緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/06/10

プルーン No,492

 プルーン バラ科 落葉小高木

別名=西洋スモモ、プラム

プルーンは西アジアからカスピ海沿岸部にかけた地方(コーカサス)に分布している野生種が基本種で、栽培種として作り出された品種群を総称した呼び名である。

この地から乾燥プルーンが✫隊商の携帯食として西に渡り、南ヨーロッパ、西ヨーロッパ及びバルカン半島地域に伝わったのが今から2000年前のことである。

✫隊商(たいしょう)とは
(キャラバン)
隊を組んで主に内陸アジア、北アフリカの砂漠や草原地帯を行く商人の1団のことである。

日本にプルーンが伝わったのは明治初期で、日本での果物栽培は中部地方など比較的冷涼な気候の地方が中心です。

1856年、フランス人の植木職ルイ·ペリエがカルフォルニアにプルーンを移植、その後品種改良が繰り返され、アメリカでの栽培が盛んになっていった。

カルフォルニアプルーンはアメリカ国内全生産量の99%を占めており、全世界ではプルーン生産量の40%を占めている。
(2019年5月時点)






花咲き

花は葉が伸びるより早く、5月頃に短枝から数個ずつ白い五弁花が開きます。

花の数が多い時は花が枝を包むように咲きます。

果実

8月頃に紫がかった黒色で卵形の果実が実ります。

果物は商品にする時は、表面の白さが商品価値を左右するようです。

果実は甘みがあり、ミネラルが多く含まれ、生食のほかジャムや乾燥果実などに加工されます。


結実

プルーンは一本だけでは受粉できない品種なので、結実させるには複数の品種を植えるか、他の品種の花粉を開花期に人工授粉する必要があります。


主な品種

古くから栽培されているためか品種数は千を超えると言われいる。

育てやすい品種としてソルダム、サンタローザなどがあります。


植栽環境

果実の採取を楽しむには、日当たりの良い場所を選びます。

乾燥には強いので水はけの悪い土壌は不向きです。

風通しの良いことが大切ですが、強風が当たるところは適さない。

混植の時は枝が触れ合わない程度の間隔を保ちます。


害虫

コスカシバによる食害
幼虫が樹の中に穿孔(せんこう)し、樹勢が衰えます。

虫穴の入り口には虫糞がつき樹脂が出ています。

虫穴から胴枯病菌などが入り、樹が枯れることもあります。

成虫は5月から10月に発生して、樹の割れ目などに卵を産みます。

「ガ」の一種ですが羽が透明で一見すると蜂のように見えます。

虫穴を見つけたら樹皮を少し削り、中の幼虫を捕殺します。

樹皮を削ったあとは塗布剤で傷口を保護しておきます。


また、ハンマーなどで入口付近を叩き圧殺するか、針金で刺して駆除する方法もあります。

防除として、成虫が卵を産み付ける前に割れ目や傷口を中心に塗布剤を塗っておきます。

塗布剤にはサッチューコート、スミバークなどがあります。


モンクロシャチホコ(フナガタケムシ)
この毛虫は9月頃に発生し、若齢期は赤褐色で葉の裏に群れて葉を食べます。

老熟幼虫は5cm程になり、紫黒色に変わって、黄白色の長毛が生えます。

敵が近づくと頭と尾を上げて静止する性質がある。

発生量が多くない場合は、一匹づつ捕殺するか群れを小枝ごと処分します。

発生が多い場合は、薬剤散布を行います。

スミチオン、ディプテレックス、エルサン、MEPなどを散布します。

年に一回、7月頃に成虫が発生し、その次の世代が被害を起こします。

7月に発生する成虫の量が多い時は予防剤を散布します。

せん定 12月から2月

開花結実するのは2年枝なので、発育枝や側枝は切り詰めて短果枝を出させるようにします。

短い枝の方がたくさんの実を付けます。

殖やし方

アンズやモモを台木にして接ぎ木し、殖やします。

肥料

1月から2月頃に株周り溝を掘り、配合肥料を撒きます。

鉢植えは3月に玉肥を3〜4個置き肥します。


主なプルーンの効能

プルーンには血圧を正常に保つ様々な成分が含まれています。

カリウム
高血圧の原因の一つ、ナトリウム(食塩)を身体の外へ排出する。

ポリフェノール(クロロゲン酸)
血管を健康に保つ。

ペクチン
血管を詰まらせるコレステロールの吸収を抑える。

プルーンは骨の健康に役立つのではないかと言う研究が進められ、その研究によればプルーンの摂取が、骨形成に良い影響を与えると言う臨床データが得られています。

また、プルーンはお腹の調子を整える働きがある事が知られています。

プルーンに含まれるペクチンは、腸内にいる細菌の種類や数を良好に保ったり、便通を改善したりする作用が明らかにされています。

また、天然の甘味成分であるソルビトールも含まれ、便の水分量を増やし柔らかくする事により、便通を良くする働きがあります。








2021/06/09

夏に負けないバラ栽培 ② No,491

 葉の表面が黒ずむ

葉が黒ずむのは「葉焼け」と言う症状のひとつです。

真夏のように強い日差しに当たり、高温乾燥している日に薬剤を散布したり、木酢液のような活力剤などを葉に散布すると葉の表面が傷んで黒くなります。

特に光沢の無い皮質の葉や、厚みのないみずみずしい若葉に症状がよく出やすく、またオールドローズなどでもよく見られる。


                               「黒ずんだ葉」



バラの場合、葉の表面が黒く葉焼けをしても、葉の内部まで酷く傷むことは少ない。


殆どの場合、黄色くなって落葉することありません。


葉はそのままにしておく

黒ずん葉は病気ではないので、黄色くならない限りなるべく取らずにそのまま育てます。

真夏のように日差しが強く、高温乾燥している時では薬剤散布はなるべく控えましょう。

散布がどうしても必要な場合は、バラ全体に散水してから散布します。

温度が下がって涼しくなると、葉焼けしにくくなります。


置き場所

株の周りに湿気を伴う物を置きます。

真夏に強い草花や宿根草、スイレンなどの水鉢などを株の周辺に置くと湿度が上がり涼しくなります。

鉢植えで育てるバラも同じ工夫で改善できます。







2021/06/08

植物保護の重要性 No,490

 植物保護の重要性

植物保護とは病害虫、雑草、鳥獣、気象などによる被害から、農園芸作物や樹木及びこれらの環境を守ることである。

植物保護の分野の中で、これまでに特に重視されてきたのは病害、虫害、雑草害です。





これらによる被害を最小限に食い止める手立てを研究し、その対策まで導いていくのが植物保護の役割である。

人の生命維持と活動のためのエネルギー源確保に寄与する、重要な分野である植物保護の第一的目的は、食糧確保であったために有害生物を標的として、効力がはっきりと見分けられる手段が重視されてきました。

病害虫、雑草防除には「有機合成化合物」を主に用い、それが食糧確保に大きく貢献し現在に至っている。

「有機合成化合物」とは炭素と水素を含む化合物の事で、何を作るかは産業分野で求められている物や、将来必要とされる物を予測して考えます。

今、多くの分野が国際的に拡大される方向にあり、例外なく農作物の輸出入も拡大され、国際的な展開が望まれてきた。

このような状況下で、植物保護の考え方も大きく変わろうとしている。

植物保護の手段は主に自然環境下で実施され、特に人を取り巻く環境と深く関わっている。

よって、効果万能の強力な薬剤より、環境に優しい保護手段が必要とされてきた。

現代社会おいて、植物保護が今後益々要求されることを重視し、さらなる発展を目指さなければならない、その時代に辿り着いたと言えるだろう。


Importance  of  plant  prote


Plant protection is the protection of agricultural and horticultural crops, trees and their environment from damage caused by pests, weeds, birds and beasts, and weather. 
 In the field of plant protection, pests, pests and weeds have been of particular importance so far.
 The role of plant protection is to research ways to minimize the damage caused by these plants and to guide them to countermeasures. Since the primary purpose of plant protection, which is an important field that contributes to securing energy sources for human life support and activities, was to secure food, emphasis was placed on means for targeting pests and clearly distinguishing their effects.
 I have come. "Organic synthetic compounds" are mainly used for pest control and weed control, and they have greatly contributed to food security and have continued to this day. 
 "Organic synthetic compounds" are compounds containing carbon and hydrogen, and what to make can be thought of by predicting what is required in the industrial field and what will be needed in the future. Design a new organic compound and consider a synthesis method.
Nowadays, many fields are expanding internationally, and the import and export of agricultural products is expanding without exception, and international expansion has been desired. 
 Under these circumstances, the way of thinking about plant protection is about to change significantly. 
 Means of plant protection are mainly implemented in the natural environment and are particularly closely related to the environment surrounding humans. 
 Therefore, environmentally friendly protective measures have been required rather than powerful drugs with all-purpose effects. 
 It can be said that we have reached the time when we must aim for further development by emphasizing the increasing demand for plant protection in modern society.





2021/06/07

夏に負けないバラ栽培 ① No,489

バラの夏期でのトラブル対策

真夏に起きやすいトラブルは高温多湿によるものが多くあります。

葉が黄色くなって落ちだした。



原因として

根を傷めた事による症状です。

土壌の高温化や水切れなどで起きやすくなる症状です。

真夏のように強い日差しがよく当たる場所では、土壌が高温化しやすくなり、土中が蒸れてしまって根を傷めることになります。

水切れの場合は、土中が乾燥してしまうことで根が萎れて傷みます。

どちらの場合も株全体に急激に水分不足を起こします。

このようになったバラは、根に負担がかからない程度まで葉を黄化させながら急激に葉を落として、全体のバランスを調整し始めます。

バラの葉が黄色くなるには時間が必要で、原因発生から4〜5日を過ぎた頃から黄色くなって落ちてゆきます。


花枝の切り戻し

梅雨頃はバラが1年で最も旺盛に生育する時期で、枝葉にかなりの水分を蓄えています。


しかし、梅雨が明けて高温乾燥期に入ると水分が奪われやすくなる為、花枝はなるべく早めに切り戻して蒸散を抑える必要があります。

特に、太くて長く伸びだす元気な枝は、最も水分を多く蓄えているので、早めに切り戻しを行って暑さに順応しやすくします。


地温の上昇を抑える

地植えの場合、ワラなどを敷いてマルチングしたり、暑さに強い草花を近くに植えて、根が発達している株元やその周囲をカバーします。

直射日光が直接当たらないことで、地温の急激な上昇を抑えることができます。

鉢植えでは、2周りほど大きい空鉢に入れて二重鉢にして、草花などを植えた鉢を寄せ集めて鉢の高温化を抑えます。


強健種のバラ


                  「トロピカルシャーベット」

✿トロピカルシャーベット
(Tropical.sherbet)

オレンジ、レッド、ピンクと変化し華やかに咲くバラ。

小山内健氏作出のバラで、中輪咲き、一枝に3〜4輪の花がつき、強い日差しや雨による花傷みがない四季咲きの強健種です。

✫小山内健
大阪にある京阪園芸に所属するバラの専門家。



 





2021/06/06

ロウバイ No,488

 ロウバイ ロウバイ科

別名=カラウメ  「蠟梅」

原産地=中国  落葉低木

日本へは江戸時代初期に渡来しました。
日当りと排水のよい腐植質に富んだ場所に適し、風と西日を避けられあまり乾燥しない湿地がよい。

耐寒性が強く、北海道から九州地方まで広く栽培される。

樹勢が強く刈り込みもできるが、生長が少し遅く放任していても株立性の自然樹形になる。

冬の一番寒い時期に花が咲くので、北風の当たらない場所を選んで植える。

1月から2月頃に芳香のある黄色い花が咲き、花が終わると✫花床が大きくなって長さ3cmほどの長卵形の偽果になる。

✫花床(かしょう)とは花托の事で、頭花の小花をつける所で、花弁や雌しべ、雄しべなどを支えている部分のこと。


偽果の表面は木質化し、先端には雄しべなどが残り、中には✫そう果が5〜20個入っている。

✫そう果とは単純で乾いた果実の一種で、熟してもこの実は開かない。


他の花に先駆けて花が咲くので、庭木や花材として珍重される。

                                 「ロウバイ」

代表品種

ソシンロウバイ、マンゲツロウバイ、トウロウバイ


                               「ソシンロウバイ」


                             「マンゲツロウバイ」


                              「トウロウバイ」


生育環境

移植を嫌うので植える場所をよく選んで植栽します。

植え付け移植時期は2月から4月と11月から12月が適しています。

古株になるとヒコバエが発生しやすくなり、樹形を乱すほか樹勢が衰える原因にもなるので、早めに切り取ります。

せん定は1月、4月、10月から11月頃で強せん定はしない。

自然樹形でよく、花つきが悪くなった古枝を根元から切り取ります。

害虫

アブラムシが発生することがあります。

早めに発見して駆除するためには、日頃からアブラムシの寄生しやすい葉の部分を中心に観察します。

駆除には薬剤のスミチオン乳剤1000倍液を使い、主にアブラムシが寄生する葉の部分や幹、枝にも散布します。

肥料

1月から2月頃に堆肥を主として、少量の過リン酸石灰を混ぜ、株周りに穴を掘り埋め込みます。

目安として、堆肥2〜3kg過リン酸石灰200〜300g以内


追肥として、5月から6月と9月に油かすに化成肥料を混ぜ、株周りにばら撒きします。

目安として、油かす500〜1Kg化成肥料500g


殖やし方

接ぎ木、3月に行う。
植え替え時期は翌年3月に行う。

株分け、3月に行う。
株分けして鉢上げしたものの、植え替え時期は9月から10月に行う。

ロウバイの効能

数多くの薬効があり、生薬名を蠟梅花(ろうばいか)と言い、花、つぼみを用いた薬です。

ロウバイにはアロマ効果もあり、精神の安定作用や空気の浄化など免疫を上げる効果もあると言われています。

香りを放つことから香水や化粧品の香料としても利用されるなど、様々な利用がなされている。









2021/06/05

マルメロ No,487

 マルメロ バラ科  落葉樹

原産地=アジア中西部

別名=セイヨウカリン、カマクラカイドウ
マルメロ属はマルメロのみ1属1種である。

名前はポルトガル語のmarmeloに由来する。

マルメロの歴史は古く、ヨーロッパを中心に栽培されていました。

日本には1634年寛永(11年)に中国から長崎に渡来したという記録がある。

以降、各地で栽培され民間療法に用いられてきた植物です。

マルメロ生産のトップはトルコで、日本国内の生産地は長野県諏訪地方で、全国シェアは90.2%を占めている。


カリンとほぼ同じく耐寒性が強く、本州中部の高冷地から関東より北の東北地方に多く栽培される。

地方によってはマルメロとカリンは混同されているが、カリンとマルメロを比較すると、カリンは樹高が高く、葉に鋸歯があり果実の表皮に毛がありません。

実を採る目的では、東北地方南部から以西で栽培され、乾燥気味の所を好みます。

在来種の他に、スミルナ、オレンジ、チャンピオンの品種があるが、市販の苗では区別ができない。




生育環境

日当たりがよく、夏に通風のよい土層の深い排水のよい場所を好みます。

高木性で移植は難しいので、植え付ける時には場所をよく選ぶ必要があります。


植え付け

植え付けは12月から3月に行います。

植え穴は大きく掘り、腐葉土と堆肥を多めに埋め込み、水はけと保水を良くして乾燥を防ぐことが大切です。


人工授粉

自家受粉する植物ですが、実どまりを良くするために筆で人工授粉をします。

開花時期は4月から5月頃で、結実時期は10月から11月頃です。


肥料、施肥

実のなる成木でもあまり多く与える必要のない果樹です。

元肥には、実をよくつけるために鶏ふんとリン酸カリ肥料を主として、冬期の12月から2月に株周りに埋め込みます。

チッ素は与えないようにします。

せん定

主幹仕立てに向く果樹なので、樹高2.5〜3㍍くらいに仕立てます。

使用する苗は接木苗にします。

植え付け後一年目の冬には、50〜60cmで先端を切ります。

2年目の冬には主幹になる枝を2〜3本残し、上部の枝を約3分の1切り詰めます。

3年目の冬には新梢を切り詰め、不要な枝を切り落として樹形を整え始めます。

四年目以降には樹幹によく日が当たるようにせん定して、風通しをよくします。

不要な枝を切り結果母枝を残すようにせん定します。

翌春には伸びた一年枝に開花、結実します。

樹勢が強いので幼木の時から、新梢を切り低木に仕立てる方がよい。

実を採る目的では、主幹仕立てかホウキ仕立てが適している。


病気

黒星病が発生します。
春から秋にかけて葉の裏側に丸い毛羽立った病斑ができ、次第大きく広がり変色して穴が空きます。

予防を兼ねて春からジマンダイセン500倍液、パイレントン水和剤1000倍液を月に2〜3回、葉全体を中心に散布し駆除します。


マルメロの利用

マルメロはカリンと同じく、風邪予防や咳止めなどの効能があるとされ、生のままでは渋くて食べられないので、ハチミツ漬けやマルメロ酒などにします。

ジャム、シロップ煮などにして食べますが、しっかりと熟している方が香りも強いので十分に熟したものを使います。