糸状菌について
糸状菌はカビ、菌類と呼ばれる菌糸体で栄養成長する微生物、細菌やウイルスで起こる病気より圧倒的に多い。
細菌による感染症が中心の動物とは異なり、植物病害の約7〜8割が糸状菌によるものです。
栄養繁殖期に菌糸状をなす接合菌、子嚢(しのう)菌、担子菌などの総称で、大きく変形菌類と真菌類に分けられる。
細菌に比べて一般に耐酸性が強く、酸性土壌中での有機物分解において重要な働きを担っている。
土壌中における「リグニン」の分解は主に糸状菌によって行われる。
「リグニン」とは、木質素とも呼ばれる高等植物の木化する高分子のフェノール性化合物で、「木材」を意味するラテン語から命名された。
「リグニン」は、陸上植物の細胞壁を固くしっかりした構造とするために生み出された物質のことで、木材中の繊維同士を接着される役割を果たしている。
土壌中の腐植物質の生成過程では、植物遺体に含まれる「リグニン」が、腐植物質の「芳香族成分」の主要な供給源と考えられている。
★芳香族成分=ベンゼンを含む化合物成分(石油精製、液体炭化水素混合物の製造)
糸状菌病の診断
地上部の病害と異なって土壌病害の場合は、地上部に症状が現れた時にはすでに、地上部は予想外に侵されています。
その病害個体に限らず、栽培土壌でのかなりの部分に被害が及んでいると考えてもよい。
土壌病害にかかると地下、地際部の茎や根が侵されるので、全身病の様相を現します。
一度発生してしまうと発病個体を救うことは難しいので、植え付け前に発生の予測や予防対策を行う必要があります。
土壌病害の発生は、植え付け土壌の条件や栽培管理で左右されます。
植え付け前の調査は、土壌病害の検診と呼ばれ重視されています。
そして、この検診の結果に基づいて、植え付け計画の変更や消毒などの土壌管理が行われます。
検診法では、栽培地から土壌を採取して分析するが、ほとんどの病原菌の活動好適域は地表から15〜30㎝までに限られるので、それ以上の深層から土壌採取はあまり意味がありません。
糸状菌病は種類が多く、ほとんどの樹種で主要病害の原因となっています。
空気伝染性、土壌伝染性、水媒伝染性で、通常はその第一次伝染源が樹上に分布する事が多い。
夏に「永久組織」が侵害される枝幹病害である胴枯病の種類も多い。
永久組織=分裂能力を失った細胞からできている植物の組織、表皮(樹)や維管束など
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