緑のお医者の徒然植物記

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2019/07/15

クリ(栗)  No.164

クリ ブナ科クリ属 落葉高木

縄文時代から栽培されていた歴史ある果樹

全国の山地に自生する。

日本、中国、ヨーロッパ、アメリカなど、北半球の温帯地域を中心に世界で10種類ほどの原生種が知られています。

6月に黄白色の細長い花をつけ、9月頃にトゲのある総包(イガ)に包まれた果実がなります。

中国の天津甘栗、ヨーロッパのマロングラッセなどの菓子類でも知られるように、古くから各地で果実を食用に用いていました。

日本でも青森県の三内丸山遺跡の発掘により、縄文時代からすでにクリの木が栽培されていたことがわかっています。

中世には果実を干した「カチグリ」が保存食、非常食として重宝され、その名前から、戦に勝つための儀式にも使われました。

★樹皮、果実、葉を乾燥したものは、胃腸薬やかぶれ、火傷などに効く薬草トシテモ利用されていました。




タンニンを多く含む赤褐色の木材は、固くて水に濡れても腐りにくく、しかも加工しやすいと言う優れた性質があり、古くから建築材として土台や柱に使われる他、線路の枕木にも使われていました。

クリの名前は「黒実=クロミ」が転化したものと言われて「栗」という字を当てますが、これは本来、中国原産のクリを指し、日本産のクリはシバグリ、ニホングリと呼ばれる小粒の別種てす。

江戸時代から品種改良が行われるようになり「丹波」などの品種が作られ、大正時代に入ってから各地で盛んに園芸種が栽培されるようになりました。

その後、昭和16年に発生した、クリタマバチという害虫によって全国的な被害を受けた。

現在ではこの害虫に強い品種、丹沢、森早生、豊多摩早生、筑波、伊吹、日本産と中国産の一代雑種「利平」などの品種が多く栽培されています。

◉外国原産の品種は育ちにくいため、国内で栽培されているクリは大半が日本原産のものです。

品種改良された日本のクリは、外国産のものと比べて渋皮が剥けにくいものの、実が大きいのが特徴です。

その他、変わったところは枝が垂れるシダレグリ、イガのトゲが短いトゲナシグリ、ひとつのイガに果実がたくさんできるハコグリなどの変種もあります。

性質、特徴、生育管理

自花不結実性の品種があるので、2品種以上を植える。

日陰には非常に弱いので、建物の陰になる場所は避ける。

早生種は8月末から収穫できるが、普通は9月から10月が収穫期である。

◆害虫が非常に多い。
カミキリムシの成虫と幼虫、ゴマダラノメイガ、クスサン、アブラムシ類、カイガラムシ、コガネムシなどが代表的な害虫です。


胴枯れ病=幼木期に発生する。

全国で栽培が可能ですが、寒地では、株元の凍結、暖地ではテッポウムシなどに注意。

植え付けはできるだけ広い場所を確保する。

植え付け時期は2月から3月の春植えです。

苗木には低つぎ苗と高つぎ苗がありますが、庭木の場合は、低つぎ苗は寒害を受けやすいため、高つぎ苗を選らんだ方が無難です。

雌雄異花で自家受粉しにくいため、植えつけに際しては開花時期が近い別の品種を1~2本、同時に植えます。

結実を促すには有機肥料を多く必要とします。

植え付け時の元肥のほか、12月~3月にかけて寒肥をたっぷり施すのが基本です。

また、7月~9月の果実が肥大する時期によく観察し、必要に応じて追肥します。

◆クリのせん定

放任すると大木になるので、庭植えでは樹高3~4メートルほどで樹芯を止めて大きさを保つ事が大切です。

苗木から3~4年経つと、充実した前年枝の先端に花芽がつき、葉の付け根に雄花、雌花が咲きます。

冬期せん定の時にこの枝の先端を切り詰めない事が大切です。

樹形を保つには、春に間引きせん定をします。

日陰ができると枝枯れするので、日陰の枝が出来ないように間引きます。

◉クリの実の落果

クリの特徴として自然に実が落果してしまう、生理的落下現象が7下旬から8月上旬頃に見られます。

★クリの実の生理的落下の予防策
①土壌管理を見直し、排水や通気性をよくし、堆肥や腐葉土などをすきこむようにする。

②実の成る結果母枝を、正しく育てあげる。

③せん定で、木の内部まで日照がよくなるように手入れを行う。

④夏と秋に肥料切れにならないように、肥料管理をよくする。

⑤徒長枝が出たら早めに切り取る。