緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/02/26

腹接ぎ 繁殖方法 No,388

 腹接ぎ(元接ぎ)

この方法は、繁殖を目的とする場合と枯れ枝などを補充したい場合などに適用されます。

                         例=クロマツ

繁殖を目的に行う場合は、台木の根元に斜めに切り込みを入れますが、台木は上部を切り取る方法と、上部を残したまま接ぎ木する方法があります。

                           クロマツ


                                クロマツ

✻枝を作る場合などに使う腹接ぎ

枯れ枝などを補充する目的で行う場合は、幹や枝の途中に斜めに切り込みを入れて接ぎ木を行います。

                       (A図、腹接ぎ)

(A,B図)基部を切って台木に挿し込み、切り接ぎの場合と同じ様に、接木用のテープで結束します。

(B図)接木後は、穂木が乾燥しないように、ビニール袋などですっぽりと覆って管理します。


                          (B図)


ビニールを取り除く時期は接木後約1ヶ月を目安にしますが、急に取り除かずに、ビニールに開ける穴の数を徐々に増やすなどして、40〜50日後に全て取り除くようにします。


✻関る連ブログ
接ぎ木果樹の殖やし方①~②
No,122   No,123

割り接ぎ繁殖方法No,387










2021/02/25

割り接ぎ 繁殖方法 No,387

 割り接ぎの方法

「割り接ぎは台木が太い場合に適した方法」で、柿の木、マツ類、ボタン、ツバキ、コウヤマキ等ではよく行われる方法です。

                     (台木の切り方)


太い台木ではV字形に切り込みを入れます。




穂木は切り接ぎの場合と同様2~3芽付けて切り、基部をクサビ形に切って台木に挿し込みます。

切り接ぎと同様の手順ですが、切り接ぎは台木の形成層の片面を使うのに対して、割り接ぎは両面を使うため、切込みは台木の中央に入れてつぎ口とします。

                       ✫割りつぎの方法



                     ✫割り接ぎの実践例


2本の穂木を割り入れて、台木の左右両側の形成層を使う「2本つぎ」という手法もあります。

穂木と台木の形成層をピッタリ合わせ、ビニールひもでしっかり固定します。

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2021/02/24

セツブンソウ 山野草 No,386

 セツブンソウ キンポウゲ科

「菟葵  」多年草球根   セツブンソウ属早春に芽を出し、早々に花を咲かせて種子を宿し、春の終わりに早くも種子を熟して休眠に入るセツブンソウ。


                   (セツブンソウ)


関東地方以西の主に太平洋側に多く見られ、古くより節分の頃に花が咲く事からこの名前がある。

春の陽炎のような植物たちは、スプリング·エフェメラル「春の妖精」の名で親しまれている。

学名はエランティス·ピンナティフィダ。

属名のエランティスは「春の花」の意味を持ち、早春に開花する意味です。


石灰質を好み、岩地や落葉樹の林床等に多く自生します。

各地で乱獲採取が起きたことから保護される自生地も多い。

そんな各地の自生地として特に親しまれているのは、広島県庄原市総領町、埼玉県小鹿野町両神、栃木県栃木市星野の3箇所


          セツブンソウ、庄原市総領町 


 セ   ツブンソウ、埼玉県小鹿野町両神


            セツブンソウ、栃木県星野

セツブンソウ属はヨーロッパから中央アジア、中国、シベリア、朝鮮半島、日本に8種類が分布しています。

日本で栽培種として普及しているのは、日本に自生しているセツブンソウの他に、ヨーロッパ原産の「キバナセツブンソウ」で、分布はヨーロッパ南部から英国を含むヨーロッパ西部が主です。

その他、トルコからイラク、アフガニスタンに自生している「エランティス·キリキカ」も「キバナセツブンソウ」として時々流通している。

また、アジアの原産種として朝鮮半島に分布する「ヒナマツリソウ」は、朝鮮半島、中国東北部、ロシア極東に分布し、セツブンソウより幾分大きく、紫色を帯びる花もある。

✻植え付け、植え替え

4〜5号鉢程度の深鉢に3〜5球が目安です。


                          ❆植え付けの例

硬質鹿沼土4、赤玉土3、軽石砂2腐葉土などの有機質用土1などを、配合したものを使用します。

植え替えは2〜3年に一度を目安に、休眠後の晩夏から初秋に行います。

鉢の置き場所は芽出しから開花期間は日向に置き、花後は雨を避けて半日陰に置き、休眠後は日陰で保護します。

🚰水やり
水やりは芽出しから開花期間は多めに与え、その後は鉢の表土が乾いたらその都度与えます。

✻肥料

植え付け後に鉢の縁に有機性固形肥料を置き肥し、花後と秋に同肥料を追肥します。

花後から休眠まで2000倍液程度の液肥水やりがわりに与えます。

✻病害虫

ナメクジの食害がありますので、夜間に見つけ次第捕殺するか、予防剤を撒きます。

お酢を少し薄めてナメクジに直接かけても駆除できます。

✻殖やし方

種子を採取後に採り蒔きすれば、翌年の早春に発芽します。

その後肥培すれば2〜3年程で開花します。

また、種子の出来ない変異花などの繁殖方法として、塊茎(球根)をカットする方法がとられます。

カット後は球根の腐敗防止のため、草木灰などで切り口を覆って乾燥させてから植え付けます。

✻露地植え
落葉樹の木陰など早春に日が当たる場所の植栽に向いてます。

植栽には、周囲の除草や花後の 肥培などの個別管理が大切です。









2021/02/23

マラリアに効く植物 クソニンジン No,385

クソニンジン キク科ヨモギ属

中国名= オウカコウ

別名=ホソバニンジン、バカニンジン、ヤマニンジン

和名(糞人参)は異臭を持つこと、葉が人参の葉に似ていることからこの名がある。

中国から薬用として渡来し、野生化したものと考えられている。

原産地は東南アジアを除くアジアから東欧


                    (クソニンジン)


抗マラリア原虫薬の製造原料とされ、寄生性皮膚病、インキンタムシの治療薬に用いられる。

約1600年前の古い書物に書かれていた、この植物の薬効に気づいたトウ·ユーユー氏が、その成分を取り出しマラリアの治療薬として確立したのである。
(1930年12月30日)

✭トウ·ユーユー
中国の医学者、医薬品化学者
ノーベル生理学、医学賞受賞者

WHOでは、薬の原料としてこの植物の栽培を奨励しています。


人類が誕生してから現在までどれ程の人が生まれ、亡くなったことだろう。

その原因の多くは戦争と思われがちだが、これまでに生まれた人間の最も多い死亡原因は、ある病気とされています。

その病気は世界三大感染症の一つである「マラリア」である。

✻世界三大感染症
エイズ、結核、マラリア

クレオパトラも平清盛も苦しんだとされるマラリア

この病気は4000年以上前から知られている。

マラリアと言う名称はイタリア語の悪い空気」に由来しているとも言われている。

「ハマダラカ」と言う蚊によって感染し、高熱を発して酷くなると死に至る病気である。

ハマダラカは世界におよそ460種が知られ、そのうち約100種が人にマラリアを媒介できるが、一般にマラリア原虫を人に媒介しているのは、その内の30〜40種とされる。


(ハマダラカ)


病気を媒介して人や家畜に対して、疾病の原因となるなど、衛生上の損害を与える昆虫やダニ類の事を衛生害虫と言う。

衛生害虫は「媒介害虫」「有害害虫」「不快害虫」等に分ける事ができます。

ハマダラカ類のように吸血する害虫には、日本脳炎を媒介する「コガタアカイエカ」や眠り病を媒介する「ツェツェバエ」など多くの衛生害虫がいる。


世界保健機構(WHO)によると、現在でも世界中で毎年約4億人がマラリアに感染し、約200万人が亡くなっていると言うことです。

この病気の治療薬として知られるのがアルテスネイト(アーテスネート)です。

薬名は、原料となる物質「アルテミシニン」で、植物の学名「アルテミシア·アニュア」に因んで名付けられました。

これがキク科ヨモギ属の「クソニンジン」と言う和名の植物です。

英語名は「スイート·ウォームウッド」スイートは甘いと言う意味ですから、欧米では臭い香りではなく、甘い香りと感じられているようです。

香りの感じ方は人により違うものなのだと思うが、実に香りとはそういうものです。









2021/02/22

日本の春を彩る野草カタクリ No,384

 カタクリ ユリ科カタクリ属

別名=カタコ
古語で堅香子(かたかご)と呼ばれていた。

北米、北東アジア、朝鮮半島
サハリン、ロシアに分布する。

日本では北海道、本州、四国、九州の平野部から山地の林内にかけて分布する。

九州では熊本県のみに分布し、日本の南限とされている。

分布数が多いのは北米で、15種類以上あると言われていて、花色が黄色や白色のものがある。


                         (カタクリの群生)


カタクリは4月上旬に2枚の葉の間から細い花茎を伸ばして、先端に紅紫色の花を一輪、うつむく様に咲かせます。

群生して一面に咲くカタクリの姿は見事です。

「万葉集」の中でも歌として詠まれ、カタクリが古くから人々に親しまれていた事が推察されます。


花が美しいばかりでなく、山菜として若葉、茎、花など、茹でてお浸しなどで食べられるなど、とても有用な植物と言えるでしょう。

調理用の片栗粉はもともとカタクリの鱗茎(球根)から抽出したデンプンの事を言っていたものです。

しかし、精製量が僅かである為、ジャガイモやサツマイモから抽出したデンプン粉が用いられています。

カタクリのデンプンには、クズのデンプンのように腹痛や、体力が弱った人への下痢止め作用もあると言われています。

カタクリのデンプンに熱湯を注いでかき混ぜると、半透明にやわらかく固まります。


これに砂糖やハチミツを加えて、体力の弱った老人や幼児の腹痛の為に食べさせると下痢止めに役立つとされる。

子どもの頃食べた人も多い事だろう。

しかし、一般に市販されているジャガイモなどの片栗粉では、カタクリのような薬用はありません。

カタクリの球根はとても深い部分にあるため、簡単には抜けません。

引っ張るとすぐ切れて球根が土中に残りますが、これはカタクリの生き残る知恵とも言えるでしょう。

鉢植えで育てていると毎年球根は下へ下へと移動し、放っておくと鉢の底で平たくなってしまいます。

従って、毎年の植え替えが必要と言う話もあります。

種子をまくと、初めのうちは一枚葉で二枚葉になると花が咲きますが、花が咲くまでに7年もかかるそうです。

カタクリの葉は斑があるものだけと思われるようだが、斑がないものもある。


    関東エリアの主なカタクリの群生地







2021/02/21

ヨモギ 薬草 No,383

 ヨモギの効能   キク科

「よもぎ餅」でお馴染みのヨモギは別名「モチグサ」と呼ばれる薬草で、道端や空き地など日本列島の至る所にある、これ程珍しい薬草もありません。

 


春先に勢いよく伸び、その高さは1㍍近くになることもあります。

春の若葉は香りも良く、天ぷらにして食べても美味です。

約400年前の中国漢方薬のバイブである「本草綱目」にも記載されている程、薬効もずば抜けています。

❆本草綱目(ほんぞうこうもく)

中国の本草学史上において、分量が最も多く内容がもっとも充実した薬学著作である。

日本でも出版数年後に初版が輸入され、本草学の基本書として大きな影響を及ぼした。

作者は明朝の医師、李時珍(りじちん)(1518〜1593年)


                         (李時珍)

日本でも「日本薬局方」に民間薬として記載され、公的にもその効能は認められている。

葉の裏の綿毛はお灸を据える時のモグサにし、干した葉は健胃整腸に効きます。

また、苦味があるので苦味健胃剤として使われます。

古来より薬湯として、腰痛、腹痛、痔などにも用いられてきました。

ヨモギほうじ茶は漢方のような芳香があり、漢方では「がいよう」と呼ばれ、身体を温める働きがある事から、冷え症に効果があるので昔から、婦人薬として使われてきました。

その他には止血効果があり、手を切ったりした時に、口の中でヨモギをクチャクチャと噛み砕き、傷口に付けて止血しました。

子どもの頃よく利用したものです。

漢方処方でも下血の止血に用いられます。

カルシウムも豊富に含まれ、カルシウム不足からくる自律神経失調症、不眠、イライラなどを沈静化させる効果も発揮します。


✿ヨモギ茶の効能

脂肪代謝を正常にして自然に痩せる。

韓国ではヨモギ茶は「痩せるお茶」として常用されています。

普通、ホルモンのバランスが崩れ、脂肪代謝が高まると太ります。

太ってくると漢方で言う血が滞る
瘀血(おけつ)と言う状態になります。

するとまた太ると言う悪循環に陥ります。

ヨモギ茶は瘀血をなくし、脂肪代謝を正常にするので自然に痩せることができると言います。

ヨモギ茶を与えたブタは脂肪が少ないと言う、データも説得力があります。

ヨモギは身体を温める働きがあるので、冷え症の人は日頃からお茶を飲めば身体も次第に温まってきます。

中国で1500年前から医草として、あらゆる婦人病に使われてきました。

生理不順、不正出血、貧血、流産防止などへの効能が知られていたのです。

✿ヨモギ風呂の効果

ヨモギをさらし袋に2〜3掴み入れて、風呂に入る1時間前から湯に入れておくと、湯がヨモギ色になります。

それからヨモギ風呂に入浴すると、身体がポカポカして1ヶ月も続けると、酷かった膝痛、腰痛が段々軽くなり、最後には痛みが消えてしまった。

肌もツルツルになり身体が温まる。

ヨモギは日干しよりも陰干しの方が精油を逃さない。

ヨモギのお湯は捨てずにまた、熱くして入浴すると一層効果的。

お湯自体はドロドロの緑色になりますが、入浴するとすぐに体中が温まる。


✿ヨモギ茶の作り方、使い方

最も葉の勢いのある5月〜6月の若葉を摘み取り、水洗いして水切りした後、細かく刻んでざるにいれ、風通しの良い場所で一週間程日干しする。

パリパリに乾いた物を乾燥剤などと一緒に、密閉容器で保管します。

一日分のヨモギ茶大さじ3~4杯を約600ccの水に入れ、1~2分沸騰させ、茶こしでこして飲みます。

そのままでは香りなども強く飲みづらいと思うので、その場合はハトムギを中に入れると飲みやすくなります。

いくつかの民間茶をブレンドして飲むのもよいでしょう。

ハチミツを入れるなど工夫して飲むのもオススメです。

✣関連ブログ

ヨモギ  No,465