マツの害虫 カミキリムシ類
衰弱した樹に被害が集中
無理な移植や台風被害、大気汚染などで弱っていたマツ類にカミキリムシ(甲虫目)が寄生すると、急激に衰弱して立ち枯れ状態となります。
「松くい虫」と呼ばれるカミキリムシは24種類ほどいますが、その中で多いのはマツノマダラカミキリによるもので、この虫はマツノザイセンチュウを媒介することでマツ類に深刻な被害をもたらします。
カミキリムシ一匹に、平均15000匹のセンチュウが必ずいると言われています。
シイ、カシ、クリ、クヌギ、コナラ、ポプラ、ヤナギなどの広葉樹は健全樹であってもカミキリムシの食害をうけます。
シロスジミヤマゴマダラなどのカミキリムシの仕業で、幹の中にテッポウムシ(カミキリムシ類の幼虫)がトンネルを掘って食害します。
この食害によって樹が衰退すると、「木材腐朽菌」の侵入を招くこともあり、大きな被害となります。
マツノマダラカミキリムシは年1回の発生で、5月下旬頃から7月にかけて成虫羽化し、サナギから脱出した成虫は若い枝をかじり、カミキリムシに侵入していたセンチュウがこの時に、かじった所からマツに侵入します。
センチュウが寄生したマツは急激に衰弱します。
衰弱した樹はカミキリムシにとって絶好の産卵場所となります。
メス成虫は脱出から20日後に樹皮の下に産卵します。
孵化した幼虫は食害を続け、翌年5月頃にサナギになります。
センチュウはカミキリムシが羽化した直後に気門から気管の中に侵入して取り付きます。
カミキリムシとセンチュウの関係
カミキリムシは、センチュウがすでに寄生しているマツにしか卵を産みません。
産み付けられた卵は羽化し、マツの中に潜り込んでサナギになる部屋を作ります。
この部屋にセンチュウが集まり、カミキリムシがサナギから羽化する時に、カミキリムシに寄生するようになっています。
シロスジカミキリ
シロスジカミキリの一世代は2〜3年かかります。
5月下旬頃に成虫が現れ、メス成虫は地上から約50㌢の樹皮にはっきりした円形(直径約15㍉)の噛み跡をつけて産卵(産卵痕)します。
産卵の跡を木槌などで卵を叩きつぶして駆除します。
被害は壮齢(そうれい)から老齢樹に多く、幼虫による深材部への食害が進むと、樹皮に繊維状の虫糞を排出します。
一世代に3年かかるミヤマカミキリムシは、幼虫が健康樹の辺材部を食害するため、その跡が溝状に裂けて樹皮に大きな傷をつけます。
このカミキリムシは産卵の跡を残しません。
4月頃の発生時期にサッチューコートやスミバークなどの薬剤を散布すると有効です。
大部分は健全木には加害しないので、樹の健康を保つことが一番の予防です。
春と秋の手入れは欠かさないように注意することです。
穿孔穴から針金を入れて刺して駆除します。
ゴマフボクトウ
成虫が現れる7月中旬から8月下旬頃に枝や幹に塗布剤(サッチューコート、スミバーク)を塗っておく
赤い虫糞が目印
コウモリガ
発生は1年か2年に1回
成虫は9月頃に発生し、幼虫は5月頃に羽化します。
木くずと虫糞で作られたフタが侵入口に付いているのが目印です。