緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/06/16

セイヨウミザクラ No,498

 セイヨウミザクラ「 西洋実桜」

別名=オウトウ「黄桃」サクランボ

ヨーロッパ、北西アフリカ、西アジアに自生する。

サクラ属の植物でサンランボの名で知られている。

果樹のサンランボの品種の多くがこの種に由来する。


日本へは明治時代の初め頃に渡来し、主に東北から中部地方にかけて栽培されています。

ドイツやスイスなどヨーロッパ中部の乾燥した地方では、果樹を兼ねた庭木として建物や芝生の脇によく植えられています。

枝が広がるのでゆとりのある場所を選んで植える植栽します。




主な特徴

樹高は20㍍ぐらいまで生育し、幹は直立か、やや屈曲して枝を広く伸ばします。

4月から5月頃、短枝の葉腋から散形花序を出し、白色の五弁花を2〜3個ずつ開花します。

葉は互生し長さ10〜15cm、縁には細かく鋸歯があります。

直径2cm前後の果実が実り、果実の色は品種により様々です。

基本樹形

自然樹形を基本に高さは管理しやすい3〜5㍍前後に抑えます。

生長は早い方ですがサクランボの特徴として、太い幹を切ると腐れることがあるので注意します。

植え付け時期は12月から3月頃です。


生育環境

日当たりが良い場所で、水はけの良い土壌が最も適しています。


収穫期に雨が少ない事が大切で、山形などが産地となっているのはこうした気候上の理由もあります。


結実

自花不和合性の性質があるので、結実には他の品種の花粉を人工授粉(4月上旬頃)する必要があります。


代表品種

ヨーロッパ系オウトウは大木になり甘果種。

この他に実つきがよく黄紅色の日本で栽培されている、主な品種のナポレオン、黄玉(きだま)その掛け合せのサトウニシキ、高砂、ビングなどがある。

酸果種には酸味が少なく実の小さなメテオール、ノースターがある。

中国オウトウは木が小柄で開花時期が早く、九州地方では観賞用や庭木として植えられる。

木の性質上、東京近郊では栽培が難しいとされる。


肥料(施肥)

有機質に鶏糞を混ぜ、チッ素分の少ない化成肥料かまたは、過リン酸石灰、硫酸カリを少量混ぜて元肥として株周りに埋め込みます。

収穫後は追肥として、化成肥料を株周りにばら撒きます。


病気

灰星病(果実を腐らせる)
ロブラール水和剤かベンレート水和剤2000倍液を散布します。

害虫

アメリカシロヒトリ、ケムシ
葉を食害するので、春から秋まで注意する必要かある。

アメリカシロヒトリやケムシの防除には、害虫がふ化して集まっている幼齢期に、ディプテレックス1000倍液やスミチオンを散布します。

ハダニ
葉に寄生して吸汁する。
高温と乾燥を好みます。

ハダニ類にはケルセン2000倍液を春から夏にかけて、月に1〜2回散布します。

晴天続きで雨の少ない時に葉水をかけてあげることも大切です。

カイガラムシ
幹や枝に群生して酷い時には幹が白っぽく見えます。

カイガラムシやアブラムシの予防には、冬期に機械油乳剤30倍液を散布します。

カイガラムシやアブラムシは木の幹や枝に寄生して、木の養分を吸い取る吸汁性の害虫ですので、早期に発見して駆除する必要があり、樹勢が衰えるばかりか実に養分も回りにくくなる悪影響があります。

被害を受けた枝や葉、落葉など集め処分します。

病原菌や害虫の卵などの越冬を防止ができる事と、来年の再発の原因を根本的に除去することができます。


サクランボの主な効能

高血圧予防、動脈硬化予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、貧血予防、眼精疲労、視力回復などに良いとされる。






2021/06/15

キングサリ No,497

 キングサリ マメ科 「金鎖」

別名=キバナフジ「黄花藤」
落葉性小高木

ヨーロッパの中央部でスイスやフランス、オーストリアなどの山地に自生しています。

寒さに強く日本では沖縄などの暖地を除いて植栽できます。

特に自生地と同じ石灰岩地に向いています。

花の姿から「キバナフジ」と言う別名があるが、豆の仲間で有毒(アルカロイド)の植物です。

日本には明治時代に渡来したとされ、古くから紫色は高貴な花とされていた事から、キングサリよりもフジの花が注目されていたようである。





開花期

葉が展開した後の5月から6月頃、枝先に近い葉腋から長さ数十cmの総状花序が下垂して、黄色の花を咲かせます。

品種によっては花序の長さが50cmぐらいになるものがありますが、日本では20cm前後が中心です。

葉は互生で奇数羽状複葉で小葉は全縁です。
秋には鮮やかな黄葉が楽しめます。

果実

フジやエンドウなどマメ科の植物に共通した形態の果実で、長さ数十cmの豆果が実り中に種子があります。

主な類似種

レダン
地中海沿岸に自生する高さ2〜3㍍の低木で、7〜8月に枝先から総状花序が垂れて黄色の花が咲きます。

植栽環境

日当たりは木漏れ日が当たるくらいでも大丈夫です。

乾燥には強い方ですが、夏の西日が当たるような場所は避けます。

初夏の黄色い花は洋風や明るい雰囲気作りに適しています。

花壇の脇や庭園の入り口、縁取りなどに利用できます。

幹や枝にしなやかさがあるので、トレリスやエスパリエ、アーチ仕立てなどに適します。

エスパリエ仕立てとは

樹木の枝を柵や格子などに誘引し、薄い壁のような平面的な樹姿に仕立てたもので、果樹や緑化樹、つる植物などに多く用いられます。


トレリス仕立てとは

格子垣の事で、つる性の植物を絡ませたり、鉢を吊るしたりする。

通常は木、竹、または金属の織り交ぜられた物や交差した部分の開いた、フレームワークまたは格子から作られた建築構造の物。

「ラティス」というものがありますが実は同じものです。







2021/06/14

フジキ No,496

 フジキ マメ科 落葉高木

別名=ヤマエンジュ 絶滅危惧種Ⅱ類

中部地方以西の山地に稀に自生する。

日本海側の分布は若狭湾までとされる。

樹高は10㍍以上になることがあり、フジに似た花をつけることからフジキの名がある。

幹は直立または、やや屈曲して枝を広げます。
よく似たものにユクノキがある。




開花期

5月から6月頃、枝先から複総状花序をだして、フジに似た白い花をたくさんのつける。

葉は互生し、長さ20 〜30cmの奇数羽状複葉で小葉は9〜13枚、小葉は長さ4cm程で全縁です。

冬芽が葉柄に包まれて見えない事が特徴の一つです。

果実

秋に長さ5〜9cm程の豆果が褐色に熟し、中に数個の種子があります。

生育環境

半日以上の日当たりがあり、水はけの良い場所に適しています。

風当たりが強い場所や潮風が当たるような場所は避けます。

庭木としての利用が少なく、また入手しにくい樹種です。

せん定

自然樹形を生かし、枝が混み合うときは枝抜きを行ない、伸び過ぎる枝は切り戻します。

繁殖は実生により殖やします。






2021/06/13

アカメガシワ No,495

 アカメガシワ トウダイグサ科

別名=ゴサイバ 「赤芽柏、赤芽槲」
落葉高木

本州、四国、九州、沖縄、中国などに分布している。

北海道南部以南まで植栽できる。

名前に由来は、春先に出る新芽(アカメ)が紅色なことからこの名があり、別名のゴサイバは「五菜葉」の意味で、昔は飯盛り用に利用されていたことに因んでいる。

山地の荒れ地、崖地や崩壊地など、やせ地などに早く侵入し生殖する。

この性質から明治時代には、東京の街路樹に選ばれた事がある樹種であったが、樹形がまとまりにくい事もあって、現在では利用されていない。




やや湿り気があり日当たりの良い場所を好むので、川岸や原野、林縁などに多く自生する。

雌雄異株で、大きなものは樹高15㍍に達するものもある。

遅くまで葉は緑色を保っているが、晩秋には鮮やかに黄葉する。

生育環境

葉が大きくまた、枝が比較的粗くて樹形をまとめにくい事から、単植での利用はほとんどありませんが、広い場所であれば落葉樹類を中心とした植栽に利用できます。

また、砂質土などの痩せた場所や斜面地、水流沿いなどにも適しています。


せん定

自然樹形を基本に樹高を3〜5㍍程度に保ち、樹形が広がり過ぎないように長く伸びた枝を切り戻します。

繁殖は実生や挿し木で殖やします。


アカメガシワの効能

様々な効能がある。

消炎鎮痛薬として、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃酸過多、胆石症、腫れ物などに用いられます。

民間では、樹皮よりも赤い新葉と新芽、赤い葉柄の干したものを煎じて服用した方が、胃がんや胃潰瘍に効き目があるとされている。


動物実験でも胆汁分泌促進、潰瘍の予防に効果があると認められている。

アカメガシワは樹皮の部分に有効成分が含まれており、サプリメントや生薬など食用としても利用されています。





2021/06/12

東法田の大アカマツ伐採される No,494

 東法田の大アカマツ

日本国内最大とされた最上町の東法田地区にある大アカマツが10日に伐採されました。

古くから集落の人々より山神の御神木として、大切にされてきた大アカマツは、2018年5月頃から急激に樹勢が衰え始めたことが確認され、その原因はわからないとされた。

その後2019年8月に専門家による診断によって枯死相当との判断がなされ、2019年6月に枯死状態と認定され、天然記念物とされてきた指定を解除された。

樹勢の復活を願った人々の思いが届くことはありませんでした。

樹齢600年の大アカマツは最期を迎えたのであった。

10日に伐採された大アカマツは、ある程度幹周りが分かるように切り株が残されました。

町は今後切った幹を保管して、楽器などの他に活用法を探るとしている。



               「在りし日の大アカマツ」









2021/06/11

サワフタギ No,493

 サワフタギ ハイノキ科

別名=ルリミノウシコロシ、ニシゴリ
「沢蓋木」落葉小高木

北海道から九州、そして朝鮮半島や中国にも分布する。

沢などの水辺に生え、茂った枝が沢を覆い隠すように見えることからこの名がある。

山地の水辺や湿地に生え、高さが3㍍程になる。

庭木としての利用はあまり多くない。

花は葉が展開したあとで、5月から6月頃枝先に白色の小さな5弁花が多数咲きます。

「タンナサワフタギ」に似ているが、葉の鋸歯は細かくてあまり目立たない。

別名のルリミノウシコロシの名の、ルリとは球形の果実が熟すと藍色、実際は青味の強い瑠璃色になることに因んでいる。

ウシコロシはバラ科のカマツカの別名で、花や樹形が似ていることによると思われるが諸説ある。

また、木灰を紫根染めの媒染料とした事から、ニシゴリ(錦織木)の別名がある。




主な類似種

タンナサワフタギは関東地方以西に自生する。

葉の鋸歯がやや粗いことや、果実が黒く熟す点などが異なります。

樹形

自然樹形が基本で、枝が重なり合うような樹形に仕立てます。

花は短枝の先につき、樹高は2〜3㍍ぐらいが適当です。


植栽環境

日当たりは木漏れ日が当たるくらいでも大丈夫です。

湿り気がある場所に適しますが、水はけの良いことが大切です。

繁殖は実生で殖やします。


                               「サワフタギの盆栽」

盆栽としても利用される事が多くなった樹種である。