緑のお医者の徒然植物記

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2021/06/05

マルメロ No,487

 マルメロ バラ科  落葉樹

原産地=アジア中西部

別名=セイヨウカリン、カマクラカイドウ
マルメロ属はマルメロのみ1属1種である。

名前はポルトガル語のmarmeloに由来する。

マルメロの歴史は古く、ヨーロッパを中心に栽培されていました。

日本には1634年寛永(11年)に中国から長崎に渡来したという記録がある。

以降、各地で栽培され民間療法に用いられてきた植物です。

マルメロ生産のトップはトルコで、日本国内の生産地は長野県諏訪地方で、全国シェアは90.2%を占めている。


カリンとほぼ同じく耐寒性が強く、本州中部の高冷地から関東より北の東北地方に多く栽培される。

地方によってはマルメロとカリンは混同されているが、カリンとマルメロを比較すると、カリンは樹高が高く、葉に鋸歯があり果実の表皮に毛がありません。

実を採る目的では、東北地方南部から以西で栽培され、乾燥気味の所を好みます。

在来種の他に、スミルナ、オレンジ、チャンピオンの品種があるが、市販の苗では区別ができない。




生育環境

日当たりがよく、夏に通風のよい土層の深い排水のよい場所を好みます。

高木性で移植は難しいので、植え付ける時には場所をよく選ぶ必要があります。


植え付け

植え付けは12月から3月に行います。

植え穴は大きく掘り、腐葉土と堆肥を多めに埋め込み、水はけと保水を良くして乾燥を防ぐことが大切です。


人工授粉

自家受粉する植物ですが、実どまりを良くするために筆で人工授粉をします。

開花時期は4月から5月頃で、結実時期は10月から11月頃です。


肥料、施肥

実のなる成木でもあまり多く与える必要のない果樹です。

元肥には、実をよくつけるために鶏ふんとリン酸カリ肥料を主として、冬期の12月から2月に株周りに埋め込みます。

チッ素は与えないようにします。

せん定

主幹仕立てに向く果樹なので、樹高2.5〜3㍍くらいに仕立てます。

使用する苗は接木苗にします。

植え付け後一年目の冬には、50〜60cmで先端を切ります。

2年目の冬には主幹になる枝を2〜3本残し、上部の枝を約3分の1切り詰めます。

3年目の冬には新梢を切り詰め、不要な枝を切り落として樹形を整え始めます。

四年目以降には樹幹によく日が当たるようにせん定して、風通しをよくします。

不要な枝を切り結果母枝を残すようにせん定します。

翌春には伸びた一年枝に開花、結実します。

樹勢が強いので幼木の時から、新梢を切り低木に仕立てる方がよい。

実を採る目的では、主幹仕立てかホウキ仕立てが適している。


病気

黒星病が発生します。
春から秋にかけて葉の裏側に丸い毛羽立った病斑ができ、次第大きく広がり変色して穴が空きます。

予防を兼ねて春からジマンダイセン500倍液、パイレントン水和剤1000倍液を月に2〜3回、葉全体を中心に散布し駆除します。


マルメロの利用

マルメロはカリンと同じく、風邪予防や咳止めなどの効能があるとされ、生のままでは渋くて食べられないので、ハチミツ漬けやマルメロ酒などにします。

ジャム、シロップ煮などにして食べますが、しっかりと熟している方が香りも強いので十分に熟したものを使います。







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