緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/09/03

イヌツゲ No.265

イヌツゲ モチノキ科 

(犬黄楊、犬柘植)

原産地=日本各地の山地に自生
常緑低木または小高木

ツゲに似ているが役に立たないので、この名があり「ニセツゲ」と言う別名もあります。

植物名で「イヌ」は役に立たないものとして使う。

山地の林縁や草地、湿地などに生える。

よく見かけるものは高さが5㍍ほどだが、時に15㍍に達するものもあると言う。

葉は互生(ホンツゲは対生)葉の縁が少しギザギザになるのが特徴で、よく似た「ツゲ」は縁が滑らかである。

萌芽力が強く、強せん定にも耐えるので、生垣仕立てや玉仕立てなど刈り込みができる、庭木として広く利用されている、実は便利な樹種である。

土質を選ばずどこでもよく生育する。

仕立ててある生垣や庭木の刈り込みは年に2~3回行う。
移植も容易である。

雪の多い日本海側で生育するものは、地表を這うように生長し特に「ハイイヌツゲ」と呼ばれますが、実際には中間型の品種も多く
普通のイヌツゲとの識別は難しい。

排気ガスなどの公害にも強く、都市部の庭木として欠かせない存在になっています。

変種が非常に多く、卵円形のふっくらした小型の葉をつける「マメツゲ」矮性の「チャボイヌツゲ」果実が黄熟する「キミノイヌツゲ」があります。




◉生育環境
本来は暖地性の植物ですが、環境適応力が高く、耐寒性も強いので、寒地での栽培も可能です。

日陰にも強く、土質も特に選びませんが、理想的な環境は日当たりと排水がよく、腐植質に富んだ肥沃な土地です。

ローム質の軽い土が特に適しています。

痩せた土地でも育ちますが、葉の繁りは多少悪くなります。

※ローム質(層)
砂土と埴土(しょくど)=粘土の中間の土壌で、砂が約3分の1混じった粘土質の土のこと。



◉肥料
油粕、鶏ふん、化成肥料などを寒肥として2月頃に施す。

育苗中のものには年2回、春先と初夏に与え、長年同じ場所に植えているものには、年1回(春先)に与える。

◆せん定
刈り込みの時期は6月と9月、11月~12月

仕立ての適期は3月~4月

春から夏の間で徒長枝が伸びるようなら、その都度刈り込んでやれば理想的です。

6月の刈り込みは、春から急速に生長し、樹形も大きく乱れているので、深く刈り込みます。

深く刈っても再び新葉がつくので大丈夫です。

秋の刈り込みは9月中に済ませます。

9月中に刈ると再び萌芽して伸びが止まり、新葉をつけたまま冬を迎え、新葉に十分な耐寒性をつけた状態で冬を越せます。

10月以降の刈り込みの場合は新芽も充実しきれません。

浅い刈り込みで残す枝葉を多くするように注意します。

刈り込み作業前は基本的なせん定を行います。

樹形内部は枝葉が混み合い、ムレて枯れも起こっているので枝葉の整理が必要です。

徒長枝や枯れ枝を元から間引き、伸び過ぎた枝や混み合ったえだを切り戻し、切り詰め、樹形内部に日当たりと風通しをよくします。

枯れて穴のできた所は、シュロ縄で近くの枝を引き寄せ穴をふさぐ修正を行います。

枯れ葉が堆積したり、小枝がムレて枯れているのでこれらも十分に手でもみ落としてやります。

◆殖やし方
挿し木は3月下旬から9月までが適期です。

実生は10月に果実を採り、水洗いして種子を取り出します。

乾き過ぎない程度に水を切ってから、まき床に蒔きます。







2020/09/02

ダチュラ (エンゼルス·トランペット) No.264

ダチュラ ナス科

常緑テイク復は一年~多年草、一部落葉種もある

別名=マンダラゲ、エンゼルス·トランペット
   キダチチョウセンアサガオ

原産地は中南米、インドア、中近東の熱帯地方で数十種が自生している。

種類によっては花期は若干異なりますが、おおむね6月~11月頃にかけて、アサガオに似たラッパ型の大きな花が垂れ下がって咲きます。

英語ではエンゼルス·トランペット「天使のトランペット」と言われている。

★草本性の種の多くは、花が上向きに咲き。

★木本性の種は下向きに咲きます。

①★草本性(そうほんせい)とは、一般に草と呼ばれる木部があまり発達せず、地上部が1年で枯れる植物の総称。

草花や野菜なども草の仲間。

②★木本性(もくほんせい)とは、茎や根の形成層が発達していて、堅い木質の幹が成長を続ける植物
(いわゆる樹木類のこと)

従来はすべてを「ダチュラ属」として分類していましたが、木本性の低木になる種を「ブルグマンシア属(ニオイチョウセンアサガオ属)として独立させる学説が有力になっています。

ダチュラ(ダツラ)はアラビア語で「トゲ」を意味し、それは花後に、トゲに覆われた楕円形の果実が生ることに由来しています。

英語名の「ソーンアップル」も「トゲのある果実」と言う意味です。




日本には江戸時代に薬用植物としてもたらされ「チョウセンアサガオ」または中国名の「マンダラゲ=曼陀羅華」の名で親しまれてきました。

ダチュラ属の植物は、株全体にアトロピン、スコポラミンなどのアルカロイド系の毒物を含んでおり、鎮痛、喘息発作抑制、睡眠誘発の生薬として用いたほか、興奮剤、幻覚誘発剤としても利用されました。

世界初の全身麻酔による、乳ガン摘出手術を成功させた江戸時代の蘭学医「華岡青州」が開発使用した麻酔薬もダチュラ(チョウセンアサガオ)から作られたものでした。

★華岡青州(はなおかせいしゅう)
外科医(1760年~1835年)
江戸時代の外科医

欧米ではすでに16世紀頃より、乳ガンを切除することは行われていましたが、麻酔がないので大きな切除が出来ず、患者さんの痛みも相当なものだったに違いないでしょう。

それに手術の結果も惨憺たるものでした。

青州が手術した乳ガン患者さんの名前は「乳厳姓名録」と言う記録に遺されていますが、その数は152名に及びます。

園芸店で一般に「ダチュラ」として流通している種の中で代表的なものは、キダチチョウセンアサガオ(木立朝鮮朝顔)で、エンゼルス·トランペットなどの別名がある木本性(もくほんせい)の品種です。


※木本性については前文②に記載

芳香を放つ長さ15~20㎝の大きな花が咲き、1つの花は夕方に開き、朝に閉じると言うサイクルで、3日程で萎れてしまいますが、晩秋まで次々に開花し続けます。

花は白が一般的ですが、オレンジ色の花が咲く「サンギネア」淡黄色の花が咲く「カンディダ」など多彩な色合いがあり、八重咲きの園芸種も多数開発されている。


★園芸種の毒性は原種と比べて弱いとされているが、樹液が皮膚に付着するとかぶれたり、目に入ると一時的に失明する危険もあるので、取り扱いには注意が必要です。



◉生育環境

日当たり、水はけのよい肥沃な土地を好みます。

樹勢が強く土質は特に選びません。

半日陰でもよく育ちますが、日照が不足すると茎が細くなり花つきが悪くなります。


熱帯性植物なので、暖地以外では鉢植えで楽しむ事が多い植物ですが、エンゼルス·トランペットなど木立性のものは、耐寒性(耐寒温度0℃)が比較的強く、関東地方南部以西では庭植えが可能です。


◉植え付け

植え穴を大きめに掘り、腐葉土、完熟堆肥、鶏ふんなどをすき込み高植えにします。

寒風が当たると葉が傷むので風除けをします。
零下になる寒地では、冬期は鉢上げして室内で越冬させるようにします。

◆肥料

多く肥料を好む植物です。
基本的には毎月1回、油粕などの有機肥料を株の大きさに応じて、2~3握りほど株元に与えます。

★害虫

稀にアオムシやアブラムシがつくことがあります。
アオムシは見つけ次第捕殺し、アブラムシが大量発生した場合は、スミチオン乳剤などで防除します。

◉せん定

※草木性のものは、特にせん定の必要はありません。

※木本性のものは、花が一通り咲き終わった時期(種類によって異なる)に、青い茎を切り詰め、木質部だけを残して越冬させます。


                          (せん定箇所の例図)


◉殖やし方

草木性のものは実生で、秋に採った種を低温貯蔵して翌春に蒔きます。

※挿し木

(適期=5月~6月、8月~9月)
木本性のものは、充実した枝を20㎝ほど切りさし穂とします。

下半分の葉を落とし、一時間ほど水あげしてから赤玉土、鹿沼土などの用土に挿します。

乾燥に注意して管理し冬は室内で管理します(5℃以上)

翌年5月~6月頃に定植します。




❆関連ブログ
ダチュラ(エンゼルストランペット)
No,342








2020/09/01

ヒマワリ (向日葵) No.263

ヒマワリ キク科

別名=サンフラワー、ニチリンソウ

花が太陽の方を向いて回ると言われますが、実際に回るのは茎やつぼみがやわらかいうちだけです。

一般的には苗よりも種から育てるようにします。
種まきは4月~5月

種は直蒔きにし、日当たりのよい場所で腐葉土と元肥を混ぜてよく耕した土で育てます。

肥料を吸収する力が強いので、追肥はしなくてもそれなりに花は咲きますが、葉の色が悪くなってきますのでその時は固形肥料で追肥します。

土の表面が乾いたら早朝にたっぷりと水を与えます。

また、花が終わったら早めに花柄を摘み、わき芽の生長を促しましょう。




◉害虫

夏の高温乾燥期には「ハダニ」がつきやすいので早朝に水を与える時、葉にも水がかかるようにして予防します。

※植え付け時期は4月~5月
※開花期は6月~10月

◉ヒマワリの種採り

果実が成熟すると重くなり、花が下を向くのでその頃が収穫時です。

茎ごと切り取り、日陰に吊るしてよく乾燥させてからほぐして種子を取り出します。

密閉できる容器に入れ、冷蔵庫で保存します。

保存状態が良ければ、種子の寿命は4年程度と言われています。





ひまわりと蜜蜂🐝

ヒマワリの花は東を向いて咲きますが、これは朝日を浴びて暖かい花に、ミツバチがやって来るからです。

花が集まった部分を「頭状花序」といいますが、ヒマワリを含むキク科の植物によく見られます。

ヒマワリの頭状花序は、花が咲くまでの成長の過程では、日中太陽を追うように向きを変えます。

しかし、花が咲く頃まで成熟すると、頭状花序は多くの場合、東の方だけを向くようになることが知られています。


ミツバチは東向きの花にはやって来ますが、西向きのものにはやって来ません。

東向きの頭状花序は、西向きの頭状花序よりも朝、温度が高いのでミツバチが飛来します。

西向きの頭状花序を温めるとミツバチも飛来する。

朝の温度の高さが、ミツバチを引き寄せるのに重要であることが伺える。

これは朝、太陽の日射が当たることで、ミツバチが紫外線で頭状花序を見つけやすくなると考えられる。





2020/08/31

ホトトギス (杜鵑草) No,262

ホトトギス ユリ科 宿根草

別名=ユテンソウ(油点草)

東アジアからインドにかけて、20種ほどが分布し、そのうち日本には10種余りが自生しています。

古くから茶花や切り花として利用されてきた、日本原種の園芸植物です。

花弁につく斑点の模様が、鳥の「時鳥=ホトトギス」の胸元の模様に似ている事から、この名前が付けられました。

近づいて見ると、花に入る斑紋は種類や個体によって異なり、面白いことに多くの種類が雌しべやその下の花柱まで、花被片(花弁)と同じ色や形をしています。

斑点のない白い花もあります。

植物分類学上は、花は上向きに咲くものがあり、大まかには花の向きで種類が分けられます。

また、園芸的には栽培方法の違いによって、茎が直立する種類と、茎が下垂する種類に区別できます。

※茎が直立する種類
ホトトギス、タイワンホトトギス

※茎が下垂する種類
キイジョウロホトトギス、コハクホトトギス

「杜鵑草」「時鳥草」「油点草」など、様々な漢字で表される事からも、秋の訪れを告げる花として
親しまれてきたことが伺えます。

もともと日陰の植物なので、涼しい環境を好みますが春はなるべく明るい場所で育てます。

日当たりを避け、地温が低く保たれる風通しのよい場所で管理します。




◉植え付け
3月に行います。
※茎が直立する種類は、鉢で育てるか、秋や冬に日当たりがよく、夏には半日陰になる落葉樹の下などに植え付けます。

※茎が下垂する種類は、鉢で栽培するか、庭植えにする場合は石垣や岩組みなどに植え付けし、地植えにはしません。

ホトトギスは乾燥が大敵です。

生長の盛んな春から夏にかけては、土の表面がいつも湿っている状態になるように十分に水を与えます。

水はけがよければ特に用土は選びません。

※鉢植えには硬質赤玉土4、軽石3、硬質鹿沼土3の配合土か、市販の山草培養土に腐葉土を2割程度加えて使用します。

◉肥料
生育が旺盛な4月~6月に月に一回固形の有機質肥料または、化成肥料を置き肥として施し、さらに月に2~3回液肥を与えます。

夏は施肥を止め、花が終わった株は9月下旬~10月に1回だけ固形の有機質肥料または、化成肥料を置き肥として施すか、2回液肥を与えます。

◆害虫
ナメクジ
昼間は隠れていて、夜間に活動し花や新芽、若葉を食害します。

ナメクジ殺虫剤などを使用し駆除します。

土に石灰が不足すると、被害が大きくなると言われているので、石灰を施しておくと予防になります。
お酢を少し薄めて、直接ナメクジにかけて駆除することもできます。

ビールが大好きで、誘って溺れさせる駆除法もあります。

◉せん定
茎が下垂する種類で、枝数が少ない場合は草丈を抑えて草姿のバランスをよくし、枝数、花数を多くする目的で切り戻しを行います。

5月下旬から6月中旬に、3~4節残して枝を切り戻すとその後、側枝が伸びてきます。

大株で枝数が多い場合、そのままでもたくさんの花が咲くので、切り戻さずそのまま育てて、自然な姿を楽しみます。

切り落とした枝を使って挿し木もできます。


◉殖やし方
挿し木は5月から6月が適期
先端部分は発根率が悪いので、挿し穂には枝の中間部分を使い、2節ずつにそろえ、挿し床に1節だけ挿し込みます。

1ヶ月ほどで発根するので、9月頃に移植します。

株分けは2月から3月に行います
芽を持って手でほぐすようにすると、自然に株が分かれるので、1芽ずつ植え付けます。

耐寒性があり、屋外で冬越しさせる事ができます。


2020/08/30

小高のカヤの木 NO.258

カヤ (榧)イチイ科

原産地=日本、朝鮮

雌雄異株=雄花は葉の付け根に、雌花は小枝の先に群がって咲く。

淡黄色4月~5月頃開花する。

山地に生える常緑高木で高さ20㍍以上になる。

大きなものは高さ35㍍、直径2.5㍍ほどになる。



茨城県(旧麻生町小高=現行方市小高925) 

「小高(おだか)のカヤ」

茨城県指定天然記念物(昭和33年3月12日)


葉の先端は針のようにとがるので触ると痛い。

果実は一年半をかけて熟し、秋になると緑色の果皮の先端が割れる。


                        「カヤの実」
                
カヤの実は、種子油成分が多く、かつては食用油や整髪油をこの実から搾っていた。

食用、薬用になり、種子は割って生食できる。

材は碁盤、将棋盤として使われる。

樹皮は赤褐色で縦に浅く裂け、薄く剥がれる。


       (📷2020年8月撮影)


◉小高のカヤ

樹齢約650年 幹回り6.1㍍ 樹高約21㍍

1978年(昭和53年)まで小高小学校の敷地であった。


その昔は天台宗のお寺(神宮寺)がこの地にあった。

その当時に植樹されたと伝えられている。


◆生育環境

適度に湿気を含んだ肥沃な土壌が適しているが、比較的土壌は選ばない。

ただし、過度の乾湿は避ける必要があります。

◉肥料

堆肥、油粕、化成肥料などの寒肥を施す。

★害虫は風通しが悪いとアブラムシ、カイガラムシが発生し、すす病を併発する。

スミチオン、カルホス、デナポンなどの薬剤を散布

▲せん定時期は2月~3月
植え付け移植時期は3月~4月

★殖やし方

実生、または梅雨時に挿し木する

※品種に小枝が一年おきに反転するツナキガヤ
変種にヒダリマキガヤ、ハダカガヤ、チヤボカヤなどがある。


♣日本三大カヤの木

①1954年3月20日(昭和29年)に国の天然記念物に指定された「北浜の大カヤノキ」

所在地=静岡県浜松市浜北区本沢合

②1920年7月17日(大正9年)に国の天然記念物に指定された「横室の大カヤ」

所在地=群馬県前橋市富士見町横室1023-1

③1932年7月25日(昭和7年)に国の天然記念物に指定された「与野の大カヤ」

所在地=埼玉県さいたま市中央区鈴谷4丁目13-31








ヤマモモ (山桃、楊梅) No.261

ヤマモモ ヤマモモ科

「山桃、楊梅 」
原産地=日本(関東南部以西)四国
九州、朝鮮半島南部
中国、台湾、フィリピン

ヤマモモは、熱帯を中心に分布し、3属およそ50種程が知られている。


熱帯から暖帯に約35種が分布し、日本に自生するのはヤマモモ1種だけである。


香川県琴平山にはヤマモモが優占する森がある。

江戸時代阿波藩ではマツ、スギ、ヒノキ、クヌギにヤマモモを加えた五木を保護育成し、やせた山野に肥料木として植えました。

江戸中期以降に頻発した飢饉(ききん)には代用食にもされていました。

嘉永年間には、ヤマモモの改良繁殖が研究され「御前」「肥山」など多数の品種が存在していました。

現在の主要品種の「瑞光」は大正2年頃、中国福建省から「森口」は昭和20年頃発見されました。

春早く萌芽前に開花し、夏に果実がなります。

果樹として栽培されますが、比較的強い樹木なので公園、街路樹など緑化木としてよく植栽されている。

暖地の庭の主木、並木、防風、防潮林にもなります。

熟した果実は落果しやすく、日持ちもしないため、あまり市販されることはありませんが、生食だけでなく塩漬け、ジャム、砂糖漬け、果実酒などにされることが多い。

徳島県が有名な産地。




また、乾燥樹皮は「楊梅皮=ようばいひ」と呼ばれ、漁網などの染料に用いられるほか、タンニン及びフラボノイドを多く含み、下痢や打撲傷の薬にも用いられます。

夏に果実の紅熟したものを楊梅(ようばい)

7月~8月頃樹皮を剥いで天日乾燥したものを楊梅皮

樹皮にはタンニンが含まれ、楊梅染め(やまももぞめ)=天然染料
楊梅皮は諸媒染剤により茶、黄色、黄金、褐色、緑黒色など、魚網を染める染料や薬用に利用される。

塩水に耐えると言うのも染料の特徴である
合成繊維が出現してからはあまり利用されなくなった。





◆植え付け
ヤマモモは根に「根粒菌=こんりゅうきん」が共生して栄養分を供給しているため、やせた土壌でもよく育つ。

★根粒菌とは
マメ科植物の根に根粒を形成する根粒菌は、共生有機栄養窒素固定微生物群のグループに属し、いずれの窒素固定菌も他の植物と共生しており、菌体合成に必要な炭素源とエネルギー源を共生植物に依存しています。

根粒内には宿主から、光合成産物が供給されることにより、共生関係が成立している。

根粒菌は増殖能力を失った、バクテロイドと呼ばれる形態で、窒素固定を行い増殖に要するエネルギーを必要としないだけ窒素固定能力に優れている。

ヤマモモは暖地に適していて、乾燥にも強く庭木としては多少の日陰にも耐えます。

植え穴は大きく深めに掘り、腐葉土を多めにすき込んで埋め戻します。

苗木の根がとても傷みやすいので、根鉢はできるだけ崩さないようにして、植え付ける必要があります。

植え付け後、しっかり根つき、生育を始めるまでは十分に水を与えます。

植え付けは3月下旬~4月上旬が適期です。

◉肥料
寒肥として、堆肥や鶏ふんを根まわりに軽くすき込んで
土中湿度を保ちやすくします。

果実収穫後の夏場には、配合肥料と油粕を同量混ぜ
2~3握り根まわりにばら蒔きます(お礼肥)

◉病気
※こぶ病
こぶ病は様々な形のこぶが幹や枝に発生し、その部分から弱っていき、やがて枯れてしまいます。

こぶ病には銅マイシン水和剤500倍液を散布します。

◆害虫
※ヤマモモハマキ
春から夏にかけて葉を巻いて食害します。
被害が多い時は、スミチオン乳剤1000倍液で駆除します




◉せん定
ヤマモモは放っておくと大きくなるので、庭の広さに合わせた樹形で育てます。

萌芽力が強く、刈り込むこともできるので
枝葉が密生して樹形を維持しやすくなります。

樹冠から伸びすぎた枝は切り戻し
徒長枝や立ち枝は付け根から切ります。

樹冠内部の枝が多くなるため、込み枝の間引き切りや
不要枝の切り取りが必要になります。

幹から出る胴吹き枝は見つけ次第切り取ります。

管理できる樹高にするために、3月頃葉の量が全体の半分以下になるくらいに、各枝を切り返し樹形を整えます

同時に樹木内に光が当たるように、長い枝や樹の上部にある枝を枝を間引き、風通しをよくするために
込み枝、弱い細枝など不要な枝を間引きます。

2年枝の先端に実が生るので、枝の先端は切らないようにします。

春枝がよく伸びるように、枝の込み合ってる
部分を間引きます。

◉殖やし方
接ぎ木は3月~5月上旬に行います
充実した前年枝を接ぎ穂に使い、実生2年生の苗木を台木にします。

実生は夏に種を採取し、翌年3月に蒔きます。

ヤマモモの天然記念物

蓮着寺(れんちゃくじ)のヤマモモ
国指定天然記念物
所在地=静岡県伊東市

伊豆半島にはヤマモモの巨樹が多いが、その中でも最大のヤマモモが蓮着寺の境内にある。


                        「蓮着寺のヤマモモ」

ヤマモモは根元から3本に分かれて生長し、合体したものと想像できるが、株立性で株は多数枝分かれする性質がある。


市ノ瀬のヤマモモ
福岡県指定天然記念物
1963年のクリスマス・イブの日に指定され、一本の樹形が崩れて今の姿になったのではなく、雄株と雌株との案内板に説明されている事から、2本まとめて株周り(6㍍)を測定したものである。

指定された当時は一本の木の様に見えていたのかも知れません。


                     「市ノ瀬のヤマモモ」

所在地=福岡県那珂川市市ノ瀬