緑のお医者の徒然植物記

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2021/06/03

ナツメ No,485

 ナツメ  クロウメモドキ科

原産地=中国からアジア南部の乾燥地帯

ナツメは中国では最も古くから栽培されている果樹の1つで、品種改良も進んでおり、大果やタネなし種など約400種の品種があると言われています。

日本では小果をつける1種類のみです。




生育環境

全国殆どの地域で栽培でき、耐寒性、耐暑性ともに強く、日当たりや排水の良い乾燥気味の場所を好みます。

高木性で成長が早く、放って置くと大きくなり過ぎるので注意します。


植え付け 3月

苗木を植え付けてから、3年から4年で結実するようになります。

強い湿度は嫌うので、地下水が地表に近い所にあると樹勢がよくならず、結実しなくなります。

植える場所は乾燥気味の所を選び、更に植え穴には堆肥を多めにすき込んで、水はけが良くなるようにします。


肥料、施肥

12月から2月の間に鶏糞に油かすを混ぜ、少量の化成肥料を加えて、株周りに穴を彫り埋め込みます。

成木の場合、鶏ふん1〜2kg、油かす1kg以内、化成肥料500gを目安に与えます。

あまりたくさんの量は必要ありません。

鉢植えは、3月に玉肥を4〜5個置肥します。


せん定    3月

主幹形仕立てにしますが、樹高を低くするため高くなった枝は切り戻して更新します。

一年枝に開花結実するので間引きせん定し、内部まで日当たりや通風をよくしてやります。

鉢植えも主幹仕立てにしますが、結果枝が多数発生するので、基部から間引きして樹形を整えます。

庭植え
一年目にはまだ背丈が低いので、切り詰める必要はありません。

2年目になるとかなりよく成長し枝を出しますが、その冬には細かい枝などが自然に脱落します。

3年目にはよく新梢を伸ばし、葉も茂ってきます。

その冬には樹高3㍍で樹芯を止めて、大体の樹形を整えるようにして、徒長枝や混み合った枝は間引くようにして、木の内部に日光がよく当たるようにします。

翌年充実した結果母枝から出る新梢に開花し、結実します。

毎年2月下旬から3月に古枝や混み合った枝を切り詰め、幹近くより出る結果母枝を伸ばすようにして、樹高も3㍍くらいで止めて、手入れのしやすい状態を保ちます。


鉢植え
一年目の落葉期に残っている枯れ枝を全て切り除きます。

2年目の生育期(3月〜10月)に支柱を立てて主幹を固定します。

2年目の落葉期に細い枝は脱落します。
主幹と枝先を切り詰めます。

翌春発芽したら、3〜4葉の時に枝を1〜2本残してその他は切り取ります。


害虫

ナツメコガ
稀にナツメコガが発生する時があります。

ナツメコガは実に発生する害虫なので、実の部分を観察して発見します。

8月から9月が発生の時期で、初期にはディプテレックス1500倍液を7日から10日おきに、実の部分を中心に2〜3回散布し防除します。


ナツメの効能

熟した果実は生食したり、干してお菓子などの材料として利用されるほか、漢方薬の生薬「大棗」(たいそう)として、通経、利尿、関節炎、腰痛、不眠症、貧血、精神安定などその他多くの効果があります。

また、「生姜」と組み合わせる事で免疫力を高めたり、副作用の緩和などを目的に多くの処方に配合されています。

ナツメの葉に含まれている「ジジフィン」と言う物質には、甘みを感じなくする作用があり、葉をしばらく噛んだあとに砂糖などの甘み成分を含んだ食べ物を口にしても、甘みを感じなくなります。

甘みを感じる舌の先の「味蕾」の働きを阻害するため、甘み食品への「食欲減退効果」が期待されます。


ナツメ酒

作り方は人それぞれですが、ナツメの実を一昼夜乾燥させてから漬け込む方法と、乾燥せずにそのまま漬け込む方法などがある。

氷砂糖の量も好みです。
100〜200g程度を目安にすればよいかと思います。

ホワイトリカー1800㍑25度〜35度

好みで、レモンの皮をむいて輪切りにして漬け込んでもよいでしょう。(レモン4〜5個)

1ヶ月から2ヶ月、冷暗所で保存し飲むことができますが、熟成する程にまろやかなお酒になるようです。

状況によっては漉(こ)してから飲用しましょう。

また、ストレートで飲みにくい場合はお好みで他の果樹酒とブレンドすると飲みやすくなるようです。