緑のお医者の徒然植物記

Translate

緑のお医者の徒然植物記

検索結果

2019/02/12

土の基礎知識  No,129

よい土とは、どんな土なの?

通気性がよい事が重要

よい土の条件として最も大切なのが通気性です。

根は空気(酸素)を吸って、二酸化炭素を出しています。

みじん(微小の粉塵)が多く、土の粒の間にすき間がないと、新鮮な空気が土の中に入らないので、残った二酸化炭素で根が酸欠を起こして、窒息する。

この状態が長く続くと根腐れを起こす原因になります。

土の通気性をよくするには、気相率の高い腐葉土、パーライトなどを少し多めに配合します。

特に粒子の細かい黒土、真砂土は腐葉土などを必ず加えて、通気性や排水性を改良する必要があります。

通気性がよい土とは、主に乾きやすい土のことです。

その分、水やりの回数は増えますが、新鮮な空気をより多く土中に送り込むことができるので、根の生育は促進されます。

◉植え付けや植え替えでは、鉢が大きすぎると土が乾きにくく、通気性が悪くなるので、根鉢よりも一回り大きな鉢(直径で3㎝程度)を目安にします。

草丈が低く、根の張りが浅い草花類は水が停滞し、水はけも悪くなるので深鉢は避ける。

排水性に富むこと

与える新しい水には、空気(酸素)が多く含まれているので鉢土の表面が乾いてきたら、鉢底から流れ出るまでたっぷりと与えることが基本です。

これは新しい水を土に供給するとともに、古い空気を新しい空気に入れかえるのが目的です。

このような水やりを続けることで根の量が増え、植物の生育がよくなります。

水やりしてもなかなか水が染み込まず、鉢底で停滞して水はけの悪い土は、新鮮な酸素を供給できずに根腐れの原因になります。

排水性をよくするにはみじんを除き、土の粒の大きさをなるべく均一にします。

基本用土に赤玉土小粒を使用する場合は、有機物(腐葉土、ピートモスなど)は粒子ではないので別ですが、軽石やパーライト、鹿沼土、日向土などの改良用土も、赤玉土小粒に粒を揃えます。

6号鉢以上の鉢では、鉢底に鉢底石を敷きます。

適度な保水性があること

軽石や川砂のような石の粒では、赤玉土のような粒の中に水を含まないため、すぐに乾燥してしまいます。

土が乾燥して植物が萎れて、慌てて水を与え過ぎることを繰り返すと、根(細根)が傷んでよくありません。

通気性や排水性がよく乾きやすいが、急激に乾燥しない土がよい土です。

ベランダなどの乾燥しやすい場所では、急激な乾燥を防ぐために、保水性のあるバーミキュライトや腐葉土などを配合します。

土の上に水ゴケなどを敷き詰めても水分の蒸散を防ぐ効果があります。

保肥性があること

せっかく肥料を与えても、水やりや雨で鉢底から肥料分が流れ出てしまっては、根から栄養分を吸収することができません。

土が肥料を保持する性質を保肥性といいます。

保肥性の高い赤玉土などは、肥料成分をつかむ手が多くあります。

反対に、保肥性の低い砂などは手の数が少ないので、肥料成分をつかみにくい。

ただし、赤玉土や鹿沼土、黒土のような火山灰土は、肥料のリン酸成分を根から吸収しにくくする性質がある。

そのため、火山灰土を基本用土として使用する場合は、リン酸成分を多く含む緩効性の元肥を使うようにします。

真砂土も火山灰土ほどではありませんが、ある程度リン酸を固定するので、リン酸を多く含む元肥を入れます。

有機物を含むこと

赤玉土の基本用土に混ぜる腐葉土や堆肥などの有機物は改良用土といわれます。

油粕や鶏ふんなどの有機質肥料とは異なり、土の通気性、排水性、保水性、保肥性を改良する働きがあります。

さらに、土の中の微生物の働きを活性化し、間接的に根の生育に役立つため植物の肥料ではなく、土の肥料と言うべきものです。

◉特に、腐葉土は保肥性が高く誤って濃い肥料を与えてしまっても、高濃度によるショックを和らげる働きもあります。


重すぎず、軽すぎない土

土が軽すぎると株が倒れやすく、特に植え付け直後は水やりなどで株が安定しません。

初期の根の生育も悪くなります。

重すぎる土は細かい土が多く、通気性、排水性が悪くなり、やはり根の生育によくありません。

一般に、1㍑につき400㌘~600㌘が適度な土の重さの目安になります。

バンキングバスケットの土はそれよりも少し軽くします。

野菜やバラのように草丈のある植物は少し重くします。

弱酸性であること

サツキ、アジサイ(青色)ブルーベリーなどの酸性の土を好むもの、アジサイ(紅色)のように中性から弱アルカリ性の土に植え付ける植物もありますが、一般に多くの植物は弱酸性(pH5.5~pH6.5)の土が生育に適してます。

アルカリ性が高い土は、土の中に鉄やホウ素などの微量要素が含まれていても、根から吸収されにくく欠乏症を起こしがちです。


反対に酸性が強すぎると、根が生育障害を起こしやすくなります。

また、鉢やプランターの古い土は酸性になっている場合が多いので、再利用する場合は、石灰を混ぜます。

アルカリ性の土には、酸度未調整のピートモスを混合して調整します。

清潔であること

病原菌や害虫、害虫の卵、雑草の種などが混ざっている土は、植物の生育障害となります。

室内で育てる観葉植物などの土も、カビや小バエなどが発生しないように、ほぼ無菌のピートモス、バーミキュライト、パーライト、赤玉土などを混合して、元肥も有機質肥料を避け、化成肥料を使用します。




2019/02/11

球根の植え付け  No,128

球根の植え付け


球根には秋に植えて、早春から初夏にかけて花を咲かせる秋植え球根、春に植えて夏から秋にかけて花を咲かせる春植え球根などがありますが、植え付けの基本方法は同じです。

球根の種類はたくさんあり、それぞれ形も違います。

球根を植え付ける時の深さはとても重要なので、注意して植えるようにしましょう。

球根を植え付ける深さの目安(鉢植えの場合)

植物深さ    (地表から球根の上端)

球根アイリス          約2㎝     

アネモネ             2㎝~3㎝

アマリリス          球根の頂点が地面に少し出る出る程度

アルストロメリア       約3㎝

カラー            1㎝~2㎝

カンナ            3㎝~5㎝

グラジオラス         球根の3倍ほどの深さ  

クロッカス          球根が隠れる程度

ジンジャー          約10㎝

スイセン           球根が隠れる程度

スノーフレーク        約5㎝

ダリア            約3㎝

チューリップ         球根の倍ほどの深さ

ハナニラ           球根の倍ほどの深さ

ヒヤシンス          球根の頂点が地表に少し出る程度

フリージア          2㎝~3㎝

球根ベゴニア         球根が隠れる程度

ムスカリ           球根が隠れる程度

ユリ             約5㎝

ラナンキュラス        1㎝~2㎝

◉花壇などの地植えの場合は、球根の3倍の深さ、つまり球根の高さの2倍の土をかけるようにする。

ただし、ユリの場合は、球根の4倍かにら5倍(15㎝~20㎝)に植えるようにする。

ユリの場合、根が球根の上部からも出るからです。

浅く植えると株が安定しない、グラグラする原因になるからです。

  
 

     

アマリリス  No,127

アマリリス 

別名ヒッペアストラム

ヒガンバナ科秋植え球根 

花言葉=おしゃべり


ギリシャ語で「輝く」という意味のアマリリス。

その名の通り大きく鮮やかな花が咲く、古くから親しまれている球根花です。

球根をまとめて植えると、花壇でも鉢植えでも、ボリュームのある花を楽しむことができるでしょう。



◉植え付け時期

10月~11月、3月~4月頃、5号鉢以上の鉢に水はけのよい土を入れて元肥(緩効性肥料)を与え、球根の頭が出る程度に浅く植え付けます。

10日前後は乾燥気味に管理し、その後は土の表面が乾いたら水を与えます。



◉肥料

日当たりのよい場所で育て、生育期間中は月に2~3回液肥で追肥します。




管理

夏場は風通しのよい半日陰で涼しく管理、冬は暖かい室内で育てるようにします。

植え付けて3年たったら植え替えるとよいでしょう。

殖やし方は3月頃に分球します。








2019/02/10

土壌動物の働き No,126

土壌動物の働き

落葉、落枝の粉砕

落葉の一連の分解過程に複数の土壌動物が関与している。


落ちて間もない落葉は硬くて乾燥しており、ワラジムシ、オカダンゴムシ、ササダニ、ミミズなどの一次分解動物によって摂食、粉砕される。

通常一次分解動物では、炭水化物、脂肪、たんぱく質は消化、吸収されるが、ヘミセルロース、セルロース、リグニンはほとんど消化されずに排泄される。

◉ヘミセルロース

植物細胞壁に含まれるセルロースを除く水に対して、不溶性の多糖類の総称。

◉セルロース

繊維素

◉リグニン

高等植物の木化に関与する高分子のフェノール(石炭酸)性化合物であり、木質素とも呼ばれる。
化合物の総称。

◆落葉は粉砕されるとともに、その含水量を増す。

一次分解動物のフンと粉砕された落葉は、トビムシ、ヤスデ、ミミズ、センチュウなどの二次分解動物に更に分解され、土壌の団粒化、腐植粘土複合体の形成を寄与する。

腐植

土の中に入った、植物の残渣(ざんさ=残りかす)や動物の遺体、排泄物はヤスデ、ワラムシ、ミミズ等の土壌動物によって細かくされ土中に、ばらまかれた後、今度は微生物によって更に分解されます。

有機物の構成成分であるデンプン、たんぱく質、リグニンなどは分解の難易はありますが、分解されてかなりの部分は炭酸ガス、水やアンモニアになります。

残りの部分は、黒褐色の無定形の物質に変形します。

これを腐と呼びます。

腐植はこれまでの有機科学のどの部門にも属さない、高分子化合物で、土において新しくできた、土個有のものと見なされます。


土壌中の腐植物質は常に更新と腐植化を繰り返しているため、その量と腐植化の程度は、地温、土壌水分、地上植生、粘土含有量などに依存して、一定の動的平衡(へいこう=つれあい)状態に保たれています。

地上の植生が気候変動相場制によって変化すれば、腐植物質の量と質は新たな平衡状態に移行することになる。




土壌の惑星=地球 No,125

土壌の惑星


地球はこれまで知られている限りでは、太陽系の中で唯一生物の住む惑星である。


その生物は、もとは水のある範囲にいましたが、光合成を営む生物が出現し、酸素が他とかけ離れて大気の組成分となるに及んで、成層圏(大気の上層で気温がだいたい一定した部分、地上10キロ前後から始まる。⇎対流圏)にできたオゾン層は地表へ降り注ぐ強い紫外線を遮り、陸上での生物の生活を可能にした。


最初に上陸したのは、プシロフィトンと呼ばれる植物の先祖で、それはおよそ四億年前のシルリア紀のことであったとされる。


生物が進出する前にも、陸地を形成していた岩石は、原始大気の中に含まれていた。

強い酸性物質を溶かし込んだ雨に打たれ、風に吹かれて風化し、粘土や砂のような細粒の物質レゴリス(regolith)とか砕屑(clastic materials)といわれるものを、地表に形成していたと思われる。

しかし、ここには生命はなく、有機物も含まれていなかった。

陸地に生物が出現して初めて、レゴリスは土壌に転化する契機を得たのである。


レゴリスから、土壌への変化の過程をこうではないかと考えさせるのは、火山噴火物の上に土壌が形づくられていく様子であろう。

伊豆大島で、過去いろいろな年代に噴き出した溶岩の上で、土壌が形成され、植生が発達していく過程を噴出年次に従って追跡した研究(1961年)がある。

それによると、溶岩の上に風化した砂質の砕屑物がたまって砂漠的な景観を作り出すまでに、ほぼ200年かかっているが、一度そこにイタドリやスゲのような植物が取り付くと、枯れた植物遺体が砂に入り、有機物が溜まり始め、それを利用する動物や微生物が住み着き、少しずつ生物の住処として、より好適な倍地に作り変えていく。

その結果、次の段階では、新しい倍地によりよく適応した生物種が優先的に占領するようになる。

そして、1000年以上もの時間の中で、植物の遷移(せんい=他所へ移る)に伴って、レゴリスはより深くまで土壌に変わり、その中に有機物や養分を蓄えることによって、伊豆大島の気候に適応した常緑広葉樹(ツバキ、シイ、タブなど)主体の森林を育てるまでになるのである。

レゴリスが土壌に転化するためには、生物の働きが不可欠なのである。

生物はいったい何をするのだろうか?

まずは有機物を与えて、生物に必須であるにも関わらず、一般に岩石の風化物中には、乏しい窒素(生物が大気中から固定する)と、植物に吸収可能なリン(生物が体内に濃縮する)を倍地中にふやす。

また、有機物自体の存在によって起こる物理的、科学的の生活が活発になり、これが更に岩石の風化を促進して、土壌はますます深くまで発達してゆくことになる。

生物が地球にしか生息しないと云うのであれば、生物の存在によって条件付けられる土壌も、地球に個有の資源であるということになる。

地球が水の惑星であるという言い方を借りれば、地球は土壌の惑星でもあると言えるだろう。




2019/02/09

樹種別接ぎ木の適期、植え替え時期  No,124

樹種名     接ぎ木適期        植え替え時期
アンズ     3月上旬~下旬      9月上旬~10月上旬
                     翌年3月中旬~4月下旬

イチョウ    3月上旬~下旬      9月上旬~10月上旬
                     2月中旬~4月中旬

ウメ      3月上旬~下旬      9月中旬~10月下旬
        8月中旬~下旬      翌年3月中旬~4月下旬

ウメモドキ   3月上旬~4月下旬     翌年2月中旬~4月下旬 

オリーブ    2月中旬~5月下旬     9月上旬~10月下旬
                     翌年3月中旬~6月下旬

カイドウ    3月上旬~下旬      翌年2月中旬~4月下旬

カエデ類    2月上旬~3月下旬     9月上旬~10月下旬

カキ      3月中旬~下旬       9月上旬~10月上旬
                     翌年3月上旬~下旬

キンモクセイ  3月上旬~4月下旬     9月上旬~10月上旬
                     翌年3月上旬~6月下旬

クリ      3月上旬~下旬       9月上旬~10月下旬
                     翌年3月上旬~4月下旬

ゲッケイジュ  2月下旬~5月下旬     9月上旬~10月下旬
                     翌年3月中旬~6月下旬

サクラ     3月上旬~下旬       翌年3月上旬~4月下旬

サザンカ    2月上旬~4月下旬     翌年2月上旬~5月下旬

スモモ     3月上旬~下旬       翌年3月上旬~5月中旬

タイサンボク  4月中旬~下旬       9月上旬~10月下旬

ダイダイ    4月上旬~5月下旬     翌年4月上旬~6月下旬

ツバキ     2月中旬~6月下旬     翌年3月中旬~6月下旬

ナシ      3月上旬~下旬       翌年3月上旬~5月下旬

ハナミズキ   2月上旬~3月下旬     翌年2月中旬~5月下旬

ヒイラギ    4月上旬~下旬       9月上旬~10月下旬
                     翌年4月上旬~6月下旬

ビワ      4月上旬~5月下旬     翌年4月上旬~6月下旬

フジ      3月上旬~下旬       2月中旬~5月下旬

ブドウ     3月上旬~下旬       3月上旬~5月下旬

ボケ      3月上旬~下旬       2月上旬~3月下旬

ボタン     8月中旬~9月中旬     2月上旬~3月下旬

ミカン     4月上旬~5月下旬    翌年4月上旬~6月下旬

ユズ      4月上旬~5月下旬    9月上旬~10月下旬
                    翌年4月上旬~6月下旬

ライラック   3月中旬~下旬      9月上旬~10月上旬

リンゴ     3月上旬~下旬     翌年3月上旬~4月下旬  

ロウバイ    3月中旬~下旬     翌年3月上旬~下旬

エゾマツ    2月下旬~3月下旬    翌年4月上旬~4月中旬

クロマツ    2月下旬~3月下旬    翌年3月上旬~4月上旬

ゴヨウマツ   2月下旬~3月下旬    翌年3月中旬~4月中旬