緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/10/08

イチゴノキ No,301

 イチゴノキ     ツツジ科 

常緑広葉低木

別名=ストロベリー·ツリー  ※マドロナ属

原産地=南ヨーロッパ、アイルランド、南アジア、ヨーロッパ、北アメリカ

約20種の同属種が確認されており、主に岩の多い森林地帯等に自生します。

欧米で「ストロベリー·ツリー」と呼ばれていることから、「イチゴノキ」と言う和名が付きました。

日本に伝えられたのは明治時代ですが、園芸店などに幅広く流通するようになったのは、ごく最近のことです。

尚、日本に同属の植物はありません。

低木に分類されていますが、ツツジ科の植物の中では大きく、欧米では樹高5~10㍍に達するものもあります。

生育環境の違いからか、日本国内では大きく生長しても2~3㍍程度です。

5月~6月にスズランに似た白やピンク、クリーム色の釣り鐘状の集合花を咲かせます。

ハチミツに似た甘い香りがあります。

秋には表面に細かいイボ状の突起がある、サクランボ程の球形果実が成ります。


                           (イチゴノキ)

この果実がイチゴの実に似ていることが、名前の由来と言われています。

果実は甘味があり、砂糖煮にしてジャムにしたり、果実酒、ワインなどに用いられます。

しかし、学名の「アルブツク·ウネド」のウネドは「一度」と言う意味で「一度食べたら二度と食べたくないくらいまずい」ことに由来していると言われており、属名の語源もケルト語の粗い果実、渋い実のなる木によるとの説があるなど、生食には適さないようです。

葉はタンニンを多く含む、そのため収斂(しゅうれん)、利尿、殺菌作用などがあり、薄く剥がれる淡褐色の樹皮とともに、薬用ハーブとしても利用されています。

花と実の双方が楽しめ、地際から多数の枝が出てよく茂ることから、家庭果樹、ガーデンツリー、公園樹などに利用されています。


◆生育環境
日当たり、水はけのよいやや火山灰質の、軽い肥沃な土が適していますが、半日陰でもよく育ちます。

土壌は中性から弱酸性を好みます。

★植え付けは3月から4月
用土にピートモス、腐葉土をよくすき込み高植えにします。

移植には弱いので、植え替えをしないでいいように、植え付け場所を選ぶ必要があります。


◉肥料
3月頃に油粕、骨粉を中心として有機肥料と粒状の化成肥料を、等量混ぜたものを株元に与えます。


また、ピートモスを4月から5月頃に株周りに少し厚めに敷いておくと、排水がよくなり肥料もよく効きます。

★病害虫
まれにテッポウムシ(カミキリ虫の幼虫)が発生することがあります。

食害を受けた幹穴に、スミチオン乳剤の20~30倍液を注入して駆除します。

◉せん定
株元近くからよく枝が出て、株立ち状の樹形になります。

日本では、放任しても円形に近い樹形にまとまるので、改めて整姿、せん定する必要はほとんどありません。

必要に応じて、飛び枝や徒長枝、樹冠内部の細かい込み枝を整理する程度で十分です。

樹冠が大きくなると、風の影響を受けて倒れやすくなるので、大きくなった場合は支柱をして保護するようにします。

◉殖やし方実生は秋(10月~11月)に熟した果実を採り、よく水洗いすると小粒の種子が取れるので、それをまき床に蒔いて管理します。

挿し木は、今年伸びた新梢を5~6㎝に切ってさし穂とします。

切り口を水に浸し水あげした後、鹿沼土のさし床にさし、十分に水やりして乾燥に気を付けながら管理します。

挿し木の適期は6月中旬から7月上旬です。








ヤツデ No,300

 ヤツデ ウコギ科 常緑低木

別名=テングノハウチワ

東北地方南部以南の本州から四国、九州、南西諸島にかけて自生する。

海岸付近の林の中に多く自生する。

ヤツデは日本産のウコギ科で、中国に自生しない植物であり漢方薬名もない。

長い柄に5,7,9,11と言うように、必ず奇数に深く切れ込み、大きな掌状葉を持つのが特徴です。

手のひらのような大きな葉の形からこの名がある。

葉の切れ込みが効率よく日照を受けるためのものである。

カクレミノが生長に合わせて、葉の切れ込みが変化するのに対し、ヤツデの葉は変化しません。

これはヤツデが低木である事、葉が大きい事と関係していると思われます。

ヤツデの生育にとって冬の日照は、特に重要で樹林の中で生育しているヤツデは、晩秋に周辺の高木が落葉すると、次第に葉の向きを変えて、冬の日光に対応することが知られています。

ヤツデは邪悪なものの侵入を防ぐ呪力=(じゅりょく)があると信じられており、古くから魔除けの庭木として植えられていました。

軒先に葉を吊るしたりする風習もあったようです。

ウコギ科の植物には生薬としての効果があり、ヤツデも葉を煎じてせき止めの薬にしたり、湯に入れてリウマチの治療に用いたりしました。

葉に含まれる「ファトシン」と言う成分が、実際に鎮咳効果があることがわかっています。

また、主成分がサポニン類でサポニンには痰を切る作用があります。

乾燥葉を1日10㌘煎じて3回に分けて飲めば、痰切りによいでしょう。

◆ヤツデの葉の利用法、効能
1日300~500㌘を布袋に入れ、鍋で煮出して入浴直前に浴槽に袋ごと入れます。

または、葉を細かく切り、5日程乾燥させて、袋に入れて入浴時に使用すると、神経痛やリウマチに効果があります。

葉は厚く乾燥しにくいので、水洗いした後に細かく刻んで日干し乾燥させます。

生の葉を火で炙って柔らかくして、リウマチ、神経痛、腫れ物に貼る方法もあります。



                                       (  ヤツデ )


日陰に強い陰樹の代表的樹木ですが、大気汚染にもよく耐えます。

日当たりの悪い庭の隅や、勝手口付近などに植えなど、利用価値の高い庭木です。

花が少ない11月から12月に、ゴルフボール状に集まった白い花をつけます。

花は香りがあり、冬にも関わらず昆虫がよく集まり、果実は翌春に黒く熟す。

◆園芸品種
葉に白い斑が入るフクリンヤツデ

黄色い斑が入るキモンヤツデ

葉脈に沿って黄色の斑が入るキアミガタヤツデ

白斑の入るシロフヤツデなどがあります。 

斑入りの品種は、洋風の建物や芝生の庭などにも良く合い、鉢植えの観葉植物としても十分楽しめます。

◉生育管理、環境
日当たりの良い乾燥地では、株の成長が悪く日除けなどの必要があります。

日陰または、半日陰の保湿性のある腐食質に富んだ、肥沃な土地が最も適しています。

◆肥料
肥料を与えすぎると、大きな枝葉が雑然となりやすいので、出来るだけ施肥は控えるようにした方が
無難です。

肥料が必要な場合は、生育の様子を見ながら3月か9月頃に油粕、粒状の化成肥料などを株元にバラ蒔きします。

◆病害虫
乾燥が激しいと、カイガラムシが発生する場合があります。

活動期のカイガラムシには、スミチオンなどを散布して駆除します。

また、冬期のカイガラムシには、石灰硫黄合剤の10倍液を月に2~3回散布します。

カイガラムシの数が少ない場合は、なるべく薬剤散布は避け、剥ぎ落とすなどして駆除しましょう。

◉植え付け、移植
4月中旬から7月までの高温の時期と秋9月ならば可能です。

移植時の注意点として、ヤツデは葉が大きく蒸散作用が盛んなため、ほとんど全部の葉を切り落として幹だけにして行います。

時々、乾燥防止のため水を注いであげる必要があります。

◉せん定、整姿
大きくなりすぎた枝や、混み過ぎている枝は間引くように切り、風通しなどを考えて大きい下の方の葉も時々切り落とします。

特に狭い場所では、枝を3本くらいにして新葉が伸びきった6月頃に、頂部の葉だけを残して、ほかの葉を全部切り取ると、その後出てくる葉が大きくならず、小型の樹形にすることができます。

生長が比較的遅いので、十分な広さがある庭では放任して育てることも可能です。

ただし、茎が伸びて下葉が落ちるので樹形を美しく保つのが難しい上、枝葉が大きく株立ち状に広がるので、一般的には小ぶりに保つように整姿、せん定を行います。

1株に枝が3本くらい残るように、不要な枝は根元から切り取ります。

整姿する時は、頂部の葉を5枚程残して、下の古い葉を切り落とします。

また、大きな葉は、3月から4月に切り取ると、新しく出る葉は小ぶりになります。


                                    (ヤツデの花)   

株元近くから出た細かい枝も、樹形を乱すので根元から切り取るようにします。

高くなり過ぎた株を小ぶりにする場合は、5月から6月に低い部分にある芽の上で枝を切り取ります。

◆殖やし方
実生は4月から5月に熟した果実を採り、水洗いして種子を取り出し、半日陰のまき床に蒔きます。

2年生苗になるまで冬は寒冷紗などで防寒します。

挿し木は6月から7月に若い枝を15~20㎝程に切り、大きい葉を落としてさし穂とします。

水あげした後、赤玉土のさし床にさし、半日陰で管理します。






2020/10/07

カエデ、モミジ No,299

 カエデ、モミジ 落葉、一部常緑あり

カエデ科
約150~200種程確認されている、原生種のほとんどが、北半球の温帯地方に分布しています。

日本でも北海道から九州まで、各地域の環境に適した自生種が分布しています。

カエデの名前は万葉集「かえるで」とあることに由来し、葉の形状が蛙の手(足)に似ているためと言われています。

一般的には「楓」と書きますが、これは類似種の「フウ」と言う中国原産の樹木の事で、正式には(木へんに戚)と書き表記します。

楓=実が球状のカエデに似た落葉樹

★植物学的には、カエデとモミジの区別はありませんが、盆栽では葉の切れ込みが深く、5つ以上有るものを「モミジ」それ以外のものを「カエデ」と呼んでいます。

日本では、古くから観葉植物として愛され、特に江戸時代から明治にかけて、多くの品種改良が行われました。

明治初期の文献には200種を超える園芸品種が紹介されています。

また、種類の多いカエデ属の用途は幅広く、木材は家具材、楽器の素材に使われるほか、樹液はシロップや目薬に使われるものもあります。





◉生育管理、環境
美しい紅葉を楽しむには充分な日照が必要ですが、一日中、日が当たる環境はよくありません。

一般的には午前中によく日が当たり、午後は西日が当たらない排水のよい、環境が最も適しています。

他の樹種との相性は比較的よいので、混植して直射日光が当たりにくいようにするのも一つの方法です。

土壌は特にこだわりませんが、乾燥を嫌いますので特に、根元付近を乾燥から防ぐ配慮が必要です。

◆肥料
土質がよくない場合は、油粕、鶏ふんや粒状の化成肥料を幹の周囲に少量与えます。

乾燥の強い所では、完熟堆肥を株元にすき込むと効果的です。



                                    「養老渓谷」

◉せん定
自然樹形に仕立てるのが一般的です。

若木のうちは、下枝と込み合った枝などを切り取るだけで充分です。

成木になると狭い庭では、大きくなり過ぎるので、枝分かれしている部分で、長い方の枝を根元から切り取る間引きせん定を行い、枝の途中から切ると樹形を乱すので、必ず根元から切るようにします。

◆殖やし方
種類によって大きさ形が異なりますが、一対の羽根を持つ「翼果=よくか」であることがカエデの種子の特徴です。

◆翼果
果皮の一部が平らな翼状に発達した果実で、単乾果であり、果実が成熟しても裂開しない閉果である。

翼の生えたような形状により、風によって離れた所へ運ばれる。


秋に採取した種子を砂の中で貯蔵し、翌春3月に蒔きます。

★カエデの芽つぎ
①充実した枝の先端の葉の柄をすこし残して切り、5㎝程のつぎ穂を作ります。

②葉をつぐ台木の幹を木質部まで切り込んで、台木とさし穂の形成層を合わせ、ビニールテープで巻き、翌春新芽の伸びる部分を開け(出して)ておきます。


                             (カエデの芽つぎ)


ウメ、モモ、ハナミズキも同様の方法で芽つぎ出来ます。

作業は9月上旬までに終えるようにしましょう。

◆主な病害虫
※うどん粉病
ベンレート水和剤1000倍液を発生前に、月に1~2回予防のために散布します。

発生が酷い時には、10日おきに2~3回同じ濃度の散布液を使います。

※テッポウムシ(カミキリ虫の幼虫)
虫穴にマラソン乳剤の500~1000倍液を注入し、土などで穴をふさぐ。

※カミキリ虫
スミチオン乳剤1000倍液を散布するか、少量なら捕殺する。






2020/10/06

ポットマム No,298

 ポットマム キク科 宿根草

原産地=中国

秋を代表する草花のひとつで大きく「和菊」と「洋菊」に分かれ、品種は非常多く観賞用だけでなく、食用になるものもある。

中でも「ポットマム」は鉢花として出回るキクの総称でPot(鉢)とChrysanthemum(キク)のmumを合わせた言葉で、「鉢植えのキク」と言う意味です。

ポットマムは欧米生まれの洋菊から茎の伸びにくい、中輪系のものが選抜されて出来ているので、和菊に比べて手間がかからず、よく分枝してたくさんの花をつける。

盛んに品種改良が行われ、その数は100種以上あると言われています。

花色も花形も豊富で多種多彩です。




◉生育管理、環境
ポットマムの多くは開花株で、苗物はほとんど出回っていません。

花を長く楽しむには、購入した株をすぐに一回り大きな鉢に植え替えることです。

鉢のわりに地上部のボリュームが大きいので、つぼみが次々と咲き始めると、水切れを起こして株が傷むからです。

日頃の管理としては、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。

9月頃に下葉取りを行います。

草丈を抑えたい時は、8月下旬と9月中旬の2回に「わい化剤」(B-9 200倍液など)を散布するとよいでしょう。

★矮化剤(わいかざい)
植物の成長を抑制して、草姿を改善する薬剤の総称で、「植物成長抑制剤」ともいう。

茎の伸長を主に抑制し、葉や花などの他の器官にはあまり作用しない。

茎の伸長を抑制するだけでなく、分枝の発生を促進する作用を持ったものもある。

使用する際には、植物ごとに適切な薬剤の種類や濃度、使用可能時期、回数などをよく調べて調整する必要があります。

◉植え付け、植え替え
購入した開花株のプラスチックの鉢やポットを外します。
この時、根鉢(土)は崩さないようにします。

一回り大きな鉢の鉢穴を底網ネットでふさぎ、軽石と市販の草花用培養土を、軽石が隠れる程度に入れ、株を鉢の中に置きます。

鉢と株の隙間が出来ないように培養土を入れます。

ウォータースペースを残すように、培養土を入れたら完成です。

植え替え後はたっぷり水を与え、春まで管理します。

2年~3年に1回、3月中に一回り大きな鉢に植え替えを行います。

植え替え時に株分けを行い、ポットに植え付けたものを作っておくと、寄せ植えの素材として使う時に便利です。

◆肥料
肥料を好むので追肥は固形の油粕を、1鉢当たり2個を目安に置き、10月以降は液肥を7日ごとに灌水がわりに与えるとよいでしょう。

◆病害虫
白さび病やアブラムシなどが発生しやすく、特に9月の長雨時に多いので週に1回薬剤散布を行います。

◉せん定
12月頃になると地上部が自然に枯れるので、地表から2~3㎝を残して、枯れた枝を切り詰めます。

その後、極端に乾かさないように時々水やりをします。

2年目以降になると、わい化剤が切れるため草丈が高くなり過ぎることがあります。

この場合は、早春に出た芽を伸ばし、4月末から5月上旬に地表から葉を4~5枚つけた位置で切り戻しをすることで、草丈を低く抑えることも出来ます。

花芽が発達を始める7月中旬のまでに、1~2回適芯を行うとよいでしょう。

◆殖やし方
6月下旬から7月上旬に伸びた芽を指で折り取り、約7㎝の長さで水平に切り、葉を上から4枚程残して、下の葉を付け根から取り除きます。

約一時間水に浸しておき、育苗箱にパーライトかバーミキュライトを入れたっぷり水を含ませた後、さし穂を約2㎝さします。

しばらくは葉面が濡れる程度に水を与え、明るい日陰に置いて管理します。

2~3週間で発根します。







2020/10/05

コトネアスター No,297

 コトネアスター バラ科 常緑小低木

別名=ベニシタン 「紅紫檀」ミルクフラワーコトネアスター

原産地=中国雲南省

日本へは昭和のはじめに渡来し、現在では全国各地に広がっています。

シャリントウ属、属名は「マルメロに似ているもの」と言う意味を持つ。

サンザシ属(ピラカンサ)と類似しているが、葉の部分に鋸歯がない、枝にトゲが生えないなどの差異がある。

コトネアスターの仲間は(旧世界·アフロ·ユーラシア大陸)北半球に約400種が分布する。

★旧世界と旧大陸は同じものを指すが、必ずしも単一の陸塊と言う意味はない。

★アフロ·ユーラシア大陸は、アフリカ大陸とユーラシア大陸を合わせた大陸であり、地球表面上における最大の陸塊(超大陸)である。

※陸塊=りくかい(大陸のこと)

主な原種、園芸品種仲間
ベニシタン、コトネアスター·ワテレリ
コーラル·ジューティ


        (コトネアスター)


中国原産のベニシタンは、赤色の果実と枝が横に広がる樹形で、最も広く栽培されています。

5月から6月に白、或いは淡い紅色の花をたくさん咲かせますがあまり目立ちません。

10月頃に鮮紅色に熟す、ナシ状果が花の少ない季節を彩り、2月頃まで楽しめます。

ちなみに花のつぼみも赤色です。

厚く光沢のある葉は互生し、5~15㍉と小さく裏面と葉柄には毛が生えています。

秋が深まると、赤紫に紅葉して落葉する種類もあります。

枝は低い位置で枝分かれして、ほとんど這うように水平に広がっていきます。

盆栽や垣根などのほか、グランドカバーとしても利用が盛んです。

◉生育管理、環境
1年枝は長く伸びて這っていくだけで分枝しません。

翌年には短枝を作って花芽を形成し、春早々に蕾となって現れ、晩春から初夏にかけて開花します。

秋になると果実が枝に連なるようにして、赤色に熟していきます。

適応性に優れた植物なので、やや日陰でもよく実をつけるなど、どんな環境でも育ちますが出来るだけ、日当たりのよい場所を選ぶ事です。

◆植え付け、植え替え
土質は選びませんが、多湿になる場所は避けましょう。
植え付け場所には、ピートモスを多めに混ぜて水はけをよくしてやります。

植え付けは2~3月頃、又は9月~11月頃に行います。

★肥料
施肥は2~3月頃に化成肥料を与えます。

追肥はほとんど必要ありません。

◉害虫
幹や枝にコブなどの異常組織が現れたり、穴や木屑、虫糞、ヤニなどがあるという状態。

葉が霧吹き状に黄色く変色したり、縮小、葉巻状に変形したり、穴やかじり痕かをある状態。

また、新芽やまだ緑色の枝が萎れたり枯れたりする状態。

果実や種子の表面にかじり痕や傷が見られたり、表面に穴が開き内部に、虫や虫糞が見られる状態。

この様な場合、毛虫、ハマキムシ、イモムシ、シャクトリムシ、ダニなどの害虫がついていると考えられます。

枝ごと取り除き、スミチオン乳剤などで予防しておきます。




◉せん定
基本的には、花つきや実つきをよくするために、せん定はせず枯れ枝などを取るだけにします。

グランドカバーとして利用する場合は、放任してもよいでしょう。

境界線に植栽した場合は刈り込みましょう。

その際、冬の間は花芽と葉芽の区別がつかないので、春に芽が伸び出してから、せん定を行いましょう。

枝があまりにも込み合ってきたら、数年に1回、4月上旬にせん定します。

新梢のせん定は5月から9月頃に、生育が悪い小枝や枯れ枝を、付け根から切り取って間引きます。

品種によりせん定の方法が変わります。

枝の長い品種の場合は、立ち枝を付け根から間引きます。

短い品種の場合は、新梢を全体的に軽く刈り込みます。

大抵は自然樹形ですが、1本の幹を中心に主幹樹形に仕立てる方法もあります。

それにはまず、支柱を立てて根元から伸びるひこばえを早めに取りましょう。

◆殖やし方
挿し木は6月から7月頃に行います。
日当たりのよい場所で育った枝を8~10㎝程の長さに切って、下葉を取り除いておきます。

さし穂の切り口は45度位の角度に切り、切り口の樹液をよく洗って、1~2時間程度水揚げをしてからさします。

種蒔きは2月から4月頃に行います。






2020/10/04

カランコエの花が咲く気配がないのは、なぜ? No,296

 カランコエ ベンケイソウ科 多年草

多肉植物 別名=ベニベンケイ

原産地=アフリカ南部、東部、アラビア半島、東アジア、東南アジア

カランコエは、ポインセチアやシャコバサボテンなどと同様、昼の長さが短くなると花芽が分化せず、いくら待っても開花に至りません。

秋以降は夜間照明がある場所に置くと、花が咲かない事があります。

例えば電灯などの影響で、日照の時間が長くなっている事も十分考えられます。

周囲の環境を一度総点検して見た方がいいでしょう。

この様な場合は、花後日の長い7月~8月に短日処理を行います。

夕方の5時から翌朝8時頃まで、段ボール箱で鉢の上から覆い、光を完全に遮断して日に当てる時間を9時間程度に制限します。

これを20~30日間、毎日繰り返せば花芽が分化していきます。


          (カランコエ)

尚、短日処理をしてよいのは、草丈が10㎝以上に成長している株です。

花芽がしっかり分化しているかどうかを確かめるには、ルーペを用いて成長点を観察する事です。

花芽は丸みを帯びており、反対に細かく尖っているのは葉芽なので見分けやすいでしょう。

開花は花芽が出来てから、1ヶ月半から2ヶ月経過した頃となります。

暑さに弱いので、夏は風通しのよい半日陰で育てます。

花柄は順次摘み取り全部咲き終わったら、3分の1程切り戻して固形肥料を与えますが、開花中は与えません。

霜に当てると枯れやすいので、冬は室内で育てます。

ベル形の花を咲かせるものは、霜の当たらない戸外で11月下旬まで管理すると、花芽がつきやすくなります。

◉肥料
5月から9月に暖効性化成肥料

10月から12月に液体肥料を与えます。

◆植え付け、植え替え
5月から6月と9月が適期で2年に1回位切り戻しと同時に植え替えます。

根鉢を崩し、古い土と根を半分程度落として、深めに植え付けます。

家庭では過湿、過乾燥になりやすいので、入手した株の花が終わり次第、赤玉土や軽石を主体として、水はけのよい用土に植え替えます。


★切り戻し
5月から6月と9月に行います。
春の切り戻しは、花後の花茎の切り取りを兼ねます。