緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2018/12/14

#バラの原種のお話(4) NO.85

◉現代バラの主要系統に関わった野性種③

★ロサ.ギガンティア(R.gigantea)
中国南西部雲南省から、ミャンマーにかけて分布する種です。


                  (ロサ.ギガンティア)


◆ツル性で光沢のある葉を持ち花は単生(枝の先に一つだけ花が咲くこと)で、大きな白からクリーム色の花をつけ、たいへんよい香りがします。

中国では「大花香水月季」(R.osa odorata var.gigantea)別称=巨花薔薇と呼ばれています。

ティーローズの香りは本種に由来します。

ロサ.キネンシス.スポンタネアとともに、中国の栽培バラの基になった野性種です。

ロサ.ギガンティアも開花が早く、5月上旬には咲き始めます。















#バラの原種のお話(3) NO.84

◉現代バラの主要系統に関わってきた野性種②

★ロサ.キネンシス.スポンタネア(R.chinensis var.spontanea)


        (ロサ.キネンシス.スポンタネア)

◉栽培型のロサ.キネンシス(R.chinensis)の野性種で、中国西南部、四川省を中心に分布する種です。

ロサ.キネンシスを含む、中国の栽培バラは現代バラに四季咲き性と木立ち性を伝えましたが、本野性種は一季咲きでツル性となり、花は各節の小枝の先端につきます。

人が栽培を続ける過程で、シュート(新芽から伸びる若枝のこと)が長く伸びずに、背の低いブッシュ(木立ち)状となる個体が現れ、それとともにシュートの先端には、常に花をつける「四季咲き」の特性を獲得したと思われます。

花色は淡紅色から濃紅色までの変異があり、色変わりするものもあります。

開花は早く、4月の終わり頃から咲き始めます。







2018/12/13

#バラの原種のお話(2) NO.83

①現代バラの主要系統に関わってきた野性種

◉ロサ.ガリカ(R.gallica)

ヨーロッパで紀元前から栽培されている最も基本となる野性種。

ヨーロッパ中西部から西アジア開発銀行にかけて分布している。

ロサ.ダマスセナの品種の親としての存在です。


                     「ロサ·ガリカ」

◉この種を基に数多くの品種がヨーロッパで育成されました。

いわゆるオールドローズの1品種(ガリカ系統)です。

種名のガリカはフランス地域の古い呼び名で「ガリア」から由来している。

その事から本種は、フレンチローズと呼ばれます。

◆変種のオフィシナリス(R.gallica .var .officinalis)は「薬剤師のバラ」
(Apothecary's Rose)と呼ばれ、13世紀から18世紀にパリの南郊外プロヴァンで香料用に生産されていた。

★本種には、白の絞り斑(しぼりふ)の入る品種でバーシカラー(R.gallica   f.versicolor)もある。


          (ロサ.ガリカ.バーシカラー)






2018/12/12

#バラの原種のお話(1) NO.82

(1)バラの原種は北半球に自生する。

バラ属(Rosa)の野性種は南はエチオピア、北はシベリア、アラスカまで北半球の亜熱帯から寒帯にかけて広く分布しています。

もし、南半球で野性のバラを見つけたとしたら、それは誰かが持ち込んだものです。

★エチオピアの野性種は、ロサ·アビシニカ(R.abyssinica)の一種で標高2.000m以上の高地に自生しています。

乾燥地では、北米バハカリフォルニア(メキシコ領域)にロサ.ミニュティフォリア(R.minutifolia)が自生し、北米アリゾナ、テキサスにはロサ.ステラータ(R.stellata)が自生します。

         (ロサ.ステラータ.ミリフィカ)


アジア大陸の乾燥地帯には、ロサ.ペルシカ(R.persica)のような変わった野性のバラも自生しています。

                         (ロサ.ペルシカ)


◉オオタカネイバラの仲間(R.acicularis)は最も高緯度(北緯70度付近)にまで分布を広げています。

   (オオタカネイバラの仲間、ロシア産)

北から南まで、そして乾燥地から湿潤な場所まで幅広い地域にバラは自生しています。

野性種の数は、分類学者によっても異なってしまうが、約150~200種ぐらいだろうと思われています。

この種の中から、現在の主要となる栽培のバラの系統に、関わってきた野性種は7~8種類と言われています。






コケ(苔)の話  NO.81

苔のはなし


◉苔には
①セン類(スギゴケなど)
②タイ類(ゼニゴケなど)
③ツノゴケ類と言う3つのグループに分けられ、園芸に多く利用されるのはセン類です。

★セン類はは、体の小さいコケの中でも大きく見栄えがよく、比較的乾燥に強いことから園芸に利用されています。

    ◎ホソバオキナゴケ(シラガゴケ科)

透明な細胞があるため全体が白っぽく見え「白髪、爺」の名がある。

透明細胞は吸水、保水作用があり園芸材料として「ヤマゴケ」の名で売られている、苔庭に使われ、盆景や苔玉にも利用できる。


コケは色々な性質があるため、普通の園芸植物とは異なった育て方が必要です。

①コケは体には根がなく水分や養分は体の表面から吸収します。

②仮根があるが体をものに付着させる役目をするだけである。

③体の作りは簡単で、水分や養分を運ぶ構造や水分の蒸発を防ぐ「クチクラ」はない。

クチクラ=植物の表皮にあるロウまたは脂肪酸(脂肪を酸または、アルカリで分解して得たものの主要な1つ)の分泌物。

水分の蒸散や外部からの侵入物質を防ぐ働きがある。

④葉は乾くと、縮んで巻いたり茎に接するように折り畳んだりする。

⑤コケは普通、たくさんの個体が集まって生えており、それが水分を保持する役目をしている。




◉園芸で利用するものは、土の上に生えているものが多く、体のつくりを見るとギンゴケやオオスギゴケなど地面から直立するものと、ハイゴケのように地面を這うものに分けられます。

谷沿いに多くのコケが見られるのは、適度の日当たりと湿度が高いことによります。

コケの体のまわりの空気中の水分を上手に管理することが、コケを育てる上でもっとも大事な要素だと言えるでしょう。




◉コケは根がないので、赤玉土や鹿沼土など、保水性と通気性のよい用土を使い、コケの体のまわりの湿度を高くする必要があります。

肥料は施しません。

ただ、用土の表面に置いただけでは不安定になるので、体の小さなものは黒土、大きなものは富士砂などで一部を覆いコケの体を固定します。

特にハイゴケのように這うものは、竹串やワイヤーなどで固定します。

苔玉に使う場合は、はがれないように糸を巻いて固定します。

★コケは種ではなく胞子でふえますが、胞子はいつもあるとは限りません。

胞子から育てることも難しいので主に株分けでふやします。

株分けでふやす場合は、細かく分け過ぎたり、植え込みの間隔が広すぎると成長が悪くなりますので注意が必要です。

また、違った個体のコケを混合すると効果的な成長があると言われています。

コケはお互い寄り添って水分を失いにくくしていますので、バラバラにしないで植え込みます。



◆参考ブログ
※苔玉盆栽 No.52
※コケの胞子 No.90
※小さな盆栽、苔玉を暮らしの中に No.97
※苔玉、鉢植えのコケ管理 No.165
※花のない植物コケ胞子隠花植物 No.187







2018/12/11

スモモ バラ科 落葉広葉樹  NO.80

スモモ バラ科


日本や中国が原産。

現在栽培されている品種は、アメリカから逆輸入された改良品種です。

スモモの仲間には、セイヨウスモモ、いわゆるプルーンがあります。

セイヨウスモモは日本の気候に合わず、あまり栽培されていません。

甘味と酸味のバランスの取れた香りのよい実がなります。




〈適性〉

耐寒性、耐暑性が強く日本のどこでも栽培は可能ですが、晩霜(おそじも)の被害を受けやすいので、暖地性気候の地域が向いています。

土質は軟らかく、排水のよい土壌が適しています。

〈収穫〉
開花時期は、3月下旬から4月上旬で、ほとんどの品種が自家受粉しないので、人工受粉をします。

収穫時期は、品種により異なりますが6月中旬から8月頃です。

〈肥料〉
収穫後の8月から9月に、堆肥に鶏糞と油かすを混ぜ、リン酸とカリウムの多い化成肥料を加えたものを与え、肥料は株まわりに埋め込みます。

〈剪定〉
徒長枝や混んだ枝を夏に整理します。また、枝が伸びると果実が取りにくくなるので、3~4年に一度切り戻すようにしましょう。


注意する症状として

①幼果が黄変して落ちる。
原因は晩霜の被害です。

スモモは開花時期が早いため、晩霜の被害を受けやすい果樹です。

②実がつかない。
実がつかない理由として、受粉していない事が考えられます。

スモモは自家受粉しない品種が多く、別の品種と人工受粉をする必要があります。

大石早生(わせ)、ソルダム、サンタローザなどの品種間で受粉が可能です。

③枝の先が枯れる。
枝の先が枯れる原因として、根詰まりが考えられます。

スモモは軟らかく排水のよい土壌を好み、固い粘土質の土では根詰まりを起こしやすくなります。

対処法として、堆肥や腐葉土などの有機質の肥料をすき込み土壌の改良を行いましょう。


病気

◎ふくろみ病
幼果が急にふくらみ、白緑色に変色し、病状が進行すると落果します。

病気の果実は処分します。

開花前に石灰硫黄合剤を冬期に散布して予防しましょう。


害虫

◉アブラムシ、クワシロカイガラムシ、モンクロシャチホコ
★モンクロシャチホコ(フナガタケムシ)
このケムシは9月に発生し、若齢期は赤褐色で葉の裏に群れをなし葉を食べます。

老熟幼虫は五センチほどになり、紫黒色(しこくしょく)に変化し、黄白色の長毛が生えます。

発生量が少ない場合は、一匹づつ捕殺するか、群れを枝ごと処分します。

発生量が多い場合は、スミチオン、ディプテレックス、エルサンなどの薬剤を散布します。

年に一回、7月頃に成虫が発生し、その次の世代が被害を起こします。