緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/09/18

ヒメシャラ No.277

ヒメシャラ ツバキ科 姫沙羅

別名=サルタノキ、ヤマチシャ 落葉高木

原産地=日本

本州中部以南の、標高600~800㍍の山地に分布しています。

よく似た「夏ツバキ」より花の小さいヒメシャラは庭の主木として、又は公園で林を造るようにすると美しさが引き立ちます。

「姫沙羅」と言う名は、シャラ(夏ツバキの別名)より、樹高も花の直径も小ぶりだったため、「姫」を付けて呼ばれるようになったのが由来です。

ヒメシャラは、夏ツバキよりも寒さに弱く、北は関東地方から南は九州までの地域が、庭植えの適地になります。

やや湿り気のある肥沃な土地を好みます。

明るい褐色の滑らかな幹肌は、老木になると樹皮が薄く剥がれ落ち、まだら模様を作ります。

ヒメシャラよりも少し早い時期に、まだら模様になる夏ツバキは、樹皮の赤みが強いので区別できます。

樹皮が剥がれ落ちると、若木のヒメシャラは赤褐色、古木になると灰白色になります

若いうちは枝にも毛がありしなやかに屈折します。

幹の質はすべすべして堅く、木材として柱、火鉢などの材料にも用いられます。

あまりにもすべすべとしているので、サルスベリと呼ばれる。



葉は秋に黄褐色に色づく。

6月~7月頃、その年に伸びた1年枝に直径2㎝程の白い花が一花つく。

小ぶりで涼しげな花は、夏の茶席の花として利用される。

花は花弁の外側に細かい毛が密生しています。

9月から11月には木質で絹毛が生え、先が尖った長さ15ミリ程の果実がつきます。

果実は朔果(さくか)で熟すと、5つに裂けて翼のある果皮が乾燥して、基部から上に向かって裂け種子が出る。

種子を採取するときはこれを取ります。

その後黄葉して散ります。




◆生育環境
 暖地に適していますが、夏にあまり高温多湿になる土地であれば、日陰を選んで植え付けます。

西日の当たる場所は避けます。

◉植え付け
11月から翌年3月に一年生苗を入手し、日当たりと水はけのよい砂質土に、大きな穴を掘り、穴の中に腐葉土を多めに入れて埋め戻します。

そこに苗の根土ごと植え付け、水やりをします。

その後は、1月から2月に堆肥、鶏ふん、油粕などを混ぜた、肥料を根の周辺に埋めます。

◆病害虫
比較的丈夫で手間のかからない花木ですが、病害虫には注意が必要です。

風通しをよくし、1月から2月に石灰硫黄合剤10倍液を散布して、病害虫を防ぎます。

新芽や葉に白い粉のようなカビがつく「うどん粉病」を見つけたら、早めにダイセンやベンレートなどの薬剤を散布して駆除します。

アブラムシやツバキ科に発生しやすい「チャドクガ」にも注意が必要です。

秋から春、チャドクガの卵や幼虫を見つけたら、枝ごと取り除くか薬剤を使って駆除します。

薬剤はスミチオン、ディプテレックス、DDVP等。

◉せん定
基本的には枯れ枝を取り除く程度でよく、せん定の必要がない樹木です。

高さや幅が希望より大きくなり過ぎたら、11月から2月の落葉期に、切り詰めずに長い枝を選んで間引きます。

◆殖やし方
秋にはじけた種を採取して、貯蔵し翌年3月に種蒔きします。

ゴロ土と赤玉土小粒7、腐葉土3の混合土を入れ、種子をばら蒔き薄く土をかぶせます。

発芽したら、双葉のうちから間引き、良い苗を残して苗間をあけます。

※挿し木でもできますが、やや困難です。






2020/09/17

ネムノキ No,275

ネムノキ (合歓木)マメ科 落葉樹
原産地=中国
別名=アサネゴロ、コウカ、ウシノモチ

夜になると葉は両側から合わさり、眠ったような姿になるのでこの名がある。

北海道を除く全国の原野や川辺などに自生する、日本の代表的な樹種のひとつです。

朝鮮、中国、台湾、東南アジアにも自生しています。

万葉の昔より「ねぶ」の名で親しまれている。

枝が横に広がるので真夏の緑陰樹木に適し、庭木としても用いるほか、学校や公園樹としても広く利用されています。

本来は暖地性の植物ですが、耐寒性は強く、北海道南部まで庭植えが可能です。

日本では古くから農村の風景に欠かせない雑木として広く植えられてきました。

放任すると10㍍を超える大木になりますが、小ぶりに仕立てて鉢植えで楽しむこともできます。

マメ科の植物は、蝶形の花を咲かせるものがほとんどですが、ネムノキは紅をさした★刷毛(はけ)のようなフワッとした花を咲かせます。

★刷毛=塗料などを塗る道具

3㍍程に生長すると花を咲かせます。

花は夏の夕方に咲き、丸いつぼみから短時間のうちに多数の雄しべが伸びてくる。

甘い香りがして朝には萎れてしまいます。

花は6月中旬頃から8月にかけて、断続的に咲き続けます。

刷毛のような花に見えるのは、長い雄しべで、筒状の5弁の花びらはとても小さく、よく見ないとほとんど気づきません。

夕方に開き朝にしぼむ花と、反対に葉は夕方になると閉じ、夜明けとともに開きます。

この現象は「就眠運動」と呼ばれるメカニズムによります。

ネムノキの葉は、小さい葉が鳥の羽根状になり、それが集まって大きな葉となっています。 

これを二回羽状複葉と言います。

この小葉の付け根部分に葉枕と呼ばれる膨らみがあり、内部の水分の圧力(膨力)が昼夜の温度差で変化するため、葉が開閉するのです。

★ハリエンジュ(ニセアカシア)を俗に「アカシア」と称される事が多く園芸店では混同を避けて、「ミモザ」と呼ぶのが一般的です。

海外では「ネムノキ」属名も「ミモザ」と言い、いずれも30~40の二回羽状複葉をつける共通点が名前と関係しているようである。★



                         「ネムノキの花」


触ると急激に葉が閉じる「オジギソウ」も同じ葉の構造を持つマメ科の植物ですが、ネムノキは時間をかけて、葉をゆっくりと開閉します。

ネムノキの樹皮には「タンニン」が含まれていて、民間療法で打撲傷に塗布したり、駆虫剤に用いる他、樹皮と花を含めて睡眠、精神安定剤として用いられます。

夏の暑い日に、肌着(肌)の中に直接ネムノキの葉を忍ばせると、熱冷ましとして活用できる。

ネムノキ属の仲間は世界で130種が確認されている。

日本でもネムノキを含めて3種が自生しています。

◉園芸品種
白色花をつけるシロバナネム

鮮紅色の花が咲くヒネム

50~60㎝の高さでピンクの花が開花する1才ネムなどがある。

★ネムノキは他のマメ科とやや趣きが異なる。

ニセアカシアの仲間とともにマメ科から切り離して、ネムノキ科とする説もあります。

◉生育環境
樹勢が強く、痩せ地でも比較的よく育ちますが、日当たりと水はけのよい肥沃な場所が理想的です。

日当たりをよく好む樹木なので、日陰には植えないようにします。

日光を好みますが、乾燥を嫌うので土壌水分は多めの土地が適しています。

枝がかなり横に広がるので混植は避け、庭植えの場合は、かなり広いスペースが必要になります。

◉植え付け、移植
細い根が少ないのであまり移植には強くありません。

植え付け後は乾燥に十分注意して管理します。

苗の購入時には、できるだけ根の多いものを、出来れば鉢植えのものを植え付けるのが理想的です。

根がよく張らないうちは、乾燥すると枯れ込む場合があります。

植え付け、植え替えの適期は3月頃から4月頃です。

◆肥料
植え付け時に元肥として、完熟堆肥などの有機肥料を十分にすき込みましょう。

病害虫の心配はほとんどないでしょう。

◉せん定
萌芽力があまり強くないので、強いせん定は避け、基本的には自然樹形を保ちます。

太い枝で小枝のない部分で切ると枯れ込むので、そばに枝のある所で切って樹形を整えます。

若木のうちはある程度切り込んでも大丈夫なので、早い段階で樹高を決めるようにします。

★殖やし方
秋に豆果のサヤが淡褐色に熟したら、早めに採種して採り蒔きする。

採種が遅れると虫害を受けやすく、発芽できなくなります。

発芽までに1年から2年を要します。






2020/09/16

キンモクセイ No,274

キンモクセイ モクセイ科 常緑広葉樹

原産地=中国

秋に黄色い花を咲かせる「キンモクセイ」と白花の「ギンモクセイ」とがあり、ともに甘いよい香りを漂わせ、庭木として人気がある。

放任しておくと5㍍から7㍍の大木になるので、植え付けて毎年刈り込みをして育てます。

単植の円筒形仕立てや生け垣にもなる。

雌雄異株で、日本には雄株が多く結実しない。

日当たりのよい、肥沃な土地がよく日陰にも比較的強いが、花つきが悪くなる。

東北地方の南部ぐらいまで植栽可能、ふつうの庭であればとくに土質は選びませんが、乾燥しやすく痩せている土地の場合では、堆肥や腐葉土をすき込む必要があります。





◉植え付け
4月から5月が適期です。
成木の場合は5月か7月から9月が適しています。

移植の場合は、前年に根回しをし、小根を発生させ、枝を少し切り詰めて準備をしておきます。

移植した時は、十分に水を与え、背の高い木は支柱をします。

◉肥料
樹勢の強い樹木ですから、肥料を与えすぎない方がよいのですが、花をよくつけるには、チッソ分の少ないリン酸カリ分の多い化成肥料を、3月に根元にばら蒔き、また花後に株回りに穴を掘り鶏ふんを埋め込む程度にします。

肥料の主成分のひとつであるリン酸は、主に花の開花と充実に効果があります。

モクセイのような庭木であっても、同時に花を楽しめる樹種の場合は、リン酸の成分の多い肥料を与えると、効果が大きくなります。

◉せん定
放任すると大きくなり過ぎるので、若木のうちから刈り込みをして樹形を作りながら育てましょう。

そのためには、高さを決めて芯を止め、木のバランスを考えて徒長枝をこまめに切ります。

花芽がつくのは7月頃で、春に伸びてくる枝につきます。

花を楽しむには花芽形成期から開花期の9月から10月までせん定は避けましょう。

◆害虫
風通しの悪い所などでカイガラムシが発生する。

夏の高温期にハダニも発生しやすい。

カイガラムシは混み合った枝や葉につきやすいので、よく観察しましょう。

ハダニは葉の裏側に寄生して、養分を吸います。

葉の緑色が失せて、次第に白っぽくなり、木全体の勢いが無くなり、葉がカスリ状になる。

夏の高温期に発生が目立つので早めに退治しましょう。

ハダニ類は肉眼では発見しにくいので、葉の色などで判断するのもひとつの方法です。

★予防と対策
枝葉が混み合わないようにして、風通しと日当たりをよくします。

カイガラムシには、冬期に機械油乳剤30倍液を2~3回散布して予防し、発生が見られる夏から秋にかけては、スミチオン乳剤1000倍液とオルトラン水和剤1000倍液を交互に散布して、虫の抵抗力を弱め、殺虫効果を上げるようにします。

この場合の散布は月に2~3回行います。

薬剤散布は、風上から行い、マスクなどで防護することも忘れないようにしましょう。

日中の日差しが強い時の散布は避けましょう。

早朝か、夕方の日暮れ前を中心に散布を行うようにし、できるだけ薬害を避けましょう。

※機械油乳剤剤は薬害に注意する必要があるため、冬期に使用しましょう。

ハダニは強い雨などに弱いので、時々ホースで葉に水をかけてやると、発生を抑える事ができます。

ハダニの被害が確認できたら、専用の殺ダニ剤を葉の裏を中心に散布します。






2020/09/15

ノウゼンカズラ No,276

ノウゼンカズラ ノウゼンカズラ科 

別名=トランペットフラワー 「凌霄花」
落葉ツル性高木

原産地=中国中部~南部の地方

名前に由来は諸説あるが霄(しょう)とは大空のことで、土を這わせて天空を凌(しの)ぐほど高く登るため「凌霄」と名付けられその音読みの「のしょう」が後にノウゼンに転訛したと言う説が有力です。

日本には平安時代に渡来し、古くから庭木に利用されています。

よく日が当たる場所を好み、耐暑性が強いので、壁面の緑化などに適しています。

漢方では、干した花を利尿剤や婦人科の緒症状、湿疹、じんましんの治療などに利用しています。

茎が長く伸び、付着根を出して他のものに吸着し、這い上るように生長します。

高さが10㍍に達するのも珍しくありません

茎は通常は緑色の草状ですが、古くなると次第に木質化して太枝になります。

7月から9月にかけて、濃いオレンジでラッパ型の大きな花を咲かせます。

その花の姿から別名トランペットフラワーの名がある。

ノウゼンカズラの仲間は種類が多く、熱帯性のものを中心に世界で、120属約650種が確認されています。

日本でよく見られるのは中国産のものと、アメリカ原産で花筒が細く、やや小ぶりな花の「アメリカノウゼンカズラ」の2種です。
中国産は耐寒性が弱く、庭植えは関東地方以西が無難です。

アメリカ原産は耐寒性に優れ、東北地方でも庭植えが可能です。

両者の交雑種で、花のつき方はノウゼンカズラに似て、アメリカノウゼンカズラと同等の耐寒性を持つ、紅色花の「マダム·ガレン」などの園芸種もあります。

その他に黄色やピンクの花をつける品種もあります。


◉生育環境
他の花木と比較にならないほど、日陰を嫌う植物です。

生育には、日当たりと水はけが良いことが絶対条件になります。

日当たりが悪いと花が咲きません。

特に雨や曇りの日が続くと、花やつぼみが落ちやすくなるので注意が必要です。

◉植え付け
土質は特に選びませんが、有機質に富んだ肥沃な土地が理想です。

植え付け時は、水はけの良い土に元肥をたっぷりすき込みます。

排水を考えて必ず「高植え」にすることが重要です。

他の樹木に絡ませると、その植物の樹勢が衰えてしまうので、庭植えではフェンスやバーゴラの柱に誘引したり、ポール仕立てにして管理するようにしましょう。

◆肥料
冬期に寒肥として骨粉を多めに与えます。

また、花後にカリ分の多い肥料を与えると効果的です。

過湿は嫌いますが、花期に水を切らすと花が咲かなくなるので、夏期には毎日の水やり必要になります。

◉せん定
落葉後から2月までの冬期に行います。

ノウゼンカズラは、新しく伸びたツルの先端に開花するので、毎年せん定しないと古いツルが伸び、枝葉が多いわりに花数が少なくなってしまいます。

フェンスなどに絡ませる場合は、長過ぎる枝や垂れ下がった弱い小枝を切り取り、他の枝は2~3芽残して切り戻します。

根元からたくさんのひこばえ(やご)が出ますが、太く丈夫なものを数本残してすべて切り取るようにします。

必要な枝を早めに決めて残りを発生次第切ることで、早く枝を太らせることができます。

そうすると、細かいひこばえの発生も次第に少なくなります。

強いせん定にも耐えるので、枝が伸び過ぎて困る場合は、その都度切り落としても枯れる心配はありません。

◆殖やし方
垂れ下がったツルが地面につくと、そこから発根して、どんどん殖えていきます。

意図的に殖やすには挿し木をします。

充実した枝(ツル)を10~15㎝に切ってさし穂とし、さし床に挿します。

適期は2~3月の春ざしと、6月~7月の梅雨ざしです。







エンジュ No,273

エンジュ マメ科 「木鬼、槐花」落葉高木

原産地=中国

日本に渡来したのは、かなり古く当初は「エニス」と呼ばれていたものが、転訛して「エンジュ」となったと言われています。

「槐」=かい、の字は鬼門に植えて邪気を祓い幸福を呼ぶ事に由来しており、「古来から幸福を呼ぶ木」として珍重されてきました。

街路樹や公園樹、庭木などに利用されています。

特に新築の庭などに、縁起木として植える事が多いようです。

垂れ下がるマメ形の実は、数珠のように丸くくびれていて、中がねばねばしているのが特徴です。

中国では学問と権威の象徴を表す高貴な木とされ、古代中国では、最高の「官位槐位=かいい」と称しています。

古くに中国から伝えられたエンジュは、出世を願って植える人も多い。

日本では「槐樹=かいじゅ」と言う別名があります。

夏から秋にかけて枝先に花序を出し、淡黄白色の蝶のような形をした花をたくさんつけます。

寒さや大気汚染にも強く、街路樹として広く利用されるとともに、縁起木であると同時に実用性の高い樹木で、つぼみを乾燥されたものを漢方薬として利用しています。

エンジュの蕾は多くの「ルチン」が含まれ、これを乾燥したものを(槐花、かいか)と呼び、高血圧に効く生薬にする。

また、果実は(槐角、かいかく)と呼び、同じく薬用にする。

止血、鼻血、毛細血管の強化、動脈硬化、★中風の予防などに効果があると言われ、脳卒中の予防や痔、歯肉炎の治療に処方されます。

★中風=ちゅうぶ、ちゅうふう、ちゅうぶう
脳出血によって起こる半身不随や手足の麻痺のこと。

また、重要な蜜源植物であり、若葉は茹でると食べられ、お茶の代用にも利用されてきた。



◉生育環境
日がよく当たり、水はけもよい腐植質に富んだ肥沃な土地が理想です。

土質はあまり選ばず半日陰でもよく育ちます。

耐寒性も強く、ほぼ全国で栽培可能です。

大木になる樹種なので、庭植えの場合も十分根が張れる土壌の深さが必要になります。

◉植え付け、植え替え
2月から3月と11月から12月が適期です。

移植にも強い樹種ですが、大木を移植する場合は半年から1年前から十分な根回しをする必要があります。

植え穴は大きめに掘り、完熟堆肥を十分に入れて高植します。

通常の土質であれば、肥料はまず必要ありません。

ただし、枝の伸びが悪い場合は、3月頃か9月頃に油粕を少量根元に与えるようにします。

◉害虫
まれに、デッポウムシ(カミキリムシの幼虫)が見られることがあります。

発見しだい虫穴に殺虫剤(スミチオン等)を注入し、土で穴をふさいで防除します。

★品種
近縁種にハリエンジュ(ニセアカシア)、イヌエンジュ
庭植えに向いてるシダレエンジュなどがある。

別種に、根を生薬に使うクララや、実が絹状毛に覆われたハネミエンジュなどがある

せん定
刈り込みにもよく耐える樹種です。

庭木として楽しむ場合は、植え付け時に切り詰め、その後も早めのせん定で高さを一定に保つようにします。

持ち味を生かすには、できるだけ自然樹形を保つ事が大切です。

生長が早く枝の先端がよく伸びるので、かなり枝抜きが必要になります。

エンジュはふところ枝が多く、混み合った形になります。

混み合った小枝や飛び出した徒長枝などを切り、円形に近い自然形に保ちます。

また、太枝も含め、枝は必ず根元から切るようにします。

太枝を切った場合は、必ず「ツギロウ」など、保護剤を切り口に塗布しておきます。

枝のほとんどが樹冠の上部に集中するので、大きくなり過ぎると形が悪くなる場合があります。

その時は、中途で幹を切り、側枝を主幹に更新させるようにします。

せん定、整姿は葉の落ちる12月から葉が動き出す3月にかけてが適期です。

◉殖やし方
10月頃に熟したサヤを採り、種子を取り出して蒔きます。

苗の生長も早いので、混み合わないように蒔き床は広く作り、間隔をあけて蒔くようにします。

種蒔き後は乾燥に注意して管理します。

貯蔵して置いた種子を、翌年の3月に蒔く時は、前の晩に水に浸けておくと生長を促進します。


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2020/09/14

アオキ No,272

アオキ (青木) ミズキ科

原産地=本州、四国、日本特産

葉も幹も緑色で「アオキ」と名付けられた。

山地の樹林下に生える雌雄異株の常緑低木。

外国の日本庭園には、必ずやと言ってよいほど植えられている木で、日本でも庭木としてよく植えられている。

耐寒西部が強く、日陰や大気汚染にも強く、庭木のほか公園や街路樹などにも幅広く利用され、冬に赤い実がつく。

腐植質に富んだ肥沃な湿潤地を好み、あまり乾燥しない土質ならば日なたでもよく育つ。

花は3月から5月に咲き、果実は秋(11月~4月)に赤くなり、楕円形で長さ2㎝ほど、翌年の4月頃までついている。

雄木と雌木があり、枝を粗く出す株と小枝を密生する株など、個体差がある。


                                 (アオキ)

◉植え替え、移植

春4月から5月と9月から10月頃が移植や植え替えの時期です。

◉肥料

乾燥気味の土質の場合、冬に堆肥や腐葉土をすき込む程度で、とくに肥料を与えなくても育ちます。

株に元気がなく、葉の色が悪い時には、ごく少量の化成肥料をばら蒔きします。

真夏の敷き藁も乾燥防止に役立ちます。

◉せん定

自然の形で育ちますが、風通しが悪くなるほど、繁った株は間引くようにして、徒長気味の枝を切り詰める程度のせん定をする。

◆害虫

夏から秋にかけて、通風の悪い時にカイガラムシが発生します。

幹の部分や葉の付け根をよく見て、貝殻状の殻を被った寄生しているカイガラムシを、早期に発見するようにします。

冬期の1月から2月に石灰硫黄合剤10倍液を2~3回葉や幹に散布してカイガラムシを予防します。

また、カイガラムシの発生が目立つ5月から7月には、スミチオン1000倍液を月に2~3回、葉や幹などカイガラムシの発生しやすい部分に散布します。

★殖やし方

実生(種蒔き)や挿し木で殖やします。

※その他の代表的品種
斑入り種やシロミアオキ
寒地性の姫アオキなど


                          (ヒメアオキ)

◉ヒメアオキ(姫青木)

全体がアオキより小型なのでこの名がある。

日本海側の多雪山地に生え、アオキが雪に適応したものと考えられている。

山地に生えるが、積雪の深さ以上には伸びず、高さは1㍍程のものが多い。

幹は直立せずやや横に這い、先は斜めに立ち上がる。

葉や果実もアオキより一回り小さい。