緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/05/05

ミヤマカイドウ(深山海棠)盆栽 No.205

ミヤマカイドウ バラ科

中国原産の落葉花木
花が垂れ下がるように咲くものをスイシカイドウ(垂糸海棠)垂れ下がらないものを、ウケザキカイドウ(受け咲き海棠)と呼びます。


        (双幹、根上がり)

◉管理場所、水やり

夏は半日陰に、他は日当たりと風通しのよい所に置きます。

表土が乾いたら、その都度たっぷりと水やりする。

★整姿

短枝の頂芽に花がつきます。

新梢は長く伸びるので、5月から6月に2~3芽を残して切り、短枝を作ります。

◆植え替え

若木は毎年
成木は2年~3年に1回植え替えます。

2月下旬から3月、10月から11月が適期です。

ただし、秋植えの場合は、冬の防寒対策をする必要があります。

用土は赤玉土と桐生砂、川砂などを、7 : 3くらいの割合で混ぜた混合用土を使うのが一般的です。

※病害虫
アブラムシ、カイガラムシなどの防除に、4月~5月にスミチオン、マラソンなどを散布します。






2020/05/04

カリン (花櫚) 盆栽 No.204

カリン バラ科 落葉樹


春に淡紅色の花をつけ、秋には黄色く熟した卵形の果実を成す。

幹は緑を帯びた褐色で、独特の縞模様が出ます。

固く重い木質で、家具や建材などに使われます。


             (双幹)


◉管理場所、水やり

年間を通して、日当たりと風通しのよい所に置きます。

水を好むので、春と秋は1日2回、夏場は3回、冬は土が乾いたら水やりをします。

また、夏場は葉に水を与えるようにします。

◆整姿
短い枝を充実させるようする。

新芽は、枝づくりに必要なもの以外は、すべて摘み取ります。

残った芽が伸びたら1~2節を残して切り詰めます。


★肥料
開花したら結実するまでは肥料は控えます。

一般的には、5月から7月までは月2回、8月から10月までは月に1回を目安に有機肥料を与えます。

◉植え替え
若木は毎年、成木は2年~3年に1回植え替えます。

時期は2月上旬から3月、9月中旬から10月中旬が適期です。

赤玉土7:桐生砂3の混合用土を使います。

※花木はアブラムシやカイガラムシなどの害虫の被害を受けやすいので、月に1回スミチオンなどで消毒するとよいでしょう。






2020/05/03

ゴヨウマツ(五葉松) 盆栽 No.203

ゴヨウマツ 別名キタゴヨウマツ マツ科

ゴヨウマツの産地は、関東、東北、関西、中国、四国が知られています。

五葉松と表記することからも分かるように、5本の短い針状の葉を持っているのが特徴です。

クロマツやアカマツは2葉でしかも長いことから、これらの松とはまったく異なった風合いがある。

クロマツやアカマツと比べて葉が短く、節間もつまっているため、盆栽として仕立てやすいので、松柏盆栽の中でも幅広く親しまれている樹種と言えるでしょう。


懸崖は、山採りで崖などに自生するものを入手して育てるのが一般的で、自生地は日本各地に分布していますが、四国産の四国ゴヨウマツが特に有名です。

その他として、山形の蔵王ゴヨウ、福島の吾妻ゴヨウ、長野の浅間ゴヨウなどが知られています。

蔵王ゴヨウが盆栽に使えるゴヨウマツとしては最も北の産地です。

これより北に自生する種は、葉が長く盆栽に使われることは余りないようです。



           (懸崖)

他の松よりも葉が短く、生長が遅いことから、枝の段の間隔をつめて整形します。


          (模様木)

◉管理場所、水やり
年間を通して日当たり、風通しのよい所に置きます。

水やりは、鉢の表面の土が乾いたら、十分に与えるようにします。

比較的乾燥には強いので、土が乾かないうちの水やりは控えた方がよいでしょう。

夏の暑い時期は、葉にも水を与えると効果的です。

また、葉に水を与えることで、ホコリなどの葉の汚れを取る効果もあります。

ゴヨウマツは生長が遅いので、みどり摘みは5月から6月頃の年一回が原則です。

◉剪定、整姿
生長が遅いので、芽摘み(みどり摘み)は基本的に年1回、5月~6月に行います。

強い芽を元から摘み、2~3本残します。

枝の剪定は春(3月~4月)と秋(9月~11月)に可能ですが、樹勢の強いものを除き、太枝の剪定は避けるようにする。

木の頂部は生長するにつれて枝数が増えますが、下枝はあまり数が増えません。

この事を念頭において、下枝から樹芯まで、枝ぶりがバランスよく配置されるようにする。

作業は下枝から上に向かって行います。

樹形を乱す平行枝や正面に向かって伸びた枝、幹の同じ位置から伸びた車枝、葉数の少ない徒長枝、幹を突き抜けたようなかんぬき枝、枯れ枝などを切り、樹形を整えます。 

新梢を切り込むと、新芽が出なくなるおそれがあるので、原則として秋口には新梢は切りません。

針金かけは9月下旬から3月頃までの間に行います。

矯正が決まり、針金を外すまでにはおよそ2年かかります。

◆施肥
肥料は、原則として油粕などの有機肥料

梅雨時期と真夏を除き、春から秋にかけて、油粕などの有機肥料を毎月1回与えるようにします。

特に厳しい夏を終えた秋の肥料は樹勢回復に欠かせません。

植え替え直後(春植え)のものは、根付いてから梅雨に入るまでに2回、秋に2回(9~10月)の年4回を原則として与える。

◉植え替え
若木は2年から3年、成木は3年から4年に一回を目安に植え替えます。

時期は、3月下旬から5月にかけての春植えが理想的です。

秋植えの場合は、冬に向かうので根を極端に切り詰めないように注意しましょう。

用土は赤玉土と桐生砂を7:3~8:2位の割合で混ぜた混合土を使います。


◆病害虫対策
カイガラムシ、アブラムシ、スス病などの予防は、冬期(12~2月)に石灰硫黄合剤(冬期使用厳守薬剤)の20~30倍液を2回ほど散布します。

薬剤が鉢にかかると変色することがあるので、散布の際には、新聞紙などで包んで保護する。








2020/05/02

染色植物の歴史 No.202

染色に使われる植物、染色の歴史

世界の主流となっている合成染料は1857年、イギリスにおいて創製されました。

これが日本に普及するまで日本では草木の葉、樹皮、果実などを煮出しして、その液に浸して染める「植物染め」と言う方法が一般的に行われていました。


染色の文化の歴史は古く、中国では紀元前3000年頃

インドでは、紀元前2500年には盛んに行われていた。

ヨーロッパでは、紀元前2500~800年頃の青銅器時代

青銅器時代
青銅器を主要器具としていた時代。

石器時代と鉄器時代との間に位置する時代。

西アジアでは、紀元前3000年頃に始まり、中国では殷(いん)、周の時代(戦国時代)殷は中国最古の王朝

日本では、弥生時代に鉄器と青銅器が大陸からもたらされ、厳密な意味での青銅器時代と言えるものはない。

日本の染色文化が開花したのは、奈良時代に入ってからのようです。

日本最古の染め物は、奈良の正倉院に宝物として残されています。




それらの染め物は、自然界に存在する草木で染められているにも関わらず、1200年の時を経ても色がちゃんと残っていることは驚くことだろう。

なかには時代とともに退色したり、渋味を増したものもありますが、物を大切に使っていた昔の人々は、使い古すことによる変化にも、愛着を持っていたのかもしれません。

また、染料には布の繊維を丈夫にし、肌触りを良いものにする効果があったのです。

実用的な理由からも、人々はごく日常的に染色を行っていたのです。

弥生時代の吉野ケ里遺跡には、染めた絹の遺品が存在する。

日本アカネ、貝紫が確認されている。

日本アカネで染められた絹布は、大陸に献上されていた記述が魏志倭人伝(ぎしわじんでん)に残っていることから、歴史記録がある以前より日本独自の染織があったとみられる。

★魏志倭人伝
中国の歴史書「三国志=魏、蜀、呉」中の「魏書」

当時の日本列島にいた民族、住民の倭人の習俗や地理などについて書かれている。
魏(戦国時代=紀元前403年)


◉日本の山野に自生する染料として使用される身近な植物

◆紅花(ベニバナ)
キク科の多年草
夏にアザミに似た黄色い花が咲きます。高冷地でないと、栽培が困難とされ日本では山形県や長野県で栽培されています。

きれいな薄紅に染めるには、寒い冬の時期が最も適していると言われている。




◉ヨモギ

キク科の多年草
山野に自生している。
染料としては5月から6月頃の若葉の時期が最も適している。

媒洗染剤を使用することで、きれいなグリーンやグレーに染めることができます。




◉紫草

ムラサキ科の多年草
夏に小さな白い花が咲きます。
日本各地の山野に自生している。

紫根と呼ばれる根の部分が、染料として使われます。

高貴で気品のある紫色を醸し出します。

※絶滅危惧種



◉タデアイ

タデ科の一年草
藍染めの染料となる植物です。
藍は世界各国、様々な植物繊維から抽出されますが、日本固有の植物であるタデアイから取れる藍は、ジャパンブルーと呼ばれ、特に有名です。




◉クチナシ

アカネ科の常緑樹
夏に香りの強い白い花が咲きます。
実の部分が染料として使われます。

また、日常口にしている食べ物の、黄色着色料としても利用されています。




◉アカネ草

山野に自生する多年草
アカネの語源は「赤根」とされており、乾燥した根を染料として使います。

緋色(スカーレット)と呼ばれる、黄色味がかった赤色が、時間とともに深い赤色に変わります。




◉その他の染料植物
梅、ハチク(竹)、椿、葛、カモミール、ローズマリー、バラ、茶、ゲンノショウコ、コブナグサなど









サンショウ(山椒) No.201

サンショウ(山椒)ミカン科 

別名=ハジカミ

若葉、花、果実などが香辛料としてお馴染みである。


原産地=日本、朝鮮、中国


果実は薬用にも利用され、材は擂り粉木(すりこぎ)としても使われる。

山地に生え、高さが3㍍ほどになる雌雄異株の落葉低木で、幹にはイボ状の突起が出る。


     「サンショウ」


食べ頃の若葉が展開するとすぐに淡黄色の花が咲く。

新芽が次々に出るので、こまめに葉を摘むと長持ちする。

※似ているものが数種あるが、枝に出る刺(トゲ)が対生するのが何よりの特徴です。


サンショウに似ているイヌサンショウ(犬山椒)は香りも悪く食用にならない。

植物名では、イヌは役に立たない代名詞として使われる。

サンショウの刺が対生してつくのに対し、イヌサンショウは刺が互生してつくので区別できる。

迷った時は葉の匂いを嗅いでみるとよい。


   「山椒の新葉、4月7日撮影」



紅葉期は10月から12月
開花期は4月から5月

◉剪定

放置しておくと大きく育つので、家庭の庭では高さ2㍍以下を目安にします。

新しい枝葉は柔らかく、刺も痛くありませんが、古くなると刺も固く鋭くなるため、枝が張らないように幅は1㍍以内に育てます。


剪定は基本的には、3月初旬が最適です。
決めた大きさ以外の枝は、枝の分かれているところで切り取り、からみ枝や混み合っている枝を付け根から切り取り、木の内部の風通しをよくします。

混み過ぎている枝は、枝の総数の3分の1程度を切り取る事を目安にします。

また、4月から6月頃の生育期に芽先や新葉を摘み取り食用にしますが、摘み取ることで再び柔らかい葉がつき、この事が剪定にも繋がります。



5月下旬に葉の収穫を兼ねたせん定

◉栽培

この木は雌雄異株なので、実を採種して使用する場合には、雌株を植えなければなりません。

サンショウの実は熟すと黒い種子を出す。

日当たりを好むが、場所や土地を選ばない。

◆害虫

アゲハチョウの幼虫とアブラムシがよくつく。

カルホス乳剤を散布して防ぎます。

◉肥料は鶏ふんや草木灰などのカリ肥料を多く施す。

▲七味唐辛子🌶️の中味
①唐辛子 ②陳皮(ミカンの皮) ③芥子(けし)
④菜種 ⑤麻の実 ⑥胡麻 ⑦山椒








2020/04/30

マンリョウ(万両)の斑入りは遺伝しない。No.200

斑入りの万両の実生は斑が入らない

斑入りは遺伝しない

マンリョウには果実が紅熟するもの以外に、白い実のなるシロミノマンリョウ、黄色い実がなるキミノマンリョウなど多くの園芸品種があります。

葉に白い斑が入ったり、縮れた葉のもの、波打った葉のものなどもその一種ですが、実際にはこれらの品種は遺伝的に完全に固定された品種ではありません。

つまり、実生にした場合、親株の性質は伝わりにくく、違ったものに変わる、あるいは先祖帰りすることが多いのです。

白実種を実生した場合、20~30%の割合で赤実種が出ることが知られていますが、斑入り種は斑が出ないという確率の方がはるかに高いのです。

挿し木で繁殖を行えば、親株の形質をそのまま伝えることができます。

マンリョウは5月から6月が挿し木の適期です。

充実した若枝か幹の先端を10~13㎝に切り、さし穂にします。

葉を半分落として蒸散を防ぎ、水上げした後鹿沼土などの排水性の高い用土に挿します。

素焼きの鉢などに少量のさし穂をさして、ビニールを被せて密閉ざしにすると活着がよくなります。

半日陰で管理、鉢底から根が見えるようになったら一本ずつ鉢上げします。

苗木は1年目の冬は寒冷紗やビニールトンネルなどで防寒し、翌春定植します。