緑のお医者の徒然植物記

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2019/06/17

ビワ 枇杷 No.137

  ビワ    バラ科 常緑中高木

原産地は中国南部から中部と日本南部ですが、日本の自生種は果実が小粒で食用に適さず、現在国内で栽培されているものは、いずれも中国から渡来したビワの改良種です。

平安時代(927年)の「延喜式」にビワに関する記述が見られ、千年以上前から親しまれていたことが分かります。

ビワの名は中国名の枇杷(ビパ)の音読みで葉の形(果実とする説ある)が楽器の琵琶に似ていることに由来します。

因みに、楽器の琵琶も元来は枇杷と書いていたものが、琴と同様の弦楽器であることから後に琵琶に転じたと言われています。

ビワは初夏に熟す濃黄色に果実で知られていますが、晩秋から初冬にかけて、白から淡黄色の小さな5弁花を咲かせます。



「花芽がつき花が咲き始めた状態、11月28日撮影」



花は円錐状に100個程ついて咲き地味ですが、バラ科植物らしい味わいがあり、花はかすかな甘い芳香を放ちます。

冬に咲く花として数少ない事から茶花として利用されることもある。

本格的に日本で栽培されるようになったのは江戸時代以降で、19世紀半ばに中国から長崎に伝わった「唐ビワ」を現在の長崎市茂木町で育てたものが「茂木」と言う品種で、茂木の実生から生まれた「田中」と並んで日本のビワの代表品種になっている。

ビワは果実、種、葉ともに薬効があり、古くから民間療法や漢方医療に幅広く用いられています。

✪尚、薬効、効能についてはブログNo,55ビワの効能、No,150ビワ茶を参照してください。

日本では「ビワを植えると早死する」としてビワを嫌う地方がありますが、これはビワを薬として利用するため、病人がいる家によくビワが植えられていたことから起こった迷信である。

中国ではこの様な俗説はなく樹形、葉、花、果実それぞれが鑑賞価値の高い樹木として、親しまれています。

✪生育管理、環境

日当たりがよく、冬もできるだけ暖かい場所を好みます。

冬に開花結実するので、日陰の多い場所では幼果が凍結する事があります。

庭植えの栽培条件としては、年間平均気温15℃以上、冬の最低気温がマイナス7℃以上とされます。

「田中の品種」は耐寒性が強く日本海側では新潟県、太平洋側では岩手県まで栽培が可能とされる。

樹勢は強く通常は苗木から育てて4年〜5年で開花結実します。



❆肥料

元肥としてチッ素4、リン酸3、カリ3の割合の配合肥料を8月下旬〜9月上旬にかけて根回りにすき込み、必要に応じて2月中旬から下旬、5月下旬〜6月上旬に元肥の半分を目安に追肥します。

✭病害虫

枝や幹、根にコブができる癌腫病が発生する場合があります。

患部を剥ぎ取り、ペーストマイシン1000倍〜1500倍液などを塗ります。

◉せん定、整姿

放任すると樹高10㍍程の大木になります。

花芽は当年に伸びた枝先に付きます。

果実を収穫するには、枝先を切り詰めない事が大切です。

また、果実の数が多い時は1花序当たり数個に摘果します。

主幹の同じ高さから数本枝が伸びる(車枝)ので、下段の車枝だけを残し盃状に仕立てます。

✭殖やし方

実生は熟した果実から種を取り出し水洗いして陰干ししてから蒔きます。

なるべく大きく重い種子を蒔きます。

マイナス5℃以下にならないよう鉢を暖かい所に置いて越冬し翌春定植します。

実生は発芽率は良好ですが、果実は小粒になる傾向があります。

また、自然落果した種子が自然に発根したものを鉢植えにして育ててもよいでしょう。

        (自然落果で発芽したもの)

接ぎ木は2月下旬から3月上旬頃にマルメロ台木に接ぎます。

❆植え付け、植え替え
ミカン類、ビワなどで植え付け、植え替えが行えます。

常緑果樹は寒い時期に断根すると、低温の影響を受けやすいので暖かくなってきた4月上旬頃が適期となります。


ビワの苗木の植え付け

苗木は根鉢の根をほぐし、古い土は三分の一程度落として、植え穴は大きく(直径50~60㎝)深めに掘り(深さ50~60)土をある程度埋め戻してから、苗木を据えて盛り土して高植えにします。

こうすると、その後の生育がよくなります。