緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2018/11/30

ピラカンサス(ピラカンサ)樹木 NO.63

◉バラ科トキワサンザシ属「常磐山櫨(査)子」

ヨーロッパ東南部から西アジアに六種が分布する。

その名称は、火のトゲ(火のような赤い実と枝のトゲ)と言うギリシャ語に由来している。

日本では、タチバナモドキ、ヒマラヤトキワサンザシ、トキワサンザシなどが植栽されている。

変種や園芸種が多く、一般にトキワサンザシ属の植物を総称してピラカンサス(ピラカンサ)といいます。

日本には昭和初期に輸入され、第二次世界大戦以降、観賞用の庭木として全国に広まりました。

小鳥たちにも人気があり、ピラカンサスのある庭には、多くの野鳥が集まります。

★樹勢が強く、強い剪定にも耐えることから、庭木、生垣、公園樹のほか、盆栽にも利用されます。


          (ヒマラヤトキワサンザシ)


タチバナモドキ別名ホソバトキワサンザシ

中国原産、果実の形や色がミカン科のタチバナに似ているのでこの名がつけられた。

花期は五月から6月で果実は橙黄色に熟す。

ヒマラヤトキワサンザシ別名カザンデマリ

ヒマラヤ原産、花や果実が美しいので、庭や生け垣によく植えられる。

トキワサンザシより葉の幅が狭い。

花期は五月から6月、果実は鮮紅色または橙紅色に熟す。


トキワサンザシ(常磐山櫨(査)子)

西アジア原産、葉は幅が広く長さ2~4㎝。

花期は五月から6月で果実は鮮紅色に熟す。

これ以外に、大粒の赤い実がなるローズデリー、黄色い果実がなるゴールデンチャーマーなどの品種もある。


      (タチバナモドキ) 
         
◉生育管理
土質を選ばない丈夫な樹種。

花つきをよくし、美しい果実を楽しむためには、日当たりのよいことが絶対条件になります。

根が粗いため移植はあまり好みません。

◆移植する場合は、地上部をほとんど切り詰めて大株の場合は、3ヶ月から6ヶ月前から根回しをして細根が十分出てから植え替えます。

植え替え、植え付けの敵期は8月~9月。

苗木や小さな株であれば、4月下旬からでも扱えます。

四方に枝がよく伸びて繁りやすいので密植は避けます。


                      (トキワサンザシ)


◉樹勢が強すぎると枝葉ばかりが強くなり花つきが悪くなります。

庭植えの場合、土がやせていない限り肥料はほとんど必要ありません。

樹勢が弱い場合は、2月と10月頃に油粕などの有機肥料を一握りほど与えます。

風通しが悪くなると、ハマキムシ、カイガラムシ、アブラムシが発生する場合があります。

発生した時は、スミチオン乳剤やマラソン乳剤などを散布します。


剪定、整姿
花芽は前年生の短枝の基部につきます。

長く伸びた枝には花芽がつかないので、徒長枝は発生次第切り取ります。地際から出るひこばえも切り取ります。

生け垣や仕立てものは、花芽形成前の3月~4月頃に刈り込みを行います。


殖やし方
熟した果実から種子を取り出し、11月以降の実熟期に取りまきするか、乾燥に注意して貯蔵し、翌春の3月下旬頃まで待ってからまきめす。

挿し木は、充実した本年枝を10~15㎝ほど切ってさし穂とし、下葉を落として水上げした後、赤玉土、鹿沼土などのさし床にします。

2年ほどで定植できます。

敵期は6月中旬から9月中旬です。









2018/11/29

パティオ祭り(コルドバ、スペイン) NO.62

パティオ祭り コルドバ

スペイン

僕は大衆の花だと言うゼラニウムの花が好きで、長年育てている。

地元商店街の花屋さんに、そんな大衆花なんてとバカにされた事があった。



                  「コルドバのパティオ」



何も、高級な花ばかりが花ではない、野に咲く名も知れぬ、そんな道端に咲く花も立派な花である。

花が好きで花屋ではないのか?

花屋である限り「大衆花」であろうとバカにして欲しくないと僕は思うのです。

そんな僕の好きな、ゼラニウムの花が多い外国の地で、毎年開催されるパティオ祭りがある。







パティオ祭りが開かれているのは、スペインのコルドバである。

五月、花が咲き誇る季節になると、家々の中庭やバルコニー、格子窓などが鉢植えの花や観葉植物で、埋め尽くされ美しさを競い合う。

パティオとは中庭のことである。




パティオ祭りは、こうした伝統に培われ、1918年に初めて開催された祭りで、無形文化遺産である。


毎年5月に開かれるパティオ祭り、La Fiesta de lospatiosです。

パティオ祭りには世界中から訪れる観光客で賑わいます。

二週間の祭りの期間中、パティオコンクールに参加した家々のパティオ(中庭)は、一般公開され自由に見学できる。

コンクールでは、この中から最も美しいパティオを持つ6軒に賞が贈られるのです。

パティオは、夏場の気温が40度を超えるスペイン南部のアンダルシア地方で、暑さを凌ぐ生活の知恵として重宝されてきました。





夜は、旧市街の広場や街角でアマチュアのフラメンコグループが、歌や踊りと多くの見物人、世界中からの観光客も多い中で賑わうのである。

サン.アグスティン、サン.ロレンソ、サン.バシリオ地区、ユダヤ人街などには、特にコルドバ独特の素晴らしいパティオが集中しています。

マビアナ宮には、バラエティーに富んだ13の中庭があり、パティオ博物館とも呼ばれています。


✻ユネスコ無形文化遺産
コルドバ  パティオ祭り
5月3日〜5月16日

スペインのアンダルシア地方第三の都市とも言われるコルドバは、アンダルシアがイスラムの王によって統治されていた時代に、首都として用いられていた歴史ある街。

その影響が街中に残る。

歴史と文化の織り成す美しさを、楽しむことが出来る情緒豊かな町である。


僕は一度も外国に行ったことがありません。

あまり興味があっても不安が大きい、やはり言葉の問題ですね。

でも、外国旅行に行くなら、コルドバに、パティオ祭りを見に行きたい、行ってみたいと思っています。

叶うことのない夢かも知れませんけどね(^_^;)

関連参考ブログNo.131-1
花工房陽だまり屋のパティオ




コルドバについて

コルドバはスペイン南部の都市で、古代ローマ時代から栄え、中世にはムーア人の後、ウマイヤ朝(イスラム王朝)の首都となり、ローマ橋などが残る。

コルドバの歴史の始まりは、ローマ帝国時代まで遡ります。

ローマ帝国の植民地「ベティカ」時代、そしてローマ帝国の衰退後、6世紀にはキリスト教国の支配下に置かれました。

8世紀になるとイスラム教徒ムーア人が築いた王朝の都となり、その後10世紀イスラム、カリフ王国の時代に最盛期を迎えます。

現在のスペイン、アンダルシア地方の中心部、グアダルキビル川の中流にある古都で、はじめイベリア半島に進出したローマ人の都市として作られた。


コルドバの街はその歴史の影響を受け、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教の3つの宗教、文化が入り混じった複雑で独特の景観を今に残している。


コルドバ歴史地区は、1984年に世界遺産に登録され、1994年に内容が変更され、メスキータやローマ橋などの建造物とユダ人街が登録されています。

メスキータとは、イスラム教徒の礼拝所「モスク」を意味し、8〜11世紀にかけて建てられ、13世紀の「レコンキスタ」の後はキリスト教の礼拝堂として使われてきました。

レコンキスタは718年から1492年までに行われた、複数のキリスト教国家によるイベリア半島の再征服活動の総称で、約800年間、1492年のグラナダ陥落によるナスル朝滅亡で終わる。


✿パティオ祭り
スペインコルドバ









ヤブコウジ(藪柑子)別名十両 NO.61

ヤブコウジ


赤く熟す実が可愛いので、お正月の鉢物として寄植えなどに使われる。




◉千両や万両に対して、十両の名で呼ばれることもある。

山地の樹林下に生え、高さ10㎝ほどになる。



★茎が地面を横に伸びて増えるので、場所によっては一面に群生する事もある。

花は夏に、葉の下に隠れるように咲く。

果実は垂れさがり、球形の直径六ミリ前後。

まれに白い実をつけるシロミヤブコウジもある。


                  「ヤブコウジ苔玉」

好みに合わせて、シダ系のものなどを寄せ植えするとまた違った観賞ができるでしょう。







2018/11/28

ウメ盆栽の分類 NO.60

梅盆栽


早春に開花するウメは、古くから日本各地に植栽されてきた盆栽です。

その品種は多く、それぞれの環境に適した銘品(品種)が多数あり、木の性質で園芸では分類しています。

野梅性(ヤバイショウ)

観賞用としてのウメの代表的種類で、葉がやや小型で枝が密につき挿し木でよくつきます。

この中でさらに紅筆性、難波性、青軸性があります。

一般に庭木としても人気がありますが、盆栽用として適した品種が多数あります。

1,野梅(ヤバイ)
白色一重咲きの中輪で2月から3月に咲き、八重咲きもある。

芳香性で盆栽用として人気の品種。 
                   
2,寒紅梅(カンコウバイ)
淡紅色。
1月から2月に咲きます。

一重咲きと八重咲きがあり、幹の太り方や枝のつき方、よくつく花などにも特徴があります。

3,道知辺(ミチシルベ)
紅色の大輪花。
3月上旬頃咲きます。

樹勢が強くハウス栽培して早く咲かせることもできます。                                                                              4,紅冬至(ベニトウジ) 
淡紅色の一重咲きです。
開花が最も早く12月には咲きます。

樹勢はやや弱く小型です。

正月に飾る寄せ植えなどに利用されます。

5,塒の鷹(トヤデノタカ)
2月末かなら3月に咲きます。

一重咲きで枝が斑入りとなり、季節によって斑の色が変わります。
(塒、とや、鳥の寝床、ねぐら)        

6,春日野(カスガノ)
八重咲き中輪で3月中旬に咲きます。

この種は枝によって花の色が変わって咲く珍しい種類で、白、絞り、桃、紅色と花色が変化に富んでいます。

7,紅筆(ベニフデ)
2月中旬から3月中旬に咲き、つぼみが筆状に細くとがり紅色していく枝も細い。


 紅梅性(コウバイセイ)

枝が細く切った切断が紅色をしています。

1,唐梅(トウバイ)
つぼみが濃紅色で、開花すると花弁の周辺が淡い紅色になります。

大輪八重咲きで、2月中旬から3月にかけて咲きます。

2,佐橘紅(サバシコウ)
濃紅色の中輪一重咲きです。
樹勢が強く紅梅の中でも逸品の名花。

3,紅千鳥(ベニチドリ)
佐橘紅の枝がわりの品種で2月下旬に咲きます。
雄しべが弁化して旗弁が出た花が開きます。
このため、花弁の中を千鳥が飛んだように見えます。

4,守の関(モリノセキ)
2月下旬から3月中旬に咲きます。

花が紅色系で花弁の周辺が白色の中輪咲きで、花つきは良好です。盆栽用として人気があります。

5,緋の司(ヒノツカサ)シダレ
濃紅色の中輪八重咲き。
2月から3月、花つきがよいシダレ性で成長が遅いので、ゆっくり手をかけて仕立てるといいでしょう。

豊後性(ブンゴショウ)

他の種類に比べて枝が太く、丸みのある大きな葉を持っています。

葉面には毛があり、秋になると葉柄と枝先が赤味を帯びてきます。

1,大港(オオミナト)
淡紅色の大輪一重咲きで、2月中旬から3月に咲き、樹勢が強く多花性です。

2,開運梅(カイウンバイ)
淡紅色の中輪八重咲き。花弁が多いのが特徴で、2月中旬から3月に咲きます。

3,入日の海(イリヒノウミ)
淡紅色の大輪一重咲き。枝が細く、花つきは良好です。

4,黒田梅(クロダバイ)
つぼみは濃い紅色で開花すると、淡い紅色になります。
花弁の多い八重咲きで、3月上旬に咲きます。

杏性(アンズショウ)

豊後性に似ていますが、枝葉が小振りで葉面に毛がないところが違います。

1,記念梅(キネンバイ)
紅色の中輪八重咲き。
葉にツヤがあり、秋に紅葉し、枝も紅色になります。
杏性の代表品種で3月上旬に咲きます。

2,江南所無(コウナンショム)
紅色の大輪八重咲きで、ガクが紅茶色なのが特徴。
3月中旬から上旬に咲きます。

◉多くの種類のウメ盆栽があるなかで、自分好みのウメ盆栽を見つけて見てはいかがでしょうか。








2018/11/27

キャラボク(伽羅木) No,59


キャラボク イチイ科「 伽羅木」

イチイの変種


日本海側の深山や高山に生え、高さは三メートルほどになる。

幹の下部は地面を横にはって先端は、立ち上がり枝や葉を密生する。





◆樹皮は赤褐色だが、老木になると写真のように凄まじい光景となる。

枯れ木のようにみえるが、先端は青々とした葉をつけている。

また、樹芯(幹の先端)が自然に枯れて白骨化したものをジンとよびます。

盆栽で言うと、木質部が白骨化しているものをシャリ幹またはサバ幹と呼ぶ。


★通常、幹は傷がないものを最も良いとされており丸幹と呼ばれている。

一方、幹の傷を利用して観賞の価値を高めるものもあります。




◆花は春に咲き、雄花は淡黄色、雌花は緑色。果実は赤く熟す。
花期は9月から10月。


「キャラボク苔玉」

◉キャラボクの苔玉。
挿し木からこの状態までは、約一年になる。

生長は、かなり遅い。

風通しが悪いとカイガラムシがつきやすい。


★鉢植えにしたもので、約一年経過したもの。









ツゲ  No,58

ツゲ 常緑低木 (黄楊、柘植)

原産地=日本、朝鮮半島 別名ホンツゲ

通常は高さ1~3㍍の常緑低木である。
葉は対生しする。

よく似たイヌツゲは葉が互生し葉の縁が少しギザギザになるのが特徴。

また、イヌツゲは雌雄異株で開花時期も違い、ツゲはツゲ科、イヌツゲはモチノキ科である。

同種にヒメツゲ(クサツゲ)
寒さに強いチョウセンヒメツゲなどがある。



ツゲ(黄楊、柘植)材は緻密(ちみつ)で、櫛(くし)や印鑑将棋の駒、算盤玉、ブラシ柄、傘の柄、定規、ものさし、三味線の撥(バチ)として使われてきました。

正確さを要する製図器、測量機械、測量用具の重要部材でもあり、木管楽器の管にも利用されています。


山地に生え、石灰岩地や蛇紋岩地に多い。生長が遅いため、なかなか太くならないが、幹の直径は30㎝に達する。


雌雄同株で、雄花は黄色の雄しべが突きだし、雌花は緑色の柱頭が目立つ。開花期は3月~4月。



◉植え付け
適期は3月~4月と5月中旬~6月、9月~10月の3回あります。

苗の根鉢の2倍の深さに植え穴を掘り、酸性土壌を嫌うので穴には石灰を一握り散布します。

そこに、腐葉土を多めにすき込んで埋め戻し、苗の根土ごと植え付けます。

その後、水を与えておきます。

◉肥料
年に1回、3月~4月に堆肥と鶏ふんを同量混ぜたものを根回りに軽くすき込みます。

★害虫
ハダニ、カイガラムシ、アカシマメイガ、マエキオエダシャクに注意が必要です。

予防対策は、1月から2月にマシン油乳剤10倍液を散布します。

◉せん定
刈り込みは、刃の大きな刈り込みバサミを使って、平らに刈り込み形を整えます。

6月から7月が刈り込みの適期です。

伸びてから刈り込むよりも、軽い刈り込みを数回繰り返してきれいな形をつくります。

二次生長をとげた後の9月下旬頃に刈り込んで樹形を整えます。

樹形を乱す徒長枝や、散らし玉や段作り仕立ての樹冠のバランスを崩す不定芽なども確実に切り取ります。

ヤゴ(ひこばえ)が出やすいので、見つけしだい株元から切り取ります。

仕立て後2年から3年は1年に2回ぐらい枝を間引き直して、最初の位置まで戻します。

各枝の刈り込みは、徐々に根元が膨らむように整えていきます。

◆殖やし方
3月下旬の萌芽前か7月上旬に、新梢の充実した部分を10~15㎝に切り、上葉2~3枚を半分に切り、下葉は全て取ってさし穂を作ります。

1~2時間水揚げし、6号以上の半鉢か育苗箱にゴロ土と赤玉土小粒を入れ、さし穂の3分の1をさして水を与えます。

その後は、半日陰ち遮光し、水やりと葉水で温度を保ち育成します。