胞子の発芽
菌類胞子の発芽は、★吸光度の減少や耐熱性の喪失などで明確に規定できる細菌胞子(芽胞)の場合と異なり、厳密な定義ができていない。
★吸光度(きゅうこうど)
光学濃度、光学密度とも呼ばれ、溶液に吸収される光の量の事を指します。
ある物体を光が通った際に強度がどの程度弱まるかを示す。
なぜ吸光度を求めるかと言うと、溶液中の光を吸収する成分は吸光度と比例するからです。
その吸光度が分かると濃度が分かるという仕組みです。
どの物質の濃度をどのような手順で測るかは、JIS規格によって定められています。
一般的に胞子の発芽過程は①休眠打破②吸水③胞子細胞の膨潤化④発芽管の出芽⑤発芽管の伸長の5段階に分けられているが、発芽管伸長は生理、生化学的に菌糸伸長と共通性が高いことから、第5段階はすでに発芽が終わって栄養成長過程に入った段階であると言える。
①休眠打破
菌類胞子の多くは、適当な温度と水分が存在するとただちに発芽するが、種類によっては何らかの刺激をあたえて休眠を破らなければ発芽しないものがある。
休眠打破の方法には、高温、低温、光、湿潤、乾燥、有機溶媒、界面活性剤、フルフラールなどと、ともに植物起源の物質があげられる。
②吸水
菌類胞子の発芽には、水分が必須であるが必ずしも自然(自由)水を必要とせず、湿度が高ければ発芽できる。
その程度は菌の種類によっては異なる。
③膨潤化(ぼうじゅんか)
膨潤化とは、個体高分子が◉溶媒を吸収し体積が増大して★ゲル状態になることを言う。
◉溶媒(ようばい)とは、物質をとかして溶液を作るのに使う液体のこと
★ゲルとは液状からゼリー状に変化凝固すること
胞子の膨潤化が進み、直径で1.25培から3倍に増大し、その内部にさまざまな変化が起こる過程である。
④発芽管の出芽
細胞壁の合成が1箇所に集中するようになり、発芽管の芽生えが形成され、胞子外壁を破って出芽する。
出芽は無方向性に破れて行われるものと、発芽孔を通して行われるものとがあり、胞子によって異なる。
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