ネムノキ (合歓木)マメ科 落葉樹
原産地=中国
別名=アサネゴロ、コウカ、ウシノモチ
夜になると葉は両側から合わさり、眠ったような姿になるのでこの名がある。
北海道を除く全国の原野や川辺などに自生する、日本の代表的な樹種のひとつです。
朝鮮、中国、台湾、東南アジアにも自生しています。
万葉の昔より「ねぶ」の名で親しまれている。
枝が横に広がるので真夏の緑陰樹木に適し、庭木としても用いるほか、学校や公園樹としても広く利用されています。
本来は暖地性の植物ですが、耐寒性は強く、北海道南部まで庭植えが可能です。
日本では古くから農村の風景に欠かせない雑木として広く植えられてきました。
放任すると10㍍を超える大木になりますが、小ぶりに仕立てて鉢植えで楽しむこともできます。
マメ科の植物は、蝶形の花を咲かせるものがほとんどですが、ネムノキは紅をさした★刷毛(はけ)のようなフワッとした花を咲かせます。
★刷毛=塗料などを塗る道具
3㍍程に生長すると花を咲かせます。
花は夏の夕方に咲き、丸いつぼみから短時間のうちに多数の雄しべが伸びてくる。
甘い香りがして朝には萎れてしまいます。
花は6月中旬頃から8月にかけて、断続的に咲き続けます。
刷毛のような花に見えるのは、長い雄しべで、筒状の5弁の花びらはとても小さく、よく見ないとほとんど気づきません。
夕方に開き朝にしぼむ花と、反対に葉は夕方になると閉じ、夜明けとともに開きます。
この現象は「就眠運動」と呼ばれるメカニズムによります。
ネムノキの葉は、小さい葉が鳥の羽根状になり、それが集まって大きな葉となっています。
これを二回羽状複葉と言います。
この小葉の付け根部分に葉枕と呼ばれる膨らみがあり、内部の水分の圧力(膨力)が昼夜の温度差で変化するため、葉が開閉するのです。
★ハリエンジュ(ニセアカシア)を俗に「アカシア」と称される事が多く園芸店では混同を避けて、「ミモザ」と呼ぶのが一般的です。
海外では「ネムノキ」属名も「ミモザ」と言い、いずれも30~40の二回羽状複葉をつける共通点が名前と関係しているようである。★
「ネムノキの花」
触ると急激に葉が閉じる「オジギソウ」も同じ葉の構造を持つマメ科の植物ですが、ネムノキは時間をかけて、葉をゆっくりと開閉します。
ネムノキの樹皮には「タンニン」が含まれていて、民間療法で打撲傷に塗布したり、駆虫剤に用いる他、樹皮と花を含めて睡眠、精神安定剤として用いられます。
夏の暑い日に、肌着(肌)の中に直接ネムノキの葉を忍ばせると、熱冷ましとして活用できる。
ネムノキ属の仲間は世界で130種が確認されている。
日本でもネムノキを含めて3種が自生しています。
◉園芸品種
白色花をつけるシロバナネム
鮮紅色の花が咲くヒネム
50~60㎝の高さでピンクの花が開花する1才ネムなどがある。
★ネムノキは他のマメ科とやや趣きが異なる。
ニセアカシアの仲間とともにマメ科から切り離して、ネムノキ科とする説もあります。
◉生育環境
樹勢が強く、痩せ地でも比較的よく育ちますが、日当たりと水はけのよい肥沃な場所が理想的です。
日当たりをよく好む樹木なので、日陰には植えないようにします。
日光を好みますが、乾燥を嫌うので土壌水分は多めの土地が適しています。
枝がかなり横に広がるので混植は避け、庭植えの場合は、かなり広いスペースが必要になります。
◉植え付け、移植
細い根が少ないのであまり移植には強くありません。
植え付け後は乾燥に十分注意して管理します。
苗の購入時には、できるだけ根の多いものを、出来れば鉢植えのものを植え付けるのが理想的です。
根がよく張らないうちは、乾燥すると枯れ込む場合があります。
植え付け、植え替えの適期は3月頃から4月頃です。
◆肥料
植え付け時に元肥として、完熟堆肥などの有機肥料を十分にすき込みましょう。
病害虫の心配はほとんどないでしょう。
◉せん定
萌芽力があまり強くないので、強いせん定は避け、基本的には自然樹形を保ちます。
太い枝で小枝のない部分で切ると枯れ込むので、そばに枝のある所で切って樹形を整えます。
若木のうちはある程度切り込んでも大丈夫なので、早い段階で樹高を決めるようにします。
★殖やし方
秋に豆果のサヤが淡褐色に熟したら、早めに採種して採り蒔きする。
採種が遅れると虫害を受けやすく、発芽できなくなります。
発芽までに1年から2年を要します。
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