緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/11/13

トサミズキ No,330

 トサミズキ マンサク科

トサミズキ科

落葉広葉中低木 「土佐水木」

高知県の土佐に生えることから

この名がある。




蛇紋岩地質帯や石灰岩などの岩礫地に多く中国地方や、九州の同質地帯にのみ自生しています。


限られた地域にのみ自生する樹種ですが、花の美しさは江戸時代から各地の園芸愛好家に親しまれてきた名花である。


樹勢が強く蛇紋岩でなくてもよく育つ事から、暖地の庭木として各地に広まりました。


葉は互生で、裏に白味がかった短い毛が生えているのが特徴です。


葉の展開前の3月から4月にかけて、淡黄色の釣り鐘形の花を6~10個程穂状に下垂して咲かせます。


樹冠を覆う鈴なり花穂の様を、たわわに実った稲穂に例えて「満つ木」と呼んだものが、「ミズキ」に転訛したと言われています。


また、春の枝を切ると樹液を多く含むため「水木」となったとする説もあります。


秋には黄葉も楽しめることから庭の下植えや茶木、盆栽、生け花など幅広く利用されています。


トサミズキ属の植物は東アジア一帯に20~30種あると言われていますが、日本にはコウヤミズキ(高野水木)ヒュウガミズキ(日向水木)キリシマミズキ(霧島水木)があります。


いずれもトサミズキに似ていますがヒュウガミズキは花、樹形とも小ぶりで一房の花数が少なく、キリシマミズキは花房が斜め下に垂れるなどの特徴がある。





◉生育管理

日当たり、水はけのよい腐植質に富んだ場所を好みますが、日陰にも比較的よく耐えるので、高木の下植えに適している。


ただし、日当たりがよい程花つきはよい。


◉剪定、整姿

放任しても樹形は株立ちの卵形状に比較的よくまとまります。


春に切ると樹液が多く出るので、せん定は5月から花芽の分化前の6月中旬までにとどめる。


強い刈り込みにも耐えますがあまり枝が密生しない性質なので、自然樹形で楽しむのが一般的です。


基本的には、徒長枝や込み合った枝を切り詰めます。


花後は不要な枝を切る程度に止め

樹形を整える剪定は、落葉中に行います。


葉芽だけの徒長枝は4~5芽を残して切り込み合う枝やふところ枝、弱い小枝は根元から切り取ります。


ひこばえもよく発生するので見つけ次第切り取り、5~6本の株立ちを保つようにします。


花芽分化期は7月から8月で、今年伸びた新梢の葉腋にでき翌春に開花します。


花芽は若木の頃は短い枝にのみつき、大きくなるにつれて長い枝にもつくようになります。





◉植え付け、植え替え

土質は特に選びませんが、乾燥を嫌うので植え付けの際は、やや湿気のある場所を選びます。


浅根性で横に広く根を張るので、植え付けた地面は強く蛇も踏み固めないよにします。

元肥には堆肥を十分施す。

植え付け、植え替えの適期は、葉がつく前の3月と10~11月です。


◉肥料

樹勢が強く耐寒性も比較的強い樹種です。


肥料は寒肥として油粕や鶏ふん、骨粉などの有機肥料を与え、樹勢を良くしておく。


花つきが悪い場合は夏に少量の化成肥料を株元にすき込むとよいでしょう。


◉病害虫

まれにカイガラムシやケムシ類が

発生する事があります。


カイガラムシは冬期の消毒、マシン油乳剤、カルホスで防除、ケムシは捕殺や殺虫剤散布で駆除し病葉、病枝などを処分して防除します。


◉殖やし方

2月上旬に充実した枝を一本取り

15㎝程の長さに切り分けて束ね、

日陰の土中に埋めて貯蔵します。


3月上旬~中旬に掘り起こし赤玉土もしくは鹿沼土の用土に挿します。


一ヶ月程で発根するので、そのまま乾燥に注意しながら管理し翌春に定植。


発根率はあまり高くないので、さし穂は多めに取っておいた方がよいでしょう。


実生は9月から10月に熟した果実から種を取り、そのまま取り蒔きにするか湿った砂で低温貯蔵してから翌春にまきます。





2020/11/12

スノードロップ No,329

 スノードロップ ヒガンバナ科

別名=ガランサス、ユキノハナ、マツユキソウ

スノードロップは英名で「雪のしずく」の意味です。

ヒガンバナ科ガランサス属の仲間の総称にも使われ、和名が付いているのはガランサス·ニワァーニス(ユキノハナ又はマツユキソウ)とガランサス·エルウエシー(オオユキノハナ)の二つです。


南ヨーロッパ、南西アジアが原産地とされ正月前にこの花を見つけると、翌年幸運に恵まれると言うスコットランドの言い伝えの存在や、英国の花暦で1月の花とされていること、ロシア民話に登場する事などから、ヨーロッパでは古くから身近な山野草として親しまれていたことが分かります。

草丈は低く7~20㎝、花径は2㎝程でひとつの茎に一つの白い花が咲きます。

開花期は12月~3月末

小球形の球根植物で耐寒性が強いが暑さは苦手なので、夏の高温には気をつける必要がある。

園芸品種は色々出回っていますが、いずれも内側の3枚の花びらに黄色や緑の斑点があるのが特徴です。

地味な姿なので、寄せ植えにするより単独の鉢に群生させると清楚な姿が際立ちます。




◉植え付け、管理

球根の植え付けは9月から10月に行う。

場所は水はけがよく、秋から春にかけては日当たりがよく、5月頃から半日陰になる所が理想的です。

落葉樹の下などが適しているでしょう。

球根が小さく、しかも1球にひとつの花しかつかないので、10球くらいまとめて1ヶ所に植えます。

発根温度は15~20℃で、植える前に球根を湿った土の上に置き、十分に水分を吸収させます。

土壌には、化成肥料を1㎡当たり一握り程施し、2~4㎝の深さに3~5㎝間隔で植え付けます。

霜柱が立つ所では深めにしておきます。

排水が悪く湿度の高い所は、夏に球根が腐りやすいので、植え付ける時には球根の下に2~3㎝の砂を入れ、くんたん、酸性白土を混ぜ、腐敗防止をすると効果があります。

★鉢植えの場合は、鉢の深さの中間深さ5㎝位の部分に球根を植え込みます。

5号鉢に5~7球の割合で、赤玉土の小粒に半量の腐葉土を加えた水はけのよい混合土に植え付けます。

半日陰に置き、発芽したら日当たりのよい場所で管理します。

水は11月~5月中旬までは1日1回たっぷり与え、夏は土が湿る程度に5~6日に一回与えるようにします。

植え込んだ年は、霜柱で球根が浮かないように鉢を土中に埋め、軽い霜除け程度をして寒さに十分遭わせます。

2月頃には葉が地面に現れ、間もなく葉の間からつぼみが見えるようになる。

暖かい日当たりに置くと10日位で
開花します。

鉢を涼しい所に置くと、花は長持ちしますが、暖かい室内に置くと長持ちしません。

★掘り上げは3年に1度で、葉が黄変した5月頃に行います。

(A)
葉をつけたまま球根を傷つけないように深く掘り、そのままで一週間ほど日陰に置いておきます。

この間に葉の養分はすべて球根に移動しやがて葉が枯れます。

その後は乾燥しないように少し湿らせたバーミキュライトに埋めて保管します。A,)





◉花後の管理、生育環境

花後は追肥を庭植え同様に施します。

花後には2~3回くらいリン酸、カリ分の多い化成肥料を与え、4月にカリ分が多めの化成肥料を与えます。

花後は花柄を摘んで、葉は枯れるままにしおきます。

花後は花柄を摘んで葉は見た目が悪くても切り落とさずにおいて光合成をさせます。

この時期に肥料を施すのは養分づくりを手助けするためです。

葉がなくなったら雨を避けた涼しい所に移動し、球根が乾燥しないように時々水を与えて貯蔵します。

植え付けから3年位はそのままで球根を充実させ、3年目以降には用土の更新を兼ねて、花後に古い土を落として新しい用土に植え直します。

夏の暑さは非常に苦手なので、午前中のやわらかい日差しのみ当て、午後の強い光や西日は避けるようにします。

また、表土の地温が上がらないようにワラや落ち葉を敷き詰めておきます。

◉病害虫
3月から5月にアブラムシの防除が必要乾燥に気を付けるとともに月に一回薬剤を散布しておきます。


◉殖やし方
掘り上げた球根の子球を外さずそのまま(A)のように保管しておき、植え付ける時に切り離して植えます。

手で軽く引っ張ってとれるもの以外は無理には外さないでおきます。

分球した球根がさらに殖え、花数が次第に多くなっていきます。






2020/11/09

コダカラベンケイソウ No,328

 コダカラベンケイソウ 

「子宝弁慶草」多肉植物(常緑性)
原産地=マダガスカル
別名=クローンコエ、シコロベンケイ

草丈は15~30㎝程で、多肉植物としては大きく生長します。

主に2月から5月に葉っぱの間から長い茎を伸ばし花を咲かせます。

大きくなった葉の縁にたくさんの小さな子株(新芽)がついて殖えることが特徴。

それぞれの子株は親株と同じ遺伝子を持つ事から「クローンコエ」と呼ばれています。


       (植え付けたばかりの株)


花芽は植え付け後、2年から3年でつくのが一般的で、12月から1月頃に花芽が伸び始め、2月から5月頃までにたくさんの花を咲かせます。

スズランの様な釣鐘状の形をした花で、繁殖力の強さとは裏腹にとても可愛らしい花をつけます。

日当たりのよい場所で、乾燥気味に育てるようにします。

湿度の高い環境だと根腐れを起こして枯れてしまいますが、水が足りないと葉っぱが萎れたりしますので、育てながら水やりのコツを掴むのが重要です。


          (つぼみのつき始め、11月撮影)

◉植え付け、植え替え

寒さに弱いので地植えには不向きです。

4月から6月か9月から10月に株よりも一回り大きな鉢に植え付けます。

植え付け後は、半日陰で水を与えずに管理し、一週間してから水やりを始めるようにします。

植え替えは2年から3年に一回を目安に行い、一回り大きな鉢に腐った根や枯れた根を取り除いてから植え付けます。

植え替えから一ヶ月程は、週に一回程度少量の水やりをして、その後は通常通りの管理を行います。

赤玉土7、腐葉土3の割合で配合した土や市販の観葉植物用の用土に植え付けます。

水はけを良くするために排水性の良い改良材などを混ぜるのも効果的です。


◉水やり

3月から10月頃までは土が乾いたらたっぷり水を与えます。

夏の水やりは少し控えめに行い、水が葉っぱにかからないように注意します。

冬場に水分が少なくなると、葉の全体がピンク色に変色します。

変色してもすぐに枯れてしまうと言う事ではありませんが、水やりをするサインとして覚えておくと良いでしょう。

一般的に多肉植物は冬越しをするために水やりを一切しない場合が多いですが、コダカラベンケイソウは冬場でも一ヶ月に2回程度の水やりを必要とします。


ただ、与え過ぎると根腐れの原因になるので注意しなければいけません。


◉肥料

肥料はなくても育ちますが、春から秋までの間は液肥などを施すと子株がよくつくようになります。


      (11月、葉の縁についた子株)

肥料の与え過ぎはよくないので注意します。

★殖やし方

株わけや葉についた子株がこぼれ落ちて一年中増えます。

葉からこぼれ落ちた子株をそのまま土の上で育てても良いですが、2~3日程水に浸けて発根を促した方が確実に育ちます。



                                (子株の挿し木)


※挿し木
4月から6月、9月から10月頃が適期、茎を10㎝程に切り、土に1㎝程埋めておきます。

一週間に1度少量の水やりをしていくと根と新芽が生えてきます。

★害虫はハダニ、ナメクジが発生見つけ次第、捕殺や薬剤などで駆除します。

コダカラベンケイソウは蒸れに弱い植物なので、特に多湿になりやすい梅雨や夏場には風通しの良い場所に置いて管理します。

暖かい地域に自生する植物なので寒さには弱く、霜に当たると枯れます。

冬場はなるべく、10度以上の気温を保てる暖かくて明るい室内へ移動し管理します。

また、部屋の中でも冬の窓辺などでは夜や明け方に気温が下がるのでなるべく避けるようにします。


        挿し木後3ヶ月が過ぎた子株
        ❨2021年2月21日撮❩



「切り詰めて新芽が出てきた状態」


間延びした場合、上部を切り詰め下部に新芽を出させる。








2020/11/07

アセビ No,327

 アセビ ツツジ科 常緑中低木

原産地=日本

アセビ属の植物は東アジア、北アメリカに10種類程ありますが、日本では本州(山形県以西)四国、九州のやや乾燥した山野に自生しています。

大きなものは5㍍にも達するが、普通2㍍程の樹木が多い。

乾燥が強いと低く、弱いとより高く生長する。

群生して林を形成することも多く、そんな場所では枝が混み合って容易に人を近づけない。


古くから親しまれてきた樹種で、万葉集時代から多くの和歌に詠まれています。

アセビと呼ぶようになったのは、平安時代後期からで、それ以前はアセボ、アシと呼ばれていました。

アセボトキシン、アセボチンなどの有毒成分があるため、馬に食べさせると酒に酔ったように、足を引きずることから、アシヒキ足が痺れるのでアシシビレ等と呼んでいたものがアシビ、アセビに転訛したと言われています。

「馬酔木」と言う漢字もこれに由来します。

★アセボトキシン、アセボチンなどは苦味物質である有毒成分で、
昔から葉を煮出して水で希釈したものを農作物の殺虫剤や、家畜の寄生虫駆除ウジ虫の駆除などに利用されていた。

近年でも特に羊や山羊の中毒が多数報告されている。

トルコでツツジ属の花からとった蜂蜜を食べた人から、中毒事故が起きているとの報告もあります。

2月下旬から4月にかけて、スズランやブランデーグラスを逆さにした様な釣鐘状の白、または紅色のたくさんの小花が房状に下垂して咲きます。

花は下を向いて咲くが、果実は上を向いて熟す。

5月頃の新芽も淡紅色で美しく、
樹形も整えやすいことから庭木として、古くから幅広く利用されている。

その他、盆栽や鉢植えでも楽しまれてきました。




枝葉、花、果実とも有毒物質を含みますが、接触しても食べない限り心配はありません。

江戸時代から園芸品種の改良が行われるようになり、江戸後期には欧米でも観賞用に栽培されるようになりました。

園芸品種には、葉の縁に白い斑がある矮性のフクリンアセビ、淡紅色の花が可アケボノアセビ、小ぶりの花を細長く鈴なりに付けるオナガアセビ、純白で大ぶりの花をつけるリュウキュウアセビ、
桃色の花をつけるクリスマス·チアなど多くの品種が栽培されています。

植え付け、植え替え

排水性、保水性ともによく半日陰の腐植質に富んだ場所を最も好みますが日陰、日向、乾燥地などでよく育ちます。

ただし、西日の強い場所や極端に乾燥する場所への植え付けは避けた方が無難です。

また、他のツツジ科の植物と同様
酸性土壌を好むので、アルカリ土壌での生育には適しません。

移植は比較的容易です。

植え付け、植え替えの適期は3月から4月と7月から10月です。


細い根が横に浅く広がる浅根性なので高植えにし、土はあまり踏み固めないようにします。

高植えにすることで、水はけをよくすることもできるでしょう。

◉肥料

植え付け時に堆肥や腐葉土、ピートモスなどをすき込むだけで、肥料は特に必要ありませんが、花つきをよくするためにはリン酸、カリウムを含む肥料を春先に根元にばら蒔きます。

★病害虫
葉裏にハダニ、グンバイムシなどが発生する事があります。

多数発生すると葉が変形して、美観を損なうので発生初期に、スミチオン乳剤1000倍液を2~3週間おきに数回散布します。

◉剪定、整姿

刈り込みにも強く、仕立て物にする事も出来ますが、自然樹形で楽しむのが一般的です。

生長が比較的遅く、樹冠もしまってよく整うので、あまり強い剪定は必要ありません。

基本的には4月頃に太い枝や長い枝をある程度切り詰め、小枝を出して仕立てます。

胴吹き芽や不定芽は早めに切り取りますまた、花後はすぐに花房を摘み取ります。

花芽分化は7月で夏にはすでに、
花房を形成し始め、冬には今にも花を咲かせることが出来る程の状態になっています。

長い期間をかけて花を準備する植物なので、秋に剪定を行うと花つきが悪くなります。

◉殖やし方
実生、挿し木、とり木で殖やせますが生長が遅いため実生はあまり適さない。

挿し木は前年枝のつぼみを除去して穂木にします。

春さしと、花後に伸びた本年枝を使う夏ざしがあります。

さし床には鹿沼土、ピートモス、腐葉土の混合土を用いて、半日陰で乾燥に注意して管理します。










2020/11/05

盆栽樹形の大きさを調節する No,326

 盆栽樹形の大きさを調節する

盆栽の大きさは、自分のイメージする完成樹形に合われて決めていくのが基本ですが、設置スペースの条件などによっておのずと決まってくる場合もあります。

樹芯(幹の先端)をこまめに切り詰めて、樹高が伸びるのを抑える方法は一般の植木と同様ですが、丹念に切り詰めて枝と枝の間隔を短くしていきます。

ただし、これだけではまだ樹勢が強いので一年に1回、主根(幹から地中に向かって真下に伸びる根、直根とも言う)=主根の先を切り詰めて、植え替えるようにします。


根を切り詰めることで、土から吸収する養分が調整されて、樹高が高くなり過ぎるのを抑える訳ですが、同時に側根、主根から横に分かれて伸びる根が生長して「根張り」の具合がよくなると言う意味もあります。

希望する樹高になったら、樹形を整えて観賞用の鉢に植え替えます。

また、樹形を作る段階までは幹の健全な生育に重点を置き、横枝は伸ばしたままにしておくのが通例です。

これは、樹形を作る時に必要な枝を足りなくなると言う事態を防ぐとともに、幹の生育を促す効果もあります。

※根を切り詰めることで生長を抑える。


2020/11/04

クロッカス No,325

クロッカス アヤメ科 球根草花

別名=ハナサフラン

クロッカスの名は ギリシャ語の「糸」の意味で、その細かい雌しべの様子から名付けられたようです。

原産地は地中海を中心にヨーロッパ、中心アジア

(アフガニスタン産のクロッカス.コロルコウィイ)

など75種を数え、薬用や香辛料として栽培されるものを含め150種以上の園芸品種があります。

黄色、白色、紫色など豊富な花色のクロッカスは春の季語にも使われますが、実はサフランに代表される秋咲きの品種もあります。


春咲きの中でも、2月~3月中旬に咲く寒咲きと、3月~4月上旬に咲く春咲きの2タイプがあります。

※早咲き種は、バルカン半島から小アジアに自生する黄色系の原種から選抜、交配されたものでラベンダー色の「ブルーバード」

※白い花弁と黄色の雌しべのコントラストが可憐な「ミスヴェイン」

※濃い黄色の「ゴールディロック」

※花弁の基が薄茶の「クリームビューティー」などがあり、小輪で変化に富んだ花びらが特徴です。

※春咲き種は、ダッチクロッカスと呼ばれ、ヨーロッパの山岳地帯に自生するものが基になっています。

※白い花弁に紫の筋が入る「ジャンヌダルク」

※ふっくらした「マンモスイエロー」

※紫のストライブの「キングオブストライブ」など大きめの花を咲かせます。

いずれも草丈が8~10㎝と低く、花径は3~5㎝なので、まだらに植えるよりもまとめて植えた方が魅力が発揮します。

同一の品種で群植し、一斉に咲かせるようにします。

クロッカスはやや高温多湿に弱いとされるが、日当たりのよい場所であれば土質は選びません。

また、夏は日差しを遮る場所を選ぶと3年~4年はよく咲きます。

花は日に当たらないと開かない性質があるので、置き場所は日の当たる所を選びます。




◉生育管理、環境、特徴、性質

クロッカスは冬の寒さに当たらないと開花しない。

1ヶ月半以上の低温に遭わせる事が大切です。

早く咲かせる場合はその後に温め
通常に咲かせる場合は、土中に埋めて鉢土の凍結を防ぎます。

※鉢植えの群植を作るには、10号鉢に市販の培養土を入れ、球根同士触れ合うくらい2~3㎝の深さにぎっしり植え付けます。

※庭植えの場合は30㎝程の深さまで耕し、緩効性肥料を1平方㍍当たり100g~130g施し、球根の直径の2~3倍の間隔を空けて8~10㎝の深さに植え付けます。

高音多湿を嫌うので春は日当たりよく初夏は、日陰になるような落葉樹の下で水はけのよい場所に植えます。

また、新しい球根が古い球根の上に出来るので浅植では、球根の生育が不十分になってしまいます。

花後に新しい球根が土から出ていたら上に用土を足します。


更に霜柱で持ち上げられてしまうことがあるので、その場合は植え直します。

その他、ネット植えで楽しむ方法もあります。

ネット袋に水を含ませた水ゴケをゴルフボール大にして複数入れ、そこに球根を入れて袋の切れ目から花の先端を外へ出しておくと、開花した花が球状になって花のボールになります。

特徴と性質
葉は花と同時に開き、花の観賞時にはあまり葉が目立たず、鉢植えに適していると思います。

花後に伸長し球根を肥大させ分球して植えます。

一花の開花期間は短いですが、1球から数個の花を次々に咲かせ、まとまって植えると観賞期間が1ヶ月位あります。

秋咲きの種の葉は、冬を越し梅雨頃までと長いですが、春咲き種は2~3月から梅雨までで葉のある
期間が短い。

その間に球根を太らせ来年の花を作ります。

耐寒性は強いのですが、秋植え球根の場合生育中の乾燥を嫌います。

排水性と同時に、保水性のある土を混ぜた用土を用いれば丈夫に育ちます。

◉肥料

開花期の肥料は、日当たりがよければ月に1~2回カリ分の多い薄めの液肥を与える。

水は1~2日に1回、表土が乾いたら与えます。

花弁が繊細なので水がかからない様にします。

花が終わると葉が伸びて養分を蓄えます。

花柄を基部から抜き取り、そのまま葉を切らずに化成肥料を、ばら蒔いて球根を太らせるようにします。

球根の太りをよくするには、鉢から地面に植えて肥培します。




◉植え付け、時期、栽培のポイント

6月頃葉が茶色く変色してきたら引き抜きます。

路地植えは植えたままで自然に球根が殖えますが、殖えすぎてスペースがなくなったり花の数が減る。

花が小さくなるなどの現象が起きたら、堀り上げの時期です。

葉が枯れた頃に球根を掘り上げ、枯れ葉と根を整理して日陰で2~3日乾燥させます。


その後ネットなどに入れ、風通しのよい冷暗所で秋まで保存します。

植え付けの時期として、秋咲き種は8月下旬から9月下旬までに行う。

冬、春咲き種は10月中に植えると結果かよく12月に植えても花は咲きますが、球根の肥大はよくありません。

クロッカスは連作を嫌うので、アヤメ科の植物の跡地は避けるようにします。

球根は大球になると分球しやすくなり、分かれた球根は1~2年肥培しないと花数が少ないか、もしくは咲きません。


1つの球根を毎年咲かせるのは難しく、肥培養成と観賞を繰り返すようになります。

芽が出るまでは日陰でもよいが、芽が出たら日向に置きます。

つぼみが出たら必ず日に当てます。

◉殖やし方
球根が分球して殖えます。

球根を掘り上げた時、親球に子球が付いている事がありますが、外さないでそのまま保管します。

この子球は植え付ける時に手で軽く引っ張って取れるものだけ外します。

この時、小さな球根は思い切って整理します。