緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2019/08/02

薬剤を使わない害虫駆除②ハダニ No.169

ハダニは水に弱い

ハダニは一ミリに満たない小さな虫なので、少量の発生だとすれば肉眼ではわからない場合があります。

虫眼鏡を使うとはの裏側や付け根ふきんで動き回っている様子を確認でます。

あるいは、葉にほこりのようなものがついていたら、紙の上に落とし、軽く息を吹きかけてみます。

わさわさと動いている様子がうかがえたら、ハダニがついている証拠です。


ハダニは高温乾燥を好み、梅雨明け後から真夏にかけて発生します。

湿気を嫌うので、庭木の場合は勢いの強い水を葉裏に散水することでかなり駆除できます。


小ぶりの鉢植え植物などの場合は、あまり水の勢いが強いと植物自体を傷めてしまうので、ジョウロなどを使い、葉の裏を洗い流すようにします。

また、噴霧器で霧水をかけるだけでも効果があります。

鉢植えは乾燥しやすいのでハダニには特に注意しましょう。

※サツキ、ツツジ類は特にハダニがつきやすいので注意。








薬剤を使わない害虫駆除①ナメクジ No.168

ナメクジは夜間に活動する


ナメクジは新芽や若い葉、花のつぼみを食害します。

最悪の場合は花が咲かなくなってしまうので早めに対処するようにしましょう。

ナメクジの姿は見えなくても葉や茎に這い回った後が白く光るので、他の害虫の食害と明確に区別することができます。

ナメクジが這った後の白い筋は、水で洗い落とすことができます。

日中は、落ち葉や土の中などに潜んでいて、夕方から夜間にかけて活動し始めます。

植物なら枯れ葉でもなんでも食べますが、特に好んで食べるのが新芽や花のつぼみ、花弁などです。


◉好物のビールで誘殺する

ナメクジはビールの臭いが大好きです。

夕方にナメクジが出没する場所にコップなどの容器にビールを入れて置きます。

夜の間にビールの臭いに誘われたナメクジが中に入り、そのまま溺死します。

ビールそのものに殺虫硬化はないので、ビールの中にナメトックスなどの誘殺剤を混ぜておくとより効果的ですが、庭でペットなどを飼っている場合は、誤飲がないように注意が必要です。


ナメクジの卵は10日前後でふ化し、2ヶ月ほどで成虫になるので、駆除は一定期間をおいて繰り返し行うと効果的です。


★確実な方法は捕殺

いちばん確実なのは夜などに庭で直接ナメクジを割り箸などで捕まえて、ビニール袋、容器などに入れ塩水をかけて処分。

日中、鉢底などに潜んでいるので見つけ次第捕殺します。

カタツムリもナメクジと同様の食害をするので、数が多い時や、被害がある時には捕殺します。

その他、ナメクジを殺虫するには、お酢、ハイター、マジックリンなどの洗剤なども効果的です。

ナメクジにお酢をかけると死にます。

薄めたお酢の中に入れると確実です。

薄めたお酢をスプレーで吹きかけると駆除できます。






キョウチクトウ(夾竹桃) No.167

キョウチクトウ

原産地はインドで、日本には中国を経由して江戸時代に渡来しました。当時から庭木として幅広く親しまれていました。

キョウチクトウの名は中国名に由来しており、葉が竹の葉のように細く、花は桃の花に似ていることによります。

高温乾燥に強く、大気汚染にも強いことから、都市の緑化樹としてもよく利用されます。

また、原爆で被災した広島市では、復興につれて盛夏の花として市内各所に植えられるようになり、原爆犠牲者への慰霊の意も込めて昭和48年に市の花に選定されました。

基本種はピンクの一重咲きですが、白花、淡黄色、八重咲きのものなど園芸種も豊富です。

樹高は5メートルほどに達しますが、小庭に向く樹高1.5メートルほどの矮性(わいせい)タイプもある。




花期は6月中旬~9月までが一般的ですが、本来は四季咲き性です。日当たりのよい暖地では通年咲き続ける事ができます。


◉キョウチクトウの花、葉や樹皮、根に含まれる白い液にはオレアンドリン、ネリインと言う強心性の有毒物質が含まれています。

漢方では、葉、樹皮を乾燥させ「夾竹桃葉」と言う生薬にします。強心薬、利尿薬、打撲の湿布薬などに用いますが、素人には取り扱いが難しいので注意が必要です。


キョウチクトウの生育管理

できるだけ日当たりのよい、やや乾燥した場所を好みます。

冬期も葉の蒸散が多いので、冬の冷たい乾いた風に当てないように注意が必要です。

暖地性ですが、成木になるとある程度の耐寒性がつくので、東北南部ぐらいまでは庭植えが可能です。

ただし、苗木や若木は寒さに弱く、関東南部より北の地方では防寒対策が必要です。

根が粗く細根が少ないので、大株は移植に強くありません。

植え付けは小さな苗木のうちに行うようにしましょう。

土壌から養分を吸収する吸肥力がとても強いので、肥料は特に必要ありません。

やせ地の場合は、3月頃に株の周りに完熟堆肥をすき込み、夏に鶏ふんなどの有機肥料を一株につき2握りほど与えるようにするとよいでしょう。

★黄橙色のキョウチクトウだけに発生するアブラムシがいます。

スミチオン乳剤、マラソン乳剤の1000倍液などで駆除します。

◉せん定

株立ちが自然樹形です。

若木のうちは特に整姿しないで、ある程度の大きさになるまで自然に育てます。

せん定では、枝を中途半端なところから切らない。

枝の途中で切ると、そこから小枝が密生し、かえって樹形を乱すだけでなく、花つきも悪くなります。

枝は必ず根元から切る「枝すかし」が基本です。

秋に徒長枝やこみ枝を軽くすかし、思いきったせん定は春に行います。

古枝は株元から切り除き、ひこばえは株を大きくしたい場合を除き、早めに切り取ります。

生け垣の場合は6月頃に徒長枝が目立ってくるので刈り込みます。

※切り口には有毒成分が含まれているので、素手で樹液に触れないように注意します。







2019/07/28

小さな盆栽の管理について No.166

小さな盆栽(小品盆栽)



植物は、どんな環境下に育つ種類かによって、置き場所(管理場所、飾る場所)等が変わります。

木も草も自生地によって、日当たりを好むものや日陰を好むものなど、いろんなタイプがあります。

もちろん季節によっても置き場所は変わってきます。

管理するには、植物の名前や性質がわからないと管理も難しいものになります。

店頭に並べられた植物に名札が付いていないものも少なくありません。

そこで、名前やどんな性質なのか、店の人にある程度聞く必要があります。

どこに置けばよいのか、暑さや寒さには強いのか弱いのかなど、草なら一年草なのか、多年草なのか聞いてみましょう。

多年草の中には、落葉性で冬の間はまったく葉がなくなってしまう種類も少なくありません。

枯れてしまった、駄目になってしまったと思い、捨ててしまうといったことがないようにしたいものです。

毎年のように、クレマチスを買っていた人が、枯れたと思い、毎年捨てて、新しくクレマチスを買っていた人がいました。

なお、店の人が名前もわからないと言う場合は、購入を控えましょう。

やはり、信頼性のないお店では、商品管理もおろそかになりがちです。

せめて、植物の科目、属種くらいは理解して欲しいものです。

また、自分自身で調べることも重要です。一段と興味がわき、育てる楽しみも増すことでしょう。



◉室内に飾る期間を短くしましょう。

ほとんどの植物は日当たりと風通しのよい場所を好みます。

半日陰や日陰に生える植物は北側や午前中だけ日の当たる場所が適します。


春から秋の観賞期は1日飾ったら、2、3日戸外に置く、と言うように室内に飾る期間をなるべく短くします。

冬の休眠期は、軒下などに置きますが、玄関や無暖房の部屋などに飾っておいた盆栽は、天気のよい日を選んで、1~2週間に1度位は外気に当てたいものです。

◆小さな盆栽はすぐ乾いてしまいます。

通常、水やりは生育期の春から秋には、鉢土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るくらい、たっぷり与えるのが原則です。

鉢の大きさや用土にもよりますが、春と秋は1日1回、夏は朝夕2回、冬は数日に一回が一般的な水やりです。

手のひらに乗るような小さな盆栽は、用土も少ないので乾きやすい。

数日留守にする時は、器に湿らせた砂を入れ、その上に鉢を乗せておくなど、工夫しましょう。

また、4~5日の留守の場合は、湿らせた砂などの中に鉢ごと埋めておくとよいでしょう。

鉢の縁まで埋めるとよいでしょう。



★手のひらに乗るような小さな盆栽は乾きやすいので、ひどく乾いていたら水の中につけて、鉢土にしっかり水を吸わせます。

また、水をやり過ぎてしまうと根腐れを起こしてしまいます。

植物は根からも酸素を吸収します。

根が常に湿っていては健康に育ちません。

水はなるべく乾いてから与えるようにしましょう。












苔玉、鉢植えのコケ管理 No.165

苔玉~美しい緑を保つために

植物は光がなければ生きていけません。

しかし、苔は屋外でも室内でも直射日光に、長時間当てるのはよくありません。

苔の葉は、断面で細胞一層(他の植物は何層にもなっている)なので弱い光でも十分、光が届くからです。


苔は小さな個体が集まって適度な湿気を保っています。

湿り気のある所に直射日光が当たり、温度が高くなると蒸れてしまいます。


室内では窓のそばに置きます。

直射日光は、レースのカーテンで遮り、それが無理なら1日に一回でも、明るい場所に移動するようにします。

2~3日、室内で飾ったら、戸外の半日陰で外気に当てます。

ただし、苔の湿り気が飛ばされてしまうような、風通しがよすぎる場所は避けるようにしましょう。

複数の苔玉があれば、代わる代わるにいつも苔玉を飾り、楽しめることでしょう。




◉水やり=控えめに

湿り気が必要だからと、水をやり過ぎて失敗することが多いようです。

水浸しでも苔は大丈夫ですが、時間が経って水が腐るとコケも腐ってしまいます。

植物にもよりますが、苔と一緒に植えてある植物も水分が多すぎると根腐れしてしまいます。

苔は葉が乾いて縮れていると、光が当たっていても自分で養分をつくることが出来ません。

観葉植物では普通、用土の表面が乾いていることを目安にして水を与えますが、コケは葉が縮れていたり、触ってみて乾いていたら水を与えます。

水やりする時間としては、日が当たる時間、つまり早朝がよいでしょう。

ただし、置き場の環境でも、乾燥の度合いが違うので、注意しましゃう。

鉢植えのものは、鉢が小さいと乾きやすくなります、水やりとは別に時々霧吹きで水を吹きかけてあげましょう。

苔玉はバケツに水を入れ、数分間沈めて吸水させます。

気泡がなくなる状態が目安になります。




★どうしても乾燥しやすい場所に置かなければならない場合や、長期間留守にする時は、受け皿に水を十分含ませた軽石を敷き、その上に鉢や苔玉を置くなど工夫しましょう。


◉肥料=百害あって一利なし

コケには根がなく、土中から養分を吸収しないので肥料は不要です。

カビや藻類が生える原因になってしまいます。

★病害虫

葉が変色したり、カビ(白カビなど)が見えたら、早めにその部分を取り除きます。

時間はかかりますが、症状が軽ければ元の状態に回復します。

室内ばかりで長期間置いた状態が続くと、白カビが発生する事があります。

定期的に外気に当てましょう。

◉参考ブログ
※苔玉盆栽 No.52
※コケ(苔)の話 No.81
※コケの胞子 No.90
※小さな盆栽、苔玉を暮らしの中に No.97
※花のない植物コケ胞子隠花植物 No.187









2019/07/15

クリ(栗)  No.164

クリ ブナ科クリ属 落葉高木

縄文時代から栽培されていた歴史ある果樹

全国の山地に自生する。

日本、中国、ヨーロッパ、アメリカなど、北半球の温帯地域を中心に世界で10種類ほどの原生種が知られています。

6月に黄白色の細長い花をつけ、9月頃にトゲのある総包(イガ)に包まれた果実がなります。

中国の天津甘栗、ヨーロッパのマロングラッセなどの菓子類でも知られるように、古くから各地で果実を食用に用いていました。

日本でも青森県の三内丸山遺跡の発掘により、縄文時代からすでにクリの木が栽培されていたことがわかっています。

中世には果実を干した「カチグリ」が保存食、非常食として重宝され、その名前から、戦に勝つための儀式にも使われました。

★樹皮、果実、葉を乾燥したものは、胃腸薬やかぶれ、火傷などに効く薬草トシテモ利用されていました。




タンニンを多く含む赤褐色の木材は、固くて水に濡れても腐りにくく、しかも加工しやすいと言う優れた性質があり、古くから建築材として土台や柱に使われる他、線路の枕木にも使われていました。

クリの名前は「黒実=クロミ」が転化したものと言われて「栗」という字を当てますが、これは本来、中国原産のクリを指し、日本産のクリはシバグリ、ニホングリと呼ばれる小粒の別種てす。

江戸時代から品種改良が行われるようになり「丹波」などの品種が作られ、大正時代に入ってから各地で盛んに園芸種が栽培されるようになりました。

その後、昭和16年に発生した、クリタマバチという害虫によって全国的な被害を受けた。

現在ではこの害虫に強い品種、丹沢、森早生、豊多摩早生、筑波、伊吹、日本産と中国産の一代雑種「利平」などの品種が多く栽培されています。

◉外国原産の品種は育ちにくいため、国内で栽培されているクリは大半が日本原産のものです。

品種改良された日本のクリは、外国産のものと比べて渋皮が剥けにくいものの、実が大きいのが特徴です。

その他、変わったところは枝が垂れるシダレグリ、イガのトゲが短いトゲナシグリ、ひとつのイガに果実がたくさんできるハコグリなどの変種もあります。

性質、特徴、生育管理

自花不結実性の品種があるので、2品種以上を植える。

日陰には非常に弱いので、建物の陰になる場所は避ける。

早生種は8月末から収穫できるが、普通は9月から10月が収穫期である。

◆害虫が非常に多い。
カミキリムシの成虫と幼虫、ゴマダラノメイガ、クスサン、アブラムシ類、カイガラムシ、コガネムシなどが代表的な害虫です。


胴枯れ病=幼木期に発生する。

全国で栽培が可能ですが、寒地では、株元の凍結、暖地ではテッポウムシなどに注意。

植え付けはできるだけ広い場所を確保する。

植え付け時期は2月から3月の春植えです。

苗木には低つぎ苗と高つぎ苗がありますが、庭木の場合は、低つぎ苗は寒害を受けやすいため、高つぎ苗を選らんだ方が無難です。

雌雄異花で自家受粉しにくいため、植えつけに際しては開花時期が近い別の品種を1~2本、同時に植えます。

結実を促すには有機肥料を多く必要とします。

植え付け時の元肥のほか、12月~3月にかけて寒肥をたっぷり施すのが基本です。

また、7月~9月の果実が肥大する時期によく観察し、必要に応じて追肥します。

◆クリのせん定

放任すると大木になるので、庭植えでは樹高3~4メートルほどで樹芯を止めて大きさを保つ事が大切です。

苗木から3~4年経つと、充実した前年枝の先端に花芽がつき、葉の付け根に雄花、雌花が咲きます。

冬期せん定の時にこの枝の先端を切り詰めない事が大切です。

樹形を保つには、春に間引きせん定をします。

日陰ができると枝枯れするので、日陰の枝が出来ないように間引きます。

◉クリの実の落果

クリの特徴として自然に実が落果してしまう、生理的落下現象が7下旬から8月上旬頃に見られます。

★クリの実の生理的落下の予防策
①土壌管理を見直し、排水や通気性をよくし、堆肥や腐葉土などをすきこむようにする。

②実の成る結果母枝を、正しく育てあげる。

③せん定で、木の内部まで日照がよくなるように手入れを行う。

④夏と秋に肥料切れにならないように、肥料管理をよくする。

⑤徒長枝が出たら早めに切り取る。