緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2018/11/17

庭木、花木、庭の管理(12月~1月) No,45

庭木、花木 庭の管理


◉この時期に葉を落とし、完全な休眠期に入る落葉樹は剪定の適期です。

特に、葉がないので全体の枝ぶりなど、庭木の骨格がよくわかるので、本格的な樹形づくりが可能です。

紅葉を🍁を楽しんだ後は、庭木をきれいにしてあげましょう。

ウツギ類、ウメ、エゴノキ、カイドウ、カエデ類、ガマズミ、コブシ、コナラ、サクラ、サルスベリ、トチノキ、ニシキギ、ボケ、ミズキ類、ムクゲ、ヤマブキ、ライラック、レンギョウなど、ほとんどの樹種で思いきった剪定ができます。

◉徒長枝や枯れ枝、病虫害にかかった枝などを切り取り、からみ枝、逆さ枝、ふところ枝、立枝、弱小枝、胴吹き芽、ひこばえなどを整理し樹形を整えます。


★株が古くなったり大きくなりすぎた、キンシバイ、ビヨウヤナギ、シモツケ、ハギ、フヨウなどは、地際近くで切り詰め新しい株に更新します。

◆マツ類の「もみあげ」が遅れている場合は、1月上旬までに古葉を揉み落としておきます。

ただし、カエデ類は水あげを始める時期が早いので、早めに行うようにします。

また、花木類の多くは花芽をつけているので、切りすぎないように注意します。

常緑樹は、休眠期のこの時期でも穏やかに活動を続けています。

落葉樹のような大掛かりな剪定は避け、樹形の乱れを軽く整える程度にしましょう。


サクラの冬剪定

通常、剪定してはいけないとされるサクラ類も不要な枝を取り除く程度のことは問題ありません。

春の芽出しの前の1月から2月に行います。

枝先を長く残すと枯れる恐れがあり、短すぎると芽吹かない事があるので、徒長枝は葉芽の上八ミリ前後の部分で切り取ります。


剪定した切り口は殺菌剤や癒合剤(トップジンMなど、保護剤)などを塗っておきます。

〇枯れ枝や、病気になった枝を取り除くことで、病害虫の予防に繋がります。

また、🍂落ち葉などは集めて腐葉土にしたり、宿根草花や野草の株周りに敷き、冬の寒さから守ってやるなど、さまざまな活用が考えられるでしょう。

落葉樹は多くの樹種で植え付け、植え替えの敵期
カエデ類を移植する場合は、年明け頃から根が水を吸い上げ始めるので、年内中には作業を済ませます。

植え付けの際には、水をたっぷり与え、その後は控えます。

◉1月も植え付け、植え替えに適してますが、寒さがピークを迎える下旬は作業を控えた方が良いでしょう。

果樹苗、バラ苗などは、十分に元肥を入れて植えるようにしましょう。


病害虫
活動を停止しているこの時期に病害虫を一掃しておきたいものです。

そのためにも、徹底して庭の清掃を行いましょう。

病害虫の温床になりかねない枯れ枝や病気の枝は切り取り、焼却処分しておきましょう。

◆病害では、まだサビ病、スス病、斑点病など多くの病原菌が残っている場合があります。

冬期は一年のうちで最も薬害が出にくい季節です。

被害が大きい場合は、この時期にマシン油乳剤や石灰硫黄合剤の散布を行い、防除するようにします。


寒肥の施肥

12月~2月の間に寒肥を施すようにします。

この時期、樹木は春の芽だしに向けて1月頃から根の活動が盛んになってきます。

新芽の生育や花木の花つき、実つきがよくなるように、ゆっくり効果が現れる遅効性の有機肥料を与えます。

完熟堆肥、魚粉、骨粉、鶏フン、牛フン等が有効です。

気温が低いこの時期にゆっくりと土中で分解が進み、暖かくなる春頃に良いタイミングで効果を発揮します。

◉寒肥の与え方は樹種や生育の状況によって異なりますが、環状施肥、放射状施肥、壺状施肥などが一般的です。

地表に撒いたままだと、乾燥して溶けにくくなり、雨が降ると流出してしまいます。

★肥料の分量は樹冠の半径1メートルにつき、有機肥料20㍑、化成肥料200㌘(骨粉、草木灰1~2㍑)が目安です。


観葉植物の管理(12月~1月) No,44

観葉植物の管理


観葉植物のほとんどが、亜熱帯のものなのでこの時期は一番苦手な季節です。


しかし、一部の樹種を除いて日光を好みますから、レースのカーテン越しのような薄日が、半日は当たるような場所に置きたいものです。




越冬に必要な最低気温を保つとともに、日中と夜間の温度差が10℃以上にならないように注意しましょう。


温度差が激しいと、樹勢を弱める原因になります。


また、エアコンなどの暖房器具の風が当たる場所での保管も禁物です。

熱帯、亜熱帯産の観葉植物は、18℃以上の温度が保てない限り植え替えや繁殖などは一切行えません。


鉢は室内の暖所に置き、十分に日光が当たるようにして管理します。

その際、一定方向に日が当たり、樹形がバランスを崩さないように、鉢を回転させるようにします。

また、複数の鉢を管理する場合は、日照時間の不公平が起きないように、部屋の模様替え模様替えも兼ねてそれぞれの鉢の置き位置を変えていくようにしたいものです。

水やり、肥料

鉢花と同様、回転を控えめにしてやや乾燥気味にします。

鉢土の表面が乾いても、すぐには与えず一日経ってから能えるようにします。

◆大きな鉢の場合は、2日~3日おいてから与えるようにします。

水やりは暖かい午前中に行い、水が冷たい場合は30℃程度のぬるま湯にするなどの配慮が欲しいものです。


また、部屋が乾燥している場合は、水やりの時に、霧吹きなどで葉水を与えるようにします。

◉特に乾燥の激しい部屋では、加湿器などの導入も考えましょう。

冬期は活動を休んでいますので、乾燥よりも根腐れを起こしやすい過湿の方が危険です。

★肥料は基本的には必要ありません。

温室などで生育適温を保って管理している鉢の場合は、水やり、肥料とともに通常の活動期に準じます。








2018/11/16

ゼラニウム No,43

ゼラニウム

フウロソウ科  宿根草
別名=テンジクアオイ

花言葉=愛情

ある程度の暖かさがあれば、毎年一年中花が楽しめます。

育てやすく、寄せ植えにも最適。


                     「品種名=桜々」


日当たりがよく乾燥気味の場所に植え付けます。

酸性土壌の場合は、石灰で十分に中和してから堆肥、腐葉土を施して植え付けます。

強い霜が降りる寒冷地では、鉢植えにし、冬場は室内に取り込めるようにします。

鉢植えは赤玉土小粒5、腐葉土2、パーライト2、堆肥1の配合土に苦土石灰と元肥を加えて植え付けます。

鹿沼土はゼラニウムにはよくありません、混ぜないようにしましょう。

✻鹿沼土は肥料を捕まえてしまうことで、土のpHに敏感な植物には向きません。

また、コガネムシの発生が気になる場合は、粒剤の薬剤を混ぜて植えると予防できるでしょう。


水やり、肥料
乾燥には強い為、土の表土が乾いてから水を与えます。

水を与え過ぎると根腐れを起こしやすく、茎(花茎)ばかりが伸びてしまいます。

肥料切れすると花芽がなかなか付かず、花が咲かなくなります。

こまめにバランスの良い液肥を、二週間に1回程度与えます。

夏場は高温多湿になりやすいので控えめにし、置場所を考えて育てましょう。

★窒素分の多いものを与えると、葉色が悪くなり、花が咲きにくくなります。

◉開花中はこまめに花柄を整理します。

開ききった花を摘むと、また次の花が付きます。



◆害虫
アブラムシやハダニが発生することがあります。

発見次第、水で流すか、殺虫剤で駆除。

ヨトウムシは補殺するか殺虫剤。

被害が深刻なのが、コガネムシの幼虫です。



土の中で根を食いつくします。

食害されていてもなかなか気づきません。

定期的に、株がぐらぐらと動かないか確かめる事が重要です。

根を食べつくしても茎まで食べはじめてしまいます。


コガネムシの食害で根がない


写真は食害されたゼラニウムで、全く根がない状態です。

この状態でもゼラニウムは復活します。

浅い鉢に、出来れば素焼きの鉢に植え付けてあげましょう。

挿し木をした後の管理と同じような状態で育てます。


                                (A)

◉(A)は4号の浅い素焼き鉢に植えた状態です。

水やりをうまく調整しながら管理しましょう。

◉育てる管理ポイント
長雨が苦手ですので、長雨が続く時には、雨が当たらない場所に移動してあげましょう。

長雨に放置すると、根腐れの原因にもなります。

生育が弱って花が咲きにくくなります。

草丈の約半分の場所で切り戻ししてください。

また、直射日光を避け半日陰の場所で管理すると良いです。

★冬は伸びすぎたところを切り戻し、株の姿を整えます。

やや寒さに弱いので、3℃以上の気温が必要です。

庭植えにしている場合は、防寒をするか、鉢に植え替えて室内て管理してあげるのが理想です。

◆鉢植えは、鉢の中がすぐに根でいっぱいになり、水はけが悪くなってしまいます。

生育が悪くなるので、毎年、一回り大きな鉢に植え替えるか、株の大きさ、根の状態をみて小さい鉢がいいかを選択しましょう。

根が少ないのに、大きな鉢に植え替えてしまうと、なかなか土が乾かない状態が長く続くことで、成長しきれずに根腐れを起こし、やがて枯れてしまいます。












2018/11/15

ソトフオリヅルラン No,42

ソトフオリヅルラン ユリ科


春先に、鉢植えにしたオリヅルランが元気に育ち、まもなくランナーが伸びて来る頃になってきました。



◉これは、葉の外側の縁に沿って斑が入ったソトフオリヅルラン。 

葉の中央に斑が入るナカフオリヅルランは株が弱いように思う。

日光や寒さにに対しても若干弱い。

ナカフのランナーと色が違っている。

原種に近い緑色のランナーを伸ばし、白い小さな花を咲かせる。

◆11月の中旬、そろそろ室内に取り込んで置くのが良い時期です。

室内では、暖房による熱風などの当たる場所は避けましょう。

窓辺に置くのが良いですが、あまり日差しが強いようだと、葉色が薄くなるので見ばえがよくないかも知れません。


よく観察しながら、一番環境のあった場所に置くようにしましょう。

冬場はどうしても葉が傷んでしまいます。

0℃までは耐えられるようですが、個体差
があるので、5℃を下回らない程度で管理出来れば良いかと思います。

水やりは控えめにしても大丈夫です。

定期的に液肥を与えます。

以外と冬場に成長します。

肥料過多の場合は斑の白いラインが、黄色になります。

肥料の目安にしましょう。

参考ブログ
No.14観葉植物オリヅルランについて
No.50オリヅルラン(原種) 








                            

2018/11/14

薬剤の形とその分類 No,41

薬剤使用の基本的な考え方

植物を病害虫から守る最良の方法は、植物を丈夫に育てることです。

とくに樹木の場合は、農作物の栽培などと違って薬剤の積極的な使用は避けたいところです。

薬剤に頼らない防除を基本としながら、薬剤は合理的に使いたいものです。


どうしても薬剤防除が必要なケース
  • 害虫の異常発生が起こり、大きな被害が予想される時。
  • 実害はそれほどなくても、著しく美観を損なう時。
  • 実害はそれほどなくても、観賞価値を落としてしまう時。
  • 幼苗期から育成期にかけての防除として。

薬剤の形態

「乳剤」
有効成分を石油類などの有機溶媒に溶かし、そこに乳化剤が加えられています。

使用方法⟹有効成分は高濃度なので、水で薄めて使います。

特徴⏩水を加えると白濁します。

「液剤」
有効成分を水になじみやすい溶液に溶かしてあります。

使用方法⟹水で溶いて使います。

特徴⏩水に溶いても白濁しません。

「水和剤」
有効成分はタルク(石の細かい粉)などに吸着させてあります。

使用方法⟹水で薄めて使います。

特徴⏩有効成分は高濃度で粉状

粉剤と間違えないように注意。

「水溶剤」
薬剤そのものが水に溶けやすい性質です。

使用方法⟹そのまま水に溶かして使います。

「粉剤」
薬剤はタルクなどの粉末で増量してあります。

使用方法⟹そのまま散布します。

特徴⏩有効成分は低くしてあります。

「粒剤」
有効成分は鉱物粉末に吸着させて粉状にしてあります。

使用方法⟹土壌施用するものに多くみられます。

「油剤」
有効成分を油性溶媒に溶かしてあります。

使用方法⟹そのまま使います。

*エアゾール剤は本格的な防除手段とは言えないので、ここでは省略します。


基本的な薬剤の分類
  1. 殺菌剤➤病原菌の殺菌た予防、病気治療に使います。
  2. 殺虫剤➤害虫の駆除に使います。
  3. 除草剤➤農家が除草を目的に使う強い薬剤です。
  4. 生理活性剤➤ケミカルコントロールに使う薬剤です。
*薬剤で植物の生理作用をコントロールする事を、ケミカルコントロールといいます。

販売、使用禁止農薬指定品








冬期に利用したい薬剤 No,40

冬期限定薬剤


冬期には落葉樹はもちろん、常緑樹も休眠状態となっています。

そこで春から秋の活動・成長期には散布できない強い薬剤・高い濃度の薬剤を散布して、その効果を高めることが出来ます。

マシン油乳剤
「特徴」
マシン油乳剤は炭化水素を主成分としたもので、被覆効果があります。

乳化剤が入っているので、水を加えると牛乳のように白く濁ります。

「効果」
カイガラムシ類やダニ類(ハダニ・サビダニ)などを窒息死させます。ダニ類では幼虫だけでなく卵にも効果があります。

薬剤が害虫の体全体にかかるように、まんべんなく散布することを心がけましょう。

マシン油乳剤は害虫には有効ですが、病原菌に対する殺菌効果はありません。

「使い方」
薬剤はメスシリンダー(軽量マス)で正確にはかり、これを少量の水で溶かしたら、そこに残りの全量の水を入れよく混ぜて散布液とします。

「使用上の注意」
効果の大きい薬剤ですが、薬害が出やすいので施用濃度を厳守することが最大のポイントです。

特に落葉樹が芽吹いてから散布すると薬害が出やすいので、芽吹く時より少なくとも、1週間前には終わらせるようにしましょう。


樹勢の弱っている樹、果実がなりすぎた樹も薬害を起こしやすいので、薄めの濃度で散布します。

銅水和剤、石灰硫黄合剤と混ぜて使うことは出来ません。

石灰硫黄合剤を散布したときは、最低でも10日間は間隔をあけて散布してください。


石灰硫黄合剤
「特徴」
石灰硫黄合剤は古くから利用されてきた薬剤ですが、害虫や病原菌に何が作用するのかについて、まだ定説ありません。

活性化した硫黄が病原菌や害虫に浸透して腐食死させると言われています。

やはり薬剤が害虫の体全体にたっぷりとかかるように散布します。

 
                     「石灰硫黄合剤」

「効果」
サビ病、ウドンコ病、赤星病、黒点病など庭木や果樹の多くの病気に効果があります。

また、カイガラムシ・ハダニにも効くという便利な薬剤です。

家庭園芸ならこれで充分、という人もいるほど愛用されている薬剤です。

「使い方」
やはりメスシリンダーで正確に計量しますが、水に良く溶けるのでそのまま水で薄めることが出来ます。

原液は強いアルカリ性なので皮膚を痛める心配があります。

この薬剤を使う時にはゴム手袋の着用が原則です。

この薬剤は水で薄めると変質しやすいので、薬液を作ったらなるべく早く使うようにします。

また、散布する時には展着剤を加えて枝や葉にくっつきやすいようにします。

「使用上の注意」
高濃度で使うことが多く、しかもアルカリ性が強いので散布液が目に入ったり、薬液を吸い込むと激しく痛みます。

薬剤散布のときはメガネやマスクを着用し、散布が終わったら入浴します。

使用した器具や衣服は水で洗い、少量の酢を入れた水ですすぎましょう。

強い薬剤なので、樹勢の弱っている樹や銅水和剤を使用した直後に散布すると薬害が出ます。

マシン油乳剤を散布したときは、1ヶ月以上間隔をあけて散布してください。

*銅水和剤、ジネブ剤、マンネブ剤、スミチオン剤、マラソン剤、ケルセン剤、マシン油乳剤と混ぜて使用することはできません。

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