マツの害虫
カミキリムシの幼虫(テッポウムシ)が媒介する、マツノザイセンチュウによる被害
樹幹に穿孔した穴が見つかったら、テッポウムシが潜入した穴です。
穴の中の木くずや虫糞を取り除いて、注射器や油差し、スポイドなどで穴から薬剤が溢れるまで注入します。
その後、穴はパテやビニールテープ、土などで塞いでおきます。
テッポウムシの隠れた穴に注入する薬剤と濃度
DDVP乳剤(劇物)
スミチオン乳剤(普通)
エルサン乳剤(劇物)
注入する薬剤濃度は500倍〜1000倍液
マツノザイセンチュウ
マツノザイセンチュウは北米大陸に分布するセンチュウで、輸入丸太にくっついて日本に侵入したと言われています。
それまでは、マツノマダラカミキリムシが好んで産卵する衰弱したマツはわずかで、このカミキリムシの個体数も低いものでした。
ところが、カミキリムシがセンチュウを媒介するようになると、衰弱したマツの数も激増し、カミキリムシの好産卵条件が整って個体数も増え、マツに被害が集中したのです。
マツに急激な枯死を招く原因としては、センチュウによる木材細胞の破壊という説と、センチュウの感染で生じる毒素の仕業という2つの説があります。
マツの葉が突然赤褐色に変わり、枯死する被害が出たらマツノザイセンチュウの発生が考えられます。
この線虫は体長が0.6〜1㍉と小さく、急激に増殖して葉が変色したらすでに手遅れで、樹を切り倒して焼却処分するしかありません。
この線虫はカミキリムシがマツについた傷口から樹の中に侵入し、それにカミキリムシが羽化する時に、その体に侵入して移動します。
この密接な関連からカミキリムシの防除を前提として、各地で薬剤の薬剤の空中散布が行われてきましたが、効果があったとは言えない地域もあります。
環境の面からも、薬剤の空中散布には慎重な実施が望まれます。
中には、雨の日に地上散布を行ってる自治体もありました。
マツノザイセンチュウ専用の樹幹注入剤も市販されていますが、薬害が発生して樹が枯れたという報告もあり、使用するときは専門業者に依頼することが重要です。
薬剤だけに頼らない防除方法として、線虫に対して抵抗性を持つマツの子孫を、接ぎ木で増やすなどの研究が進められています。
マツノザイセンチュウ抵抗性のマツ
新潟県で開発されたアカマツの品種で、松くい虫に強いことで知られる新潟千年松
岩手県や宮城県と連携して開発されたアカマツの品種
新潟県で開発されたクロマツの品種
その他、秋田、新潟で連帯して新たな品種のマツが開発されています。