ヤマモモ ヤマモモ科
「山桃、楊梅 」
原産地=日本(関東南部以西)四国
九州、朝鮮半島南部
中国、台湾、フィリピン
ヤマモモは、熱帯を中心に分布し、3属およそ50種程が知られている。
熱帯から暖帯に約35種が分布し、日本に自生するのはヤマモモ1種だけである。
香川県琴平山にはヤマモモが優占する森がある。
江戸時代阿波藩ではマツ、スギ、ヒノキ、クヌギにヤマモモを加えた五木を保護育成し、やせた山野に肥料木として植えました。
江戸中期以降に頻発した飢饉(ききん)には代用食にもされていました。
嘉永年間には、ヤマモモの改良繁殖が研究され「御前」「肥山」など多数の品種が存在していました。
現在の主要品種の「瑞光」は大正2年頃、中国福建省から「森口」は昭和20年頃発見されました。
春早く萌芽前に開花し、夏に果実がなります。
果樹として栽培されますが、比較的強い樹木なので公園、街路樹など緑化木としてよく植栽されている。
暖地の庭の主木、並木、防風、防潮林にもなります。
熟した果実は落果しやすく、日持ちもしないため、あまり市販されることはありませんが、生食だけでなく塩漬け、ジャム、砂糖漬け、果実酒などにされることが多い。
徳島県が有名な産地。
また、乾燥樹皮は「楊梅皮=ようばいひ」と呼ばれ、漁網などの染料に用いられるほか、タンニン及びフラボノイドを多く含み、下痢や打撲傷の薬にも用いられます。
夏に果実の紅熟したものを楊梅(ようばい)
7月~8月頃樹皮を剥いで天日乾燥したものを楊梅皮
樹皮にはタンニンが含まれ、楊梅染め(やまももぞめ)=天然染料
楊梅皮は諸媒染剤により茶、黄色、黄金、褐色、緑黒色など、魚網を染める染料や薬用に利用される。
塩水に耐えると言うのも染料の特徴である
合成繊維が出現してからはあまり利用されなくなった。
◆植え付け
ヤマモモは根に「根粒菌=こんりゅうきん」が共生して栄養分を供給しているため、やせた土壌でもよく育つ。
★根粒菌とは
マメ科植物の根に根粒を形成する根粒菌は、共生有機栄養窒素固定微生物群のグループに属し、いずれの窒素固定菌も他の植物と共生しており、菌体合成に必要な炭素源とエネルギー源を共生植物に依存しています。
根粒内には宿主から、光合成産物が供給されることにより、共生関係が成立している。
根粒菌は増殖能力を失った、バクテロイドと呼ばれる形態で、窒素固定を行い増殖に要するエネルギーを必要としないだけ窒素固定能力に優れている。
ヤマモモは暖地に適していて、乾燥にも強く庭木としては多少の日陰にも耐えます。
植え穴は大きく深めに掘り、腐葉土を多めにすき込んで埋め戻します。
苗木の根がとても傷みやすいので、根鉢はできるだけ崩さないようにして、植え付ける必要があります。
植え付け後、しっかり根つき、生育を始めるまでは十分に水を与えます。
植え付けは3月下旬~4月上旬が適期です。
◉肥料
寒肥として、堆肥や鶏ふんを根まわりに軽くすき込んで
土中湿度を保ちやすくします。
果実収穫後の夏場には、配合肥料と油粕を同量混ぜ
2~3握り根まわりにばら蒔きます(お礼肥)
◉病気
※こぶ病
こぶ病は様々な形のこぶが幹や枝に発生し、その部分から弱っていき、やがて枯れてしまいます。
こぶ病には銅マイシン水和剤500倍液を散布します。
◆害虫
※ヤマモモハマキ
春から夏にかけて葉を巻いて食害します。
被害が多い時は、スミチオン乳剤1000倍液で駆除します
◉せん定
ヤマモモは放っておくと大きくなるので、庭の広さに合わせた樹形で育てます。
萌芽力が強く、刈り込むこともできるので
枝葉が密生して樹形を維持しやすくなります。
樹冠から伸びすぎた枝は切り戻し
徒長枝や立ち枝は付け根から切ります。
樹冠内部の枝が多くなるため、込み枝の間引き切りや
不要枝の切り取りが必要になります。
幹から出る胴吹き枝は見つけ次第切り取ります。
管理できる樹高にするために、3月頃葉の量が全体の半分以下になるくらいに、各枝を切り返し樹形を整えます
同時に樹木内に光が当たるように、長い枝や樹の上部にある枝を枝を間引き、風通しをよくするために
込み枝、弱い細枝など不要な枝を間引きます。
2年枝の先端に実が生るので、枝の先端は切らないようにします。
春枝がよく伸びるように、枝の込み合ってる
部分を間引きます。
◉殖やし方
接ぎ木は3月~5月上旬に行います
充実した前年枝を接ぎ穂に使い、実生2年生の苗木を台木にします。
実生は夏に種を採取し、翌年3月に蒔きます。
ヤマモモの天然記念物
蓮着寺(れんちゃくじ)のヤマモモ
国指定天然記念物
所在地=静岡県伊東市
伊豆半島にはヤマモモの巨樹が多いが、その中でも最大のヤマモモが蓮着寺の境内にある。
ヤマモモは根元から3本に分かれて生長し、合体したものと想像できるが、株立性で株は多数枝分かれする性質がある。
市ノ瀬のヤマモモ
福岡県指定天然記念物
1963年のクリスマス・イブの日に指定され、一本の樹形が崩れて今の姿になったのではなく、雄株と雌株との案内板に説明されている事から、2本まとめて株周り(6㍍)を測定したものである。
指定された当時は一本の木の様に見えていたのかも知れません。
所在地=福岡県那珂川市市ノ瀬
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