緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2023/10/22

カビ(菌類)によって起こる樹木の病気 No,662

 カビは植物の最大の敵

カビはPH2.0~8.5の広い範囲で生育し、細菌は大部分が中性付近のPHで最も生育する。

また、腐敗菌はPH5.5以下では生育が殆ど抑制される。


カビは人間の病原菌となることはあまりありませんが、植物の病原としては一番多いものです。

カビは酵素と言う強力な武器を持っているため、植物細胞の頑丈な細胞壁を溶かして侵入することができます。

カビは担子菌類と★子のう菌類に分けられますが、子のう菌と言うのはキノコの仲間で、★有性生殖によって担子胞子と言う胞子を作って増殖します。


★子(し)のう菌類とは、有性生殖によって子のうと言う袋の中に子のう胞子と言う胞子が作られるものの仲間です。

★有性生殖(ゆうせいせいしょく)とは、二つの異なる個体の生殖細胞が結合することによって、新しい遺伝子の組み合わせを作り出し、多様性を生み出す方法のこと。


カビによる病気は種類が多く、症状も斑点のできるもの、カビが生えるもの、枯れたり萎れたりするものと様々です。


♣斑点の形による病名


角斑病(かくはんびょう)
葉脈に区切られて多角形になる
ハナズオウ、ユウカリ

円星病(まるほしびょう)
円状の小さな斑点が多数できる
ナラ類、ソウジュ

褐色円星病
斑点が褐色のもの
クチナシ、カエデ

円斑病(えんはんびょう)
斑点が大きい円状のもの
アラカシ、コナラ

輪紋病(りんもんびょう)
病斑や子実体が同心円状
シンジュ、ポプラ類、ニセアカシア

斑紋病(はんもんびょう)
斑点の形や色が不鮮明なもの
クロバイ、ネズミモチ、シャシャンポ

葉枯病(ようこびょう)
セプトチス、ペスタロチア
葉先や葉の縁に大きくできるもの
クヌギ


穿孔(せんこう)病、穿孔褐斑病
斑点に穴のあくもの
サクラ、サクラ属樹木

斑点病
グミ、アオキ、ヒュウガミズキなど

葉斑病(ようはんびょう)
ツツジ、シャクナゲ


★斑点の色による病名

褐斑病=マサキ、カナメモチ、ケヤキなど

白斑病(はくはんびょう)=シャリンバイ、アラカシ

灰斑病=マサキ、ハコネウツギ

黄斑病(おうはんびょう)=ヤツデ

紅斑病(こうはんびょう)=ナンテン

白葉枯病(はくようこびょう)=マツ、クスノキ、イヌマキ

♣子実体の特徴による病名

◈子実体(しじつたい)とは、菌類において胞子が形成される部分が集合して塊状となったもの。

いわゆるキノコは大型でよく目立つ子実体である。

葉スス病
斑点の表面に黒いすす状につくもの
マツ

裏スス病
斑点の表面に黒いすす状につくもの
ヒメユズリハ

スス葉枯(ようこ)病
斑点の表面に黒いすす状につくもの
マツ、ナラ類、アラカシ

スス紋病
斑点の表面に黒いすす状につくもの
ブナ、イヌシデ

黒やに病
黒い光沢のある扁平な円状のものができる
ビロウ、ササ類

黒紋(こくもん)病
黒い光沢のある扁平な円状のものができる
カエデ、ヤナギ、モチノキ

白カビ葉枯病
斑点の表面に白い胞子の塊(かたまり)をつくる
クルミ

ゴマ色斑点病
黒いゴマ粒状の塊を密生する
ナシ科樹木


◉カビによるいろんな病気

病名  /発生箇所  /症状  /発生樹木

炭素病 /葉、枝に発生 /葉に灰白色の病斑、枝に黒い病斑、果実に黒い斑点ができ、広がって腐る /アオキ、アジサイ、コデマリ、サザンカなど

ソウカ病 /新葉や新梢、新芽に発生/はじめに円形の小斑点を生じ、やがて灰褐色になり、盛り上がってくる。
病斑が破れて葉に穴が開いたり、葉が変形したりすが枯れてしまうことはない。
/ヤツデ、ザクロ、アケビ、イチジク、クルミ、ウメ、ニンジンなど

トウソウ病 /新梢や葉に発生 /葉の中央に穴があく。白色の小斑点を密生したり、褐色や灰褐色のカサブタ状斑点をつくるもの、黒い斑点をつくるものなどある。 /ケヤキ、マサキ、コウゾ、ポプラ類、ヤツデなど

サビ病 /葉の表面、裏面、葉柄、幼茎、枝幹に発生 /黄橙色、またはサビ色の粉のようなものを多量に生ずる。
2つの宿主の間を往復して生活するものが多い。
/ビャクシンとナシ、クロマツとサンショウなど


モチ病 /新葉、花、芽に発生 /花や若葉の一部または全体が大きく膨らむ。
はじめ淡い緑色で光沢があるが、すぐに表面が白い粉に包まれる。
/ツバキ、サザンカ、ツツジ、シャクナゲ、クロキ


天狗巣病(てんぐすびょう) /幹、枝に発生 /幹や枝の一部からたくさんの不定芽をだす。
次に小枝が茂って小枝の塊ができる。
ウイルスによるものや、非伝染性の遺伝的突然変異によるものがある。
/サクラ、カンバ、ハンノキ


マツコブ病 /枝、幹に発生 /枝や幹の一部にはじめ豆粒くらいの膨らみができ、年毎に大きくなってコブになる。
コブの部分はもろく、害虫等が侵入しやすくなる。
サビ病菌の仲間により起こる。
/マツとブナ科の樹木のナラ、クヌギ、カシワなどを往復して生活する。


タフリナ病 /新葉、新梢、幼果に発生 /局部が肥大し、天狗巣ができたり、葉が縮んだりする。
患部の表面に白色または灰色の粉がつく。
鮮紅色(せんこうしょく)や黄色の場合もある。
やがて患部は褐色になり落ちたり、枯れたりする。
/ゼンマイ、ハシバミ、ハンノキ、スダジイ、モモなど

サクラ天狗巣病
タフリナ属の菌は高等植物の寄生菌で、寄生した植物の枝や葉に天狗巣病など様々な症状を起こす原因となる。

サクラ天狗巣病はカビの一種のタフリナ菌が原因で起こる伝染病で、ソメイヨシノはこの病気にとても罹りやすく、発病した枝を放置したままにしておくと花が咲かなくなり、やがて樹全体に広がり枯れてしまいます。

多くのソメイヨシノは、この病気によって寿命が短いという原因となっています。


葉ふるい病 /葉に発生 /針葉樹の葉に褐色の斑点ができ、酷いときは、葉の色が一見して悪いとわかる。
病気が進むと、病気の葉は枯れて落葉することから別名落葉病とも言う。
/アカマツ、クロマツ、モミ、ヒノキ、サワラ、アスナロ

リゾクトニア病 /多様だが主に地下部に発生 /植物の幼弱な時期や老衰期に侵す多犯。
地際部に茎腐れ、葉に病斑、根がしらや根の中央部が腐る。
茎が腐ったり芽が枯れたりする、その他、菌糸が絡みついたりする。
/広範で多様な植物、ラジノクローバー、ダイズ、トウモロコシ、イネ、サトウダイコン、ニンジン、ジャガイモ、樹木の苗、牧草類など

リゾクトニア属菌は、野菜類だけでなく普通作物、花木、牧草、材木などを侵します。

また、病原菌自身にも多くの系統があり、被害を受ける種類や病徴は複雑です。

野菜類では苗立ち枯れ病として、代表される病気です。

病原菌はカビで日本国内での問題の菌は、リゾクトニア·ソラーと呼ばれています。

リゾクトニア菌は、黒褐色化した古い有機物から栄養を取り、増殖することはほとんどできません。


新しい有機物のみから栄養を取って繁殖しています。








2023/10/21

樹木の五大病気⑤スス病 No,661

スス病

スス病は、アブラムシ類やカイガラムシ類などの吸汁性害虫の、排泄物を栄養として繁殖する病気です。





従って、アブラムシ類、カイガラムシ類のつく植物のほとんどに発生します。


主として葉に発生しますが、枝や幹に発生することもあります。

葉の表や裏、枝、幹の表面が煤(すす)を被ったように真っ黒になった植物を見たら、スス病だと考えてよいでしょう。

黒い煤のようなものは病原となるカビの菌糸です。

このカビに覆われると酷く汚れるので、美観が損なわれてしまいます。


スス病の発生している植物には、必ずアブラムシやカイガラムシ、キジラミ、コナジラミ等が寄生しています。


葉の裏や枝、幹を観察するとこれらの害虫が見つかるはずです。

一旦発生したスス病は、虫が寄生している間は症状が消えることはありません。


★発生しやすい植物

サツキ、ツツジ、シャクナゲ、ツバキ、サザンカ、カエデ類、ケヤキ、マツ類、カキ、ミカン、キク、ベゴニア類

その他、アブラムシ、カイガラムシのつく樹にはすべて発生します。


♣特徴

スス病は大変多くの植物に発生しますが、このカビは植物に直接寄生するものと、その植物に寄生しているアブラムシやカイガラムシなどの、害虫の排泄物を栄養として生活するものがあります。


ほとんどは害虫の排泄物を栄養として生活するものです。

4月~10月の害虫繁殖期に最も多く発生します。

また、温室などでは一年中害虫が活動できるため、冬でもスス病が発生する事になります。


虫についたスス病の場合、カビは植物体の表面を覆っていますが、布で拭いたり剥がしたりすると植物体は全く傷ついていません。


直接植物に悪影響を与えるとは言えませんが、あまり酷いと呼吸作用が妨げられる事になるので、薬剤による治療が必要となります。



◉予防対策

スス病そのものにはジネブ剤やチオファネートメチル剤、ダイセン、ダイファー、トップジンM等を散布すると効果がありますが、しかし効果は一時的でまたすぐに発生してしまいます。


根本的にスス病の原因となる害虫を駆除することが重要です。

害虫を退治しないと再発の恐れがあります。

害虫の排泄物を無くしてしまえば、スス病は自然に消滅して行きます。

害虫にはスミチオン、オルトラン、マラソン等を散布して害虫を駆除します。

冬の間には、冬期限定薬剤の石灰硫黄合剤を1~2回散布すると効果的です。


日陰で風通しが悪く、湿気の多い環境では害虫が発生しやすくなるので、混み入った枝を切り取ったり、落葉を集めて焼却したりして環境を良好にする。








2023/10/18

樹木の五大病気④褐斑病 No,660

 褐斑病(かっぱんびょう)

植物の葉に発生する病気のうちで、斑点性病害の中で最も代表的な褐色斑点性の病気です。

褐斑病は葉に褐色から黒褐色の班紋ができる病気の総称です。




斑点性の病気は病原菌の種類も多く、症状も様々なので病斑の色調や形によってたくさんの名前が付けられています。


褐斑病以外に、角斑(かくはん)病、黒点(こくてん)病、白星(しらほし)病、赤星(あかほし)病などがあり、葉に茶色から黒褐色の班紋ができていたら褐斑病と考えられます。


たくさんの植物に発生する褐斑病は、菌の種類も様々ですがほとんどの病原菌はカビです。


発生する時期は4月~10月で、特に6月くらいの温度の高い高温多湿時に多く発病します。


病状の進め方は、はじめは葉に褐色から黒褐色の小さな斑点が生じ、これが次第に大きくなり五ミリくらいの病斑に拡大します。

病気が進むと樹の下の方から葉が枯れ、落葉することもあります。


♣発生しやすい植物

アオキ、ツツジ類、バラ、ボタン、カイドウ、カキ、ナシ、リンゴ、キク、ケイトウ、コデマリ、シャクヤク、ハイビスカス、ホウセンカ、ライラック、アスパラガス、エンドウ、キュウリ、シソ、レタス、ノギク類など他多数

★特徴

黒斑病と症状が似ていますが、発生する時期も対策も一緒なので間違えても問題ありません。

どちらかと言えば、病斑の縁が曖昧なのが褐斑病で、はっきりしているのが黒斑病と覚えておけば間違いないでしょう。


病原菌は病葉(わくらば)の上で越冬し、雨で伝染します。

連作したり管理が悪く、不要なものを植えたままにすると発病しやすくなるので注意します。

また、湿度が高いと発病しやすくなります。



★予防対策

病葉を発見したらすぐに摘み取り焼却処分

古株でもう必要がないものは冬の間に処分し、鉢植えの用土は新しいものにします。


じめじめしていると発病しやすいので、剪定をして風通しを良くし、陽がよく当たるようにする。


感染の初期はダイセンやマンネブダイセン液等を10日おきに2~3回散布しておきます。


水媒感染を起こすので水やりのとき、葉に直接水をかけないようにきをつける。








2023/10/16

再開発が招く都市部高温化(神宮外苑問題) No,635

ヒートアイランド(都市部高温化)

神宮外苑問題 


人々が快適な生活を送る上で、樹木の果たす役割は大きなものがあります。

大気中の二酸化炭素を酸素に変えて、空気をきれいにしてくれるだけではなく、美しい景観で人々の目を楽しませ、心を豊かにし、生活に潤いと活力を与えてくれる存在です。

人々は樹木の重要性を昔から深く理解して、これまで樹木の生育にとって理想的な環境作りを進めて来ました。

しかし近年、公共施設開発などのために、自然環境を維持してきた森林帯まで切り拓く計画がなされ、豊かな自然が失われようとしています。



1000本近い樹木の伐採計画がある明治神宮外苑地区の再開発について、東京都知事(現、小池百合子)をはじめ東京都は、「新たな植樹などで緑は増える」と繰り返し説明している。

この地区の樹齢100年級の巨木が切られ、代わりに植えるのは若木のため、木の本数は増えてもボリュームは減り、緑の質(機能性)は大きく変わってしまいます。


地球温暖化が叫ばれる中、記録的な猛暑が続くと気温上昇は避けられません。


専門家からの反発する声が上がるのは当然です。



★引用、転載
中央大の石川幹子教授が調べた結果、伐採される可能性があるとされる樹木(上写真)

2022年4月13日
東京都新宿区霞ヶ丘町
大林太一撮影



大木を切り倒し、より多くの植樹をしたとしても、100年の大木と若木では樹木の冷却効果のレベルは全く違うものになり、緑の持つ効果は増えるどころか確実に損なわれることは間違いないことでしょう。

木陰は直射日光を防ぎ、夏場のアスファルトの路面温度は50度を超えることもあるが、木陰では20度程下がります。

さらに樹木は、表面が温められると葉から水蒸気を放出し、その際に周囲の熱を奪う特性があります。

このような樹木の性質がヒートアイランドの緩和に役立つのです。

木が大きい方がその効果も大きくなるのです。


★ヒートアイランドとは、都市部の気温がその周辺の郊外部に比べて高温を示す現象で、都市化が進むほどヒートアイランドも強くなり、高温の長時間化や高温域の拡大が起こる。


   「ヒートアイランド現象」


新しく植えた若木が、現状の木と同じ冷却効果を発揮するのは100年後とされる。

神宮外苑の再開発では高層ビルを建てる計画で、コンクリートは熱をため込み、ビルの空調設備の排気熱などで都市部を温めるため、ヒートアイランドの一因となる。


これは天然のクーラーを減らし、ストーブを作るようなものであり、樹木の自然機能破壊の何物でもない。


植物の葉は二酸化炭素を原料として、糖と酸素を作り出していることは多く知られていることだろう。


人や動物は酸素を吸収して二酸化炭素を吐き出して生きています。

また、糖は全ての生命が活動するためのエネルギーになります。

植物の葉は、地球上で動物が生きて活動していくために最低限必要な条件を作り出すと言う、大変重要な働きをしているのです。

植物と動物の共存は必要不可欠なことなのです。



樹木の減少は自然界でも温暖化を招き、植物は衰退していく。

やがて荒野となる事にも繋がって行くのです。



多くの樹木を伐採するなどの問題がある、明治神宮外苑の再開発について、周辺住民ら59名が東京都に対し事業認可取り消しを求めるいる。


神宮外苑訴訟の第1回口頭弁論が6月29日、東京地裁で行われた。



「訴訟の報告集会で報告する原告ら」

原告らは小池百合子知事に対し、本当に適切な基準に従って認可したのかと問うている。


★明治神宮外苑の再開発では高さ3㍍以上の樹木1904本のうち、743本が伐採されるほか、256本が移植される計画です。


オンライン署名
https://chng.it/xh28gMHpQS


◉神宮外苑問題 ブログで発信
漫画家 ちばてつやさん




2023年10月16日しんぶん赤旗より抜粋


ちばてつやのブログ
『ぐずてつ日記』



♣サザンオールスターズ「Relay~杜の詩」




波紋が広がっている明治神宮外苑の再開発。

故·坂本龍一氏や村上春樹氏などの著名人が疑問を呈し、見直しを求める署名も多く集められている。

この動きに「サザンオールスターズ」も反応。

シングル「Relay~杜の詩」が話題を呼んでいる。




坂本龍一氏からインスパイアされたと明かした桑田佳祐さん。

未来を★憂う時代に 身近な場所で何が起こってるんだ?

★麗しいオアシスが

アスファルト·ジャングルに変わっちゃうの?

そんな内容の歌詞は痛烈と言えるだろう。




★憂う(うりょう)の意
思い悩んだり、心配すること、特に将来や行く末などのことが気掛かりである場合などに使われる言葉で、「愁う」とも書く。

★麗しい(うるわしい)の意
よく整って美しいこと








2023/10/15

樹木の五大病気③白絹病 No,659

 白絹病(しらきぬびょう)

病原菌学名=Corticium rolfsii Curzi

苗木や幼木の株の土と接している地際部や、株の近くの地表に白い糸状の菌糸が発生し、はじめ褐色の水浸状に変色する。




腐敗が進むにつれて黒褐色となる。

病気にかかった株の地上部の上部全身の枝葉は生気を失い、水が滲んだようになって腐って枯死する。

やがて、地際部やその近くの地表に小さな粒がたくさんできます。

これは菌糸の塊(かたまり)で菌核といい、地中に侵入して次の年の発生源となります。


病原菌は担子菌類に属する糸状菌(カビ)の一種で、極めて多くの木本、草木植物を宿主とする多犯性の病原菌である。

この病気の菌核は、発生適温が30~35度を示すように厳しい環境に耐えることができます。


菌核は土中で長期間潜伏し、新たな株が植えられると次々に感染を引き起こして行きます。


また、病患部に形成された子実層からは胞子を飛散させて、風媒伝播も行い、未分解有機物を栄養源として繁殖し、やがては健全植物に感染していく。


この病気は酸性土壌で、夏期高温時(6月~8月)の降雨の後などに発生が多い傾向があり、排水不良地や連作地で多発して激しい被害となる。


◉予防対策

病気になった株を発見したら、なるべく早く根の周りを土ごと抜き取って焼却処分する。

菌核が長く生存して伝染源となるので、菌核や被害残渣は残らず集めて焼却することが重要です。

病原菌核は地表面の比較的浅い部分に潜伏しているので、土壌の天地返しによって、地表面の菌核を土中深く埋没して死滅させます。

5月~10月に一回、PCNB剤(アースサイドなど)を土壌に混ぜたり、5月~6月から9日おきにメプロゾリン(バシタック水和剤)の水和剤等を10回ほど土壌に注入する。


病原菌に侵された土壌は、土壌消毒剤のクロルピクリン剤又はダゾメット剤などの、ガスくん蒸剤で土壌消毒を行う。

また、灌水(かんすい)可能な場合は、2~3週間灌水状態(水を注ぎ溜めた)に保つと、土中の病原菌はほとんど死滅に至り有効である。


なるべく連作を避け、鉢植えの植物は用土を7月~8月に太陽熱で消毒を行う。


★関連ブログ記事
糸状菌とは何?No,557








2023/10/10

樹木の五大病気②うどんこ病 No,658

 うどんこ病

うどんこ病は春や秋に様々な植物で、白いカビが新芽や若葉、茎などの表面や裏面にうどん粉をまぶしたようにびっしり生える病気の総称です。






病気が進むと、葉が変形、ねじれたり小さく萎縮したりします。

植物によって病原菌が異なりますが、似たような症状がでます。

病原菌の種類や感染した植物の違いによって、カビが葉の表面だけにつくもの、厚くて褐色の絨毛状(じゅうもうじょう=微細な突起)のもの、厚くて紫褐色(しかつしょく)の膜がつくものなどがあります。


胞子の発生する適温は17~25度で時期的には5月~7月と9月~11月が発生しやすい時期と言えます。

植物によっては違いますが、高温(20度前後)多湿を好み、4月から10月に発生することが多い。


日陰になった株に発生が多く、病気にかかった葉(羅病葉)は、比較的長く樹上に着生する。

病葉上の無性胞子(分生子)がそのまま越冬して、翌春の伝染源となる。

◉分生子(ぶんせいし)とは、菌糸の一部が伸び、その先がくびれてできる特別な胞子で分生胞子とも言う。

その形成の過程は体細胞分裂による。

また、分生子のみで繁殖する菌類を不完全菌と言う。

常緑樹のうどんこ病では「子のう果=子実体」を作らずに、白い菌糸のままで越冬するマサキやウバメガシなどがあります。

★子実体(しじつたい)とは、菌類が胞子形成のために作る複合的な構造のこと。


病原体の種類はたくさんあり、そのほとんどがカビですが、カビの種類によって寄生する樹種が決まっている。

そのカビは特定の植物にしか感染しないものと、ジニアの病原菌のように様々な種類の植物に感染するものがあります。

どの植物につくカビも「活物寄生菌=かつぶつきせいきん」と言って、生きている植物しか寄生しない。

うどんこ病菌は植物体の表面でしか繁殖できないので、枯れた植物の上では生きられません。


感染経路は空気による感染がほとんどで、一部は虫媒感染による場合もある。


発生しやすい植物

ほとんどすべての庭木、花木、草花、山野草。

家庭果樹ではカキ、クリ、ブドウ、モモなど。

鉢植えではキク、シャクヤク、スイートピー、ダリア、ベゴニア類など。

野菜類のエンドウ、オクラ、カボチャ、キュウリ、トマトなど多数。


基本的対策

落葉樹では病気の葉が落葉したら集めて焼却処分することで、翌年の伝染源を断つ。

常緑樹は子のう果が越冬している病葉を摘んで焼却処分します。

薬剤処理ではチオファネートメチル剤、ベノミル剤、キノキサリン系剤、TPN剤、水和イオウ剤などを散布します。


予防

チッソ分が多くカリ分が欠乏すると発生しやすいので、チッソ肥料を少なめにカリ肥料を多めに与えます。

樹木では冬期の1月から2月に石灰硫黄合剤を1~2回散布し予防する。