緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/09/24

樹を枯死させる病気=樹脂病① No,551

 樹脂病(じゅしびょう)ゴム病

糸状菌による病害で原因となる菌はさまざま。

モモ、ウメ、アンズなどに広く発生する病気で、胴枯病や癌腫病、害虫の食害などによって発病する。


枝幹の一部に、はじめ暗褐色油浸状(松ヤニのような樹液)の病斑が現れるが、次第に内部に侵入して形成層が黄褐色になり、木質部も変色する。

病気の進行につれて病斑は融合して大型となり、黄褐色半透明の樹脂を出液して異臭を放つ。

のちに、病患部は乾燥して陥没(かんぼつ)し、表面に多数の黒色小粒点(柄子殻)を生じる。

✪柄子殻=へいしかくとは、葉、茎、枝幹、果実の病斑または枯死部に形成される。

はじめ表皮下に形成されるが、のちに孔口が表皮上に開口し、柄子殻内に柄胞子を形成し、内部に油球を含むものもある。




病患部は、古くなると亀裂を生じて剥がれ落ち、枝幹を一周するとそこから上位部は衰えてしぼみ枯死する。


果実にも稀に発生し、はじめ果梗(果実の柄になっている部分)が侵され次第に果実に及び、暗褐色となって軟化腐敗する。

果実面にも多数の柄子殻を生じる。


発生する条件と環境

病原菌は不完全菌類の一種で、柑橘類を侵して樹脂病を起こす。

病原菌は菌糸や柄子殻の形で病患部で越冬し、気温の上昇とともに柄子殻から出液する柄胞子が、雨滴によって伝播する。

寒害や風害などによる傷害部から侵入するが、病原菌の宿主体侵入や病症の進行は主として、梅雨期と秋期に盛んになる。


防除対策処置

樹勢を衰弱させないことが大切で、冬の寒害や夏の乾燥、風害などを防ぎ、適切な肥培管理を行って樹勢維持を強化する。


病患部に対しての処置は、5月から8月の間に行うと癒合が早いので、健全部も含めて削除し、チオファネートメチル塗布剤や接ぎロウなどを塗布する。

樹脂の出液は6月から8月に多く見られるが、この患部にはミカンナガタマムシが産卵、侵入加害して枯死を早めるのでスミチオン、EDB剤を塗布して予防する。


①冬期、発芽前に石灰硫黄合剤(冬期限定使用薬剤)10倍液を木全体に散布する。

②強剪定を行わない。

③土壌が強酸性のときには、石灰を多用し、排水の悪い場合は排水溝を作るなど水はけを良くする。

④極端に乾燥したときは十分に水やりを行う。

尚、樹脂病に侵されても元気よく枝を伸ばしている様なら、様子をしばらく見て良い状態です。








2021/09/23

ゼラニウムによくつく害虫 No,550

 ヨトウガ(ヨトウムシ)

鱗翅目=(りんしもく)ヤガ科

多数の草花類と野菜類に加害します。

昼間は土中に隠れていて、夜になると地上に出て葉を食害します。

夜になると被害を起こす事から“夜盗虫”と呼ばれます。

蛾(ガ)の仲間の食害性害虫で初夏と秋に年2回発生します。


       ヨトウムシ(ヨトウガ)


若齢幼虫のうちは昼間も葉の裏にいて、土の中に隠れるのは成長してからです。

卵は葉裏に産卵し、孵化した幼虫は集団で葉の表面を残しながら食害するため、被害を受けた葉はかすり状になります。


幼虫は成長するに従って分散し、体色が褐色になり、大きいと体長4㎝にもなって食べる量も多くなるので、放っておくと植物の葉が丸裸になり、葉芯だけが残ることもある。

幼虫は主として夜行性で被害が進んでも、葉の裏や土の中に隠れているので、発見できない事が多く厄介な害虫です。

また、土の中でサナギになって越冬する。


予防対策

かすり状になった葉の裏に群生する幼虫を見つけたら葉ごと取り除く。

被害に気付くのは幼虫が大きくなってからのことが多いので、株元の土の中や葉の裏を注意深く探して見つけ次第捕殺します。

また、雑草地で育ち被害をもたらす場合があるので、近くに雑草地がある時は手入れをして雑草を除去することが予防に繋がります。

✪ヨトウムシの天敵
カエルやヤモリ、小鳥、クモなど食虫性の生き物全般。

薬剤による防除

若齢幼虫には薬剤がよく効くので、発生初期にオルトラン粒剤を株元にまくか、オルトラン水和剤を植物全体に散布します。

オルトラン粒剤を土に混ぜて駆除する事も良いとされるが、余り効果が見られない。

毛虫を含め蛾の仲間の幼虫は、成長して大きくなると薬剤が効きにくくなります。

✪木、竹酢液の散布利用で駆除する。

ヨトウガが発生しやすい主な草花類

アイリス、アスター、オダマキ、カスミソウ
カーネーション、ガーベラ、キク
キンギョソウ、キンセンカ、グラジオラス
クレマチス、ケイトウ、コスモス
スイートアリッサム、スイートピー
ストック、ダリア、デージー、ハボタン
バラ、パンジー、プリムラ
マリーゴールドなど


✪ゼラニウム関連ブログ
ゼラニウムNo,43
ゼラニウムの植え替えNo,148





2021/09/21

庭木の突然枯死の原因  No,549

 庭木が突然枯れる原因

元気の良かった庭木が突然枯れてしまうと言う現象は多く見られることですが、その原因をいち早く突き止め、適切な処置を行うことが大切です。

植物の生育や枯死に影響を及ぼす要因として考えられるのは、害虫と病気の二つが主に考えられます。


新梢や葉、枝、幹に発症するものであれば、日頃の観察で把握できるので適切な処置を行うことで、初期の段階で防ぐことが可能ですが、根元や目に見えない土の中の根、幹の中のものは注意をしていても良く分かりません。

気がついたら葉が萎れ始めているなど、被害が進行してからその状況が分かってきます。

また、害虫や病気以外にも原因とされるものがあります。

生育環境の悪化など、自然環境の変化によっても生育障害が起きてしまいます。


なかなか見つけにくい土中害虫の被害

コガネムシ幼虫による被害

代表的な害虫としてコガネムシの幼虫による根の食害がありますが、多くの昆虫の幼虫は新芽や若葉、枝などを食害するのに対し、コガネムシ類の幼虫は土中でも生活し、土壌に含まれる有機質や植物の根を食べて生活しているので、特に数が多いと、木がぐらぐらになってしまう状態になるまで根を食べてしまいます。


有機質肥料の使い過ぎにも気を付ける必要があります。

また、成虫になると葉や花に飛来し食害を続けるので、5月から7月頃に飛来する成虫を駆除する必要があります。

次々と飛来して被害を起こしては飛び去っていくので、見つけたら捕殺するようにします。

大多数のコガネムシの幼虫は、落葉や堆肥などの有機物を食べるだけで無害な虫ですが、しかし、一部のコガネムシ類は生きた木の根までも食糧にします。


その為、根の食害により苗木などが枯死することがあります。

幼虫はジムシ類(ドウガネブイブイ幼虫)と言われ、背中を丸めたイモムシで体色は乳白色です。

種類により異なるが、春から秋にかけて被害を起こし、冬は幼虫のまま土中で越冬します。

春先の植え付け時期に土を耕した時、見つけ次第幼虫を捕殺します。

根に被害を起こすものは一部の種類だけですが、苗木を育てるときには十分に注意が必要です。


幹に孔を開けて樹幹内を食害する害虫

コスカシバの幼虫
太い幹や太い枝の樹皮下に幼虫が入って食害し、樹皮の間から樹脂(ヤニ)や糞が出て多発すると枯死する。

侵入口から胴枯れ病菌などが入り樹が枯れることもある。

成虫は5月から10月に発生し、樹の割れ目などに卵を産みます。

蛾(が)の一種ですが、羽が透明で一見すると蜂のように見える。

侵入口には虫糞と樹脂が付いているので、見つけたら樹皮を少し削り、中の幼虫を捕殺し、樹皮を削ったあとは塗布剤で傷口を保護しておきます。

また、ハンマー等で入り口付近を叩き圧殺する方法もあります。

成虫が卵を産み付ける前に、割れ目や傷口を中心に塗布剤を塗っておきます。

塗布剤には、サッチューコート、スミバークなどがあります。


ゴマフボクトウガの幼虫
カエデやツバキ、サザンカ、ツツジ等にも被害があります。

空中を飛びながら産卵した卵が雑草の中に落ち、羽化した幼虫は雑草を食べて成長します。

やがて雑草から近くの木の細い枝に孔を開けて食入し、枝の先にトンネルを作り進み、食入孔から先を枯らして行きます。

このため樹勢は衰え、幼木が立ち枯れたり被害を受けた枝が強風で折れたりします。


被害は地表近くの枝や幹に多く、内部から孔を開けて、赤褐色の丸い虫糞を排出し、これが地表に積もります。

庭木の根元の雑草などは取り除いておき、丸い糞が見つかったら食入孔から、スミチオンなどの薬剤を注入して中の幼虫を駆除していきます。

薬剤注入後は、孔を土やコルクなどで密閉する方法を取る場合もあります。


カミキリムシの幼虫(別名テッポウムシ)

マツノマダラカミキリムシ
シロスジカミキリムシ
ゴマダラカミキリムシ

幼虫が樹の幹に侵入し内部を食い荒らします。

このため、樹勢が衰えて枯れたり強風などで折れたりします。

根と幹の境目から約50~100㎝の所に産卵し、幼虫は食害しながら樹幹内部に入っていき、食入孔から繊維状の木屑を出しながら二年間、樹幹内で被害を及ぼし樹勢を衰えさせます。


カミキリムシには、松枯れ病に関与するものや草花に加害するものもいます。

成虫は見つけやすいので捕殺します。

また、成虫は葉や小枝などを食害し、産卵するとき幹に傷をつけるので、傷跡を探してその部分を切り出すか叩いて圧殺します。


4月の発生時期にサッチューコートやスミバークなどの薬剤を散布すると有効です。


しかし、大部分は健全木には加害しないので、樹の健康を保つことが一番の予防です。

その他除去法として、振動を木に与える方法などがあります。


コウモリガの幼虫

クリ、クヌギ、ヤナギ、ブドウなど多数の樹木、草花に加害する。

孵化した幼虫は初め草の茎や樹木の新梢に食入します。

やがて成長すると樹木の幹に穿孔(せんこう)して、内部を食い荒らします。

侵入口は主に樹の下の方にあり、木屑と虫糞でフタがされています。

発生は1年から2年に一回で成虫は9月頃に発生し、幼虫は5月頃に孵化します。


侵入口についたフタが目印で、これは幼虫の成長とともに大きくなり目立つようになる。

侵入口を見つけたらフタを開け、中に針金を入れて刺殺。

また、スミチオンなどの薬剤を注入して密閉する方法で駆除する。

近くの草に食入してそこで成長してから樹木に穿孔することがある。

付近に幼虫が食入しそうな雑草がある場合は除去すると予防になる。


地中の根に被害を及ぼす病気

白絹病(しらきぬびょう)

樹木の幹の土と接している部分や株の近くの地表に白い糸状の菌糸が発生し、水がにじんだようになって幹の組織が腐って枯死に至ります。


       「白絹病」


地際部やその近くの地表に小さな粒がたくさん発生します。

これは菌糸の塊で菌核といい、かなり厳しい環境でも地中に入って生きていて、次の年の発生源となります。

真夏の6月から8月に多く発生し、病気にかかった株は抜き取り処分します。

いったん発生した場合、土中に菌核を作って5年から6年間生存している可能性が高いので、5月から10月頃に土壌消毒や石灰を土に混ぜて中性からアルカリ性土壌にします。

この病気は酸性土壌で、夏期高温時の降雨の後などに発生が多い傾向があり、排水不良地、連作地で多発して激しい被害を及ぼす。

汚染土壌はクロルピクリン剤またはダゾメット剤などのガスくん蒸剤で土壌消毒を行う。

尚、PCNB剤、コブトール、ペンタゲンなどの灌注、または散布が病勢進展を阻止するとされ使用されていたが、現在では販売利用禁止農薬として指定されている。

菌核は土中の浅い所に潜伏しますので天地返しをしたり、太陽熱による殺菌をして予防します。

紋羽病(もんぱびょう)白紋羽、紫紋羽


根が侵されるとぼろぼろに腐ってしまい、あっと間に木が枯れてしまう恐ろしい病気です。


      「白紋羽病」


菌糸が繁殖するとやや厚みのある菌膜が根を覆います。

この菌膜の色によって白紋羽病、紫紋羽病に分けていますが、被害状況は全く同じです。

白絹病菌や紋羽病菌は多少なりとも庭土に潜伏しています。

庭木の剪定枝などを庭に戻してやろうと30〜50㎝の深さに掘って埋めると、せっかく眠っていた菌糸を起こしてしまうので、木の枝や落ち葉を庭木の間に埋める時には1m以上の深さが必要になります。

または、庭木の無い場所にビニールシートを敷き、この上に積んで置き、1年から2年かけて完全に腐熟させてから利用すると良いでしょう。

いずれにしても病気に侵され、菌糸膜形成時はすでに末期に近く、ほとんど治療の方法もなく回復は不可能です。


ナラタケ病(根朽病=ねくちびょう)

食用になるキノコ(ナラタケ)に侵される病気で、急に葉が萎れて枯死に至ります。


     「ナラタケ病」


樹勢が著しく弱った木、地上部を強く切り詰めた時などに発症します。

病気が進むと地際部分に白い菌糸がびっしり張り、秋に淡褐色の小さなキノコがたくさん発生します。

発症が分かってからでは治療の方法はなく、病気に侵された木は根まできれいに取り除き、4年から5年は植樹しないか、ナラタケ病にかからないイネ科の植物を植えておくことです。

枯死樹木の跡地は土壌消毒を行います。

樹勢が弱まったら、ベンレートやトップジンMを根元に散布するのも効果的です。

土壌中のナラタケ病菌を捕捉するには、4月から5月頃に直径約6㎝、長さ70㎝のコナラまたはカラマツの杭を地中に打ち込み、10月下旬に引き抜くとナラタケ菌が分布する場所では、杭の周囲に根状菌糸束が付着し、樹皮下に白色扇状の菌糸膜が形成されている。

この方法によって、ナラタケ病菌の生息場所を検診することができる。


強い切り詰めによる枯れ込み

すべての木に当てはまる訳ではありませんが、幹の太い部分で切り詰めていくと、新しい芽が出ずに枯れてしまう場合があります。

この場合、切り口の保護や幹巻きなどを行っておくことにより、ある程度防ぐことは可能です。

ただし、ハナミズキやナツツバキ、ヒメシャラなどは強い切り詰めを行うと年々太い部分が枯れ下がっていくので、細い枝の時から樹高を抑えていくようにします。


台風による枯死

根を多く出して深く地中に張っているものはまず心配ありませんが、根の粗いモクレン類や樹冠の大きくなるギンヨウアカシア、クサアカシアなどは強い風と雨で木が根元から大きく四方に揺すられて、細かい根がちぎれてしまうと風の後、木を支柱で固定しても枯死する事があります。


この場合、ちぎれた根に見合う枝葉の量を減らす為のせん定を行う事が大切です。


植え付け後3年から4年の樹はまだ根が十分に張っていない木も、雨と強風で根元が強く揉まれると細かい根が切れてしまいます。

植え付け後、ある程度の年数は支柱で固定する必要があります。


木の寿命による枯死

現在、観測されている世界一長寿の木は、北米ネバタ山脈の荒野に自生する「ブリッスルコンパイン」で、その樹齢は4787年と見られています。

★ブリッスルコンパイン関連ブログ
世界一の樹齢木ブリッスルコンパイン巨樹
No,253-1


樹木の寿命として柿や桃、栗は約50年
白樺約70年、ミズキやコナラ約80年
トチノキ150〜200年、松は500〜1000年と言われていますが、樹木が生息する自然環境によって、樹齢は個体差の違いがあります。

多くの植物は性質にあった土壌や自然環境下で生息する事で、樹齢の長さも違ってくる。

より良い環境下で育つ事が長く生きて行くための条件と言えるでしょう。









2021/09/08

9月のバラ手入れ  No,548

 バラの手入れ


お彼岸までは残暑が続き、台風も頻繁に訪れる季節です。

バラは剪定後の枝から新梢が下旬には伸びてきます。

①夏の剪定

早咲きのブッシュは早めに剪定を終えるようにします。

シュラブや四季咲きのつるバラも、咲き柄摘みをこの時期にしておくと、ブッシュに合わせて花が咲きます。

②病害虫の防除

秋のお湿りとともに病害虫も復活してきます。

黒点病、うどん粉病には予防用の薬剤の定期散布のほか、発生を確認したら治療薬で対応します。

ハダニはお彼岸過ぎまで発生します。

中旬頃からは「オオタバコガ」の幼虫が発生し、つぼみに次々ともぐり込み中を食い荒らします。


   「オオタバコガによる食入口」

殺虫剤をスピノエース、アファームなどの特効薬に切り替えます。


    「オオタバコガによる食害」

★オオタバコガ

オオタバコガは蛾(が)の一種で、バラ栽培でのオオタバコガの被害は致命的です。

6月から8月頃に成虫が夜間に飛来して、葉や茎、つぼみなどに卵を産み付ける。

幼虫はつぼみの中に食入する。


③台風対策

9月はまだ新梢が少ししか伸びていないので、風で多少傷んでも回復は可能ですが、10月の台風で、それも遅くに来ると花枝は出来上がっているので、被害は大きくなり回復も不可能となります。


④水やり

庭植えのものには基本的に不要ですが、鉢植えは剪定を済ませているので回数は少なくなります。


⑤除草と清掃

この時期は土が湿っていることが多いので、雑草を丁寧に取って処分します。






2021/09/06

資本主義社会がもたらした地球環境破壊 No,547

 資本主義社会による破壊活動と影響


働けど 働けど猶(なお)

我が暮らし楽にならざり

じっと手を見る。

歌人、石川啄木が明治の末年(ばつねん=時代の終わりの頃)、自分の貧しい生活の思いを詠んだものであるが今、世界中でも啄木がこの歌を詠んだ時以上の深刻さで、コロナ禍も影響し、貧困と格差の拡大が止まらない。


高度な経済を基盤にした、文明社会を目指したはずの現代社会でなぜ?貧困と格差が広がるのか!

どこにその原因があるのか!


18世紀の中頃、資本主義はすでにイギリスで社会の支配的な体制となり、フランスやドイツなどヨーロッパの大陸諸国にまで広がって、経済の新しい発展の時代を開いていました。


日本では、明治時代になり本格的に欧米の資本主義システムを導入しました。

元々生産に携わる庶民の貧困問題は、昔からどこにもありました。

18世紀末、フランス革命に民衆が立ち上がったのも、封建社会による貴族や地主の搾取の酷さに大きな原因があったからです。


今と違っていることは、その頃は搾取の姿が目に見えて分かっていた事です。

その後、領主や政府が強制的に取り上げる、こういう封建制度は革命によって廃止されました。

しかし、かつての強制関係は一掃されたはずなのに、新しい体制で働く労働者たちの生活は封建社会の農民より、更に苦しいものとなったのです。


資本主義による搾取は、封建社会での「年貢」の取り立てとは違って、その仕組みも姿もはっきり見えないと言う所に大きな特徴があります。

資本家と労働者は、市場経済の下での対等の関係を結んだはずなのに、そこから驚くべき貧富の格差が生まれたのです。


生産した富は資本家の側に集中し、生産者である労働者の側は困難な暮らしが続いた。

いったいこんな不公平な状態はどこから生まれてくるのか。


労働者が資本家に売っていたのは「労働」ではなく労働をする能力=「労働力」だと言うことです。

「労働力」と言う商品の価値は、他の商品と同じように、その商品の再生産の費用で決まります。

再生産の費用は、労働者が引き続き働ける状態を維持する費用ですので、労働者とその家族の生活費と言うことになります。


資本家は買い入れた「労働力」を消費する。

つまり自分の工場で働かせます。


「労働力」と言う商品は、これを働かせることである新しい価値を生み出すと言う、他の商品にはない特性を持っています。


なので、ある時間働けば賃金分の価値を生み出しますが、そこで仕事をやめさせる資本家はいないでしょう。

必ず、賃金分に相当する時間を超えて労働を続けさせます。


その時間帯に生み出された価値は、まるまる資本家のものになります。


これが剰余価値で経済学では、賃金分の
価値を生み出す労働時間を「必要労働時間」と呼び、それを超えた労働時間を「剰余労働時間」と呼びます。


資本家が市場経済の法則に従って、世間並の生活が出来るだけの賃金を支払ったとしても、その分を埋め合わせるのに必要な労働は、1日の労働時間の一部分に過ぎません。

それ以上の労働時間は剰余労働であり、資本家は間違いなく剰余価値を手に入れることができます。

これが資本主義の搾取の仕組みです。


剰余価値の生産こそが、資本主義的生産の絶対的な目的であり、決定的な意味を持つ動機である。


そもそも資本家が自分の持つ貨幣を、様々な事業に資本として投資するのは、剰余価値を手に入れて資本を増殖させるためです。

資本主義社会では、富の蓄積と言うのはただの溜め込みではない。

資本家は絶えず資本を生産に投じ、剰余価値の生産の規模をひたすら拡大することであり、「生産のための生産」が資本主義である。


「労働力」こそが剰余を生み出す源ですから、資本は買い入れた「労働力」からできるだけ、多くの剰余労働を絞り尽くすことに、あらゆる知恵と手だてを尽くしているのです。


世界的規模での「生産から生産」を必要以上に進めたけ結果、地球全体の環境破壊を引き起こすことになった。


地球大気という「生命維持装置」は、人類と人類社会が誕生してからも、資本主義の時代になるまでは、その機能を破壊するような事態が起きたことは一度もありません。

地球大気の状態に、地上の生命を脅かす危険が現れ、目に見えるようになったのは20世紀に入ってからのことです。

現在起きている地球温暖化や気候変動は自然の作用よる現象ではなく、明らかに人間の経済活動が引き起こしたものです。

これは、1世紀半にも満たない間に急激にエネルギーの消費量が膨張したことであり、「生産のための生産」を旗印に剰余価値の拡大の道をひたすら突き進んできた、資本主義的生産のあり方が原因であることは紛れもない事だろう。

地球規模で破壊を続けてきた資本主義社会であるが、人類に対するその責任を果たすことはもはや出来ない所に、辿り着いたと言えるだろう。






2021/09/04

子どもが遊んだオシロイバナ No,546

 オシロイバナ「白粉花」

別名=夕化粧、飯炊き花

オシロイバナ科の多年草または一年草。

通常は種から育てる一年草として扱いますが、関東より西の地方では、冬場地上部が枯れますが根が肥大して残り、多年草として扱うことができる。


南アメリカ原産で、江戸時代初期に渡来したとされ、花が美しいことから観賞用に栽培されるが、広く野生化したものもある。

一説には、ペルー原産とも言われる。

オシロイバナの種を潰すと白い粉がでてきます。
昔の子どもはこれを「おしろい」に見立てて遊んでいたことから、この名がある。





英名でフォーオクロック(4時)と言うように、夕方に香りの良い花を咲かせ、翌朝まで咲きます。

日本では夏の夕方6時頃に花が開きます。

そこで開花する時刻に由来する別名の、夕化粧(ゆうげしょう)の名がある。

中国名として「スダジョン、四打鐘」

メシタキバナと言われるのはこの花が開くと、夕御飯の準備を始めると言う意味でそう呼ばれています。


地植えにすると雑草化してしまうほど丈夫で、生育旺盛な草花です。

水はけのよい土に十分な元肥を与え、地植えまたは、8号以上の大きな鉢に植え付けます。


ひたなでも半日陰でもよく育つが、水が切れるとすぐに萎れてしまうので、1日1回はたっぷりと水を与えます。


花の咲く期間が長いので、2週間に1度は液肥で与えます。


オシロイバナの全草は有毒で、特に根に「トリゴネリン」と呼ばれる有毒成分を含み、誤って食べると嘔吐、腹痛、下痢を起こします。


しかし、この成分はアルツハイマー認知症予防に効果があるのてはないかと、研究されています。

トリゴネリンとは、多くの植物に含まれるピリジン環を持つアルカロイドの一種で、コーヒーの生豆に多く含まれる成分で、コーヒーにカフェインと同量含まれている。

トリゴネリンは熱により分解し、ニコチン酸に変化する。


コーヒーの生豆を焙煎する過程で、変質して無くなってしまいます。