緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2022/08/17

世界一大きい果物 No,590

 ジャックフルーツ クワ科パンノキ属

常緑高木

波羅蜜=パラミツとも呼ばれ、ジャックフルーツは英名

東南アジア、南アジア、アフリカ、ブラジルで栽培され、原産はインドからバングラデシュとされている。

大きな卵型で緑色や茶色の硬い皮で覆われ、約70cm以上重さ40kg以上にも大きく生長するため「世界最大の果実」とも呼ばれています。




最も太い果実部分の直径は20〜30cm以上にもなります。

ラグビーボールの両端が丸みを帯びたような形をしていて、表面に直径8㍉くらいの小さなツブツブがたくさんあります。

果実は枝ではなく、幹に直接ぶら下がるようにつきます。

同じクワ科のアコウも同じように幹部に実をつけますが実は小さい。


✪アコウ関連記事
奈良尾のアコウの樹 No,360


        「アコウの実」

このような実を『幹生果=かんせいか』といいます。

太平洋戦争の末期には、◉ビルマの密林の中で食糧難に瀕死していた多くの日本兵が、ジャックフルーツの実を食べて飢えをしのいだと言われています。

果肉だけでなく、果実の中にたくさんある大きな種子も煮て食べていたそうです。

      「ジャックフルーツの種子」

◉ビルマは現在のミャンマーの事で、太平洋戦争当時はイギリス領ビルマで、イギリスから独立した1948年から1989年までの国名はビルマ連邦で通称ビルマと称した。


✪ジャックフルーツの効能
ビタミンCが大量に含まれ、カロテノイドは炎症を抑え、Ⅱ型糖尿病や心臓病などのさまざまな慢性疾患のリスクを軽減する事がわかっています。

ドリアンとともに食べ過ぎに注意が必要な果物です。

特に空腹時では食べない方が良いと言われ、また蜂蜜と一緒に食べてはいけないとされています。







2022/08/16

ドラゴンフルーツ No,589

 ドラゴンフルーツ サボテン科

別名=ピタヤ、ピタハヤ、ピターヤ

メキシコ南部または、中南米エルサルバドル周辺の熱帯雨林原産

栽培地の中央アメリカ、南アメリカ北部では数属のサボテン類を総称して「ピタヤ」という。

これは、サボテン科ヒモサボテン属のサンカクサボテン等の果実を指します。

その中の果実で龍のウロコのような果皮をしているものを、ドラゴンフルーツと称します。


日本では2000年以降、奄美大島、宮崎、長崎、熊本、沖縄で栽培されています。

日本に輸入される際に『火龍果=ホーロンコウ』と書かれていたとされ、これは中国語で英語に訳されるときに、ドラゴンフルーツの名前になったとされています。


また、夜に大きな白い花を咲かせることから「ムーンフラワー」や「夜の女王」という別名を持っています。


ウロコ状の果皮に包まれた果肉には、白色や赤紫色のものがありますが、いずれもゴマのような種子が散らばっていて味わいはさっぱりとした甘さです。


品種は、赤い果肉に白色の果肉のホワイトピタヤ

赤い果肉に赤紫色の果肉のレッドピタヤ

黄色い果肉のイエローピタヤに分かれます。




赤い色素は「ベタシアニン」というポリフェノールの一種で、赤い色を表すケルト語のベタ(beta)が名前の語源です。

ビートの学名「ベタ•ブルガリス」から名付けられています。

また、オシロイバナ、ブーゲンビリア、マツバギクなどの赤い花の色素です。

学名「ベタ•ブルガリス」英名「ビート」
ビートは草本のニ年生植物、または稀に多年草植物で葉の多い茎をもつ。

ヒユ科の植物で今はBe toideae亜科に含まれる。

ドラゴンフルーツはサボテンですが、砂漠の植物ではありません。


✪ドラゴンフルーツの効能

ドラゴンフルーツはビタミンB1、B2、ビタミンC

ビタミンEに葉酸、ポリフェノールも含まれる。

中でも、豊富に含まれるカリウムには体内の余分な塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります。


その作用はむくみ、高血圧の予防に繋がります。


健康や美容に良いとされる栄養素が多く含まれているため「ミラクルフルーツ」とも呼ばれています。







2022/08/14

太陽の卵 マンゴー No,588

 太陽の卵

マンゴーは「世界三大美果」の1つで『太陽の卵』と言われるウルシ科の植物

インド原産で菴羅(あんま)菴摩羅(あんまら)とも言う。

世界三大美果には他にチェリモヤ、マンゴスチンがある。


マンゴーの栽培は古く、紀元前のインドで始まっており、「聖なる果物、木」、「フルーツの王」とも称される。

品種は多いが、フィリピン産のカラバオ種とメキシコ産のアップルマンゴーが日本では主流です。


日本には明治時代に伝えられ、国内でも生産されています。


ウルシ科の植物であるため、果実を食べるとウルシと同様にかぶれてしまう人もいます。


生食用果物として栄養に優れ、果肉は多汁で甘味や風味に富み、東南アジアや熱帯アメリカで広く栽培されています。


特にカロテン、葉酸、高血圧予防に働くカリウムが多く含まれ、更にビタミンAやビタミンCなども豊富なので「天然ビタミンの宝庫」とも言われています。



収穫後、食べ頃になるまである程度の日数をおくと熟してきます。

追熟という過程で、果実の中のデンプンが果糖やブドウ糖、ショ糖に変わることで甘味が増してきます。


食物繊維であるペクチンが、不溶性の状態から水溶性のペクチンへと変化するため柔らかくなります。


花は前年枝につき独特の芳香があります。

生育適温は25℃から30℃とされ、15℃以下になると生育休止に入り、耐寒温度は8℃であるので一般には庭植えにできません。

◉チェリモヤ バンレイシ科

ミルク色をした柔らかな果肉を持ち、スペインでは森のアイスクリームやトロピカル•デライト=熱帯の栄光といわれる。

アメリカでは、カスタード•アップルと称されている。


ペルーでは✪有史以前から栽培され、インカの住民に親しまれてきた果物です。

✪有史以前とは、人類が文明を持って生活を始める前の時代の事で、原始時代、太古の昔などの表現もします。


チェリモヤは「冷たい乳房」と言う意味です。

追熟していない緑色で硬いチェリモヤは、甘さがなく美味しくありません。

硬いものは1つずつ紙に包んで、数日から1週間ほど室温に置いて追熟させます。

追熟温度は20〜25℃とされ、必ず常温で追熟させ、冷蔵庫はよくありません。


◉マンゴスチンはマレー語で、インドネシア語では「マンギス」タイ語では「マンクット」と称される。

東南アジアが主な産地とされ、原産はマレー半島周辺とされる。



樹高が20㍍近くになる常緑高木です。


リンネの『植物の種』として記載された植物の1つでもある。

✪リンネとは博物、植物学者のカーネル•フォン•リンネのこと
参考記事ブログNo,78
博物、植物学者カーネル•フォン•リンネ


白い上品な果肉を持ち「フルーツの女王様」と言われる。

マンゴスチンを日本で育てるにはとても難しく、ほとんど栽培に成功していない。






2022/08/11

世界最古の栽培果樹イチジク No,587

 世界最古の栽培された果樹はイチジク

2006年にイスラエルのヨルダン渓谷の遺跡(1万1000〜1万1400年前)からクワ科の植物の果実が発掘された。


     「ペトラ遺跡のイチジクの木」


クワ科の原産地はアラビア半島南部または、西南アジアとされ、イスラエルをはじめ地中海岸地方に広く栽培された。

クワ科の落葉樹、「無花果」と書くのは花が見当たらないまま果実ができたことに由来する。

無花果とはイチジクのことで、別名トウガキ(唐柿)ナンバンガキ(南蛮柿)ホウライガキ(蓬莱柿)ともいう。

日本には江戸時代に中国から渡来したとする説と、ポルトガルから長崎へ伝わったとする説がある。

長崎県五島列島にはクワ科の巨木が多く存在する。

栽培が普及したのは大正時代になってから、蓬莱柿の名で栽培され、現在もホウライガキの品種として残る。


発掘された果実をハーバード大学の研究チームが分析し、一万一千年以上も前に栽培されていたものであるとの結果を発表しました。

そのため、栽培果樹として世界最古のものであると言われています。

旧約聖書の✪創世記で、最初の人間とされるアダムと妻であるイブが裸の身体を隠したのは、この植物の葉っぱとされています。

✪創世記=神が最初の世界を作ること、世界の始まり

なぜこの植物が栽培されていたものだったと、どうして分かったかと言うと、それは発掘されたこの植物の果実が種子を作らない性質だったからです。


種子がないと自然に殖えることができません。

果実を食べるためには、その木を人間が挿し木などの方法で殖やさなければならず、そこで栽培されていたと考えざるを得ないことになります。

よってこの地で、イチジクが世界最古の栽培果樹とされたのです。


        「イチジクの果実」


クワ科の植物には約40属1000種以上あり、特に熱帯と亜熱帯に多く分布する。

日本で有名なクワ科植物は、沖縄のひんぷんガジュマル、五島列島奈良尾のアコウなどの巨樹が有名である。

ちなみに奈良尾のアコウは子どもの頃、樹下をくぐり抜けた事が何度かある場所であり、今ではパワースポットとしても知られている。


✪関連記事ブログ
イチジク No,77
奈良尾のアコウの樹 No,360
ひんぷんガジュマル No,565






2022/08/09

夏の七草食用とは思えない植物 No.586 

 夏の七草

「夏の七草」には雑草とされ、畑や空き地などに育つもの、水辺で育つものの2組の種類がある。


雑草とされるものは1945年6月に日本学術振興会学術部、野生植物活用研究小委員会が定めた「食べられる7種の植物」

アカザ、イノコヅチ、ヒユ、スベリヒユ、シロツメクサ、ヒメジョオン、ツユクサの7種です。

この7種は、戦時中の焼け跡にも生える植物で、食糧の不足する中で食べられる植物として選ばれたものです。


アカザはアカザ科の一年草で、畑の縁や空き地などに多い代表的な夏の雑草です。


          「アカザ」

日本固有種で、秋田県及び宮城県以南の本州、四国、九州に分布するが、関東以北の太平洋側には少ない。

同じアカザ科のほうれん草と仲間でよく似た味がする。

シュウ酸を多く含むため生食には適さない。

多量に食べるのは避けたほうが良いとされる。


✪アカザの薬効
日本では生薬名はありませんが、中国では薬物名として藜(れい)と呼んでいます。

のどの痛みや整腸の民間薬として、アカザの全草が用いられるがシロザは薬用に用いない。

また、生薬の搾り汁は毒虫などに刺されたときに塗ると痛みが止まるとされ、歯痛に生葉の汁をガーゼに含んで噛んでいると良いと言われている。

腸、皮膚、歯肉の熱を冷ます薬草であるが、妊婦や胃腸が冷えやすい人への使用は禁物とされています。


イノコヅチはヒユ科イノコヅチ属の多年草


        「イノコヅチ」


日の当たらない場所にも生え、庭や空き地に生育する。

茎は丸くなく角ばっている。

種子は動物の毛や人の衣服に付着して遠くまで運ばれる。

食べられるのは若い葉で、根を乾燥させたものは牛膝(ごしつ)という生薬として使われます。



ヒユはヒユ科双子葉植物の分類群(全草)


         「スベリヒユ」


ヒユはインド原産の植物で、中国などでは野菜として畑で栽培され、葉を茹でると食用になります。

空き地や道端に育つ雑草ですが、ほとんど見かけることがない。


スベリヒユはスベリヒユ科の一年草(ハーブ)


         「スベリヒユ」


道端や畑、空き地などに枝分かれして地面を這うように育つ植物。

乾燥に強く、強い太陽の光や高温にも負けずに育ち、小さな肉厚の葉っぱが特徴。

多肉植物でもあるスベリヒユは、日本全土だけでなく世界中の温暖から熱帯地域に分布している。

世界的にも古くから食用にされていて、様々な効能がある植物として扱われてきた。


「スベリ」とは、葉っぱや茎にツルツル滑るような光沢があることに由来する。

また、茹でるとヌルヌルと滑るような粘液が出るからとも言われています。


茎は赤紫色を帯び、夏に5弁の鮮やかな黄色の花を咲かせる。


✪スベリヒユの効能
中国医学では薬草として知られ、天然の抗生物質とも呼ばれています。

解熱、咳止め、止血、鎮痛、整腸、湿疹、虫刺され、皮膚炎、抗菌などに昔から使われてきた。


シロツメクサはマメ科の多年草


        「シロツメクサ」


クローバーの名で知られる。

シロツメクサはヨーロッパ原産の植物で、牧草として利用される。

江戸時代にオランダからガラスの器や装飾品などの輸入品を運ぶ際に、割れないように草を乾燥させて詰めてあったことが「詰め草」の由来とされる。

花が白いことからシロツメクサの名がついた。

おひたし、和え物、汁の具、お団子などに利用される。

✪シロツメクサの効能
利尿、咳止め

✪ムラサキツメクサ
咳止め、肌荒れ、湿疹、かゆみ、アトピーなどの皮膚疾患


ヒメジョオン キク科ムカシヨモギ属

北アメリカ原産で明治の初めに渡来し、各地に広がった帰化植物


        「ヒメジョオン」


若芽は食用になるが、現在では代表的な雑草です。

よく似たものにハルジオンがありますが、茎が中空で蕾がうなだれるところが、ヒメジョオンとは異なっている。


✪ヒメジョオンの効能
糖尿病の予防やむくみを取る茶材として用いられる。

乾燥した花や葉を混ぜて1日約10gを適量の水で煎じて、お茶のように飲用する。

糖尿病の予防には乾燥した花を粉末にして、1日2gに服用する。

北米では全草を乾燥させて、煎じて利尿剤、結石の除去にも用いられている。


ツユクサはツユクサ科の一年草



         「ツユクサ」


朝早くに露に濡れながら花を咲かせるところからこの名が付いたとされる。

湿度の多い少し日当たりの良いところでは、色の濃いきれいな緑の葉が育ちます。


✪ツユクサの効能
開花期に全草を乾燥させたものが生薬鴨跖草(オウセキソウ)で、煎じたものが解熱、利尿、熱性下痢などに用いられる。

ツユクサは普通の野菜と同じような感覚で使っても大丈夫で、柔らかい葉や茎は生のままサラダにしたり、茹でて和え物やおひたし、煮浸しにしたり、さらに炒め物や酢の物、天ぷらなどで楽しめる。






2022/08/07

朝の果物は金 No,585

 果物消費量が減る一方の日本

朝の果物は金、昼は銀、夜は銅

あるいはもっと時間を細かく区切れば朝の果物は金、昼から3時までは銀、3時から6時までは鉄、6時以降は鉛などとも言われます。

お米を食べてエネルギーを得るためには、お米に含まれるデンプンを消化酵素であるアミラーゼなどで消化して、ブドウ糖に換え、それをもとにエネルギーを得ます。


『アミラーゼはジアスターゼとも称され、主に膵臓、唾液腺から分泌される消化酵素で、デンプン等の糖質のグルコシド(配糖体)結合を加水分解、あるいは発酵や酵素によって分解されると✪グルコース=ブドウ糖が生じる』

ところが、果物には多くのブドウ糖が含まれているので、素早くエネルギーを得ることが可能です。

同じように、果糖からもエネルギーを素早く得ることができます。

果物から朝活動のためのエネルギーが容易に得られると言う事です。

✪グルコース(ブドウ糖)とは

太陽光からのエネルギーを使って、水と二酸化炭素から光合成によって作られる。

グルコースは細胞呼吸のための最も重要なエネルギー源である。

ブドウ糖はブドウの中から見つかったのでそう呼ばれる。


果物に含まれるクエン酸やリンゴ酸、酒石酸などの『有機酸』と呼ばれるものは、果物の酸味を感じさせる物質で、脳や身体を活性化してくれます。

つまり、朝起きて「爽やかになりたい」という気持ちを満たしてくれると言うことです。

また果物には、腸を刺激する作用の強い食物繊維が多く含まれています。

ビタミンやミネラルなども含まれています。

紫外線に当たることで発生する、活性酸素を除去するために必要な抗酸化物質は、果物に多く含まれています。


これはビタミンCやビタミンE、赤い色素のアントシアニンや黄色の色素カロテノイドなどです。

空腹の朝には、多くのビタミン、ポリフェノール、カロテノイド、カリウムなどのミネラルを含んだバランスの取れた果物の栄養が健康に良いのです。

体内の水分も不足気味になっている朝、水分含量の多い果物は役に立つと言えるでしょう。


1日に果物200グラム運動「食生活推進全国協議会」という運動がありますが、日本人の果物摂食量は世界と比べてもとても少ない。


国連食糧農業機関(FAO)によると、日本の果物消費量は1人当たり1日約150㌘ですが、これは2003年のデータであり、現在ではこれよりも深刻な状況になっています。


   ✪2003年世界の果物消費量


最近では2019年で世界の平均が79.35㌘に対し、日本は33.35㌘です。

このことから、日本ではほとんど果物を食べなくなったことが伺い知れます。






世界消費量トップのドミニカの十分の1にも満たない数値です。

果物を食べなくなった日本人


日本で最も果物が消費されたのは1975年の193.5㌘とされています。


毎日摂らない理由として挙げられるのが、値段が高い、日持ちがせず買い置きできない。

皮を剥く手間がかかるなどが原因とされています。


果実の需要と消費は、健康に影響するだけでなく、国内のフルーツ産業の縮小にも繋がっています。

益々、日本国内の農作物産業は自給率をさげ、あらゆる食糧を海外に依存しなければならない時代が来ることを、避けられないかも知れません。