緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2019/07/14

ムクゲ(木槿) No.163

ムクゲ アオイ科  落葉広葉樹

別名/ハチス      「木槿」


中国、インド原産ですが近縁種が非常に多く、熱帯から温暖地帯にかけて二百種類を超える仲間がいます。

食用のオクラなどもムクゲの仲間です。

真夏の7月から9月にかけてちょっけい5~10センチになる紫紅色の5弁の花を咲かせます。

花は朝に開き、夕方にはしぼんでしまう1日花ですが、夏の間中次々と咲き続けます。

日本には奈良時代に胃腸薬として伝わりました。

◉韓国の国花でアジア一帯で広く親しまれている。

フヨウをはじめ、園芸用として栽培されている、類似種が非常に多いのも特徴です。
ハイビスカスやアメリカフヨウなどもムクゲの仲間です。

◆フヨウなど他の類似種は、冬に太い幹、枝を残して地上部が枯れてしまうのに対し、ムクゲは耐寒性があり、冬でも株が枯れずに残ります。



強せん定にもよく耐えるので、この種の仲間の中では最も育てやすいと言えるでしょう。



◉病害虫

新芽が伸びはじめた頃から、アブラムシが発生します。

夏にはテッポームシ(カミキリムシの幼虫)の発生。

コガネムシが葉を食べる事があります。

また、つぼみがアオムシに食害され、つばみが落下してしまう。

これについての報告をあまり聞かないが、被害は大きい。

次から次と拡大します。

◆ムクゲの生育管理

日光を好み、日当たりさえよければ乾燥ぎみでも、かなり湿気の多いところでも土質を選びません。

ただし、長期間花を楽しむには、よく肥えた保水力に富んだ場所に植えたいものです。

ムクゲは生長がとても早いので、施肥は生育の具合を確認しながら行う必要があります。

★一般的には、冬期に堆肥や腐葉土を株元周りに、6月上旬、9月上旬に油かすなどを少量与えるようにします。

肥料の与えすぎに注意しましょう。

◉せん定

自然樹形を生かした整姿が一般的ですが、放任すると、3~4メートルほどの高さになってしまうので、大きくなった株は春先(2~3月)に太い枝の部分から切り戻します。

常に2メートル前後に樹高を保ちながら花を楽しむことができるでしょう。

花は、長く伸びた新梢の先につくので、夏に花が左記おわったら、新梢の根元から20センチほど残して切り、肥料を与えるともう一度咲きます。
一重咲きと八重咲きがある。

生け垣の場合は、晩秋から翌春までの間に、前年枝をすべて刈り込みます。









2019/07/12

キウイのせん定 No.162

キウイのせん定について

実ものの中でも、特に枝が伸びすぎて困る事が多いキウイ。


キウイは、日光をたいへん好み大柄な木になるツル性の果樹で、生長力がとても強く、半年で2~3メートル伸びることも珍しくありません。

冬にかなり思いきったせん定をしても、梅雨明け頃までには、新梢がうっそうと茂ってきます。

そのままにしておくと、枝葉が込み合い、日照不足で黄ばむ葉が増え、落葉してしまうものもあります。

当然、果実も十分に大きくならないので、品質も悪くなります。

また、6年に実をつける結果母枝も充実しないので、翌年の収穫にも影響が出ます。

その為、キウイは夏場のせん定が欠かせません。

まだ実が成らない苗木、幼木の場合も、成木になった時の樹形を考えたせん定を行う必要があります。


①結果枝(実がなっている枝)のせん定

一メートル以上の長い枝は、5~6個の果実を残して弱いものは摘果した後、果実の上の葉を8枚ほど残して先端を切ります。

葉を残した部分が翌年の結果母枝になります。

中程度の長さの枝は、同様に摘果した後、先の方の絡まった枝葉を切り落とします。

50㎝未満の短い枝は、1~2果残して摘し、せん定はしません。


 「結果枝のせん定」

②発育枝(実がついていない枝)のせん定

結果枝と同時期に伸びた発育枝は、翌年の結果枝にするため、付け根から14~15枚の葉を残した部分で先端を切ります。

結果枝より後から伸び、大きく伸びた発育枝は徒長枝ですから、付け根から切り取ります。


                       「発育枝のせん定」
        ✻発育枝= 実がついていない枝                           

③誘引

せん定が終わった枝は、重ならないように棚面に誘引します。


       枝が重ならないように棚面に誘引


④ポール仕立て、鉢植えのせん定


ポール仕立てや鉢植えなど、小ぶりに仕立てた成木のせん定は、果実の先に3~4枚葉を残して、先端を切り詰めます。



また、新梢が支柱に巻き付いてうるさくなった場合は、巻き付いた先端を切ります切り取るか、巻き付いていない枝の部分で切り戻します。

夏期せん定後に伸びる新芽は、その都度、支柱に誘引します。

◉夏のせん定は、切りすぎると日焼けなど樹勢を弱める原因になります。

あくまでも果実の日照、通風をよくするために行い、極端に切りすぎないように注意しましょう。

◆キウイを楽しみたいが庭が狭いという方には、キウイのように枝が暴れることが少ないサルナシの品種がお勧めです。

小ぶりの果実はキウイそっくりで、味もほとんど同じです。


※参考ブログ
キウイ No.75 
キウイの新梢の誘引 No,139






サルビアの葉が枯れ始めた No.161

サルビア

別名 ヒゴロモソウ


梅雨明けたら、サルビアの株が元気がない。

葉が黄色くなって枯れ始めた。

◉夏の暑さで弱ったところに、ハダニが発生したためと思われます。

サルビアの仲間は、どの種類も丈夫で花つきがよく、比較的育てやすい草花です。

しかし、花壇用のスプレンデンスのように高温多湿の環境を苦手とするものも少なくありません。

◆スプレンデンスは梅雨が明け30℃以上の高温と強い日差しを受けると、生育が悪くなるだけではなく、病害虫の被害を受けやすくなります。

なかでも深刻なのは、ハダニの被害です。

気温が上がり乾燥しやすくなると、いつの間にか葉裏に発生し、あっという間に被害が広がり、葉が黄色く変色し、枯れ始めるものも出てきます。




これを放っておくと、被害がいっそうひどくなるので出来るだけ早めに、殺ダニ剤を散布して駆除に努めるとともに、用土の加湿に気をつけて水やりをし、乾燥しやすい時期には葉水なども与え、乾燥を少しでも防ぐようにしましょう。


★サルビアはシソ科サルビア属の一年草または宿根草です。

開花時期は6月から10月。

初夏から晩秋にかけて、茎や枝を伸ばし、次々と花を咲かせ続けます。

10月下旬から室内で管理すると冬を越すことができます。

※夏の対策として、8月に切り戻します。

敷きわらまたはピートモスで乾燥を防ぐ(マルチング)

※殺ダニ剤を早めに散布する。







2019/07/09

ハイビスカス🌺熱帯花木  No.160

ハイビスカス 

和名(ブッソウゲ、仏桑)

カラフルな大輪の花が咲く熱帯花木

アオイ科フヨウ属

インド洋南部のマスカレン諸島とハワイ諸島に7~8種ずつの野生種がある。

マスカレン諸島の原種の改良種「バタフライタイプ」がハワイの原種と交配され、現在の改良品種「ハワイアン·ハイビスカス」が誕生しました。

その後、改良が進み大輪の豪華な「ニュータイプ」が作られ、これらは「オールドタイプ」と呼ばれています。

ハイビスカスはこの仲間の学名です。

 

1917年、ハワイ農業試験場の登録がすでに2000品種あり、現在ではさらに膨大な品種が市場に出回っています。


ハイビスカスは、陽性植物といって、太陽を好む種類で日照不足だと下葉やつぼみも黄色くなって落ちてしまうので、できるだけ日当たりのよい場所で育てます。

◆種類と品種

一般にハイビスカスと呼んでいますが、雑種植物なので品種によって性質はかなり異なります。

〈在来系〉
花は小型で赤、ピンク、オレンジ、黄色など、性質は強く3~5℃まで越冬します。

〈ハワイ系〉
花は大輪か巨大輪、花は在来種のほかにパステル調の色合いが加わり大変美しい。

ハワイで改良され、在来種に比べ生育が遅く耐寒性は弱い。

オールドタイプ、ニュータイプ、矮性=わいせいタイプ、バタフライタイプなど。

〈タヒチアン系〉
中小輪で多花性、繁殖容易。

〈インドアハイビスカス〉
サニーシティーシリーズ…室内での開花可能な極多花性。

〈ヨーロッパ系〉
在来種同様、花も木も小型。



◆生育温度

最近は熱帯以上に暑いといわれる日本の真夏では、亜熱帯性のハイビスカスは夏バテぎみで、生育が緩慢になり花つきも悪くなってしまいます。

生育適温は20~25℃、生育可能温度は10~30℃ですが、越冬温度は15℃以上が好ましい。


★植え替えと鉢上げ

適温では生育が良いため根が鉢いっぱいになり、成長が鈍り花つきが悪くなるので、時に植え替えが必要になります。

5月~9月の間が植え替え時期で、根鉢を崩さずに一回り大きな鉢に植えます。

最初から大きな鉢に植えるよりも、年に一度植え替えの時に、徐々に鉢を大きくしていく方がよく育ちます。

株や鉢を小さくしたい場合は、根を崩し地上部も相当にせん定して植え替えます。

根を乾燥させないように注意しながら作業しましょう。

暖効性の肥料を元肥として混ぜ込んで植え付けます。



◉置き場所

植え付け後の一週間を除き日当たりの良いところに置きます。

夏は風通しの良い涼しい所で管理します。

秋霜(野外温度が10~15以下)の降りる前には室内に入れ、日の当たる窓辺に置いてガラス越しの光線を当てます。

温度は15~20℃ぐらいあれば十分てす。

◆水やり

水切れさせないように注意し、天気のよい日は1日2回水やりをします。

成長期には十分与え、13℃以下になると根の活動は鈍く乾きが遅くなるので、乾いたら与えるようにします。


★肥料

芽出し肥を3月~4月のせん定時に与えます。

追肥は、成長期の5月~10月の間にチッ素分が少なくリン酸が多く、カリ分も含んだ肥料を週に一回、または月に一回油かす、骨粉の発酵済み固形肥料か暖効性化成肥料を続けます。

※10月から3月の低温期は肥料を吸収しないので施す必要はありません。

◉せん定

植え替えの時(7月)に込んでいる枝、弱い枝などを切り取ります。

全体に日当たり、風通しを良くします。

あまり大きくしたくない場合は、伸び過ぎた枝、強くて伸びそうな枝を切り詰めて、低く枝数を増やすようにします。

夏の高温期に株を休ませるために梅雨明け頃にせん定します。

秋の入室時の10月から11月に伸びた枝を切り戻します。

★挿し木

4月~9月に、日当たりの良い場所で育った充実した枝や切り戻した枝を使い挿し木します。

頂芽や、手で簡単に曲がってしまうような柔らかい枝は不向きです。







2019/07/08

ムラサキシキブの実がならない No.159

ムラサキシキブの実がならないのはなぜ

せん定時期の誤り、肥料の与えすぎなどが考えられます。


ムラサキシキブの花芽は春から伸びる新梢の節にできます。

その為、春以降に枝を切り戻すと花芽を落としたしまい、開花、結実は望めません。

樹形を整えるせん定は、秋から初冬にかけて行います。

ただし、強くせん定しすぎると若木に更新され、花芽のつきが悪くなります。



◆株の生長が旺盛だと花芽がつきにくい傾向があります。


特にチッ素肥料が多いと枝葉の生長に養分をとられ、花つきが悪くなります。

樹勢の強い株は肥料を控え、場合によっては根切りをして花芽の生長を促します。

ムラサキシキブは株が十分に生長してから、花芽がつくようになります。

苗木から植えてから開花までは3年はかかります。

◉別種のコムラサキは植え付けた年から開花します。






2019/07/07

ナツツバキが発芽しない No.158

ナツツバキのとりまき

昨年の秋にとりまきしたが、今年の夏になっても芽がでない。

◉ナツツバキの実生は、種をまいてから発芽するまでに2年から3年かかることも珍しくありません。

乾燥に気をつけて管理すれば翌年以降に発芽する可能性があります。

鉢にまくと発芽までの期間が長いため、乾燥しやすくなります。

できるだけ庭に直接まき、場所が分かるようにプレートを立てて管理します。

まき床は20~30センチの深さまで耕し、腐葉土や完熟堆肥を入れた上に種をまきます。


種の直径の2倍から3倍の厚みで土をかけ、さらに敷きワラや腐葉土などで覆って乾燥を防ぎます。

秋にすぐに採り蒔きにすることもできますが、発芽までの期間が長いので乾燥しないように貯蔵し、翌年の春にまくようにした方がよいでしょう。