植木がよく育たない、枯れる
庭に植えた樹木がよく育たない、枯れてくるという場合は、主に4つの原因が考えられます。
①栽培環境の不適
樹種が庭の環境に適していない。
樹木は、基本的には環境の変化に対する適応力がありますが、高山性の植物を平地で育てたり、暖地性のものを寒地で育てたりする場合などは特に注意が必要です。
花木に比較的このようなケースが多く見られます。
それぞれの樹種に合った温度、乾燥に対する適性、空気の汚れや土壌などを調べて、植える樹種を選ぶことが大切です。
すでに植えているものは、できるだけ自生地の環境に近づくように、管理する必要があります。
②肥料の与え過ぎ、石灰の与え過ぎ
速効性の肥料を一度にたくさん与え過ぎると、葉が黄色く変色したり、ひどい場合は徐々に枯れてくる場合があります。
✿速効性のある主な肥料として
硫酸アンモニア、硝酸アンモニア
石灰窒素、IB窒素、過リン酸石灰
熔成リン肥、塩化ナトリウム
魚かす、他、やや速効性の尿素(ウレア)などがあります。
シャクナゲ、ツツジ、サツキなどの根が細い浅根性(せんこんせい)の樹種の場合は特に注意が必要です。
また、ツツジやサツキ、カルミアなど微酸性を好む樹種は、土壌改良に使う石灰(アルカリ性)を嫌います。
基本的には、これらの樹種を植える用土に石灰を与えると、速効性肥料の与え過ぎと同様の症状を起こすことになります。
③土の中の害虫
土の中で害虫に冒(おか)されているのが原因で、樹勢が弱ってくることがあります。
コガネムシの幼虫は、放っておくと重要な細根を全部食べてしまうので要注意です。
例えば、鉢植えで引っ張っただけで抵抗なく植木が抜けてしまう場合は、コガネムシによる根の食害が考えられます。
ひどい場合は、一見健康そうな樹木が強い風が吹いただけで、倒れてしまうこともあります。
イヌマキ、ネムノキ、サクラなどはコガネムシの成虫がよく集まり、産卵するので注意が必要です。
その他の樹種でも近くにコガネムシを見つけたら、幹の周辺にダイアジノン粒剤やオルトラン粒剤などを撒いて防除します。
防除は、産卵期の6月下旬から7月にかけて行うと効果的です。
また、同じ場所に同一種の樹木を繰り返し植え付けていると、これも細根を食い荒らすネグサレセンチュウが発生しやすくなるので注意が必要です。
その他に、幹に穴を開け樹幹内に入るテッポウムシ(カミキリムシの幼虫)にも注意が必要です。
はじめは樹皮の近くを食べていますが、次第に中の方に侵入して、幹の中まで食い荒らして大木を枯らしてしまうこともあります。
幹の株元表面に白い粉状のフンが見えたら、テッポウムシに食害されている証拠です。
食い入った穴を見つけたら、針金を中に突き刺して殺すか、オルトランなどな殺虫剤をスポイトで穴に注入して、入口を粘土などで塞ぎます。
卵が孵化する7月頃が処置の適期です。
④下層の土の状態が悪い
都会の庭などでは、土の下層全面にコンクリートの破片が混じっていたり、砂利混じりの土を埋めて突き固めている場合があります。
このような場合は、根の部分が乾燥しやすく、葉が黄色くなる原因になります。
幹周りに敷きワラをしたり、水やりの回数を増やして乾燥しないようにします。
逆に、水田を埋め立てた住宅地やコンクリート、アスファルトで固めた地盤に土を覆った住宅地では、水はけが悪くなり、根腐れなどを起こしやすくなります。
コンクリートが下層にある地盤では、根が必要以上に下まで伸びきれず、生育不良になることもあります。
このような場合は、排水溝を設けて水はけを良くしたり、太い鉄棒などを数箇所に打ち込んで、コンクリートの盤層を破って根が入り込めるようにする必要があります。