緑のお医者の徒然植物記

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2021/04/20

ウルシ No,441

 ウルシ ウルシ科 落葉高木

原産地=中国、インド 「漆」

ウルシはかなり古い時代に中国から渡来した落葉高木で、日本の山地に自生しているウルシは、漆塗りに用いる事ができない「ヤマウルシ」と呼ばれ区別されている。

縄文時代の最も古い時期には日本列島にウルシの木が自生していたとされ、その歴史は9000年前に遡り、縄文時代の遺跡から漆を塗った容器が出土しています。

樹高は10㍍以上になり、5月から6月頃、黄緑色の花をつける。

毒性が強く、この木に触れたり近づくだけでもウルシオールという成分により、アレルギー反応が生じかぶれることがある。

接触後、数時間から1日〜2日後に遅れて発症することが多く、かぶれた後に発赤(ほっせき)し、激痛を伴う場合がある。

「ツタウルシ」という種の方がかぶれの成分が強い。

ウルシは毒性が強い事から、ウルシ液を採取する以外、庭木や公園樹のように一般に植えられる事はありません。

秋の紅葉は美しいが、山歩きなどでは不用意に触らないことです。




樹液から採取されるウルシ液は、良質の漆器用の塗料として古くから使われてきました。

中国には300万本以上のウルシの木が生育している。

日本では、漆採取のため全国に栽培が広がっていた時代もあったが、ウルシ液生産の減少とともに植栽地も減少し、現在では限られた地方でしかウルシ畑を見ることができない。

ウルシロウは木蝋とともに日本古来の天然ワックスで日常の灯明、神仏事には欠かせないロウソクの原料として珍重されてきました。

ウルシの果実の果肉部分に含まれる油脂が、ウルシロウの主成分でモクロウ(ハゼロウ)と非常に酷似している。

ウルシの実から採れるロウはハゼノキのものより良質です。

果実から抽出したままのオリーブ色のウルシロウを✫天日ざらししたものを白蝋と呼び、これは酸化され非常に✭povが高まり、臭気も強いものです。

現在は天日ざらしではなく他の方法で脱色、脱臭がなされている。

✫天日ざらしとは、日干しのことで、河原や草原などの上に麻布などをひろげ、時々水をかけて日にさらして漂白する原始的な漂白法です。

✭povとは過酸化物価のことで、食品に含まれる油脂が空気中の酸素により酸化し、生成した過酸化脂質の量を測定するのが過酸化物価です。
油脂の酸化の度合いを直接示します。

木蝋(もくろう)は主に和蝋燭(わろうそく)
の原料として用いられます。

また、ろうけつ染めのような染色の材料としても用いられます。

生育環境

日当たりの良い肥沃な土地を好みます。
自然のまま育てせん定などは行わない。


肥料

肥料は若干の油かす、鶏ふんなどの有機質肥料や化成肥料を与える。

殖やし方

実生または挿し木で殖やします。
挿し木は5月頃が適します。

実生は発芽処理を必ず行ってから播きます。

時期は3月から4月と10月から11月
果期は10月頃



発芽処理

灰汁、温湯、硫酸処理をしてから播く。

種類

ハグマノキはスモークツリーとも呼ばれ、ウルシ科に属する1種である。

原産地は南ヨーロッパからヒマラヤ山脈や中国北部にかけて分布している。

ウルシほどではないがウルシオールが同じく含まれているため、肌が敏感な人はかぶれるので避けたほうがよい。