土壌生物の種類(1)
土壌中の微生物は細菌、放線菌、糸状菌、原生動物の4種類に大別されます。
①細菌
単細胞(0.4~2.0μm=マイクロメートル)
あるいは細胞の連鎖状
細菌は単細胞で、硬い細胞壁を有する原核生物であり、二分裂で増殖する。
細菌とウイルスの大きな違いは増殖の仕方です。
細菌は二分裂で増える病原性を示す細菌で、早いもので数十分、遅いものでは何時間もかかって一つの細菌が2つに増えます。
通常の土壌細菌は球状、桿状、らせん状を成しています。
桿状(かんじょう)とは、細胞や細菌のような形をしているさまを示す表現です。
細菌は、ペプチドグリカンとテイコ酸を主要な細胞壁成分とするか、少量のペプチドグリカンとリボ多糖、リボタンパクを細胞壁成分とするかによって、グラム陽性細菌とグラム陰性細菌に大別されます。
ペプチドグリカンとは、原核生物の細胞壁を構成する成分で、糖ペプチドからなる高分子の化合物の一種です。
原核生物は、核や他の膜結合細胞小器官を持たない単細胞生物です。
細菌は、動物でも植物でも菌類でもない生物たちの総称です。
テイコ酸とは
タイコ酸とも言われ、グリセロールリン酸または、リビトールリン酸とホスホジエステル結合を介して結合した、炭水化物との細菌を培養して生産される細菌共重合体です。
リポ多糖とは
糖と脂質が結合した構造をしている、水と油の両方に溶けるマヨネーズなどの両親媒性(分子)の物質です。
グラム陰性菌の細胞壁を構成する糖脂質の成分で、内毒素(エンドトキシン)とも呼ばれます。
グラム陽性細菌とは
グラム染色と呼ばれる化学的処理の適用後に、細菌が何色に染色されるかに基づくもので、紺青色あるいは紫色に染色される細菌の総称です。
グラム染色とは
細菌を青色と赤色に染め分ける染色方法で、細菌の同定や感染症の起因菌の推定などに使用されます。
主として細菌類を色素によって染色する方法の一つで、細菌を分類する基準の一つ。
グラム染色は、デンマークの学者のハンス·グラムが1884年に考案しました。
紫色に染まるのをグラム陽性菌とし、染まらないものをグラム陰性菌と分類します。
グラム陰性細菌とは
グラム染色により、赤色あるいは桃色に染色される細菌の総称で、グラム陰性細菌の中には有用な菌も病原性の菌も含まれます。
肥沃な表土には、土壌1㌘当たり数10億の細菌が生息する。
肥沃(ひよく)とは、土地が肥えて作物が良くできること、またその様子のことで、肥饒(ひじょう)とも言う。
細菌は、動植物の遺体や腐植物質など、有機物の分解を行うとともに、窒素固定や脱窒作用など農業上重要な作用を営むグループを含む。
脱窒(だっちつ)は、細菌などのバクテリアの働きによって行われる他、農業環境や下水処理において行われる。
農業環境では、茶畑や畜産などから排出される硝酸性窒素を含んだ水が、水田や沼、沢地などを通過する際に脱窒され、窒素濃度が低下します。
下水処理では、下水中のアンモニアが硝酸に変化した後に、脱窒によって硝酸が窒素ガスに変化し、大気中に放出されていきます。
自然界では森林土壌、河川の低泥(ていどろ=ヘドロ)や付着物層、湖の底層水や低泥、ヨシ群生地帯などで脱窒が起こりやすい。
藍藻(らんそう)類も細菌の一種であり、光合成能力とともに窒素固定能力を有し、水田土壌の肥沃度増進に役立っています。
更に細菌は、窒素、イオウ、鉄、マンガンなど無機元素の酸化、還元反応に関与し、土壌の物質循環の重要な担い手となっています。
微生物は一般に様々な極限環境下に生育できるが、特に細菌はその能力に優れ、あら
ゆる土壌中でも広く活動しています。
水田に水を張っている湛水(たんすい)期の水田土壌など、酸素を含まない(嫌気=けんき状態)では、細菌が主な物質環境の担い手となっています。
細菌と複合病
線虫と病原微生物との相互関係により、個別的な感染よりも被害の増大や、抑制が認められる線虫関連病害を複合病という。
細菌との混合感染による被害は、ネコブセンチュウが関与している場合が多く、ナス科の青枯病は、サツマイモネコブセンチュウやキタネコブセンチュウと混合感染して被害が大きくなる。
桃の根頭がんしゅ病は、シャワネコブセンチュウと混合感染して被害が大きくなる。
トマトのかいよう病は、サツマイモネコブセンチュウと混合感染して被害が大きくなる。
センチュウ防除
播種、定植前にネマトリンエース粒剤
ラグビーMC粒剤、ネマキック粒剤などを散布する。
米ぬかを土に混ぜる。
同じ科の野菜を近くに植えない。
他の場所で使った土や、消毒していない道具を持ち込み使用しない。
対抗植物を植える
マメ科のクロタラリアやコブトリソウ
イネ科のギニアグラスやソルゴー
キク科のマリーゴールドを植える。