緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2022/09/03

地球上に酸素を作り最も長く生きてる生物 No,600

 地球上に最初に酸素を生み出した生物

シアノバクテリア 藍藻(らんそう)細菌
No.600記念記事

約35億年前の地球の大気は96%が二酸化炭素で、酸素はありませんでした。

地球のはじめは水蒸気と二酸化炭素というガスに覆われていました。

海の中に溶けた二酸化炭素と太陽の光から、酸素を生み出したのは『シアノバクテリア』と呼ばれる細菌です。



  「緑色に粘ったようなシアノバクテリア」



シアノバクテリアは、酸素発生を伴う光合成(酸素発生型光合成)を行う細菌の一群である。

藍藻(らんそう)は系統的には細菌類に属する『原核生物』であるが、歴史的には「植物」に分類されていました。

『原核生物』とは、前核生物、原生核生物ともいう。

細菌および藍藻に代表される生物のことで、染色体はDNA分子がほとんど裸のまま、細胞のほぼ中央部にあるが、核膜(細胞核)はなく、構造的に細胞質から区別できない。

原核生物はすべて単細胞で、原核菌類と藍藻植物が含まれ、34億年前の藍藻の化石が発見されており、生物の進化では最も古い生物であると考えられています。

また、ミトコンドリアなどの構造体がありません。

シアノバクテリアは藻類に分類されていたことから、国際細菌命名規約ではなく、国際藻類、菌類、植物命名規約に基づき分類されてきました。

約30億年前に地球上に大量発生したシアノバクテリアにより、大量の酸素が供給され、現在の地球環境が形成されたと考えられています。


現在でも海、川、湖沼、氷河にまで、地球上の至るところに分布する。

地球上で最も長く生き続けている生物なのである。


植物がなくなったら地球はどうなるの?

今の時代ですでに地球上から酸素がなくなってしまう、豊富である状態は約10億年であると明らかにされています。


植物は人をはじめとした動物の食料となり、命を繋ぐために欠かせない存在です。

植物は食物連鎖の中では動物より下位に位置づけられます。

そのため、植物の量が減少してしまうと動物が生てく上で影響がでます。

植物の減少に伴って酸素の供給量も当然減るので、そのような状態になれば、その影響は計り知れない事になるでしょう。

森林の木がなくなれば、そこに生きてる多くの動物や昆虫などの餌がなくなるため絶滅し、光の弱いところでしか生育できないシダやコケなどの植物も全滅することになります。


海岸沿いに生育するマングローブの林もなくなれば、そこで生きている魚たちの居場所も失ってしまいます。

海への栄養源も途絶える事になり、海洋生物への影響も当然起きてくることになります。

生物や植物が生きるために必要な自然環境が破壊され、なくなってしまうことは、人類への生命線もなくなってしまうということに繋がっているのです。

小さな、小さなバクテリアによって生物も、動物も生きられる地球がうまれ、そのはじめを作ったバクテリアは今も尚行き続けていることは奇跡以上かも知れません。

人類ができることは自然環境をできるだけ保護すること以外ありません。


地球全体の水や空気がきれいな状態で保てるのも、植物たちの力であることは紛れもない事実です。







2022/09/02

戦後も生き続ける戦災樹木たち No,599

 巨樹が問いかける戦争と平和

第二次世界大戦中、100万本以上の巨木が一年くらいの間に伐採され、木造船などに使われた。


戦争が多くの巨木を切り倒したのである!


空襲の惨禍を潜り抜け、その傷痕を今も伝える「戦災樹木」が東京の各地に存在している。

樹齢500〜600年と推定されるその樹は、約10万人が犠牲になった1945年(昭和20年)3月10日の東京大空襲による火災で焼け、黒い焦げ痕を今も見ることができる。


     「飛木稲荷神社のイチョウ」

所在地=墨田区押上2丁目39-6

東京都墨田区の飛木(とびき)稲荷神社境内に立っている天然記念物のイチョウの木である。

物言わぬ戦争の生き証人である。


当時、自宅近くの空き地に避難していた田中稔さんは、イチョウの木が炎に包まれる様子を鮮明に覚えていました。

最初は神社の社務所の裏から燃え始め、それから本殿、神楽殿と燃え広がり、そのうちご神木のイチョウにも火が移って、葉がない落葉期だったので燃えやすく、すぐに燃え上がったと言う。

焼け焦げてしまったイチョウの木は、数年後には新しい芽を出し、そして今も同じ場所に立ち続けている。

大田区の新田神社にあるご神木のケヤキは、幹の表面が大きく裂け、焼け焦げた痕が見られるが、今も生き続けるその生命力ある樹に触ると、ご利益が得られるとされ、パワースポットとして地域の人から親しまれています。


       「新田神社のケヤキ」

所在地=東京都大田区矢口1丁目21


東京大空襲などの空襲で被害を受けた「戦災樹木」は東京23区にどれだけ残っているのか調査され、202本在ることがわかりました。

一方で、判断できない樹木も多く存在します。

空襲によって焼失した地域と重なるように点在し、被害が甚大だった下町一帯で、その数は多く見つかっている。

湯島聖堂や上野公園、富岡八幡宮など、大規模な緑地がある場所にまとまって存在している事も確認されました。

戦後、長い時が流れ、町並みも大きく様変わりした東京で、200本以上の樹木が残っていたのです。

なかには、戦災樹木としての証言が得られなかった樹木も150本にものぼっているが、判断できぬまま伐採される樹木もある。


戦災樹木は、当時何があったかを今に伝える身近な存在でもある。

調査と保護がますます必要となっているのではないだろうか。

しかし、文化や芸術に乏しい傾向のある日本では、確実に護られていくという確証はないかも知れません。


広島、長崎市では原爆で被爆した樹木の保全が進んでいる。


広島市は1996年度から、被爆樹木の登録制度を開始し、爆心地からおよそ半径2キロ以内で、被爆樹木約160本を被爆樹木として登録し、定期的に樹勢を観察、調査を行っています。

被爆して今も生き続ける「アオギリ」という落葉樹が、広島平和記念公園の一角に存在しています。


       「被爆樹木、アオギリ」

所在地=広島市中区中島町1-2
広島平和記念公園


平和記念公園は戦前からある公園ではなく、戦後新たに作られた公園で、幕末から明治、大正にかけてこの場所は繁華街であったと言われています。


長崎市には今も生き続ける「被爆樹木」が存在する。

1945年8月9日に投下された原子爆弾で被爆し、今尚その場所に立ち続けているクスノキ


       「山王神社の大クス」

所在地=長崎市坂本2丁目6

長崎クスノキプロジェクトは、長崎の「被爆樹木」の保全、保護を行っています。


長崎市では46本の樹に年一回の健康診断を実施している。
被爆樹木の所有者に保存整備費を補助する制度がある。

個人所有の樹木にも被爆した樹木を紹介する表示板を設けています。

将来に渡り、被爆の悲惨さを伝え続ける貴重な遺構として大切に保存すべきだと、被爆樹木の保全の意義を唱えています。


空襲や原爆の傷痕を残す樹木は、戦後の「生き証人」としてこれからも戦争とはなにか?真の平和とは何であるかを問いかけ続けることだろう。









2022/08/31

柑橘類の名前につく「ポン」の意味 No,598

 名前に“ポン”のつく柑橘類

ポンカンはインドのスンタラ地方が原産で、インド、ネパール、東南アジア、中国南部、台湾、日本で栽培されています。

日本には1896年(明治29年)に台湾総督に就いていた樺山資紀大将が、苗木を郷里の鹿児島に送って移植したのが最初だとされている。


✪樺山資紀(かばやますけのり)は日本の海軍軍人で政治家、鹿児島の生まれ(1837=天保8年〜1922=大正11年)

薩摩藩士、橋口与三次の三男として生まれ、1863年、樺山四郎左衛門の養子となった。

幼いときの名前を覚之進という。


         「樺山資紀」


日清戦争(1894〜1895)では、海軍軍令部長として戦場に行き、手柄を立て、翌年には海軍大将となる。


その後、初代台湾総督、内務大臣、文部大臣を歴任し、86歳でこの世を去った。


名前に「ポン」がつく柑橘類には数種があり、その由来もさまざまです。

『ポンカン』は英語ではポンカンオレンジと呼ばれ、漢字では[椪柑または凸柑]と書きます。


         「ポンカン」

ポンカンの「ポン」は、原産地のインドの地名「ポーナ=pona」に由来します。

『デコポン』という愛嬌のある名前の柑橘類は、1972年に生まれました。

元々、デコポンの正式な品種名は生産が始められた地方の熊本県の「不知火=しらぬい」という品名で、デコポンの名前は商標登録したものです。


デコポンの「デコ」は「おでこ」のことで、突き出た状態を表しています。


         「デコポン」

おでこがポンと出ているという意味ではなくデコポンの「ポン」はデコポンの片親であるポンカンの「ポン」という意味です。

もう一方の親品種は『清見オレンジ』です。

清見(きよみ)オレンジは、温州みかんと外国産のトロビタオレンジの交配によって誕生したもので、日本で育成、公表された最初の『タンゴール』です。

品種名の「清見」は育成地にある清見潟、清見寺に由来する。

ところによっては「清見タンゴール」と呼ばれることもある。

産地として知られる愛媛県や和歌山県が、全国の出荷量の8割弱を占めている。

✪清見潟とは、静岡県中部、静岡市清水の興津、清見寺門前の海岸を示す。

清見オレンジの片親である』『トロビタオレンジ』はネーブルから生まれたオレンジの仲間。

オレンジは遺伝的にみかんに近く、進化の途中でみかんから枝分かれしたとされる。

ネーブルオレンジの原産地はブラジルで、バイア地方に導入したセレクトオレンジの、枝変わりによりできたと言われています。

この種がアメリカに渡り、1870年、アメリカ農務省(ワシントン)で育成され、これがネーブルオレンジ品種群の元となったワシントンネーブルである。



『ポンジュース』という飲み物がありますが、ポンカンのジュースではありません。

みかんの産地である愛媛県で、みかん産業の発展のために1952年に発売された、果汁飲料がポンジュースです。

ニッポンイチ(日本一)のジュースになるようにと思いを込めて、当時の愛媛県の久松定武知事によって、ポンジュースと命名されたと言われています。

ポンと出てくるポンジュースならええなぁ~😅

また他にも「ポン」という名前が選ばれた理由として、フランス語のボンジュール(こんにちはの意味)の「ボン」の響きに似ているからとも言われています。


オランダ語で、柑橘類の果汁を「ポンス=pons」と言ったり、果樹栽培法を英語で「ポモロジー」ということも一因にあるとされています。

調味料には「ポン酢」がありますが、ポンカンやデコポンの「ポン」を使用して名前をつけたと思われ、ポン酢はポンカンの果汁から作られたものではありません。


ポン酢の語源はオランダ語のポンスであり、「ス」に日本語の「酢」を当てたものです。


ポルトガル語に由来する説もあるが、その場合でもポンに酢をつけたということです。

ポン酢は柑橘類の果汁という意味なので、ポンカンと関係があるわけではありません。


 「ポンカンの発祥地の記念碑熊本県不知火町」








2022/08/28

さつまいもの花 No,597

 さつまいもの花

日本でさつまいもの花が咲くのは沖縄県

沖縄県を除いて通常の条件下では開花しません。

さつまいもの花は熱帯、亜熱帯でよく開花結実する。

さつまいもの花は「短日性」で日照が短くならないと咲かない。

アサガオと同じヒルガオ科で花もよく似ている。


       「さつまいもの花」


◉短日性とは、1日の日照時間がある程度短くならないと反応を起こさないことで、さつまいもは日が出ている時間が短くならないと花を咲かせない。

夏の日照時間が長い日本では、なかなか花を咲かせないため見る機会も少ない。

中には花をつけやすい品種もある。


気温が高いまま、日照時間が短くなれば花が咲きやすくなる。

日本で栽培されているさつまいもでは、収穫の早い品種のシルクスィートや紅はるかなどが、花をつけやすいという可能性はあります。

花を咲かせる場合では、実がならない場合が多いとされる。

さつまいもは根が肥大して実になるが、土の中で実ができず子孫を残せなくなると、花を咲かせる場合があるとされる。


花が咲いても実が生っていれば問題はありません。

また、干ばつ気味やネズミに食害されたり、病気に侵された場合などの条件下で、花が咲きやすくなるようです。


✪短日植物類
アサガオ、キク、オナモミ、コスモス、イネなど

夜の時間が長くなる頃に、花をつける植物を短日植物という。







2022/08/26

さつまいもの変色 No,596

 実が黒く変色する


加熱後に実の部分が黒く変色するのは、さつまいものアクでるポリフェノールの一種「クロロゲン酸」が変色したものです。


クロロゲン酸はあくの成分なので食べると「えぐ味」を感じることがありますが、食べても問題はありません。

変色を防ぐ場合は、切ってから水に5〜15分ほど浸けておくことでアクが抜けて変色を防げます。


クロロゲン酸はアルカリ性に反応して緑色に変色する性質があります。







料理に使う重曹や天ぷら粉にも反応します。

また、塩にも弱アルカリ性のため、場合によっては反応することもあります。

寒さが苦手な野菜を、冷蔵庫などで保存したときに起こる低温障害で、さつまいもでは4〜5℃以下で起きます。

切った断面が全体的に黒っぽくなっている場合は、低温障害を起こしています。


食べても問題はありませんが、味は悪くなってしまいます。

保存温度に気をつけ、5〜18℃の間で保存することが理想的です。


さつまいものアク(灰汁)は「ヤラピン」やクロロゲン酸、タンニンと呼ばれる成分で、さつまいもを害虫から守るために存在しているものです。

アクは渋味を感じ、食感を悪くする原因となります。

調理の際にはアク抜きした方が調味料が浸透しやいという良い面があります。


◉ヤラピンとは、さつまいもを切ると断面から滲み出るミルク状の白い液体の事で、さつまいもにしか含まれていない。

胃の粘膜を保護したり、腸内のぜん動運動に働きかけ、便を柔らかくする効能があります。

さつまいもは食物繊維が多いから腸に良いというわけではありません。

ヤラピンという栄養素と食物繊維の相乗効果で、整腸作用が促されているのです。


    「滲み出る白い液体のヤラピン」


✪タンニンとは、植物の葉や実、種子、根などに含まれるポリフェノール化合物の一種で、口に入れると強い渋味を感じることが特徴です。







2022/08/24

さつまいもの長期保存 No,595

 キャアリング貯蔵


収穫後の土がついたままのさつまいもを、35℃湿度95%以上の環境に50時間置くことで、皮下組織にコルク層ができ、収穫時についた傷を自然治癒(キュア)します。

これをキャアリング処理といい、病原菌等の侵入を防ぎ、最適な水分や美味しさを閉じ込めます。

その後、一気に12℃まで温度を下げ、湿度85%で貯蔵することで、最高の状態を長時間保つことをキャアリング貯蔵といいます。

長時間貯蔵されたさつまいもは、デンプンが糖に変わり更に美味しさを増します。
★さつまいもは出荷するまでは土が付いたまま保存します。
洗って保存すると腐りやすくなり、保存期間を確保できない。



出荷時に洗って出荷するものと、土が付いたまま出荷するものがあります。

日持ちするのは土が付いたままのさつまいもですが、見た目の良さから洗ってあるものが売れる。

洗ったさつまいもは約2週間、土が付いたさつまいもは約1ヶ月〜2ヶ月が家庭で保存できる期間だと言われている。

保管の仕方で違いは出る。

10℃を下回る状態で保管すると腐り始めるとも言われている。


貯蔵温度が高いほどでんぷんは早く減少します。

しかし、一方でホクホク感がなくなり、腐りやすい状態にもなります。

さつまいもの表皮かを黒ずんでくると、鮮度が悪くなっている状態だと言えます。

そのようなさつまいもは出荷後、日持ちせず、箱の中で腐ってしまう事もある。





また、アク抜きのため水に浸けて置くと鮮度の良いものは、水が青紫色になるが、よくないと思われるさつまいもは黄土色になり、焼き芋後の日持ちも悪い。


購入時にさつまいもの表皮が赤黒く見えるものは、その後特に注意が必要である。

注意が必要なさつまいも

低温障害を起こして黒く変色してしまったさつまいも

黒斑病に侵されたさつまいも

悪い部分を切り取ったとしても、全体に病気に侵されていると考えた方が無難です。


白いカビ、青いカビが発生したさつまいも

皮の水分が抜けてシワシワな状態のさつまいも

触るとブヨブヨしたり、明らかに腐って臭いがするさつまいも