緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/10/08

ヤツデ No,300

 ヤツデ ウコギ科 常緑低木

別名=テングノハウチワ

東北地方南部以南の本州から四国、九州、南西諸島にかけて自生する。

海岸付近の林の中に多く自生する。

ヤツデは日本産のウコギ科で、中国に自生しない植物であり漢方薬名もない。

長い柄に5,7,9,11と言うように、必ず奇数に深く切れ込み、大きな掌状葉を持つのが特徴です。

手のひらのような大きな葉の形からこの名がある。

葉の切れ込みが効率よく日照を受けるためのものである。

カクレミノが生長に合わせて、葉の切れ込みが変化するのに対し、ヤツデの葉は変化しません。

これはヤツデが低木である事、葉が大きい事と関係していると思われます。

ヤツデの生育にとって冬の日照は、特に重要で樹林の中で生育しているヤツデは、晩秋に周辺の高木が落葉すると、次第に葉の向きを変えて、冬の日光に対応することが知られています。

ヤツデは邪悪なものの侵入を防ぐ呪力=(じゅりょく)があると信じられており、古くから魔除けの庭木として植えられていました。

軒先に葉を吊るしたりする風習もあったようです。

ウコギ科の植物には生薬としての効果があり、ヤツデも葉を煎じてせき止めの薬にしたり、湯に入れてリウマチの治療に用いたりしました。

葉に含まれる「ファトシン」と言う成分が、実際に鎮咳効果があることがわかっています。

また、主成分がサポニン類でサポニンには痰を切る作用があります。

乾燥葉を1日10㌘煎じて3回に分けて飲めば、痰切りによいでしょう。

◆ヤツデの葉の利用法、効能
1日300~500㌘を布袋に入れ、鍋で煮出して入浴直前に浴槽に袋ごと入れます。

または、葉を細かく切り、5日程乾燥させて、袋に入れて入浴時に使用すると、神経痛やリウマチに効果があります。

葉は厚く乾燥しにくいので、水洗いした後に細かく刻んで日干し乾燥させます。

生の葉を火で炙って柔らかくして、リウマチ、神経痛、腫れ物に貼る方法もあります。



                                       (  ヤツデ )


日陰に強い陰樹の代表的樹木ですが、大気汚染にもよく耐えます。

日当たりの悪い庭の隅や、勝手口付近などに植えなど、利用価値の高い庭木です。

花が少ない11月から12月に、ゴルフボール状に集まった白い花をつけます。

花は香りがあり、冬にも関わらず昆虫がよく集まり、果実は翌春に黒く熟す。

◆園芸品種
葉に白い斑が入るフクリンヤツデ

黄色い斑が入るキモンヤツデ

葉脈に沿って黄色の斑が入るキアミガタヤツデ

白斑の入るシロフヤツデなどがあります。 

斑入りの品種は、洋風の建物や芝生の庭などにも良く合い、鉢植えの観葉植物としても十分楽しめます。

◉生育管理、環境
日当たりの良い乾燥地では、株の成長が悪く日除けなどの必要があります。

日陰または、半日陰の保湿性のある腐食質に富んだ、肥沃な土地が最も適しています。

◆肥料
肥料を与えすぎると、大きな枝葉が雑然となりやすいので、出来るだけ施肥は控えるようにした方が
無難です。

肥料が必要な場合は、生育の様子を見ながら3月か9月頃に油粕、粒状の化成肥料などを株元にバラ蒔きします。

◆病害虫
乾燥が激しいと、カイガラムシが発生する場合があります。

活動期のカイガラムシには、スミチオンなどを散布して駆除します。

また、冬期のカイガラムシには、石灰硫黄合剤の10倍液を月に2~3回散布します。

カイガラムシの数が少ない場合は、なるべく薬剤散布は避け、剥ぎ落とすなどして駆除しましょう。

◉植え付け、移植
4月中旬から7月までの高温の時期と秋9月ならば可能です。

移植時の注意点として、ヤツデは葉が大きく蒸散作用が盛んなため、ほとんど全部の葉を切り落として幹だけにして行います。

時々、乾燥防止のため水を注いであげる必要があります。

◉せん定、整姿
大きくなりすぎた枝や、混み過ぎている枝は間引くように切り、風通しなどを考えて大きい下の方の葉も時々切り落とします。

特に狭い場所では、枝を3本くらいにして新葉が伸びきった6月頃に、頂部の葉だけを残して、ほかの葉を全部切り取ると、その後出てくる葉が大きくならず、小型の樹形にすることができます。

生長が比較的遅いので、十分な広さがある庭では放任して育てることも可能です。

ただし、茎が伸びて下葉が落ちるので樹形を美しく保つのが難しい上、枝葉が大きく株立ち状に広がるので、一般的には小ぶりに保つように整姿、せん定を行います。

1株に枝が3本くらい残るように、不要な枝は根元から切り取ります。

整姿する時は、頂部の葉を5枚程残して、下の古い葉を切り落とします。

また、大きな葉は、3月から4月に切り取ると、新しく出る葉は小ぶりになります。


                                    (ヤツデの花)   

株元近くから出た細かい枝も、樹形を乱すので根元から切り取るようにします。

高くなり過ぎた株を小ぶりにする場合は、5月から6月に低い部分にある芽の上で枝を切り取ります。

◆殖やし方
実生は4月から5月に熟した果実を採り、水洗いして種子を取り出し、半日陰のまき床に蒔きます。

2年生苗になるまで冬は寒冷紗などで防寒します。

挿し木は6月から7月に若い枝を15~20㎝程に切り、大きい葉を落としてさし穂とします。

水あげした後、赤玉土のさし床にさし、半日陰で管理します。






2020/10/07

カエデ、モミジ No,299

 カエデ、モミジ 落葉、一部常緑あり

カエデ科
約150~200種程確認されている、原生種のほとんどが、北半球の温帯地方に分布しています。

日本でも北海道から九州まで、各地域の環境に適した自生種が分布しています。

カエデの名前は万葉集「かえるで」とあることに由来し、葉の形状が蛙の手(足)に似ているためと言われています。

一般的には「楓」と書きますが、これは類似種の「フウ」と言う中国原産の樹木の事で、正式には(木へんに戚)と書き表記します。

楓=実が球状のカエデに似た落葉樹

★植物学的には、カエデとモミジの区別はありませんが、盆栽では葉の切れ込みが深く、5つ以上有るものを「モミジ」それ以外のものを「カエデ」と呼んでいます。

日本では、古くから観葉植物として愛され、特に江戸時代から明治にかけて、多くの品種改良が行われました。

明治初期の文献には200種を超える園芸品種が紹介されています。

また、種類の多いカエデ属の用途は幅広く、木材は家具材、楽器の素材に使われるほか、樹液はシロップや目薬に使われるものもあります。





◉生育管理、環境
美しい紅葉を楽しむには充分な日照が必要ですが、一日中、日が当たる環境はよくありません。

一般的には午前中によく日が当たり、午後は西日が当たらない排水のよい、環境が最も適しています。

他の樹種との相性は比較的よいので、混植して直射日光が当たりにくいようにするのも一つの方法です。

土壌は特にこだわりませんが、乾燥を嫌いますので特に、根元付近を乾燥から防ぐ配慮が必要です。

◆肥料
土質がよくない場合は、油粕、鶏ふんや粒状の化成肥料を幹の周囲に少量与えます。

乾燥の強い所では、完熟堆肥を株元にすき込むと効果的です。



                                    「養老渓谷」

◉せん定
自然樹形に仕立てるのが一般的です。

若木のうちは、下枝と込み合った枝などを切り取るだけで充分です。

成木になると狭い庭では、大きくなり過ぎるので、枝分かれしている部分で、長い方の枝を根元から切り取る間引きせん定を行い、枝の途中から切ると樹形を乱すので、必ず根元から切るようにします。

◆殖やし方
種類によって大きさ形が異なりますが、一対の羽根を持つ「翼果=よくか」であることがカエデの種子の特徴です。

◆翼果
果皮の一部が平らな翼状に発達した果実で、単乾果であり、果実が成熟しても裂開しない閉果である。

翼の生えたような形状により、風によって離れた所へ運ばれる。


秋に採取した種子を砂の中で貯蔵し、翌春3月に蒔きます。

★カエデの芽つぎ
①充実した枝の先端の葉の柄をすこし残して切り、5㎝程のつぎ穂を作ります。

②葉をつぐ台木の幹を木質部まで切り込んで、台木とさし穂の形成層を合わせ、ビニールテープで巻き、翌春新芽の伸びる部分を開け(出して)ておきます。


                             (カエデの芽つぎ)


ウメ、モモ、ハナミズキも同様の方法で芽つぎ出来ます。

作業は9月上旬までに終えるようにしましょう。

◆主な病害虫
※うどん粉病
ベンレート水和剤1000倍液を発生前に、月に1~2回予防のために散布します。

発生が酷い時には、10日おきに2~3回同じ濃度の散布液を使います。

※テッポウムシ(カミキリ虫の幼虫)
虫穴にマラソン乳剤の500~1000倍液を注入し、土などで穴をふさぐ。

※カミキリ虫
スミチオン乳剤1000倍液を散布するか、少量なら捕殺する。






2020/10/06

ポットマム No,298

 ポットマム キク科 宿根草

原産地=中国

秋を代表する草花のひとつで大きく「和菊」と「洋菊」に分かれ、品種は非常多く観賞用だけでなく、食用になるものもある。

中でも「ポットマム」は鉢花として出回るキクの総称でPot(鉢)とChrysanthemum(キク)のmumを合わせた言葉で、「鉢植えのキク」と言う意味です。

ポットマムは欧米生まれの洋菊から茎の伸びにくい、中輪系のものが選抜されて出来ているので、和菊に比べて手間がかからず、よく分枝してたくさんの花をつける。

盛んに品種改良が行われ、その数は100種以上あると言われています。

花色も花形も豊富で多種多彩です。




◉生育管理、環境
ポットマムの多くは開花株で、苗物はほとんど出回っていません。

花を長く楽しむには、購入した株をすぐに一回り大きな鉢に植え替えることです。

鉢のわりに地上部のボリュームが大きいので、つぼみが次々と咲き始めると、水切れを起こして株が傷むからです。

日頃の管理としては、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。

9月頃に下葉取りを行います。

草丈を抑えたい時は、8月下旬と9月中旬の2回に「わい化剤」(B-9 200倍液など)を散布するとよいでしょう。

★矮化剤(わいかざい)
植物の成長を抑制して、草姿を改善する薬剤の総称で、「植物成長抑制剤」ともいう。

茎の伸長を主に抑制し、葉や花などの他の器官にはあまり作用しない。

茎の伸長を抑制するだけでなく、分枝の発生を促進する作用を持ったものもある。

使用する際には、植物ごとに適切な薬剤の種類や濃度、使用可能時期、回数などをよく調べて調整する必要があります。

◉植え付け、植え替え
購入した開花株のプラスチックの鉢やポットを外します。
この時、根鉢(土)は崩さないようにします。

一回り大きな鉢の鉢穴を底網ネットでふさぎ、軽石と市販の草花用培養土を、軽石が隠れる程度に入れ、株を鉢の中に置きます。

鉢と株の隙間が出来ないように培養土を入れます。

ウォータースペースを残すように、培養土を入れたら完成です。

植え替え後はたっぷり水を与え、春まで管理します。

2年~3年に1回、3月中に一回り大きな鉢に植え替えを行います。

植え替え時に株分けを行い、ポットに植え付けたものを作っておくと、寄せ植えの素材として使う時に便利です。

◆肥料
肥料を好むので追肥は固形の油粕を、1鉢当たり2個を目安に置き、10月以降は液肥を7日ごとに灌水がわりに与えるとよいでしょう。

◆病害虫
白さび病やアブラムシなどが発生しやすく、特に9月の長雨時に多いので週に1回薬剤散布を行います。

◉せん定
12月頃になると地上部が自然に枯れるので、地表から2~3㎝を残して、枯れた枝を切り詰めます。

その後、極端に乾かさないように時々水やりをします。

2年目以降になると、わい化剤が切れるため草丈が高くなり過ぎることがあります。

この場合は、早春に出た芽を伸ばし、4月末から5月上旬に地表から葉を4~5枚つけた位置で切り戻しをすることで、草丈を低く抑えることも出来ます。

花芽が発達を始める7月中旬のまでに、1~2回適芯を行うとよいでしょう。

◆殖やし方
6月下旬から7月上旬に伸びた芽を指で折り取り、約7㎝の長さで水平に切り、葉を上から4枚程残して、下の葉を付け根から取り除きます。

約一時間水に浸しておき、育苗箱にパーライトかバーミキュライトを入れたっぷり水を含ませた後、さし穂を約2㎝さします。

しばらくは葉面が濡れる程度に水を与え、明るい日陰に置いて管理します。

2~3週間で発根します。







2020/10/05

コトネアスター No,297

 コトネアスター バラ科 常緑小低木

別名=ベニシタン 「紅紫檀」ミルクフラワーコトネアスター

原産地=中国雲南省

日本へは昭和のはじめに渡来し、現在では全国各地に広がっています。

シャリントウ属、属名は「マルメロに似ているもの」と言う意味を持つ。

サンザシ属(ピラカンサ)と類似しているが、葉の部分に鋸歯がない、枝にトゲが生えないなどの差異がある。

コトネアスターの仲間は(旧世界·アフロ·ユーラシア大陸)北半球に約400種が分布する。

★旧世界と旧大陸は同じものを指すが、必ずしも単一の陸塊と言う意味はない。

★アフロ·ユーラシア大陸は、アフリカ大陸とユーラシア大陸を合わせた大陸であり、地球表面上における最大の陸塊(超大陸)である。

※陸塊=りくかい(大陸のこと)

主な原種、園芸品種仲間
ベニシタン、コトネアスター·ワテレリ
コーラル·ジューティ


        (コトネアスター)


中国原産のベニシタンは、赤色の果実と枝が横に広がる樹形で、最も広く栽培されています。

5月から6月に白、或いは淡い紅色の花をたくさん咲かせますがあまり目立ちません。

10月頃に鮮紅色に熟す、ナシ状果が花の少ない季節を彩り、2月頃まで楽しめます。

ちなみに花のつぼみも赤色です。

厚く光沢のある葉は互生し、5~15㍉と小さく裏面と葉柄には毛が生えています。

秋が深まると、赤紫に紅葉して落葉する種類もあります。

枝は低い位置で枝分かれして、ほとんど這うように水平に広がっていきます。

盆栽や垣根などのほか、グランドカバーとしても利用が盛んです。

◉生育管理、環境
1年枝は長く伸びて這っていくだけで分枝しません。

翌年には短枝を作って花芽を形成し、春早々に蕾となって現れ、晩春から初夏にかけて開花します。

秋になると果実が枝に連なるようにして、赤色に熟していきます。

適応性に優れた植物なので、やや日陰でもよく実をつけるなど、どんな環境でも育ちますが出来るだけ、日当たりのよい場所を選ぶ事です。

◆植え付け、植え替え
土質は選びませんが、多湿になる場所は避けましょう。
植え付け場所には、ピートモスを多めに混ぜて水はけをよくしてやります。

植え付けは2~3月頃、又は9月~11月頃に行います。

★肥料
施肥は2~3月頃に化成肥料を与えます。

追肥はほとんど必要ありません。

◉害虫
幹や枝にコブなどの異常組織が現れたり、穴や木屑、虫糞、ヤニなどがあるという状態。

葉が霧吹き状に黄色く変色したり、縮小、葉巻状に変形したり、穴やかじり痕かをある状態。

また、新芽やまだ緑色の枝が萎れたり枯れたりする状態。

果実や種子の表面にかじり痕や傷が見られたり、表面に穴が開き内部に、虫や虫糞が見られる状態。

この様な場合、毛虫、ハマキムシ、イモムシ、シャクトリムシ、ダニなどの害虫がついていると考えられます。

枝ごと取り除き、スミチオン乳剤などで予防しておきます。




◉せん定
基本的には、花つきや実つきをよくするために、せん定はせず枯れ枝などを取るだけにします。

グランドカバーとして利用する場合は、放任してもよいでしょう。

境界線に植栽した場合は刈り込みましょう。

その際、冬の間は花芽と葉芽の区別がつかないので、春に芽が伸び出してから、せん定を行いましょう。

枝があまりにも込み合ってきたら、数年に1回、4月上旬にせん定します。

新梢のせん定は5月から9月頃に、生育が悪い小枝や枯れ枝を、付け根から切り取って間引きます。

品種によりせん定の方法が変わります。

枝の長い品種の場合は、立ち枝を付け根から間引きます。

短い品種の場合は、新梢を全体的に軽く刈り込みます。

大抵は自然樹形ですが、1本の幹を中心に主幹樹形に仕立てる方法もあります。

それにはまず、支柱を立てて根元から伸びるひこばえを早めに取りましょう。

◆殖やし方
挿し木は6月から7月頃に行います。
日当たりのよい場所で育った枝を8~10㎝程の長さに切って、下葉を取り除いておきます。

さし穂の切り口は45度位の角度に切り、切り口の樹液をよく洗って、1~2時間程度水揚げをしてからさします。

種蒔きは2月から4月頃に行います。






2020/10/04

カランコエの花が咲く気配がないのは、なぜ? No,296

 カランコエ ベンケイソウ科 多年草

多肉植物 別名=ベニベンケイ

原産地=アフリカ南部、東部、アラビア半島、東アジア、東南アジア

カランコエは、ポインセチアやシャコバサボテンなどと同様、昼の長さが短くなると花芽が分化せず、いくら待っても開花に至りません。

秋以降は夜間照明がある場所に置くと、花が咲かない事があります。

例えば電灯などの影響で、日照の時間が長くなっている事も十分考えられます。

周囲の環境を一度総点検して見た方がいいでしょう。

この様な場合は、花後日の長い7月~8月に短日処理を行います。

夕方の5時から翌朝8時頃まで、段ボール箱で鉢の上から覆い、光を完全に遮断して日に当てる時間を9時間程度に制限します。

これを20~30日間、毎日繰り返せば花芽が分化していきます。


          (カランコエ)

尚、短日処理をしてよいのは、草丈が10㎝以上に成長している株です。

花芽がしっかり分化しているかどうかを確かめるには、ルーペを用いて成長点を観察する事です。

花芽は丸みを帯びており、反対に細かく尖っているのは葉芽なので見分けやすいでしょう。

開花は花芽が出来てから、1ヶ月半から2ヶ月経過した頃となります。

暑さに弱いので、夏は風通しのよい半日陰で育てます。

花柄は順次摘み取り全部咲き終わったら、3分の1程切り戻して固形肥料を与えますが、開花中は与えません。

霜に当てると枯れやすいので、冬は室内で育てます。

ベル形の花を咲かせるものは、霜の当たらない戸外で11月下旬まで管理すると、花芽がつきやすくなります。

◉肥料
5月から9月に暖効性化成肥料

10月から12月に液体肥料を与えます。

◆植え付け、植え替え
5月から6月と9月が適期で2年に1回位切り戻しと同時に植え替えます。

根鉢を崩し、古い土と根を半分程度落として、深めに植え付けます。

家庭では過湿、過乾燥になりやすいので、入手した株の花が終わり次第、赤玉土や軽石を主体として、水はけのよい用土に植え替えます。


★切り戻し
5月から6月と9月に行います。
春の切り戻しは、花後の花茎の切り取りを兼ねます。









2020/10/03

アカシデ No,295

 アカシデ カバノキ科クマシデ属

別名=シデノキ、コソネ、ソロ 「赤四手」

原産地=日本

北海道空知郡以南の各地の山野に幅広く自生するほか、朝鮮半島から中国にも分布している。

アカシデは新芽が赤く、また秋には紅葉もするのでこの名がある。

シデの仲間は黄褐色に色づくものが多いが、本種は赤く紅葉する。


        (アカシデの紅葉)


山野の川岸など、湿った肥沃な所を好む。

「シデ」と言う名称は、垂れ下がって実る果穂(かすい)の様子が、神前に供える玉串やしや、縄して下げる細長く切った白い紙に似ている事に由来します。

(四手または垂、幣=シデ)

9月から11月に一斉に垂れ下がる果穂を見れば、すぐにシデの仲間だと見分ける事ができます。
(一見ミノムシの様にも見える)

古くから雑木林や庭園、公園の植栽、盆栽などによく利用されている樹種です。

4月から5月にかけて、新葉が展開するのと同時期に、下垂した穂状の花序を付けます。


         (アカシデの花)

雌雄同株ですが、雌花と雄花が別々に咲きます。

葉は表面が鮮緑色、裏面は淡緑色でともに粗毛(伏毛)で覆われ、細かい鋸歯があります。

樹皮は暗灰色でなめらかで、隆起した皮目が多く老木では筋状のくぼみが目立つ。

果実は8月から9月に熟し、果穂は長さ4~10㎝で、クマシデやサワシバに比べて果苞がバラバラした感じで付く。

葉状の果苞がまばらに付き果苞の基部には堅果が一個つく。

★果穂=かすい(中に種子がある)
種子を抱いた果苞が房状になったもの。

★果苞=かほう
つぼみを包む様に葉が変形したもの。
     
シデ類は盆栽樹としては、「ソロ」の名で親しまれ、新緑と黄紅葉の美しい雑木盆栽として知られています。

シデ類は同属の近縁種が多く、日本各地に分布しておりいずれも庭木や盆栽樹として親しまれていますが、中でも特に人気が高いのが「アカシデ」です。

初夏の新芽が赤味を帯びて美しい事に加え、秋の紅葉も他のシデ類が黄褐色に黄葉するのに対し、アカシデは美しく紅葉することから、盆栽界ではアカメソロ(赤芽曽呂)の名で珍重されています。

◆品種
園芸種は特にありません。

近縁種として
北海道から九州までの山間の水辺を中心に分布するサワシバ(サワシデ)

本州から9月の山野に分布するイヌシデ(シロシデ)

クマシデ、イワシデなどがあります。


        (熟した果穂と果苞)


イヌシデは緑白色の新芽に、アカシデと違った味わいがあり、クマシデは大柄で緻密な葉脈を持った、葉と長く垂れ下がった果穂でそれぞれ人気がある。

昔々の話で、おじいさんは柴刈りにと言う語りがあるが、この柴とはサワシバをはじめとするシデ類の樹木の事です。

カシ類と同様に、薪炭材として古くから庶民を中心に幅広く利用されていた。

傘や農具、器具類の柄の材料、ろくろ細工の材料として用いられるなど、多岐に渡り生活に密着している樹種です。

◉生育環境
日当たり、水はけのよい腐植質に富んだ肥沃な場所を好みます。

土質は特に選びませんが、株元が乾燥すると樹勢が弱くなります。

★植え付け、植え替え
植え穴は大きめに掘り、完熟堆肥を十分ににすき込んで高植えにし、必要に応じて支柱で支えます。

植え付けの適期は2月~3月と10月~11月です。

◆肥料
樹勢が強く、特に土質が悪くない限り必要ありません。

枝の生育が悪い場合は、3月または9月に油粕や粒状化成肥料などを株元に施します。


★病気
カイガラムシ
樹冠内の日照、通風が悪いと発生します。

冬期にマシン油乳剤や石灰硫黄合剤の散布で防除します。

テッポウムシ(カミカリムシの幼虫)
成虫を見つけたら捕殺します。

幹に食入口(虫穴)を見つけたら、穴にスミチオン乳剤などを注入して土などで穴を塞ぎ駆除します。

◉せん定、整姿
強せん定、刈り込みを嫌うのでせん定は最低限に止め、自然樹形で育てますが一般的です。

枝の途中で切らず、必ず付け根から切るようにします。

自然の柔らかい姿を保つためにも、枝抜きによる整姿、せん定が基になります。

単植でも美しい樹木ですが、何本かを寄せ植え風に列植すると味わいが増します。

その場合は、一律に樹形を整えるのではなく、それぞれの木の個性を生かして、多少異なった樹形にした方が趣が出ます。

◆殖やし方
9月下旬から11月上旬の実熟期に果穂を採り、2~3日陰干しします。

これを手でよく揉むと中から種子が出てくるので、すぐに蒔きます。

乾燥に注意して管理すれば、翌年の4月頃に発芽します。