緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2019/01/28

クリスマスローズ(全般) No,116

クリスマスローズ(キンポウゲ科)

地中海沿岸から中部ヨーロッパが原産。

クリスマスの頃に咲くことから名付けられた名前ですが、日本に出回っているもののほとんどは、同属のレンテンローズと呼ばれる種類とその交配種で、2月から3月に開花します。

欧米では、クリスマスローズと言えばヘレボルス·ニゲルという種類をさしますが、日本ではこの両種を区別せずクリスマスローズと呼んでいます。

寒さに強く雪を持ち上げて咲くことから、別名「雪起こし」と呼ばれています。


(1月28日撮影、新芽が出始めている状態)

◆半日陰で風通しのよい場所を好み、高温多湿が苦手で、夏場は直射日光と西日を避けます。


◉本来の花弁は小さな蜜腺に退化していて、直径五センチから六センチの五枚のがく片が、花弁状になったものを花と呼んでいます。

花色は基本的な色や中間色だけでなく、それらが入り混じったものなど、ひとつとして同じものがありません。

花の少ない冬場に開花する、和風にも洋風にも合う花です。

◆古代ギリシア時代には狂気を直す霊薬として用いられるなど、クリスマスローズはその黒い根に魔力があると信じられていました。

俗説によれば、アダムとイブが楽園を追われた時、持ち出したのがこの花だとされ、以来この花は「楽園の思い出」の象徴とする美意識も生まれ、その後文学にも表現されました。


                   (花芽がつき始めた状態)


◉生育管理
植え付けは、9月頃が適しています。

植え穴には、有機質の腐葉土やピートモス、完熟堆肥などをすき込み、化学肥料を施しておきます。

植え穴はなるべく深く耕し、水はけの悪い場所では高植えにするなどして湿気を防ぎます。

夏の高温多湿が苦手なので、冬は日があたり、夏は木漏れ日になる東向きの落葉樹の下が、植え付けに適した場所です。

★コンテナ栽培の場合は、やや大きめのコンテナにし、北向きの軒下などに置くのがよいでしょう。

開花中は、冷たい北風が当たらない日当たりのよい場所で管理。

水やりは、表土が乾いたらたっぷりやるのが基本です。

株が大きくなると花つきが悪くなるので、3年から4年毎に植え替えをして株を更新させます。

★鉢植えの場合、根詰まりしてきたら、一回り大きな鉢に植え替えます。

夏場の植え替えは株が弱るので避けましょう。

◆庭植えの場合、数年経って生育が悪くなった時に、掘り上げて株分けを行います。

◉肥料
鉢植えの場合、液肥を11月から3月の間、月に一回水やり時に与えます。

地植えの場合、10月に緩効性肥料を置き肥します。

◉剪定
花が咲き終わったら、夏場の風通しをよくするために、弱った枝や枯れた枝を切り取ります。

種ができ養分が摂られると、生育に影響するので種ができる前に花柄を取っておきます。

◉殖やし方
株分けは9月下旬から10月中旬に、小さい株を分けたり、細かく分けすぎると花つきが悪くなるので、大株を使用して大きく分けるようにします。

一株に3から4芽つけて分けるとその後の生育がよくなります。

植え付けの時に、根が地上に出ていると枯れてしまうので注意する。

花が終わった後の5月から6月に採取した種をそのまま取りまきにするか、通気性のよい袋に入れ、乾燥しないように土中に埋めるなどして保存。保存した場合は、9月から10月にまきます。

種まき後は、乾燥しないように週1から2回水をやります。

初芽は翌春に出ますが、開花には3年ほどかかります。


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クリスマスローズ No,21







2019/01/27

2月から3月の観葉植物の管理 No,115

◉観葉植物


日光が不足する場所に置いていた観葉植物は徒長を防ぐため、明るい場所の物と交代して移動させます。

できるだけ暖かさを保つように心がけながら、換気も暖かい日を選んで行います。

3月になると、よく晴れた日の閉めきった室内は温度がかなり上昇し、日陰に置いてあった株を急に日のよく当たる場所に移動させると、強い日差しの日には葉やけを起こすこともあります。

窓を開けて換気し、室温を管理します。

朝夕は寒さが厳しいので防寒対策もまだ必要です。



◉水やり、肥料

この時期にあまり冷たい水を与えると葉枯れを起こすことがあります。

暖かい日の午前中に室温程度に温めた水を与えます。

与えるタイミングは、鉢土の表面が乾いてからさらに数日たった頃です。

鉢底から流れるまでたっぷりと与えます。

受け皿に溜まった水は、根腐れの原因になるのでその都度捨てます。

暖房をしている室内では葉水をあたえます。


◆植物が生育を停止している時期には、基本的に肥料は必要ありません。


寒さに強くこの時期から生育を始める種類のものに限り、リン酸とカリ分が多めの液肥を薄めにして施します。

◉仕立て直し

休眠期でも暖かい室内では新芽が伸び始めたり、株が間伸びしてしまうことがあります。

切り戻して切った枝は挿し木もできます。

また、低温性の植物の根が伸び始める前の時期は、株分け等の作業が発生します。

3月下旬から植え替えができる植物はアイビー、アスパラガス、オリヅルランなどです。

サボテン🌵の仕立て直し

徒長してコケシ状に先端部が肥大してしまったサボテンを整形したいという場合は、空気が乾燥していて成長期に入る前が適しています。

◆コケシ状になった先端部をナイフで切り、切り離した方の下部を斜めにはぎ取ります。

半月から1ヶ月間切り口を乾かした後植え付けます。

元のサボテンの切り口からは、2ヶ月から3ヶ月後に子が出ます。

そのまま育てるとよい形の群生株になります。

また、できた子を外して挿し木もをし、株を殖やすこともできます。


        「サボテンの仕立て直し」





2019/01/26

2月から3月の鉢植えの管理 No,114

鉢植え、鉢花の管理


◆一年で一番寒い季節。

シクラメンやプリムラ、ベゴニアなどは、窓辺で日光に当てて、花を元気に保ちます。



室内では暖房の高温を避けます。

風のない日中は、戸外に出して日光に十分当てると徒長を防ぎます。

花の終わったウメの鉢植えはざっと整枝して軒下に出し、外気に慣らします。

3月に入ると三寒四温の言葉通り日によっての寒暖の差が激しいので、暖かい日には戸外で春の日を浴びせ、寒風の夜や霜が降りる日などは、室内に入れるようにします。

水やり、肥料

冬の室内では暖房で鉢物もよく乾燥します。

午前10時から11時頃の暖かい時間帯に戸外に出し、鉢底からあふれるくらい水を与え、午後2時頃には再び室内に入れるようにします。

戸外に置いている鉢物の盆栽や菊なども乾燥しているので、土が白く乾いてきたら日中に水を十分与えます。

基本的に真冬のうちの肥料は控えます。

3月に入ったら徐々に水やりの回数を増やし、薄い液体肥料を与えていきます。

◉植え付け、植え替え
2月はサクラソウなどの宿根草や落葉性の樹木鉢など、芽が伸びてしまう前に植え替えをすべき物があります。

3月は四季咲き性のクロウエアやランタナ、ノボタン、シャコバサボテン、カランコエなどが植え替え適期です。






2019/01/24

早春の植樹管理  No,113

早春植樹管理


一年の最低気温を記録する2月は、一般の植物はまだ休眠期の状態といえます。

そのため、落葉樹を中心に多くの樹種で剪定、整姿が行えます。

特に長年放置して大きくなりすぎた樹木を切り込んで作り直したり、移植するのに適した時期です。

ただし、秋から冬にきちんと管理してきた庭は、改めて手を加える必要はありません。

◉すでに春に向けて地下では新芽を出すための準備が始まっていて、根の活動は盛んになっています。

春に向けて
個々の樹種によって、最適な時期は異なりますがこの季節はすべての植物にとって苗木の植え付けや移植に適しています。

毎年の気候により多少の前後がありますが、一般に2月下旬頃から次第に暖かくなり、土壌の水分も増え温度も上昇していくので、移植の条件が整う。

★2月から3月に他の花に先駆けて咲くロウバイやウメなどは、花が終わり次第、花後剪定を行います。

植え付け、植え替え

◉通常、植え付け、植え替えは根鉢のしっかりしたものを選びますが、この時期は、永年放置して根が荒れてしまって太くなりすぎたもの、掘り起こすと土が落ちてしまい根鉢が取れないような樹木でも、活着しやすい時期です。

植え付け、植え替えは「水ぎめ法」によって行います。

植え穴を深めに掘り、底に掘り起こした柔らかい土を埋め戻して根鉢を置き、高さを調整します。

◆この時、完熟堆肥や腐葉土などの熟成した有機肥料を混ぜると、土壌改良にもなり効果的です。





◉木がまっすぐ立っているかを少し遠目から見て確認し、必要なら微調整します。

いわゆる樹木の「立て入れ」を決めるわけです。

確認は必ず直角2方向から行うようにしましょう。

立て入れが決まったら、根の周りを軽く踏みならすか、スコップで叩いて動かないように安定させます。

土が軟らかいので、強く踏むと足が入ってしまいます。

倒れない程度に軽く押さえるのがコツです。

★ツツジやサツキ類など根が細かい樹種は、踏み固めずに、軽く土をかぶせる程度にした方がよいでしょう。

さらに水をあげた方がよい場合は、中に水が溜まるように水鉢をきっておくのもよいでしょう。

水鉢に溜まった水は、10分から20分ほどで引くので、再び足でしっかり押さえます。

寒肥を施す

寒肥を与えてない場合は、この時期に与えましょう。

さほど大きくない樹種は環状施肥で、大きな木は根が太く四方に張っているので、環状に溝を掘るのは困難です。

すでに活動している根を傷つけないよう注意しながら、根の間を幹元付近から張り出した枝の下あたりまで、放射状に掘って施肥します。

★化成肥料は、多用すると土壌に悪影響を及ぼすのでなるべく避け、有機肥料を用いるようにします。








2019/01/22

ウメ(梅)  No,112

梅(ウメ)

松竹梅、梅に鶯(ウグイス)などの言葉があるように、日本人の心に深く関わり、古来より愛されてきた樹種

◉ウメは中国中部原産の落葉樹で、サクラと同じバラ科に属しますが、果実の形や葉腋につく芽の数などが異なり、少し違う仲間です。

最初は薬用木として非常に古い時代に伝えられ、未成熟の果実を燻製にした、烏梅(うばい)が整腸、解熱の漢方薬として用いられていました。

「ウメ」という言葉は中国語の「梅(メイ)」が転化したといわれていますが、この「烏梅、うばい」の転化だと言う説もあり、万葉集では、「烏梅」と書いて「うめ」と読む例もあるそうです。

◆奈良時代には「花」と言えばウメを指すほど、代表的な観賞木として親しまれました。 

果実を食用として用いるようになったのもこの頃で、平安時代初期にはすでに「梅干し」が作られていたという記録があります。

★ウメの学名は「ブルヌメ.ムメ」と言いますが、これは江戸時代に長崎に来ていたシーボルトが命名したもので、その長い歴史から渡来木でありながら、日本の木というイメージを持たれていたようです。




◉園芸品種は数百種に及び、主に花を観賞する花ウメと、結実、品質がよい実ウメに大別されます。

代表的なものは、ヤバイ性、コウバイ性、ブンゴ性、アンズ性に分けられ、それぞれ多くの品種がありますが、あくまでも園芸上の分類で厳密に区別されるものではありません。

◆材は、床柱、そろばんの珠、念珠、洋傘の柄、彫刻材、櫛(くし)などに利用する。

◆果実は食用、薬用そのほか、染色の媒染剤に使う。


ウメの生育管理
温暖な気候を好みますが、北海道の一部でも栽培出来るほど寒さにも強く、土質もほとんど選びません。

環境の厳しい市街地でも生育する樹勢の強い樹木です。

ただし、花つきをよくするには日陰地や湿地は避けます。




◉肥料を十分に与えることがよい花つき、実つきにつながります。

寒肥として完熟堆肥や腐葉土、鶏ふんなどを株元の周囲にすき込みます。

開花中と花後、しばらくの間は肥料はいりませんが、4月から5月にかけて化成肥料などを施します。

さらに秋口には、リン酸カリ分の多い草木灰などを少量施すと効果的です。

★丈夫な樹種ですが、病害虫も多い。


ウメの剪定

剪定にも強い樹木ですが、むやみに切ると花や実も楽しめません。

花つきをよくするには、12月下旬から1月に、太い主枝から枝分かれした側枝を3分の1程度残して切ります。

また、春に伸びた枝は切らず、夏芽や秋芽は伸ばさないようにするのがコツです。







2019/01/21

カンヒザクラ(寒緋桜) No,111

カンヒザクラ

日本で最初に花開く桜の花

◆沖縄では桜と言えばこの花を指すほど馴染み深い花です。


                                    


◉サクラと言えば、ソメイヨシノが最もポピュラーですが、これに先駆け濃緋紅色の5弁花を咲かせます。

花はやや小ぶりでソメイヨシノのように全開せず、釣り鐘状に下垂するのが特徴です。

落花も椿の花のように、花ごと落ちます。

桜の仲間の中でも、最も紅色が濃い種類のひとつで寒い時期に咲く緋色の桜ということから、寒緋桜と名付けられました。

                                ★元々はヒカンザクラ(緋寒桜)と呼んでいたようですが、ヒガンザクラ(彼岸桜)という別種と混同しやすいことから、カンヒザクラに改められたといわれています。


関東地方での開花は3月上旬から下旬にかけてですが、九州南部では旧暦の元日近くに開花するので、ガンジツザクラという別名があります。

原産地は中国南部、台湾などの暖地で、本州に野生種はありませんが、沖縄、石垣島などには広く自生しています。

沖縄の開花期はさらに早く、年末や正月に日本で最初の桜の開花としてニュースなどで紹介されるのは、沖縄のカンヒザクラです。

開花期や花の形状が一般的な桜の花と異なるため、桜の仲間だとは気づかない人も多いようです。

◎桜の仲間は多く、野生種が10種、自然交配種が20種、園芸種が300種以上と言われています。

その中で、自生種だけで6つのグループに分類されています。

ソメイヨシノなど日本の代表的な桜の多くは、ヤマザクラ群に分類されますが、カンヒザクラはカンヒザクラ群に入ります。

◉園芸種として品種改良によく使われるのはカンヒザクラ群、エドヒカンザクラ群、ヤマザクラ群、マメザクラ群などです。

カンヒザクラに近い園芸種では、カンヒザクラとヤマザクラの交配種といわれ淡紅色の花をつけるカンザクラ(寒桜)、カンザクラとシナミザクラ(支那実桜)の交配種といわれるツバキカンザクラ(椿寒桜)などが古くから栽培されています。

カンヒザクラの生育管理
耐寒性そのものは比較的強いですが、冬の寒風を嫌います。

植え穴は大きく深く掘り、完熟堆肥と腐葉土を充分すき込んでやや高植えにします。

植え付け、植え替えの時期は9月から10月の秋植えと3月から4月の春植えですが、寒くなる地方では、春植えが無難です。
  
◆肥料は寒肥として、鶏ふん、腐葉土、堆肥などを株回りにすき込みます。

★ザクラ類は病害虫が多い樹種、特に害虫ではオビカレハやアメリカシロヒトリ、カイガラムシ。

害虫は発生時に殺虫剤を定期的に散布する他、冬期に石灰硫黄合剤、マシン油乳剤などで防除。

★病気では湿気が多いとモンパ病やコウヤク病が発生しやすくなる。

モンパ病に犯された株は廃棄、クロールピクリンなどで土壌消毒を行う。

コウヤク病は、患部を削り取り石灰硫黄合剤を塗布しておきます。


剪定、整姿

桜類は切り口から雑菌が入って腐蝕しやすく、剪定には弱い傾向があります。

放任しても樹形はよく整いますが、庭木の場合、ある程度の剪定は避けられません。

必ず付け根から切り、切り口には接ぎロウ、トップジンM、カルホス、墨汁などを塗って雨水などが染み込まないように保護することが重要です。