緑のお医者の徒然植物記

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2021/06/02

リンゴ No,484

 リンゴ バラ科 落葉果樹

原産地はアジア西部からヨーロッパの辺りと言われている。

現在、日本で栽培されているリンゴは明治時代に欧米から入り、品種改良を進めたものです。

りんごは非常にポピュラーな果物ですが、中には有名な3大リンゴというのがあり、聖書のアダムとイブのリンゴ、ニュートンのリンゴ、そしてウィリアム・テルのリンゴだそうです。


リンゴは耐寒性が強く、関東地方より南の夏の暑さには弱い果樹です。

庭木としては育ちますが、果実を取る目的なら関東以南では適していない。

現在では中部高冷地や東北、北海道地方が主な生産地となっている。




生育環境

日当たりと排水の良い土質であればよく、かなり大型の木になるので広い庭に向く。

りんごの特徴として、自家不結実性が強く、自分の花粉では実がつきにくい、同時期に開花するほかの品種の花粉をもらえる木が近くにある場合は別として、もう一本他の品種の木を植えるようにして栽培します。

4月頃に開花したら人工受粉を行い、5月には実つきを良くするために摘果します。

結実して膨らんだ花のうち、中心の2つほどを残して摘み取ります。


肥料、施肥

東北地方や寒い地方では、収穫後雪などが積もる前に肥料を施します。

一般的には12月から2月頃に、堆肥に鶏糞、油かす、骨粉などにリン酸カリ分の多い化成肥料を加えたものを、株元に穴を掘り埋め込みます。

植え付け時期は12月から3月


せん定

果実を採る目的では、盃状仕立てが収穫も多く管理も容易です。

しかし、この方法は面積も広く必要としますので、一般家庭には向きません。

6月頃に徒長枝、混み枝、垂下枝(すいかし)を整理します。

11月頃には長く伸びた枝を切り詰めます。
長さは10芽ほど残します。


病気

黒星病
病斑は果実と葉で若干の違いがあります。

果実の病斑は暗褐色のかさぶた状です。

葉の病斑は円形で周囲がはっきりせず、ススのようなカビが生えます。

病気の部位は取り除き処分します。

病葉は翌春の発生源になるので、落葉も残さずに処分します。

予防として6月初旬にベンレートやオーソサイドを散布します。


モリニア病
幼果が褐変して腐る。

病果は落ちて干からび、翌春の発生源になるので埋没処理します。

被害は新葉や花にも発生し、最後には全体が褐変し、萎れて腐ります。

新葉では褐色の斑点ができ、葉脈に沿って拡がります。

予防として、新芽展開期にサイプレックスなどを散布します。


炭そ病
葉、枝、果実に発生します。

葉の症状は、はじめに暗褐色の円形の病斑が現れます。

病状が進むと灰白色となり病斑に小さな黒い粒を生じます。

雨が降ったあとや湿度が高い時に、この黒い粒から鮭肉色の粘液を出します。

梅雨の6月から7月、秋の長雨が続く9月から10月に多発します。

病気にかかった葉や枝は見つけ次第処分します。

発生の多い6月から7月、9月から10月には月に1〜2回の割合で、ダイセン、マンネブダイセン、ベンレートなどを散布します。

樹勢を弱めると発病するので寒害、日焼けなどに気をつけて樹勢を強く保つようにしましょう。

また、風通しが悪いと病気になりやすいのでせん定して通風をよくします。

うどん粉病
温度が高く夜間の湿度が高い時に多く発生します。

新芽や若葉わ茎などがうどん粉をまぶしたようになり、全体に広がります。

日当たりと通風を良くすることがポイントですが、病気発生の初期からはベンレート2000倍液を枝葉に散布します。

赤星病(さび病の一種)
春から初夏にかけて葉の裏に毛羽立った丸い病斑ができ、次第に広がります。

ジマンダイセン500倍液を月に2〜3回散布し、被害を受けた葉の状態がひどい時は摘み取って処分します。


害虫

ハマキムシ  (4月から9月頃に発生)
数枚の葉を綴り合せてその中に潜み、新芽や葉を食害します。

発生期間が長く極めて雑食性の強い毛虫の仲間です。

被害を受けた葉を見つけ、葉を開くか葉ごと除去して捕殺します。

薬剤が直接かかりにくいので効果は低いですが、スミチオン、アセフェードなどは多少効果があります。

グンバイムシ   (年間を通じて発生)
夏に多く発生する吸汁性の害虫で、高温と乾燥を好みます。

葉の裏につき、一年に何回も発生するので厄介な害虫です。

害虫の確認ができたら、薬剤は1〜2週間おきに2〜3回散布します。

マラソン、アセフェート、ホルモチオンなどが適しています。

風通しの悪いところを好むので、枝の手入れをして通風を良くすることです。

葉に病気のように白い斑点が出るので、病気と間違えないように注意して、葉の裏を確認しましょう。


日本最古のりんごの木

日本最古のりんごとは、青森県つがる市に生育するセイヨウリンゴの古木3本の呼称である。

1878年(明治11年)に栽植された苗木のうち3本残っていて、日本国内最古のりんごの木とみなされている。



この3本の木は「りんごの樹」の名で1960年(昭和35年)に青森県指定天然記念物となった。



日本最古のりんごの木 樹齢143年

所在地=青森県つがる市柏桑野町木田千年225