緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/08/20

クロガネモチ No.252

 クロガネモチ モチノキ科(黒鉄黐)

原産地=日本、中国、インドシナ半島、台湾、東南アジア

日本では主に関東、東海地方以南の暖地の山野に自生しています。

晩秋から冬にかけての結実が美しく、古くから庭木として幅広く親しまれています。

同属のモチノキによく似ています。

特に若枝(葉柄)が濃紫色または、暗褐色で黒みがかって見えることが名前の由来と言われています。

また、モチノキの開花時期は4月ですが、クロガネモチは5月~6月で、果実の大きさもクロガネモチが、一回り小さいなどの違いがある。

花柄が長く、先が放射状に枝分かれし、その一つひとつに花をつける、集散花序であることが特徴です。

雌雄異株で、雌株は結実し11月~2月にかけて紅く熟す。

また、材は器具材や床柱として利用されます。

同属の類似種として、ソヨゴ、ナナメイキ、タラヨウなどがある。

いずれも紅く熟す雌株の果実が美しく、人気の高い樹種です。





◆生育管理
腐植質に富んだ肥沃な湿潤地が適しています。

日光を好む陽樹ですが、比較的耐陰性が強く半日陰でよく育ちます。

暖地性の植物ですが、耐寒性があり、東北地方南部までは庭植えが可能です。

乾燥を嫌うので植え付け、植え替えの時には根鉢を大きく取り、完熟堆肥や腐葉土をすき込み土中湿度を保つようにします。

夏期は敷きワラなどで乾燥を防止します植え付け、植え替えの適期は3月~4月

◉肥料
通常、肥料は特に必要ありません
雌株の実つきをよくしたい場合は、花が咲き始めたりリン酸、カリ成分の多い肥料を与えます。

★害虫
通風、日照が悪くなるとカイガラムシが発生する場合があります。

発生期にスミチオン乳剤、冬期に石灰硫黄合剤、マシン油乳剤などの散布で防除しますが、日頃の枝透かしなどで通風、日照を良好に保つことが一番の防除策になります。

◉せん定
実なりを楽しむ雌株では強いせん定は避けましょう。

通常は弱い枝、樹形を乱す徒長枝や込み枝などを付け根から切り取る程度にします。

側枝の先は、車枝状になって込みやすいので、太い枝を切り取るなどして、整理します。

生長して樹冠が大きくなり過ぎた場合は、枝先を切って樹形を整えます。

クロガネモチは萌芽力が強く、刈り込みもよく耐えるので、散らし玉などに仕立てることもできます。

◆殖やし方
実生は熟した果実を採って果肉を取り除きます。

取り出した種子は湿った砂や土中で貯蔵し、翌春3月~4月に蒔きます。

接ぎ木は充実した1年~2年の枝をつぎ穂として、実生3~4年生の台木に接ぎます。

適期は3月~4月
雌株を雄株に接ぐと実がなります。







2020/08/19

ツバキ NO.251

ツバキ (椿、山茶、海石榴)

日本に自生する野生のツバキには、ヤブツバキ(高木)とユキツバキ(低木)の2種があり、ヤブツバキは北海道と小笠原諸島を除く日本全土、ユキツバキは秋田から琵琶湖北岸の日本海側の山地多雪地帯に分布する。


この2種から生じた園芸品種は日本産が1300余種、海外で発表のものはその数倍もある。

しかもこれら2種のツバキは、世界のツバキ属200余種のうち、最北地帯に分布するため寒さに強く、また葉は照り葉で美しいことから、世界的にも高い評価を受けている。

日本で好まれて栽培されているもの、育てやすく入手可能なものは、4系列に分かれる。

①ヤブツバキ系 ②ユキツバキ系
③ワビスケ系  ④海外の品種

ツバキ園芸は、室町時代に作庭や造園が発達したことや、茶道、華道の※勃興※興隆によって、ツバキの花木としての認識と価値が急に高まった。

※勃興=ぼっこう=急に勢いよく始まって、盛んになること。

※興隆=こうりゅう=勢いが盛んになること。

大阪夏の陣(元和元年、1615年)を境に徳川幕府の基礎が安定して、平和時代が来ると天皇、将軍、武家、僧侶、更に一般庶民の間に、趣味の園芸としてのツバキブームが巻き起こり、江戸の後期、天保(1831年~1845年)までその流行が続いた。


中期にはすでに600品種を収めた極彩色の図譜(宮内庁所蔵)がある事によっても、その熱狂的な様子が窺える。

明治に入ると、西洋花卉に押されて急速にブームは衰退したが、第二次世界大戦後、欧米のツバキ熱に刺激されて、昭和のツバキブームが再来した。




◉代表的な病気
※モチ病=病原体はカビ
文字通り葉が餅を焼いたように、厚くなったり内側にねじれる病気です。

発生初期には、葉が淡黄色に変色します。

やがて葉の表面が白く粉をふいたように、カビの胞子でいっぱいになります。

最後は褐色になり枯れて萎んでしまう。

発生時期はほとんどが4月から5月ですが、まれに9月から10月の秋に発生することもある。

このカビは生きた植物にしか寄生できません。

感染すると新芽の中で菌糸として潜伏し、翌年の発病を待ちます。

感染経路は、葉の表面に白く密生した胞子が、風に運ばれて感染拡大します。

この病気の病原体(カビ)は、葉の細胞の内部で活動するので、薬をいくらまいても効果がありません。

毎年発生するようなら、病葉を取り除いた後で新芽に、銅水和剤(ボルドーなど)を散布しましょう。

最も効果的な予防法は、病葉の徹底的な摘除です。

他には、芽が冬を越している病菌を殺すために、発芽直前に石灰硫黄合剤や、銅水和剤を散布しても効果的です。

◉花腐れ病
10月から3月頃に発生
開花前に殺菌剤のダニコール1000の500倍から600倍液を散布するのが効果的です。

この殺菌剤は残存性に優れ、薬害もほとんどありません。

また、4月頃の萌芽直前にダイセン水和剤1000倍液を10日おきに2回散布する方法もあります。

◉代表的な害虫
※チャドクガ
葉の裏にケムシが群れて、葉肉だけを食べるので表からは葉の色が黄色に見えます。

年に2回、4月と7月頃に発生します。

この虫は毒毛を持ち、触れるだけでなく近寄ってもかぶれるので、他のケムシのように捕殺するのは適切ではありません。

薬剤には、スミチオン、ディプテレックス、DDVPなどが適しています。

成虫も毒毛をまき散らかすので、早期に駆除することが大切です。

◉アブラムシ
5月から9月頃まで月に1回程度、スミチオン、オルトランを散布

◉カイガラムシ
冬期に機械油乳剤30倍液を散布すると効果的です。

◆肥料
1月から2月に根元に溝を掘り、堆肥に少量の鶏ふんを混ぜ、リン酸カリ分の多い化成肥料を与えます。

追肥として、5月と9月に少量の油粕と化成肥料を株元に与えます。

◉植え付け、土壌、土質

ツバキの根はたえず新鮮な空気(酸素)を必要とし、降雨で数日間も根の部分が水浸しになると、幼根は窒息して根腐れを起こしやすくなる。

排水と通気のよい土地、土壌はツバキがよく育つための決定的な要因です。

低地で降雨ごとに冠水するような場所では、排水溝を作り、また盛り土をして植えます。

土質は、重い粘土質よりもやや軽い黒土や赤土などが適しています。

これに腐葉土や完熟堆肥をすき込めば、排水や保水、通気性が高まり、地力もついた理想的な土壌になります。

寒風の通らないことが大切です、なるべく日当たりのよい所を選びますが半日陰でも育ちます。

植え付け時期は3月下旬から4月、8月下旬から10月中旬頃までです。

2㍍以上の成木は、高温期がよいので7月から9月上旬までに植え付けし、乾燥しやすい土質なら敷きわらなどで乾燥防止をします。

※ツバキは幼苗時期に強い日差しを嫌い、高木の下で日陰の生活する陰樹です。

◉せん定
せん定は花の終わった後の4月が適期です。

生け垣のほか、樹形によっては異なりますが萌芽力が強いので、自然樹形の他にも円筒形、散らし玉、スタンド仕立てなど好みに合わせて行えます。

花芽のつく時期が6月中旬から7月中旬ですので、その前にせん定は済ませます。

徒長枝やふところ枝は、日当たりや風通しのために、また見苦しさを解消するためにも切り取りましょう。

※花芽のつく前に徒長枝や伸び枝をきりとる(4月)








2020/08/17

ヒサカキ No.250

ヒサカキ ツバキ科 (姫榊、非榊)

別名=イチサカキ、ヒサキ

原産地=日本(本州、四国、九州)台湾、朝鮮半島 インド、東南アジア

サカキに似て、全体が小形なので姫榊、それが訛(なま)ってヒサカキになったとする説と、榊に似ているが榊ではないと言う意味の「非ず」とする説がある。

主に山地に自生しますが、どのような生育環境にも適応する。

暖地性のサカキは関東地方以北では、ほとんど自生していないためサカキの代用として、関東地方などでは榊として売られ神棚に供えたりする。


※サカキとの違いは、サカキは葉の縁に鋸歯がないがヒサカキの葉の縁には鋸歯がある。


葉もヒサカキの方が小さい。



雌雄異株で雌しべが退化した単性花と、結実する両性花が咲く点がサカキと異なる。

花は3月~4月に咲き、花にはやや嫌な臭いがある。

果実は液果で紫色から黒く熟す。

日陰に強く、春先に刈り込み分枝させるとよい(2月~4月)刈り込みとして点在されると落葉樹を引き立てる。

刈り込みによって小枝を殖やす。

木材は木目が細かく、器具、薪炭などに利用されます。



◉肥料

12月から1月に寒肥として、有機質肥料を与える程度で十分だが、刈り込みを行う場合は4月に化成肥料を追肥として株周りに与える。

◆害虫

小枝が密生し、樹冠内の通風、日照が悪くなるとアブラムシ、カイガラムシなどが発生し、すす病を併発する場合があります。

害虫の発生時に、スミチオン乳剤1000倍液を2~3回散布し防除します。

せん定より通風、日照をよくし病変した葉はすべて取り除いて処分します。

◉せん定

自然樹形で楽しむ場合は、伸び過ぎた枝を切る程度で十分です。

小枝が密生し、雑然となりやすいので思い通りに切り詰めて整姿します。

萌芽力が強く、散らし玉などの仕立て物にできます。

生け垣の場合は初夏と秋の年2回を目安に刈り込みます。

◆生育管理

水はけ、保水ともによい腐植質に富んだやや湿潤地が最適ですが、乾燥にも強く、日光を好みますが、かなりの日陰地にもよく耐えます。

暑さに大変強い樹種です。

◉植え付け、植え替え

4月~5月 8月~10月

植え穴は大きめにとり、完熟堆肥、腐葉土をたっぷりすき込みます。

必要に応じて、冬期に油粕などを一株に対し2握りほど与えるとよいでしょう。

★殖やし方

実が黒く熟したら、種子を取り出してよく洗ってからすぐに蒔くか、湿砂中で低温貯蔵して翌春3月~4月頃に蒔きます。


✫挿し木

(4月~7月)に、2年生枝に葉を2枚から3枚つけて挿し穂にし、小粒の鹿沼土や赤玉土に斜め挿しにする。

※前年枝を3㎝ほど付けた状態で挿し穂を取ると、発根率が高くなると言う報告があります。


定植は翌年の5月に行う。

※類似種にハマヒサカキ(浜非榊)がある。

海岸地帯に生えるのでこの名がある。

ヒサカキによく似ているが葉の先端が丸みを帯びるので区別できる。


また、花が咲く時期が10月~12月で、木を埋め尽くすようにびっしりと下向きに咲くのが特徴です。






2020/08/16

シュロ/トウジュロ No.249

シュロ/トウジュロ ヤシ科

原産地=日本、 中国 「棕櫚」常緑高木
別名=スロ、スロノキ

漢名の棕櫚を音読みした名前である。

円柱形で直立した幹の頂上に、大きな(うちわ)のような葉をつけるシュロは、南国の趣(おもむき)のある常緑樹であるが、非常に耐寒性が強くマイナス10℃ぐらいになる所でも開化結実する。

ヤシ科の中では最も北に分布を広げた種です。

雪の多い東北地方でも野外で越冬できる。

自然分布は九州の南部とされるが、種子を野鳥が食べるため本州の山にも野生化している。
実には鳥がよく集まってくる。





乾燥地や塩分にも強い、枝がないので整枝せん定は必要ないが、枯れ下がった葉は秋に元から切る。


幹の周りのシュロ毛は紐をかけて保護する。

シュロ皮は庭木の手入れ用のシュロ縄作りに利用される。

トウジュロは、やや葉も小形で下垂せず、横に伸ばした形で庭木としても人気がある。

やや耐寒性が弱いので、関東地方より南で植栽できる。

日当たりと排水のよい場所なら土質は選ばない。

単植せず、数本ずつ寄せて植えると本来のよい姿が引き立ちます。

花は5月から6月頃、黄色い大きな房状の穂を下垂し咲きます。

雌雄異株だが雌株には両性花が雑居する。

冬に枯れた葉は見苦しいので春に切り取ります。


          (シュロ)

高木性なので、植え替えはしない方がよいですが、もし植え替える場合は前年のうちに根回しをしておき、高温期の5月から8月はじめに行います。


◉肥料

特別与えなくても育ちますが、3月から4月に株元に鶏ふんと油粕を成木には、スコップ2~3杯程度穴を掘って埋め込みます。

また夏に成木には、庭木用の化成肥料を500㌘ぐらいばら蒔きしますが、多すぎるのはよくありません。

◆殖やし方

3月~4月 9月~10月(実生)
挿し木、取り木、接ぎ木は出来ないが、果皮を腐らせた種を蒔けば容易に殖える。


日本では主に、葉の切り込みが深く古い葉先が折れて下がる(ワジュロ)と葉がやや小さく堅めで、折れ下がらない(トウジュロ)が栽培されるが、両種間の雑種も多く個体差が大きい。






2020/08/15

カイズカイブキ (貝塚伊吹) No.248

カイズカイブキ ヒノキ科

原産地=日本(北海道を除く) 朝鮮

濃緑色の枝葉が密生し、細長い円錐形の樹姿を形作る。

大きいものは高さ25㍍ 直径2㍍ほどになる。

沿岸地に自生するが、植栽も広く行われ園芸品種が多いカイズカイブキはイブキの園芸品種である。

※種類
変種にハイビャクシン、ミヤマビャクシン

園芸品種にタチビャクシン、タマイブキ、シダレイブキ、カイズカイブキなどがある。

水はけがよくやや乾燥した肥沃な土壌が適している。

日当たりを好み、潮風や公害にも強い成育も割合早く、生け垣や一般の庭木としても広く利用されている。

寒風に弱い。


◆病気
サビ病
3月から4月にかけて発生する
葉の裏に赤い突起ができて、やがて皮が破れて中からサビに似た粉状の胞子が飛ぶようになります。

病気が樹全体に蔓延すると、樹木は枯死に至ります。

サビ病は硫黄剤がよく効きます。

発生時期の前後に月2回くらいの割合で、マンネブダイセン、エムダイファー水和硫黄剤などを散布

高温多湿を好むので、せん定などをして風通しをよくすることが予防になります。

◉赤星病
春から初夏にかけて発生する葉の裏に毛羽たった病斑(茶色い胞子の塊)ができ、しだいに大きく広がって枝葉が枯れます。

お互いの枝や葉が混み合い、日当たりや風通しが悪いと発生しやすい病気です。

このカビの特徴は、カイズカイブキやビャクシン類の上で冬を越すことです。

梨やボケに発生時したカビの胞子が、空気感染によりカイズカイブキやビャクシン類に移り、その上で越冬します。

★果樹などの赤星病は、カイズカイブキ、ビャクシン類が周りにあると発生します。

冬にこの2つの樹木に石灰硫黄合剤を散布し、発生源を絶ちましょう。


◉害虫
ハダニ
夏の高温期、特に雨の少ない時に多く発生する。

葉色の緑色が失せて黄ばんだような薄茶色になります。

新葉の成長も鈍くなって元気がなくなり、酷いときには葉が枯れます。

ケルセン1000倍液、スミナイス1000倍液を月に2~3回散布

ハダニ類は薬剤に対する抵抗力がつきやすいので、2~3種類の市販のダニ退治薬を使って駆除しましょう。


◉植え付け
3月から5月頃が適期で根の状態がよければ、8月から9月と真冬を除いた時期にも可能です。

土質は排水のよい所を選べばよいでしょう。

若木を植え付けた時には、主幹が曲がりやすいので支柱をあてがいます。

成木の移植も前年に根回しをして、小枝の発生をさせておいてから春に行います。

同時に、枝葉の刈り込みを済ませておくことも忘れないようにしましょう。


★肥料
2月から3月に堆肥に鶏ふんや油粕を混ぜ、根を囲むように輪状に溝を掘り埋め込みます。

成木でスコップ2~3杯程度、夏から秋にかけて庭木用の化成肥料を500㌘程度ばら蒔きます。

◉せん定
樹形を美しく保つには、春から秋にかけてせん定をこまめに行う必要があります。

徒長枝を伸ばし過ぎないようにし、中心部の枝葉のムレを防ぐようにします。

また、手の届く程度の高さなら、指先で新芽を摘む方法でも構いませんが、たくさんの場合や大きな木は、せん定バサミ✂️を使って刈り込みます。

この場合、新芽が茶色くなることがありますが、2ヶ月程度で自然に、回復してくるので心配は要りません。

※お酢を薄めた酢水を切った部分に散布することで、変色を防げる。

せん定は基本的には、枝の伸びが止まった6月頃が適期です。

刈り込んだ後や、強せん定した枝、日陰の枝には杉葉が出ることがあり、これは先祖返りした葉で放置すると徐々に広がって行きます。

先祖返りしている枝葉は成長が早いので、見つけしだい付け根から切り取りましょう。






2020/08/12

モクレン No.247

モクレン(木蓮)オオヤマレンゲ

別名=シモクレン、モクレンゲ

原産地は中国で「木蓮」の漢字がそのまま和名になりました。

地球上で『最古の花木』とされており、一億年以上前からすでに今のような姿だったと言われている。

早春にややクリームがかった白い、清楚な花を咲かせるハクモクレン少し遅れて咲く、花弁の外側が紫桃色で内側が白いシモクレン、モクレンと言えば本来シモクレンを指します。




✣ハクモクレンは大木になるので狭い庭には向かない。


しかし、モクレン科は同じ形状の花をつける仲間が多く、一般にはそれらを含めモクレンと呼ばれています。

北米原産で常緑樹のタイサンボクもモクレンの仲間です。

日本では類似種のコブシ、シデコブシ、オオヤマレンゲなどが山野に自生しています。




花期は長く、新葉も楽しめる。
実は長楕円形で褐色、赤い種が白い糸で垂れ下がる。

欧米品種も多いが、日本でも様々な品種が作り出されている。

北海道南部まで栽培できる。

日当たりのよい適湿な肥沃地が最適で、ハクモクレンほど大きくならないので、狭い庭にも植えられる。

日当たり、水はけのよい肥沃な場所を好みますが、土質は特に選びません。

乾燥を嫌うので、夏期の水切れには注意しましょう。


植え付け時に株元に腐葉土などを敷いて、マルチングすると乾燥防止になるだけでなく、雑草の発生が少なくなり土壌改良効果もあります。

樹勢が強く育てやすい樹種ですが、栄養がよいと大木になりやすいので、苗木を植え付ける時は、生長を見越して広い場所を選ぶことが大切です。

一般にモクレンの仲間は根が粗く、一度植え付けたら移植しないようにします。

成木の移植は難。

※植え付け10月から12月 2月から4月

◆せん定
自然の樹形で育てるのがよく、ほとんどせん定しませんが、あまり大きくなりすぎた場合は冬の落葉期に行います。

伸びすぎた枝や混み合った枝を整理します。

花芽は枝の先端につくので、徒長枝以外は残すように注意しないと翌年の花が少なくなります。

◉強いせん定、切り詰めは花後すぐに行うようにしましょう。


早春は樹液が流れ出るので、強いせん定は控えます。
せん定11月から2月、4月から5月頃

花芽分化後のせん定は避ける。


◉肥料
1月から2月 9月から10月

ハクモクレン、コブシなどの大型種は、やせ地でない限り特に肥料を与える必要はありません。


生育を促したい場合や、シモクレン、シデコブシ、小型の園芸品種は花後と、9月から10月に油粕と粒状の化成肥料をばら蒔きする程度にして、多く与え過ぎないようにしましょう。

直接地面にばら蒔くときには、その木の枝の伸び具合を観察し、必要に応じて冬期に有機肥料を一株につき200から300㌘ほど与えるとよいでしょう。

◆害虫
※グンバイムシ 4月から5月に発生
マラソン乳剤、スミチオン乳剤などの殺虫剤を10日おきぐらいに、3回から4回散布すれば駆除できます。


                                  「3月1日撮影」


                            「3月11日撮影」

✿種類

やや小形のものではトウモクレン、ガール·マグノリアがある。
珍しい緑黄白花種としてはマグノリア·アクミナタがある。


                  「3月26日花後せん定」


  「8月1日、白モクレンの実」