緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/04/22

ニシキギ No,443

 ニシキギ ニシキギ科 落葉低木

別名=ヤハズニシキギ  「錦木」

原産地=日本各地、朝鮮半島、中国

紅葉の状態が錦のように色とりどりが美しいことから名付けられた。

山野に生える落葉低木で高さは2㍍ほどになる。
枝にコルク質の翼のようなものがつく特徴ある植物で、翼が出ないものを「コマユミ」と呼ぶ。

庭木や生垣、盆栽にされることが多い。
カミソリノキとも呼ばれるようだが、これは茨城県や栃木県の方言名であるとされる。

5月から6月頃に黄緑色の花をつけ、秋になると紅葉し小さな果実を1〜2個吊り下げ、裂開すると赤い仮種皮に包まれた種子が出る。

土壌を選ばず日陰地も強く生育する。

せん定にも耐えるので生垣や高木の下木等に用いられる。




生育環境

丈夫な木であるのでどこでもよく育つ。
移植は10月から11月と3月から4月が適している。

細根が多いので活着も良い。

肥料

あまり必要としませんが与える場合は、堆肥や油かすなどの有機質肥料を寒肥として与える。

病害虫

ハマキムシ、カイガラムシが発生しやすいのでカルホス乳剤や石灰硫黄合剤で駆除する。


せん定

せん定、整姿時期は11月から2月
あまり多く枝分かれしないので、3月下旬に間引きせん定をする程度で良い。

生垣にした場合は、落葉後に刈り込むがこの場合、花実は期待できません。

花実や紅葉を楽しむなら、日中よく日が当たり夜間冷涼な所であればよく紅葉する。






2021/04/21

ハゼノキ No,442

 ハゼノキ ウルシ科 落葉高木

別名=リュウキュウハゼ、ロウノキ「櫨の木」
原産地=中国、ヒマラヤ地方

日本 (関東以西)四国、九州、沖縄に分布

ハゼノキは中国から沖縄を経て渡来したので、リュウキュウハゼという別名がある。

日本で昔からハゼと呼んでいるのは、現在ヤマハゼと呼ばれるもので、日本原産のやや小形の木で葉や若葉に毛があることで区別される。

果実から蝋(ロウ)を採るのでロウノキともいう。

山の尾根や傾斜地、沿海の山野に生え高さは10㍍ほどになる。

本来の分布は四国、九州、沖縄だが蝋を採取するために各地で植えられ、それが野生化している。

ヤマハゼに大変よく似ているが、こちらは葉や枝が無毛なのが特徴である。

6月頃に黄緑色の小さな花を多数咲かせる。
葉は無毛なので触るとツルッとしている。

秋には美しく紅葉し、庭園や山野を彩る。



生育環境

水はけがよく日当たりのよい温暖地に植える。
丈夫な木なので栽培は容易である。

生育も早く3年から4年で結実し、特に土壌も選ばない。

病害虫はほとんど発生しない。

肥料

油かす、鶏ふん、堆肥などの有機質肥料に化成肥料を加えて寒肥として施す。

植え付け、移植時期は2月から3月頃と10月から11月
せん定の時期は11月から3月

殖やし方

実生と挿し木で殖やします。
実生は発芽処理を行ってから播く。






2021/04/20

ウルシ No,441

 ウルシ ウルシ科 落葉高木

原産地=中国、インド 「漆」

ウルシはかなり古い時代に中国から渡来した落葉高木で、日本の山地に自生しているウルシは、漆塗りに用いる事ができない「ヤマウルシ」と呼ばれ区別されている。

縄文時代の最も古い時期には日本列島にウルシの木が自生していたとされ、その歴史は9000年前に遡り、縄文時代の遺跡から漆を塗った容器が出土しています。

樹高は10㍍以上になり、5月から6月頃、黄緑色の花をつける。

毒性が強く、この木に触れたり近づくだけでもウルシオールという成分により、アレルギー反応が生じかぶれることがある。

接触後、数時間から1日〜2日後に遅れて発症することが多く、かぶれた後に発赤(ほっせき)し、激痛を伴う場合がある。

「ツタウルシ」という種の方がかぶれの成分が強い。

ウルシは毒性が強い事から、ウルシ液を採取する以外、庭木や公園樹のように一般に植えられる事はありません。

秋の紅葉は美しいが、山歩きなどでは不用意に触らないことです。




樹液から採取されるウルシ液は、良質の漆器用の塗料として古くから使われてきました。

中国には300万本以上のウルシの木が生育している。

日本では、漆採取のため全国に栽培が広がっていた時代もあったが、ウルシ液生産の減少とともに植栽地も減少し、現在では限られた地方でしかウルシ畑を見ることができない。

ウルシロウは木蝋とともに日本古来の天然ワックスで日常の灯明、神仏事には欠かせないロウソクの原料として珍重されてきました。

ウルシの果実の果肉部分に含まれる油脂が、ウルシロウの主成分でモクロウ(ハゼロウ)と非常に酷似している。

ウルシの実から採れるロウはハゼノキのものより良質です。

果実から抽出したままのオリーブ色のウルシロウを✫天日ざらししたものを白蝋と呼び、これは酸化され非常に✭povが高まり、臭気も強いものです。

現在は天日ざらしではなく他の方法で脱色、脱臭がなされている。

✫天日ざらしとは、日干しのことで、河原や草原などの上に麻布などをひろげ、時々水をかけて日にさらして漂白する原始的な漂白法です。

✭povとは過酸化物価のことで、食品に含まれる油脂が空気中の酸素により酸化し、生成した過酸化脂質の量を測定するのが過酸化物価です。
油脂の酸化の度合いを直接示します。

木蝋(もくろう)は主に和蝋燭(わろうそく)
の原料として用いられます。

また、ろうけつ染めのような染色の材料としても用いられます。

生育環境

日当たりの良い肥沃な土地を好みます。
自然のまま育てせん定などは行わない。


肥料

肥料は若干の油かす、鶏ふんなどの有機質肥料や化成肥料を与える。

殖やし方

実生または挿し木で殖やします。
挿し木は5月頃が適します。

実生は発芽処理を必ず行ってから播きます。

時期は3月から4月と10月から11月
果期は10月頃



発芽処理

灰汁、温湯、硫酸処理をしてから播く。

種類

ハグマノキはスモークツリーとも呼ばれ、ウルシ科に属する1種である。

原産地は南ヨーロッパからヒマラヤ山脈や中国北部にかけて分布している。

ウルシほどではないがウルシオールが同じく含まれているため、肌が敏感な人はかぶれるので避けたほうがよい。






2021/04/19

カラタチバナ No,440

 カラタチバナ サクラソウ科

常緑低木 ( 唐橘)

別名=タチバナ、コウジ、タチバナマンリョウ、百両

原産地=日本
(四国、九州、千葉県清澄山)
台湾、中国南部

従来の新エングラー体系、クロンキスト体系によって1997年時点での書物では「ヤブコウジ科」の種とされていました。


✫新エングラー体系は19世紀に提唱された植物分類体系で、クロンキスト体系は1980年代に提唱された被子植物の分類体系である。

1990年代にAPG体系が登場するまでは、最新の分類体系だったが、21世紀の現在では旧分類体系とされる。


小さな赤い実のなるカラタチバナはセンリョウやマンリョウと同じく、縁起木として植えられ、「百両」とも呼ばれる。


江戸時代の一時期には大流行したこともあるとされる。

常緑樹林下のやや薄暗い場所に生える。

高さは大きくなっても1㍍ほどである。

茎は単純で分枝せずに直立し、枝先に常緑の細長い葉が輪生する。

葉の付け根から花柄を伸ばし、7月頃に白い小花を10個ほど下向きに咲かせる。

果実は冬、10月から2月頃に赤く熟し、鳥に食べられなければ翌春まで残る。




生育環境

直射日光を嫌うので半日陰を保てる所が適している。

苗の移植は種をまいてから3ヶ月近くなった頃に行い、成木になってからの移植は3年目毎に行い、どちらもミズゴケを用いる。

植え付け、移植時期は3月から5月頃と8月

肥料

油かすを置肥として5月と9月に施す。

殖やし方

接ぎ木は5月から6月頃に地上30cmの台木に割り接ぐ。

挿し木は6月が適しています。

実生は主に台木を養生するために行う。

✭割り接ぎの方法については、ブログNo,387
割り接ぎ繁殖方法を参照。

種類
上巻鳳凰(あげまきほうおう)
赤麒麟(あかきりん)
富士の雪などと名付けられたものが多種あるが、正確な品種数は不明。










2021/04/18

ヒノキ No,439

 ヒノキ ヒノキ科 常緑針葉高木

別名=ホンヒ( 檜、桧)
原産地=日本(本州、四国、九州)

古代、ヒノキの材をすり合わせて火を起こしたので「火の木」が語源とされる。

日本の木造建築では最も重要な樹種で、植林される面積も広い。

自然分布は福島県の赤井岳から九州の屋久島までですが、自生のものより植林された木を見る方が多い。

樹高は30〜40㍍に達する。

樹皮は✫檜皮葺きの材料にされる。

✫檜皮葺き(ひわだぶき)とは

ヒノキの樹皮を成型した材料を使って、屋根ぶきする手法の1つで、日本古来の屋根技術工法です。

よく似ている「サワラ」は葉先がヒノキより鋭く、また葉裏の白粉の幅が広いためY線形(ヒノキ)には見えない。

サワラはX線形に見える点がヒノキと異なる。



生育環境

日当たりの良い場所で、腐植質が多い土壌が適しています。

植え付けする前にはあらかじめ、腐葉土などをすき込んでおくとよい。


乾燥地は不適である。
植え付けは2月から4月頃

移植は難しいので定植する所は十分に選ぶ必要があります。


生け垣の刈り込みは2月に行い、芽出し後のせん定は6月頃を目安にする。

主木には特にせん定の必要はありません。


肥料

12月から1月に寒肥を施せば、生長期の追肥は必要ありません。

病害虫対策にはダイセン、トップジン、ベンレートを9月頃に散布。

せん定

円錐形、円筒形が基本樹形ですが、玉づくり、段づくりなどにもできます。

円錐形では幹は伸ばし、重なる枝は間引き、樹冠を切りそろえます。

葉のない部分まで切り戻すとその枝は枯れてしまいます。


柔らかく仕上げたい時は、枝葉の真ん中のものを取り除く「みつ取り」を行うと良いでしょう。

                              「ヒノキのみつ取り」

殖やし方

実生と挿し木で殖やします。
庭木用に改良された園芸品種は挿し木で殖やします。
挿し木の時期は4月から6月頃

実生では本種に返りやすい(先祖返り)ので接ぎ木が必要です。
実生の時期は3月から5月頃

種類

ヒノキの園芸品種には斑入種も多く、庭木や盆栽として親しまれています。

代表的な品種

チャボヒバ
よく庭に植えられている矮性の園芸品種で、大木にならず高さは5㍍内外で枝や葉が密生するのが特徴です。

白い斑入りの品種や、葉が黄金色に変わる品種もある。
通常、花は咲かない。

クジャクヒバ
葉は濃緑色で密生し、クジャクの尾のように見える事から名付けられた。

葉が全葉黄金色となるオウゴンクジャクヒバもよく植えられている。

タツナミヒバ
枝が波状に斜めに生長するのが特徴で、高さは3㍍内外。

イトヒバ
枝葉が長く伸び、著しいものは地表にまで垂れ下がることから名付けられました。

枝葉が黄金色のオウゴンイトヒバはこのイトヒバの1品種です。

リョウメンヒノキ
小枝が密生し、葉は表も裏も緑色で区別がつかないためこの名がつけられた。

葉の表裏の区別がつかない似たような樹木に、別属の「コノテガシワ」がある。

ホウホウヒバ
葉が青灰色から灰緑色を帯びるのが特徴。
樹形は球形または円錐形。


主なヒノキの天然記念物、巨樹

沢尻の大ヒノキ
国指定天然記念物

地元では「大ヒノキ」と呼ばれていますが、樹種はサワラの樹です。

国内随一のサワラの巨樹とされ、推定樹齢は約800年とされている。

所在地=福島県いわき市川前町上桶売沢尻地内


大久保の大ヒノキ
国指定天然記念物(平成6年)

所在地=宮崎県臼杵郡椎葉村大久保


軽岡国有林のヒノキ

所在地=岐阜県高山市荘川(しょうかわ)町
六厩(むまや)軽岡


八幡人丸神社御旅所のヒノキ巨樹

所在地=山口県長門市油谷新別名人丸35
八幡人丸神社(やはたひとまるじんじゃ)


その他、ヒノキの巨樹は全国各地に多くある。






2021/04/17

コウヨウザン No,438

 コウヨウザン スギ科 常緑針葉高木

別名=リュウキュウスギ、カントンスギ
広葉杉、沙木

原産地=中国、台湾

江戸時代末期に渡来した常緑の針葉樹で、広葉杉の和名は杉に似ているが広い葉を持つところからきている。

樹高は35㍍、直径1㍍以上に達するものもある。

幹は直立し、下枝は生長するに連れて抜け落ちる。

葉は堅く羽状で先端は鋭く尖り、枝の周囲に2列につく。






生育環境

適度に湿気を含んだ砂質土壌が適している。
日当たりは生長にはそれほど影響しないが、寒風には弱い。


肥料

油かす、鶏ふん、化成肥料などの寒肥を施す。
病害虫は少ない。


殖やし方

実生、または挿し木で殖やします。

実生は10月、2月に採り播きする。

挿し木は3月から4月に行う。
萌芽性は強い。

種類

品種に銀緑色の葉のギンヨウコウヨウザン
類似種に細くて短い葉を持つランダイスギがある。


✿主なコウヨウザンの天然記念物、巨樹

長泉寺(ちょうせんじ)のコウヨウザン
市指定天然記念物

所在地=福井県小浜市加茂101-3


永泉寺(えいせんじ)のコウヨウザン
県指定天然記念物

所在地=福島県須賀川市長沼字寺前


宝林寺のコウヨウザン(宝林禅寺ともいう)
巨樹

所在地=三重県いなべ市北勢町東貝野2491