緑のお医者の徒然植物記

Translate

緑のお医者の徒然植物記

検索結果

2020/08/02

盆栽の樹形 (1) No.242

主な盆栽の樹形

基本的には盆栽は、自然の中で生きる樹木の様子を自由な発想で表現するもので、樹形に特別の決まりはありません。

しかし、長い盆栽の歴史の中で、先人たちによって作られた伝統的な樹形があります。


◉直幹
幹が直立している樹形で「立ち木」とも呼ばれます。

         ▶直幹

条件のトトノッタ自然環境の中で、生長した大木をイメージしています。

どっしりとした根張りがポイントになります。

◉斜幹
幹が斜めに傾いてる樹形です。


          ▶斜幹               

海岸の傾斜地などで、強い横風に耐えながら生長した樹木の様子を表現しています。

◉模様木
幹が前後左右に曲がりながら、上に向かって伸びている樹形です。

         ▶模様木             

四季があり、樹木を取り巻く環境が変わる日本では、もっとも馴染みのある樹形といえます。

◉懸崖(けいがん)
断崖絶壁や渓流などで、岩肌にしがみつくようにして、下に向かって幹が伸びている樹木の様子を表現したものです。

                    ▶懸崖、半懸崖

立ち上がりからすぐに幹が大きく曲がり、下方に向かって垂れ下がっていくのが特徴です。

幹の先端が鉢底より垂れ下がっているものを懸崖、鉢底のラインまでで止まっているものを半懸崖といいます。







2020/08/01

盆栽 No.241

盆栽

日本人は昔から心のゆとりを求めて、盆栽を楽しんでいました。

盆栽の歴史は古く、鎌倉時代の文献(春日権現験記絵巻=かすがごんげんきえまき)に盆栽が描かれています。




※鎌倉時代=1185年~1333年
本格的な武家政権による統治が開始した時代です。

鎌倉時代から室町時代にかけて、日本の伝統文化である、茶の湯や能が生まれ、これらとともに盆栽も、公家社会や武家社会へと急速に広まりました。

以来、今日に至るまで日本を代表する文化として、親しまれてきたのです。

盆栽は、マツ類やシンパクなどの針葉樹を用いた、松柏(しょうはく)盆栽と、その他の常緑広葉樹や落葉樹を用いた、雑木(ぞうき)盆栽に分けられます。

雑木盆栽はさらに、樹木のどこを観賞するかによって花物、実物、葉物に分類されています。

◉盆栽の観賞のポイント

★幹(幹ぶり)
幹は盆栽の顔とも言える、樹形の基本を作る上で重要な部分です。

通常、幹は傷のないものが最も良いとされており「丸幹」と呼ばれます。

一方、幹の傷を利用して、観賞の価値を高める物もあります。

幹の一部の樹皮が剥けて、木質部が白骨化しているものを「シャリ幹」または「サバ幹」と呼びます。

また、樹芯(幹の先端)が自然に枯れて白骨化したものは「ジン」と呼びます。

いずれも、風雪や落雷などの自然災害に耐えて育ってきた、老木の趣を表現したものとして珍重されます。

樹木の場合も、樹齢を重ねるほど樹木の持つ趣が深くなります。



★立ち上がり

株元から最初の枝までの部分を「立ち上がり」といい、根張りと並んで、盆栽の大切な観賞ポイントになっています。

株元から力強く立ち上がっていることが、良い盆栽の条件になります。

★コケ順

立ち上がりから先端までの、幹の太さや枝の出ている位置の様子を「コケ順」と言います。

★模様

幹の曲がり具合のことを「模様」と言います。

樹形全体のバランスや美しさは、主に模様のよし悪しできまります

◉根(根張り)

昔から盆栽名木の第一の条件としてあげられるのが根張りです。

根張りとは、地表近くに伸びた側根が、木の生育とともに地表に露出してきたものを言います。

一般に、太い側根が四方に平均して力強く張り出し、大地を抱え込むように根付いているものが、良い根張りとされています。

★枝(枝ぶり)

枝は幹とともに樹形全体の印象を決定づけます。

枝ので出によって盆栽の表情が変わるからです。

枝の大小や向きに関係なく、幹の下(根元に近い部分)の枝から上に向かって順に一の枝、二の枝、三の枝と呼びます。

また、樹形を整える上で必要な枝を「役枝」樹形を整えるのを妨げる枝を「忌み枝」といい、仕立てる過程で忌み枝は切り落としていきます。



★さし枝
ひときわ長く大きく出た、樹形に変化、表情を与えるメインの枝です。

やや下向きに張り出すのが一般的です。

さし枝をどの位置にもってくるかは、樹形全体のバランスで決まります。

★受け枝
返し枝ともいわれ、さし枝の反対側から出ていて、これを受けている感じで、バランスをとっている枝です。

★落ち枝
幹の中程か、それより上辺りから下方に向かって、落ち込むように垂れている枝です。


強風などの厳しい自然環境に、耐えながら生育してきた様子を表現します。

★食いつき枝
他の枝より特に短く、樹冠にくっつくように出ている枝です。

枝配りに変化をつけ、樹形に深みを与える効果があります。

★後ろ枝
二の枝、三の枝辺りの裏側から出ている枝で、樹形に奥行きを与えます。






2020/07/31

カナメモチ (要黐) No.240

カナメモチ バラ科



アジアとアメリカに60種ほど分布し、日本には3種が自生する。
別名アカメモチ

本州の静岡県以南から四国、九州地方生け垣などによく植えられているレッド·ロビンはカナメモチとオオカナメモチの雑種




自生の木を見る機会は少ないですが、山地の沢沿いなどに生えている。

小さな白い花が集まって泡立つように咲く「枕草子」に出てくるソバノキは本種で、花をソバの花に見立てたものという。

花期は5月から6月果実は12月頃に熟す寒さに弱いので関東地方より北では成育は困難です。

◉肥料
肥料はあまり多すぎないように与えます。

2月頃、鶏ふんか油粕に骨粉を2~3割混ぜたものを、根元に埋め込むか!リン酸カリ分の多い化成肥料を、根元に穴を掘って埋め込む程度で十分です。

肥料を与える時には、その分量や場所に注意が必要です。

肥料の成分が多すぎたり強すぎたりすると、肥料焼けを起こします。


◆植え付け、移植
日当たりがよく乾燥しない土質が適しています。

特に乾燥には弱いので、土質には注意が必要です。

根づきが悪く寒さにも弱いので、幼木のうちは風よけを立てて寒風を防ぐことが必要です。

垣根に新しく植え付ける場合には、ポット仕立ての苗を購入し、スコップで植え穴を掘り、腐葉土をよく混ぜて2年生の苗ならば、約30㎝間隔くらいで植え込みます。

また、長年植えたままの成木を移植する時は、前年に根回しをしておき、細根を出させてからでないとうまく根付きません。

前年に根切りをして細根を出させます。

この場合もよく腐葉土類をすき込んで、大きめの植え穴に水ぎめで植え込みます。

植え穴に水をたっぷり入れて、土を埋め戻してからさらに水を注ぐ
枝葉も全体に切り詰めて、樹勢の衰えを防ぎます。

時期としては4月から5月が最も適しています。9月から10月中旬も行えます。


(オオカナメモチ、葉や花序がカナメモチより大きい)

◉病気
※褐斑病
葉に褐色から黒褐色な斑紋ができる病気の総称です。

はじめは葉に褐色から黒褐色の小さな斑点が生じ、これが次第に大きくなり5ミリくらいの病斑に拡大します。

病気が進むと樹の下の方から葉が枯れ、落葉することもあります。

発生する時期は5月から10月で、特に夏の初めの高温多湿時に多発する。

病原体のほとんどはカビです。

デンドロビウム(洋ラン)の褐斑病だけは、病原体がバクテリアです。

病原体は病気にかかった葉や、病気になって落ちた葉の上で越冬し、翌年の春に風や風に含まれる水滴などに運ばれ、他の植物に感染します。

他に水媒感染のように雨水に病原体が溶け込み、その水が跳ね返ることによって、感染することもあります。

★治療
病気にかかった葉を見つけたら取り除きましょう。

また、病葉に直接水をかけないように気をつけます。

薬剤は発生期の5月頃から10月まで、ダイセン、ベンレートなどを月に2回くらいの割合で散布しましょう。

この病気は連作したり、管理を怠ると発生しやすくなります。

多湿を防ぐために、要らない古株を冬の間に処分をし、せん定して風通しをよくし、日がよく当たるようにしましょう。

◉ゴマ色斑点病
葉、果実、枝などに直径2~5ミリのゴマ色(黒から黒褐色)の病斑を生じます。

病気が酷くなると葉が落ちてしまい、病気にかかったあとにできる葉も次々に発病します。

葉の裏側には、黒色の分生子層(ふんせいしそう)=発芽のもとになる胞子の塊ができます。

発生時期は4月から9月です。

病原体はカビで、分生子を作るのが特徴です。

このカビは1本の剛毛が生えていて、一見したところ虫のように見えます。

病斑の上で冬を越した分生子が春になると発芽して、空気感染や水媒感染します。

★治療
被害部を見つけたらすぐに除去して処分します。

4月から6月にかけてトップジンMやベンレートを数回散布しましょう。

前の年に病気の発生した場所での連作はなるべく避けましょう。

水媒感染を防ぐために、敷きワラや風通しをよくすることも大切です。

◉害虫
※アオバハゴロモ
葉に綿のようなものがつきます。

綿状の長い毛のようなロウ質物を体につけた虫がいて、脱落したロウ質物が樹幹を白く汚します。

年1回の発生で、枯れた枝に産み落とされた卵で越冬し、5月頃に幼虫が発生します。

成虫は7月頃から現れ、9月頃まで成虫、幼虫が混生しています。

※ダイアジノン、ディプテレックス、デナポンなどの薬剤を散布する。

密植された垣根や、枝の混んだ樹木に多く発生、風通しの悪い庭にもよく見かける。

高温、乾燥の時に多発しやすい。

※アブラムシ
4月から9月に多く発生、薬剤を散布して駆除します。

薬剤には弱いので、ほとんどの殺虫剤が効きます。

※ハマキムシ
5月から8月に発生、葉を巻いて中に隠れているので、葉を開くか葉ごと除去して捕殺します。

薬剤がかかりにくいので、効果は低いですがスミチオン、アセフェートなどは多少効果があります。

※トビモンオオエダシャク
大型のシャクトリムシで色は灰褐色、姿は枯れ枝によく似ています。

老熟幼虫は9㎝くらいの大きさになります。

1年に1回の発生で、幼虫は4月から8月に葉を食害します。

枯れ枝とよく似ているので見つけにくい害虫です。

発生量が多い時は、発生初期にディプテレックス、スミチオンなどを散布しましょう。

※ミノムシ
ほとんどすべての樹木に加害します。

幼虫は7月頃に現れて、10月頃まで葉や枝を食害します。

ミノムシのまま越冬して、翌年の4月から5月に再び食害してから成虫になります。

メスは成虫になってもミノの中で一生を過ごします

発生量が少ない時は捕殺します。

発生量が多い時には、薬剤を散布しますが、ミノがあるため効果が低いので、なるべく幼虫がチイサイ時期に散布しましょう。

薬剤はディプテレックス、カルタップなどが適しています。

越冬中のミノムシは目につきやすいので、見つけたらこまめに捕殺して、春からの被害を減らしましょう。




◉せん定
生け垣として活用されることが多く、年に3回、3月、6月、9月に刈り込みます。

9月に刈り込むことにより、秋にも新芽の赤い色が楽しめます。

樹形が出来上がっている木や生け垣は、軽く頻繁にせん定します。

誤って10月以降に行うと、冬までに充実できず、寒さに負けてしまうことがあるので、注意が必要です。







2020/07/30

モッコク (木斛) No.239

モッコク ツバキ科 常緑広葉樹

モチノキ、モクセイとともに3大庭木の一つに数えられます。

沿岸の山地に生え高さ15㍍ほどになる。

6月~8月に黄色の花が咲きますが、ツバキ科の植物なのに花は小さくあまり見栄えはしません。

秋に赤い実がなり小鳥がよく集まります。

庭木として栽培されることが多い樹種です

日当たりがよく、排水のよい肥沃な土地が適しています。

ただし、強い直射日光の当たる場所は避けてください。

大気汚染や潮風にも強い庭木で、成木は寒さにも耐えますが、幼木は寒さに弱いので防寒対策をしてください。




★樹勢が衰え葉に元気がない
樹勢が衰えている時には、根に注意し、根詰まりを起こしているようであれば、細根の更新が必要です。

根元に放射状の溝を4本くらい掘り、堆肥などを埋め込みます。

★花が例年と比べて多く咲く

多くの樹木で、樹勢が衰えた時まるで最期を飾るように、花を咲かせる事があります。

原因は不明ですが、種を残すために花を咲かせ、実をつけるのだと言われています。

モッコクはあまり花をつける樹ではありませんから、花が例年より多すぎるときは、樹勢が衰えていないか確認し、肥料を与えましょう。

◆肥料
寒肥として、2月に鶏ふんか油粕を根元に埋め込みます。

◉病気
※炭素病
葉の症状は、初めに暗黒色の円形の病斑が現れ、病状が進むと灰白色となり病斑に小さな黒い粒を生じます。

雨が降った後や湿度が高い時に、この黒い粒から鮭肉色(けいにくしょく)の粘液(胞子粘塊)を出します。

病気にかかった葉や枝は見つけ次第処分、発生の多い6月~7月  9月~10月には月に1~2回の割合でダイセン、マンネブダイセン、ベンレートなどを散布。

樹勢を弱めると発病するので、寒害、日焼けなどに気をつけ、樹勢を強く保つようにする。

また、風通しが悪いと病気になりやすいので、せん定して風通しをよくする。

※スス病
アブラムシ類やカイガラムシ類などの害虫な排泄物を栄養として繁殖する病気で、病原体はカビです。

一年を通して発生しますが、特に虫の繁殖期である4月から10月によく発生します。

カビの繁殖が進み葉や幹の全体が真っ黒く覆われて、植物の呼吸作用が妨げられます。

病状の酷いときは薬剤による治療を行う方がよいでしょう。

ダイセン、ダイファー、トップジンMを散布。

スス病の原因となるカイガラムシなどの、害虫を退治しないと再発しやすい。

日当たりや風通しをよくし、害虫を発生させないような環境を作ることが予防になります。


◉害虫
※カイガラムシ
スミチオン、オルトラン、マラソンなどの薬剤を散布。

成虫になると薬剤が浸透しにくいので、捕殺する。

風通しが悪く、日当たりの悪い所を好むので、適度に枝のせん定を行い、風通しをよくしてやると発生が減ります。

樹勢が衰えるので早めに駆除しましょう。


※アブラムシ
薬剤を散布して駆除しますが、アブラムシは薬剤には弱いので、ほとんどの殺虫剤が効きます。

アリと共生関係で、アブラムシを運ぶ。

適度なせん定をして風通しをよくすることも予防。

※ハマキムシ(モッコクハマキ)
6月から10月にかけて発生し、被害は9月頃が多くでます。

葉を巻いて中に隠れているので、直接薬剤がかかりにくいので効果は低いが、スミチオン、アセフェートなどは多少効果がある。

被害を受けた葉を見つけ、葉を開くか、葉ごと除去して捕殺します。

冬の間に綴られた葉を見つけ、幼虫を駆除しておきます。


◉せん定
せん定時期は6月から7月、10月から11月頃。

幼木のうちはせん定せずにそのまま育てます。

樹高が2㍍ほどまで生長したら、不要な枝を落として樹形を整えます。

あとは、年に一度枝先をせん定して、日照や風通しをよくし、中まで日が入るようにします。

枝先が車枝になりやすいので、車枝を見つけたら2~3本残して整理します。

一般的なせん定は6月から7月に行い、秋は古葉を取り除く作業を中心に行います。






2020/07/29

ゲッケイジュ No.238

ゲッケイジュ (月桂樹)クスノキ科

別名ローレル 常緑広葉樹

原産地=地中海沿岸とカナリア諸島に一種ずつ分布。

濃緑色で革質(ひしつ)の葉をつけ、枝と葉が芳香を発し、葉は料理の香り付けに使われます。

日本には、明治時代に渡来しました。

雌雄異株で日本には雌株は少ない。

耐寒性を考え、北関東より南の方が育てやすい。

春には黄色く小さな花を多くつける。




果実は秋に熟して黒紫色(こくししょく)になり、薬用にもなる。

地中海原産なので、暖地性の気候を好みます。

日当たりのよい場所を好み、冬の乾燥には弱いので注意しましょう。

特に北風の当たる場所では、関東地方でも枝先が枯れる事があります。

いろいろな樹形に仕立てやすく、自然樹形の円錐形だけでなく、円筒形に仕立てたり生け垣にもできる。

◉病気
うどん粉病
うどん粉病は、白いカビが若い葉や若い茎、新芽などの表面にうどん粉をまぶしたようにびっしり生える病気の総称です。

病原体の種類はたくさんあり、そのほとんどがカビです。

カビの種類により寄生する樹種が決まっていて、そのカビが他の種類の樹に寄生することはありません。

感染経路は空気による感染がほとんどです。

発生する時期は植物によって異なりますが、高温(20度前後)多湿を好み4月から10月に発生します。

病気は見つけ次第10日毎にモレスタ、トップジンM、ベンレート、水和硫黄剤などを散布しましょう。

うどん粉病は、チッソ肥料を与え過ぎると発生しやすくなります。

チッソ肥料を減らし、カリ肥料を多めに与えましょう。

※カリ肥料=塩化カリウム、硫酸カリウム等その他。

※樹木の場合は、枝で越冬している菌糸を殺すため、1月から2月に石灰硫黄合剤を月に1~2回散布するのも効果的です。

◉スス病
ゲッケイジュは香りのせいか害虫が多くつきます。

特にカイガラムシ類は複数の種類が発生し、スス病を併発するので注意が必要です。

スス病は、アブラムシ類やカイガラムシ類などの、吸汁性害虫の排泄物を栄養としているので、植物に直接影響を与えることはありません。

しかし、カビの繁殖が進み葉や幹の全体が、真っ黒に覆われてしまうと、植物の呼吸作用が妨げられます。

病状の酷いときは、薬剤による治療をした方がよいでしょう。

スス病にはダイセン、ダイファー、トップジンM等を散布しましょう。

しかし、スス病の原因となる害虫を、退治しないと再発してしまいます。

スミチオン、オルトラン、マラソンなどを散布して害虫を退治しておきましょう。

予防法は、植物に寄生する害虫を発生させないような、環境を作ることです。

そのためには、日当たりや風通しをよくすること、冬に落葉した葉を処分することが大切です。

また、冬の間に石灰硫黄合剤を1~2回散布すると効果的です。


◉害虫
※アブラムシ
薬剤を散布して駆除しますが、樹木では適度なせん定をして風通しをよくする。

※カイガラムシ
スス病を併発します。
幼虫の時期なら殻がまだ出来上がっていないので、スミチオンなどを散布します。

成虫になると、薬剤は浸透しにくいので、効果があまりないので捕殺します。

また、冬場ならマシン油乳剤が使えますので、成虫でも駆除できます。

風通しが悪く、日当たりの悪い所を好むので普段から、適度に枝の手入れをして、風通しをよくしてやると発生が減ります。

※ハマキムシ
どの種も葉を巻いたり、何枚かを綴り合わせて葉の中に隠れ、中から葉を食害します。

4月から10月頃に発生して、7月から8月に最も多くの被害がでます。

この虫は巻かれている葉の中にいるので、被害を受けた葉を見つけ、葉を開くか葉ごと除去して捕殺します。

常緑樹では、冬の間に綴られた葉を見つけ、幼虫を駆除しておきます。

※テッポウムシ (カミキリムシの幼虫)
カミキリムシの幼虫は別名テッポウムシと呼ばれます。

成虫は見つけやすいので捕殺します。
成虫が産卵するときに幹に傷をつけるので、傷跡を探してその部分を切り出すか叩いて圧殺します。

食入口を見つけた場合は、穴にスミチオンなどを注入して穴を塞ぎます。

4月の発生時期に、サッチューコートやスミバークなどの薬剤を散布すると効果的です。

しかし、大部分は健全木には加害しないので、樹木の健康を保つ事が一番の予防となるでしょう。

※チャミノガ
代表的なミノムシのひとつです
幼虫は7月頃に現れて、10月頃まで葉や枝を食害します。

ミノムシのまま越冬して、翌年の4月から5月に再び食害してから成虫になります。

雌は成虫になっても蛾にはならずに、一生をミノの中で過ごします。

越冬中の見付けやすいは目につきやすいので、見つけたらこまめに捕殺して、春からの被害を少なくしましょう。

発生量が多い時は、薬剤を使用しますがミノがあるため、効果が低くなるので、なるべく幼虫が小さい時期に散布しましょう。

薬剤は、ディプテレックス、カルタップなどが適しています。




◉植え付け
4月下旬から5月と7月から10月が植え付けの適期。

植え穴には堆肥などをよくすき込んで、大株の時には枝を切り詰め、支柱があると後の手入れが楽になります。

接ぎ木もできますので、その場合は7月から8月上旬に行います。

◉肥料
元肥として、1月から2月に油粕と化成肥料を混ぜて、株回りにばら蒔くか埋め込みます。

追肥として、8月中旬から9月中旬に元肥と同じように与えます。


◉せん定
6月下旬から7月に行います。
萌芽力の強い樹なので、少し強く切っても平気なにで、刈り込みは比較的容易です。

徒長枝や混み合った枝、ヤゴ(ひこばえ)を中心に、日当たりや風通しが良くなるようにせん定します。

また、暖かい地方の場合は、10月から12月上旬の晩秋にも行えます。








2020/07/27

デンドロビューム 洋ラン No.237

デンドロビューム  

洋ラン





一般に園芸店でよく見かける種類は、ノビル系というインド北部から、タイ北部に自生している種類を主にして交配したものです。

この種類の特徴は、他のランに比べて原種が多くこれらを、交配してたくさんの園芸品種ができていることです。

小型から大型まであり、花色も黄色、ピンク、赤系と豊富です。

開花期間も長く主として、秋の終わりから冬~春まで咲くものが多くあります。

※一部の品種で夏咲きのものもある。

原産地は東南アジア、オーストラリアで、日本にあるセツコクもこの仲間です。

他のランに比べてやや低温で育ち、乾燥に強い着生種ですから鉢も小さめで育て、一部の品種を除けばふつう家庭でも育てられます。

◉病気

黒斑病
秋の長雨など低温で多湿になると、黒い斑点ができやがて大きくなって見苦しい葉になります。

風通しをよくし、雨などを当てないようにして、鉢を乾燥気味にさせます。

また、屋外から室内に急に取り込んだりしても黒斑病になります。

少しずつ室内環境に近づけるよう、ならしてから取り入れるようにしましょう。

梅雨時にウイルス病が発生したら他の株と離しましょう。

◆害虫

★ナメクジは屋外で生育中に新芽をよく食害します。

なるべく棚上など風通しのいいところに置き、夜間に出てきた時捕殺するか、ナメクジ駆除剤で退治します。

日中では、鉢底に潜んでいる事があるので、見つけたら駆除します。

★生育期に風通しが悪いと、カイガラムシ類が発生します。


オルトラン水和剤やスミチオンなどを、5月から8月にかけて月に1~2回散布します。

薬剤の効果がない場合は、捕殺します。

★高温期ではハダニ類が発生します。


乾燥が激しい時は、葉に水をかけたりハダニ退治専用のケルセン水和剤などを散布して駆除する。

◉置き場所

春から秋にかけて屋外で育てます。

強い日光に当たる方が丈夫なバルブが育ちます。


7月から8月の暑さにも強いですが、強い西日は避けるようにしましょう。

着生ランなので、木に吊るしたり、地面に直接鉢を置かないようにし、通気性のよい棚などに置きます。

10月頃になったら水を控えめにして、雨水に当たらないように軒下などに移し、徐々に低温に慣らしてから11月下旬には室内に移します。

冬の最低越冬温度は5℃前後ですが、8℃~10℃が理想的です。


◉水やり

5月から9月は屋外で雨に当て、晴天の続く時は毎日一回水を与え、曇っている日が多ければ、株の具合を見ながら与えるようにします。

10月から11月は週に一回程度、冬から4月の開花中または室内温度が10℃以下の時は、軽く霧吹きするか、暖かい日を選んで午前中に少量与えます。

新芽が成長し始める3月末頃からは、週に1~2回、株の生育を見て与えます。

◉肥料

新芽が伸びる4月から6月には、油粕と骨粉を同じ量に混ぜ置肥します。

または、ラン用の粒状化成肥料やマガンプKなど、リン酸カリ分の多い肥料を与えましょう。

7月以降は花芽をつけるので、秋から冬にかけては肥料は必要ありません。

よく生育する4月から6月を除き、小さめの鉢で育てるため肥料の与え過ぎは根の生育によくありません。

※与え過ぎないように注意しましょう。

◉繁殖

株分け、高芽とり、バルブ伏せなどができます。

株分けは大鉢になりすぎたとき、花が終わり暖かくなった春に3~4本ずつに分けます。

根を傷めないようにして、古い水ゴケを取り除き株分けします。

植え付け後は半日陰で育てます。

1週間前後は水を与えず、株分けにより傷んだ根を乾燥させ、回復するまで待ちます。

その後水あげをし、徐々に定期的な水やりを行っていきます。


※デンドロビュームの各部の名称              





★高芽とりは、古いバルブの高いところに新芽が出て小さなバルブができます。

これを丁寧に切り離し、小さな鉢に1本ずつ水ゴケなどで植え込みます。

2年ぐらいすると一人前の株になります。

これはデンドロビューム特有の殖やし方です。

★バルブ伏せは、高芽の出る性質を利用した殖やし方の応用で、茎を1~2節ずつ切り、鉢やパレットに水ゴケを敷きそこに伏せ、または、挿し木をする要領で新芽を出させます。

成長してきたら鉢に植え替えます。