緑のお医者の徒然植物記

Translate

緑のお医者の徒然植物記

検索結果

2025/01/08

スグリ(酸塊) No,745

 スグリ 

スグリ科スグリ属 落葉低木

ヨーロッパが原産で、北半球の温帯地域に広く生息する落葉性の小高木から大木です。

日本では青森県が有数の生産地

以前はユキノシタ科のスグリ属に分類されていた24属350種以上だったが、「クロンキスト体系分類」によってユキノシタ科からスグリ科が分類され、スグリ属の1属なりスグリ科スグリ属となった。

1990年(平成2年)の出版書では、ユキノシタ科と表記されているものもある。


          「スグリ」


クロンキスト体系とは

アメリカのアーサー·クロンキスト博士が1980年代に提唱した被子植物の分類体系で、ストロビロイド説に基づいている。

ストロビロイド節とは、モクレン科などの花のように花被や雄しべ、雌しべなどの構造が螺旋状(らせんじょう)に並ぶ花が最も原始的であると言う考え方に基づいています。

ストロビロイドとは、マツ科などの花、松ぼっくりのような形のものと言う意味です。

クロンキスト体系は、あまり日本では普及しなかった分類体系でしたが、海外では「新エングラー体系」に代わって広く採用されていました。

しかし、1990年代にAPG体系が登場すると、クロンキスト体系は旧分類となった。

APG体系は、20世紀来に直接生物のDNAを取り出す手段が開発され、物理的な証拠に基づいた分類体系として1998年に発表され、その後改訂が繰り返され、2017年に第4版が発表されています。

APG体系は、被子植物系統研究グループが構築した分類体系である。

新エングラー体系は、花の形態を基に植物を分類する体系で、科の特徴が解りやすく覚えやすいのが特徴です。


スグリの種類

セイヨウスグリ(グーズベリー)

フサスグリ(アカスグリ、シロスグリ、レッドカラント、グロゼイユ)

クロスグリ(ブラックカラント、カシス)などがある。

古代ローマ時代から薬用として用いられており、果実酒やリキュール、ジャムの製造(原料)にも利用されています。


特徴

枝にはトゲがありますが、キイチゴほど鋭くはありません。

マイナス30℃に耐えるほど寒いに強いが、夏の高温や直射日光には弱い樹木です。


植え付け場所

水はけがよく西日の当たらない明るい日陰で、風通しの良い場所が適しています。

庭植えは、生育が良ければ2年で開花結実し、樹高1メートル以内で100〜120果、鉢植えは5〜6号鉢で8〜10果程度の収穫が望めます。


鉢植えは赤玉土6、腐葉土3、川砂1の混合土に植え、夏は強い直射日光を避けた通風の良い場所に置きます。

庭植えは、寒冷紗(かんれいしゃ)などを樹上に張って遮光する。


せん定

庭植えは株立あんどん仕立てにし、新梢がよく出ますが混み合わないように間引きせん定します。

常に枝数を10本程にします。

2年目の生育期にあんどんを作り、枝を誘引して広げます。

2年枝に開花結実しますが、2〜3年経つと枝先しか花芽が着かなくなるので、根元から切り取って新しい枝に更新していきます。

鉢植えはあんどん仕立てにしますが、枝が垂れ下がらないように誘引し、結実し終わった枝や弱い枝は、収穫後に間引き剪定を行います。

2年目に鉢高と同じくらいの高さであんどんを作り、落葉期に混み合った枝や伸びの悪い枝を切り取ります。


肥料

3月に配合肥料を一握り程度根回りにばらまき、浅くすき込んでおきます。

鉢植えは3月に玉肥を3〜4個株の周囲に置き肥します。


スグリの効能

ビタミンCが豊富で、風邪の予防や疲労回復、肌荒れなどに効果が期待できます。

疲れ目改善効果のあるカシスポリフェノールやアントシアニンが含まれ、美肌に効果的なビタミンCはレモンの6倍

疲労回復や美容にいいクエン酸、繊維質のペクチンやカリウム、鉄分、カリウムなども他の果実に比べ豊富に含まれている。

黒スグリとカシスは似ているが別々の果実です。

黒スグリは甘酸っぱい味わいで、主にジャムやデザートに使われ、カシスは酸味が強くリキュールやカクテルの材料として人気がある。