ムベ アケビ科
郁子、野木瓜 別名=トキワアケビ
不老長寿の果実と言われる。
朝廷に献上した大贄が語源でオオニエ⇒オオムベ⇒ウムベ⇒ウベ⇒ムベと転訛したものとされる。
大贄(おおにえ)とは、朝廷に献上するその土地の産物を言う。
果実が昔は貴重な山の幸であったことが伺える。
また、アケビに似て常緑なので『トキワアケビ』の別名もある。
❉ムベの歴史、名前由来
ムベの歴史は、天智天皇(てんぢてんのう=西暦626〜672年)が狩猟で蒲生野(がもうの、現在の滋賀県東近江地域)を訪れた際に、長命な老夫婦に出会い、長寿の秘訣を訪ねたところ、これを食べているからですと老夫婦が手渡したムベを食べ、「むべなるかな」もっともだとおっしゃったことが由来とされています。
ムベは、皇室献上品のひとつとされ、天智天皇ゆかりの霊果とも呼ばれています。
ムベの実は現在でも皇室に献上されています。
ムベは古くから知られていた果実で、918年頃に書かれた「本草和名」にムベの名が初めて出てきます。
本草和名(ほんぞうわみょう)とは、平安前期にできた日本現存最古の薬物辞典である。
大医博士=深根輔仁(ふかねすけひろ)著
自生は暖地の山地の林縁や原野などに生える。
関西以西が自生地の暖地性植物ですが、耐寒性が強いので北海道を除く全国で庭植えができる。
熟してもアケビのように果実が口を開かないのが特徴。
ムベは常緑樹で果実は開かない、アケビは落葉樹で果実が開く。
雌雄同株で、一本の枝に両性の花が4月頃に咲き、9月下旬から11月頃にかけて暗紅色で大形の果実が結実します。
「ムベの花、4月4日撮影」
果肉は白く甘味があり生食できます。
昔から縁起木として知られ、長命、延寿、富貴を表す樹木とされています。
葉は最初単葉ですが、成長に連れ3枚、5枚、7枚と増えていき、最後に結実することから、七五三の祝い木とされています。
茎や根は利尿剤や強心剤として利用される。
栽培適地
日当たり、水はけの良い場所が適地で、土層が深い肥沃地を好みます。
鉢植えは赤玉土5、腐葉土4、川砂1の混合土に植え、日当たりと風通しの良い場所へ置いて管理します。
浅根性なので盆栽仕立てにもできます。
肥料
1月から2月、根周りに配合肥料を100gぐらい薄く撒き、浅く土壌にすき込んでおきます。
鉢植えは、3月に玉肥を3〜4個置肥します。
収穫時期は9月頃から11月頃
せん定
棚仕立てや垣根仕立てなどにして、毎年混み過ぎた枝を間引きせん定し、古い枝は切り詰めて新しい枝を出させます。
生長の良い新梢は年に15mも伸びるので、長くなり過ぎたら6月から7月にもう一度、軽く切り詰めせん定を行います。
鉢植えは模様木仕立てにしますが、切り詰めせん定で樹形を作り、成木になったら毎年根を切り詰めて、短枝を多く出させるようにすると開花結実します。
病害虫対策
葉表や葉脈などに黒点のできるさび病が発生します。
春と秋にダイセン水和剤500倍液を散布して予防します。
混み合って風通しが悪くなると、カイガラムシが発生します。
見つけ次第ヘラなどで剥がして駆除、混み合った枝を間引きせん定し、風通しを良くします。
発生量が多い場合では、冬期に石灰硫黄合剤を散布して駆除します。
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