空海(弘法大師、774~835年)が中国を訪れていた時代には✻長安では、旅立つ人に柳の枝を折って手渡し送る習慣があったと言う。

柳と留(ともに音読みリウ)が通じることから、柳の枝を✫環にしたものを渡すことが当時中国において旅人へ餞(はなむけ)の慣習であったと解説されている。

還と環と(もに音読みホワンホワン)が通じて、また帰ってくることを願う意味が込められている訳である。

✫環(たまき)とは輪のようになった玉のこと

✻長安
シルクロードの起点とされることもある現在の陝西省(せんせいしょう)の省都西安市に相当する。

長く垂れ下がる枝は長寿の象徴とされ、柳の枝で作った箸を元旦には使う長寿を祈念する風習もあった。

柳は女性を例え表す樹木ともされる。

強風の雨の中、子どもを抱えた女性が柳の下を通り抜ける際、風に揺れる柳の枝が首に巻き付き死んだとされる逸話があったりして、柳に霊が宿り、柳の木には人の死に関わる話がいくつかあるようで、そのことから時代劇などでは怪奇や、幽霊話など纏わる話が柳の木にはあるのかも知れません。



✿せん定

普通落葉樹のせん定は冬期に行いますが、シダレヤナギのせん定は夏場の7月から8月頃に行います。

シダレヤナギの原産地は中国の暖かい地方で本来、暖地性の樹であるので冬にせん定すると枯れてしまうことがあるからです。


ヤナギ類は、萌芽力が強いので、強く刈り込んでも比較的平気とされます。

徒長枝や立ち枝など混んだ枝を整理し、新枝を切り詰めます。
徒長枝は付け根から切り取ります。

ヤナギ類でもネコヤナギやウンリュウヤナギは暖地性ではないので、冬場にせん定しても構いません。

逆に夏場だと枯れてしまうことになると言うことです。

また、ユキヤナギはバラ科の植物でヤナギ科ではありません。


肥料は街路樹として利用されることからもわかるように、あまり必要としません。

✣病害虫

ウドン粉病、サビ病、灰そ病などが発生することがあります。

害虫はアブラムシ、カイガラムシ、カミキリムシ、アメリカシロヒトリなどが発生することがあります。


✿柳の効能

解熱鎮痛薬として古くから用いられてきた歴史がある。

日本でも枝が歯痛止めや爪楊枝の材料として用いられた。
葉には多量のビタミンCが含まれている。


✿シダレヤナギ天然記念物

✣羽黒の柳(シダレヤナギ)
推定樹齢100〜200年とされる一方で、400年とする言い伝えもある。


かつては樹高30㍍を誇る巨木であったが、通行の妨げになるために整姿をするなどしたほか、幹の空洞化も進み、大枝が折れるなどして現在に至る。

✣所在地
秋田県横手市上内町1-1


✻笹原のシダレヤナギ



推定樹齢100〜200年以上

✻所在地
長野県茅野市湖東笹原543