緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/06/04

バンジロウ (グァバ) No,486

 バンジロウ フトモモ科

別名=グアバ  熱帯性常緑樹
原産地=カリブ海諸島を含む熱帯アメリカ

日本では沖縄、小笠原、九州南部まで露地栽培ができるが、それ以外の地域では冬期の寒さを考え温室栽培が必要です。

果実は生食のほか、ジュースとしても有名で、ジャムなどにも加工されています。

また、樹皮は薬用、葉は茶の代用にされます。

開花は気温など条件が整えば周年開花します。

花には芳香があります。

果実は栽培品種によって大きさはまちまちで、果実の重さにも幅があります。



生育環境

冬の最低気温が5〜6℃以上で、実の付き方は前年枝から出た新梢の基部の、2〜5節の葉の元に花芽がつき実がなります。

花は5月から6月に咲き、レモン型の小果が8月から10月に結実する。

熱帯や亜熱帯地方の植物なので、極端な低温を嫌います。

よって、冬期は温度管理に注意して生育する必要があります。

目安として気温が10℃以下になると、木や果実の成長が停止したり実が落果します。

また、代表品種のキミノバンジロウやテリハノバンジロウ(ストロベリーグァバ)
は、やや耐寒性が強く、一時的には5℃から7℃まで耐えることがありますが、この場合は霜に当てないようにする事が必要です。


植え付け

植え付け時期は、3月中旬から4月が良いのでこの時期に行います。

有機質を多めにすき込み、土中の温度を高めにして根の張りを良くします。

庭植えとしては、日当たりと排水の良い土質ならよく生育も早く若い枝をどんどん伸ばし、自然形が盃状に仕立てます。


せん定

植え付けて一年目の背丈は50cmぐらいで切ります。

2年目の冬には、伸びた新梢を3分の1ぐらい切り詰めます。

3年目の冬には、枝を三方に分けて盃状にし、新しい枝は柔らかいので支柱に結びます。

4年目の冬は、大体の樹形を整え、長く伸び過ぎた枝を切り詰めます。

結果母枝を多くつけるようにし、樹高は2.5㍍ぐらいで芯止めします。

バンジロウの花は主に、新梢に着果します。

この新梢を多く発生させる事が多くの花を咲かせ、実をたくさんつけさせることになります。


肥料、施肥

収穫後に有機質を主体として油かす、骨粉などにリン酸カリ分の多い肥料を少量混ぜ、株周りに穴を掘り埋め込みます。

追肥(4月)は化成肥料をばら撒くか、油かすを株元に埋め込みます。

成木の施肥量目安とし、堆肥2〜3kg、油かす1kg、骨粉300g、化成肥料200g以内とします。

殖やし方

とり木、さし木、接ぎ木のいずれかの方法で行います。

グァバの利用の仕方

グァバの実は、卵形、球形、西洋ナシ形など色々ありますが、いずれも完熟すると黄色になります。

グァバの成分にはビタミンCやペクチンが多く、生食、ジュース、ゼリーの原料として利用され、また葉はグァバ茶として利用され、高血圧患者の血糖値を低下させる効果があります。

日本では、沖縄や奄美大島を中心に在来種があり、ハワイ系統や台湾系統の品種も導入されています。

ハワイ系統の品種には、ビタミンCの含有が特に豊富ですが、酸味が強いためジュース用に加工されることが多いようです。

また台湾系の品種は、酸味が少ないので生で食べるのに向いています。

栄養豊富なフルーツですので、温度管理に注意しながら植栽しましょう。






2021/06/03

ナツメ No,485

 ナツメ  クロウメモドキ科

原産地=中国からアジア南部の乾燥地帯

ナツメは中国では最も古くから栽培されている果樹の1つで、品種改良も進んでおり、大果やタネなし種など約400種の品種があると言われています。

日本では小果をつける1種類のみです。




生育環境

全国殆どの地域で栽培でき、耐寒性、耐暑性ともに強く、日当たりや排水の良い乾燥気味の場所を好みます。

高木性で成長が早く、放って置くと大きくなり過ぎるので注意します。


植え付け 3月

苗木を植え付けてから、3年から4年で結実するようになります。

強い湿度は嫌うので、地下水が地表に近い所にあると樹勢がよくならず、結実しなくなります。

植える場所は乾燥気味の所を選び、更に植え穴には堆肥を多めにすき込んで、水はけが良くなるようにします。


肥料、施肥

12月から2月の間に鶏糞に油かすを混ぜ、少量の化成肥料を加えて、株周りに穴を彫り埋め込みます。

成木の場合、鶏ふん1〜2kg、油かす1kg以内、化成肥料500gを目安に与えます。

あまりたくさんの量は必要ありません。

鉢植えは、3月に玉肥を4〜5個置肥します。


せん定    3月

主幹形仕立てにしますが、樹高を低くするため高くなった枝は切り戻して更新します。

一年枝に開花結実するので間引きせん定し、内部まで日当たりや通風をよくしてやります。

鉢植えも主幹仕立てにしますが、結果枝が多数発生するので、基部から間引きして樹形を整えます。

庭植え
一年目にはまだ背丈が低いので、切り詰める必要はありません。

2年目になるとかなりよく成長し枝を出しますが、その冬には細かい枝などが自然に脱落します。

3年目にはよく新梢を伸ばし、葉も茂ってきます。

その冬には樹高3㍍で樹芯を止めて、大体の樹形を整えるようにして、徒長枝や混み合った枝は間引くようにして、木の内部に日光がよく当たるようにします。

翌年充実した結果母枝から出る新梢に開花し、結実します。

毎年2月下旬から3月に古枝や混み合った枝を切り詰め、幹近くより出る結果母枝を伸ばすようにして、樹高も3㍍くらいで止めて、手入れのしやすい状態を保ちます。


鉢植え
一年目の落葉期に残っている枯れ枝を全て切り除きます。

2年目の生育期(3月〜10月)に支柱を立てて主幹を固定します。

2年目の落葉期に細い枝は脱落します。
主幹と枝先を切り詰めます。

翌春発芽したら、3〜4葉の時に枝を1〜2本残してその他は切り取ります。


害虫

ナツメコガ
稀にナツメコガが発生する時があります。

ナツメコガは実に発生する害虫なので、実の部分を観察して発見します。

8月から9月が発生の時期で、初期にはディプテレックス1500倍液を7日から10日おきに、実の部分を中心に2〜3回散布し防除します。


ナツメの効能

熟した果実は生食したり、干してお菓子などの材料として利用されるほか、漢方薬の生薬「大棗」(たいそう)として、通経、利尿、関節炎、腰痛、不眠症、貧血、精神安定などその他多くの効果があります。

また、「生姜」と組み合わせる事で免疫力を高めたり、副作用の緩和などを目的に多くの処方に配合されています。

ナツメの葉に含まれている「ジジフィン」と言う物質には、甘みを感じなくする作用があり、葉をしばらく噛んだあとに砂糖などの甘み成分を含んだ食べ物を口にしても、甘みを感じなくなります。

甘みを感じる舌の先の「味蕾」の働きを阻害するため、甘み食品への「食欲減退効果」が期待されます。


ナツメ酒

作り方は人それぞれですが、ナツメの実を一昼夜乾燥させてから漬け込む方法と、乾燥せずにそのまま漬け込む方法などがある。

氷砂糖の量も好みです。
100〜200g程度を目安にすればよいかと思います。

ホワイトリカー1800㍑25度〜35度

好みで、レモンの皮をむいて輪切りにして漬け込んでもよいでしょう。(レモン4〜5個)

1ヶ月から2ヶ月、冷暗所で保存し飲むことができますが、熟成する程にまろやかなお酒になるようです。

状況によっては漉(こ)してから飲用しましょう。

また、ストレートで飲みにくい場合はお好みで他の果樹酒とブレンドすると飲みやすくなるようです。







2021/06/02

リンゴ No,484

 リンゴ バラ科 落葉果樹

原産地はアジア西部からヨーロッパの辺りと言われている。

現在、日本で栽培されているリンゴは明治時代に欧米から入り、品種改良を進めたものです。

りんごは非常にポピュラーな果物ですが、中には有名な3大リンゴというのがあり、聖書のアダムとイブのリンゴ、ニュートンのリンゴ、そしてウィリアム・テルのリンゴだそうです。


リンゴは耐寒性が強く、関東地方より南の夏の暑さには弱い果樹です。

庭木としては育ちますが、果実を取る目的なら関東以南では適していない。

現在では中部高冷地や東北、北海道地方が主な生産地となっている。




生育環境

日当たりと排水の良い土質であればよく、かなり大型の木になるので広い庭に向く。

りんごの特徴として、自家不結実性が強く、自分の花粉では実がつきにくい、同時期に開花するほかの品種の花粉をもらえる木が近くにある場合は別として、もう一本他の品種の木を植えるようにして栽培します。

4月頃に開花したら人工受粉を行い、5月には実つきを良くするために摘果します。

結実して膨らんだ花のうち、中心の2つほどを残して摘み取ります。


肥料、施肥

東北地方や寒い地方では、収穫後雪などが積もる前に肥料を施します。

一般的には12月から2月頃に、堆肥に鶏糞、油かす、骨粉などにリン酸カリ分の多い化成肥料を加えたものを、株元に穴を掘り埋め込みます。

植え付け時期は12月から3月


せん定

果実を採る目的では、盃状仕立てが収穫も多く管理も容易です。

しかし、この方法は面積も広く必要としますので、一般家庭には向きません。

6月頃に徒長枝、混み枝、垂下枝(すいかし)を整理します。

11月頃には長く伸びた枝を切り詰めます。
長さは10芽ほど残します。


病気

黒星病
病斑は果実と葉で若干の違いがあります。

果実の病斑は暗褐色のかさぶた状です。

葉の病斑は円形で周囲がはっきりせず、ススのようなカビが生えます。

病気の部位は取り除き処分します。

病葉は翌春の発生源になるので、落葉も残さずに処分します。

予防として6月初旬にベンレートやオーソサイドを散布します。


モリニア病
幼果が褐変して腐る。

病果は落ちて干からび、翌春の発生源になるので埋没処理します。

被害は新葉や花にも発生し、最後には全体が褐変し、萎れて腐ります。

新葉では褐色の斑点ができ、葉脈に沿って拡がります。

予防として、新芽展開期にサイプレックスなどを散布します。


炭そ病
葉、枝、果実に発生します。

葉の症状は、はじめに暗褐色の円形の病斑が現れます。

病状が進むと灰白色となり病斑に小さな黒い粒を生じます。

雨が降ったあとや湿度が高い時に、この黒い粒から鮭肉色の粘液を出します。

梅雨の6月から7月、秋の長雨が続く9月から10月に多発します。

病気にかかった葉や枝は見つけ次第処分します。

発生の多い6月から7月、9月から10月には月に1〜2回の割合で、ダイセン、マンネブダイセン、ベンレートなどを散布します。

樹勢を弱めると発病するので寒害、日焼けなどに気をつけて樹勢を強く保つようにしましょう。

また、風通しが悪いと病気になりやすいのでせん定して通風をよくします。

うどん粉病
温度が高く夜間の湿度が高い時に多く発生します。

新芽や若葉わ茎などがうどん粉をまぶしたようになり、全体に広がります。

日当たりと通風を良くすることがポイントですが、病気発生の初期からはベンレート2000倍液を枝葉に散布します。

赤星病(さび病の一種)
春から初夏にかけて葉の裏に毛羽立った丸い病斑ができ、次第に広がります。

ジマンダイセン500倍液を月に2〜3回散布し、被害を受けた葉の状態がひどい時は摘み取って処分します。


害虫

ハマキムシ  (4月から9月頃に発生)
数枚の葉を綴り合せてその中に潜み、新芽や葉を食害します。

発生期間が長く極めて雑食性の強い毛虫の仲間です。

被害を受けた葉を見つけ、葉を開くか葉ごと除去して捕殺します。

薬剤が直接かかりにくいので効果は低いですが、スミチオン、アセフェードなどは多少効果があります。

グンバイムシ   (年間を通じて発生)
夏に多く発生する吸汁性の害虫で、高温と乾燥を好みます。

葉の裏につき、一年に何回も発生するので厄介な害虫です。

害虫の確認ができたら、薬剤は1〜2週間おきに2〜3回散布します。

マラソン、アセフェート、ホルモチオンなどが適しています。

風通しの悪いところを好むので、枝の手入れをして通風を良くすることです。

葉に病気のように白い斑点が出るので、病気と間違えないように注意して、葉の裏を確認しましょう。


日本最古のりんごの木

日本最古のりんごとは、青森県つがる市に生育するセイヨウリンゴの古木3本の呼称である。

1878年(明治11年)に栽植された苗木のうち3本残っていて、日本国内最古のりんごの木とみなされている。



この3本の木は「りんごの樹」の名で1960年(昭和35年)に青森県指定天然記念物となった。



日本最古のりんごの木 樹齢143年

所在地=青森県つがる市柏桑野町木田千年225









2021/06/01

光合成をしない、やめてしまった植物 No.483

 菌従属栄養植物

葉緑素を持たない腐生植物のことで光合成を行わず、キノコやカビの菌糸に寄生して育つ植物である。

光合成能力を失い、菌根菌や腐朽菌から栄養を奪うようになった植物は、ツツジ科、ヒメハギ科、リンドウ科、ヒナノシャクジョウ科、コルシア科、タヌキノショクダイ科、ラン科、サクライソウ科、ホンゴウソウ科などが該当し、これまで日本からは約50種が報告されている。

2016年10月、神戸大研究グループにより沖縄、石垣島の於茂登岳(おもとだけ)
周辺で見つかり、その地名から「オモトソウ」と名付けられた菌従属栄養植物の新種は、既存種のホンゴウソウ科の「ホンゴウソウ」に近縁であるものの、雄花の先端の突起を3つ持つホンゴウソウに対し、6つの球状の突起を持つ点が異なることから、ホンゴウソウ科の新種と判明された。


                            「オモトソウ」


この植物はほとんど地中で生息するため、見つけにくく、1〜2ヶ月間だけ地上部の高さ5〜10cmほど伸び、直径2㍉ほどの紫色の花を咲かせます。

菌従属栄養植物が育つには、寄生しても生態系が崩れない安定した森林が必要である。

新種が見つかったことで、於茂登岳周辺の原生林の重要性が改めて示された発見である。


                「近縁種のホンゴウソウ」


✿菌従属栄養植物


                   「ラン科タシロラン」


               「ラン科に見えないラン」









2021/05/31

6月のバラの手入れ No,482

 バラ 6月の手入れ

6月は梅雨入りの時期です。
地域によっては5月中に梅雨入りする所もあるでしょう。

咲き終えたバラも多くなって淋しくなりますが、品種によっては花を咲かせ始める種もあります。

⑴咲き柄摘み

咲いた分だけ咲き柄を摘みますがヒップ(果実)をつけると、四季咲きのバラは途端に生育が鈍り、花をつけなくなるのでこまめに摘み取りましょう。

一季咲きのつるバラの場合は、逆にヒップをつけさせて茂り過ぎや伸びを抑制します。


⑵シュートの処理

開花が終わる頃にはシュートの発生が本格化してきます。

株元から伸びた若枝を「ベルサルシュート」枝の途中から伸びた若枝を「サイドシュート」と呼びます。


                         「伸びだしたシュート」

シュートを見つけたらピンチ(芯止め)します。
ピンチ後に出た枝につく花は咲かせても構いません。

つるバラのシュートは太過ぎると誘引がしにくくなるので、1㍍くらいの所でピンチし、そこから2本に枝分かれさせると扱いやすくなります。

また、かなり伸びたら支柱やフェンスに数本ずつ軽く結束します。

成長期のバラは根からどんどん養分や水を吸い上げ、枝先へと送っていきます。

花柄摘みをする事で、養分や水分の行き場を求めて伸びてくるのがシュートです。

シュートは株を大きくし、花数を増やすためには大切な枝ですが、養分や水分がシュートに集中するため、他の枝の生育を抑えてしまいます。


その結果、芽吹きや樹形が乱れて枯れてしまう場合もあるので、株全体のバランスを考え、花後の切り戻しは少し深めに樹形が整う様にせん定することが重要です。

そうする事で、すべての枝の勢いも平均化されて養分が行き渡り、日光も全体に当たるようになり、花芽も多くつき樹形も良くなります。

シュラブのシュートはホウキ状に咲かせても良いでしょう。

シュラブはブッシュとクライマーの中間的なもので、やや高性になるものや半つる性になるものです。

花が終わったら、下の枝2本を残して、上を切り取ります。

⑶病害虫の防除

うどん粉病の発生が盛んになり、黒星病(黒点病)も出始めます。




早い所ではすでに病気が発生しています。


黒星病(黒点病)

見つけ次第サプロールなどEBI剤を散布して広がるのを阻止します。

病気発生時期に複数の殺菌剤、できれば3種類以上を取り揃えて、症状の発生前から計画的に散布します。

地面に近い下葉の辺りから発生する事が多いが、つるバラなどでは高い部分でも発生が見られる。

雨の跳ね返りで、土中のカビの仲間の胞子がつくことで発生する。
株元にマルチングすることで予防すると効果的です。

主な薬剤はトップジンMゾル、サプロール、ダコニールなど

その他に、バラのうどん粉病と黒星病の予防と治療に、マイローズ殺菌スプレーやバラの害虫と病気に使用するベニカXファインエアゾールなどもある。

また、ハダニの発生が日増しに激しくなるので、定期散布に殺ダニ剤を追加して常用します。

雨が多い時期での薬剤散布は悩むところです。

この時期は雨の合間に散布することが多くなりますが、散布した薬液が乾いていれば雨が降っても大丈夫です。

雨の後でも葉面が乾けば散布しても大丈夫です。

雨で伝播する黒点病には雨の前後の散布は効果的です。


下旬頃にはカミキリムシが飛来して産卵を始めるので、モスピランなどのネオニコチノイド系かスプラサイドなどの、成虫に効果のある殺虫剤に切り替えます。

⑷新苗の植え付け

植え付けはできるだけ上旬には終えるようにしましょう。

4月に植えた新苗はかなり育ってきているので、鉢裏から白根が見えたら鉢を2サイズ大きなものに替えます。

⑸施肥

花後のお礼肥(追肥)として、化成肥料を一株当たり50g程度与えることもありますが、必ず与えなければならないものではありません。

樹勢を見ながら与えるとよいでしょう。

鉢植えのものには、これまで通り置き肥と液肥を続けます。

⑹水やり

この時期、鉢植えは株が茂っているので雨が降っても、葉を伝わって外に流れてしまい鉢の中に水が入りません。

雨が降ったとしても油断していると、晴れてからぐったりしているのを見て、慌てて水やりをする事になります。

雨が降った日でもその日だけ水やりは、お休み程度に考えましょう。


⑺除草

雑草もどんどん増えていくので早めに除草します。
病害虫の防除のためにも株元をきれいにしましょう。


⑻梅雨明け後

梅雨が明けたら夏に負けない栽培法に切り替えます。

寄植え鉢や2重鉢、庭植えの場合は周囲の植栽を工夫して夏バテから守りましょう。

多肥性の植物が近くにある場合、バラの肥料を横取りされる場合もあるので注意しましょう。












2021/05/30

作物の必須要素 No.481

 植物の生育に不可欠な元素

作物はその目的に応じて改良した植物であり、基本的には植物が生育するのに不可欠な元素を作物も必須要素とするが、作物の種類やその使用目的に応じてはこの他にも必要な養分がある。

高等植物の体内には60を超える元素が検出されている。

この元素のうち、すべての植物の生育に不可欠な元素は16種が挙げられる。

16種の不可欠な元素

比較的植物の要求量が多い元素
多量必須要素と呼ばれる9種

①炭素(C)②水素(H)③酸素(O)④チッ素(N)⑤リン(P)⑥カリウム(K)⑦カルシウム(Ca)⑧マグネシウム(Mg)⑨イオウ(S)

微量必須要素と呼ばれる7種

①鉄(Fe)②マンガン(Mn)③銅(Cu)④亜鉛(Zu)⑤ホウ素(B)⑥モリブデン(Mo)⑦塩素(Cl)

高等植物の必須要素のうち、炭素、水素、酸素は生体の有機骨格成分として重要である。

これらは通常、大気や土壌水から十分に供給される。

また、塩素は要求量が少なく風によって海水の飛沫として、あるいは雨として十分量が供給されるので、大陸内部の地域を除いては問題としない。


一般に施肥管理を必要とするのは炭素、水素、酸素、塩素を除く12の必須要素である。

なかでも作物の要求量が大きく、土壌中で不足しやすいチッ素、リン、カリウムを三大栄養素あるいは三要素と呼んでいる。

これらの必須要素以外にも水稲(すいとう)やサトウキビのケイ素(Si)✫テンサイのナトリウム(Na)などのように作物の生育の好影響を与えるものがあり、特殊成分あるいは有用元素と呼ばれている。

✫甜菜(てんさい)は北海道の特産でサトウキビと並んで、砂糖の原料になるヒユ科フダンソウ属2年生の植物で別名サトウダイコンとも言う。

根を搾ってその汁を煮詰めると砂糖がとれる。

また、植物の生育にとって必ず必要でないものでも、それを食べる家畜には不可欠である。

コバルト(Co)ナトリウム(Na)セレン(Se)などがあり、作物としてはそれらを利用する家畜や人間の栄養をも考えた、肥培管理が重要である。

作物が健全な生育をするには、少なくとも必須養分16種が十分供給される必要がある。

これらの養分の一つが不足すると、作物の生育、収穫量は不足した養分量によって規制される。

必須要素が欠乏すると、植物体は各要素に特徴的な白化や壊死、葉の形態異常などを引き起こす事が知られています。

また、その欠乏症状の現れ方には大まかな規則性があり、体内を再移動しにくいカルシウム、ホウ素、鉄などはその時に盛んに生長している部位に欠乏症が現れ、作物の生育に致命的な障害を与えます。

これらの要素は作物の生育期間中に、必要量を絶えず供給する必要があります。

これに対し、体内での移動性が大きいチッ素、リン、カリウム、マグネシウムなどは不足すると古い葉から新しい葉に✫転流されるため、欠乏症状は下位葉から発生する場合が多い。

✫転流とは、植物の葉に形成される養分や根、地下茎などにある養分、あるいは発芽に際して貯蔵した養分が適当に変質、移動して他の部位に送られることを言う。