緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/11/26

エゴノキ No,334

 エゴノキ エゴノキ科

落葉小中高木 (斉敦果)


北海道から沖縄まで、ほぼ日本全国に自生する。

日本の代表的な樹種のひとつです。

秋に熟す果実の皮にはエゴサポニンと言う有毒物質が含まれており
食べたときにのどを刺激して「エグい」味がする事から「エゴノキ」の名が付いたとも言われています。

この果実や樹脂から★「安息香」と呼ばれる薬剤を作ったり、洗剤の原料などに用いていました。


★安息香=あんそくこうは別名ベンゾインとも言い、精神を落ち着かせてリラックスさせる効果に優れている。

青い果実は、有害のサポニンを含みかつては、その麻酔効果を利用して魚とりなどに使われていた。

この様な効果を含んだ植物はナス科に多く見られる。

★ナス科の同類作用種
※ハシリドコロ

※アトロパ·ベラドンナ
(和名オオカミナスビ)

※チョウセンアサガオ
ダチュラ、マンダラゲ、キチガイナスビ
トランペットフラワー、ロコ草とも言う。

※イヌホウズキ(バカナス)

※ヒョス

◈その他ではケシ科のケシの実から作るアヘン、麻薬

◈キンポウゲ科のトリカブト(オクトリカブト)

◈セリ科の毒人参(ハムロック)毒パセリとも呼ばれる。

昔はエゴノキの木材をロクロで細工して、玩具を作った事から「ロクロ木」と言う別名もあります。

白い木材は堅くて粘りがあり、家の床柱や薪炭材としても利用されます。

5月に桜に似た清楚な白花をこれ以上は無理と言う程、枝いっぱい雪の様に咲かせます。

生長が早く花が美しい事から、公園樹としても利用されるようになった。

身近な平地や里山の雑木林や沢沿いなどに多く生えている。

全国に分布する樹種のため別名が多く存在している。

チシャノキ、チャノキ、サボン、イツキなど、各地で様々な通称が使われています。


万葉集にも「地左=ちさ」の名で登場しており、古くから多くの人々に親しまれていた樹木である事が
窺い知れる。

樹勢がたいへん強く、庭木としても育てやすい樹種で、園芸品種には枝が垂れるシダレエゴノキ、淡紅色の花が咲くベニバナエゴノキがある。


                          (エゴノキの花)


◉生育管理、環境

一日中日が当たる場所より、午前中によく日が当たり、午後の西日があまり当たらない半日陰の環境が最も適する。

水はけ、排水性、腐植質に富んだ肥沃な土質が理想的です。

樹勢が強いので、大抵の環境でも育ちますが、根元付近が乾燥しやすい場所では乾燥を防ぐ処置が必要です。

✿植え付け、植え替え

11月〜3月までの落葉期に行います。

植え穴は大きめにとり、完熟堆肥を元肥として十分すき込み 、排水が良くなるようにやや高植えにします。

植え付け後は支柱をつけ、倒木を防ぐ。

◉肥料

樹勢をよく観察しながら、必要に応じて2月頃に寒肥として鶏ふんなどを、株の大きさに応じて株元にすき込むとよいでしょう。

❆病害虫

まれにカイガラムシやテッポウムシが発生します。

カイガラムシには冬期にマシン油乳剤や石灰硫黄合剤を散布し、テッポウムシには穴にスミチオンを注にした後練り土で穴を塞ぎます。

✿せん定、整姿

細かい枝や混み過ぎた枝、徒長枝などのふような枝を整理します。

枝は途中で切ると硬い樹形になるので、切る時は必ず付け根で切り取ります。

切り口には必ず保護剤を塗り保護する事が大切です。

シダレエゴノキの場合は、同じ様に枝を切るのではなく、しだれた枝を外に向かって広がるように枝向きを生かして、せん定する事が重要です。

せん定、整姿の適期は葉が完全に落ちた12月から新芽が動き出す前の3月中旬頃までです。


✪殖やし方
秋に熟した果実を取り、果肉をよく取り除いてから蒔きます。

ベニバナエゴノキ、シダレエゴノキは実生3年から4年の苗木を台木にして切接ぎで殖やします。









2020/11/24

トチノキ No,333

 トチノキ  トチノキ科 栃の木

別名=ウマグリ 落葉高木

栃木県の県木として有名ですが、本州四国、九州の各地に自生しています。

深山の渓流沿いなどの湿り気が多い場所生える。

老木になると樹皮が剥がれて模様がより鮮明になる。

5月初旬から6月にかけて、小花の集まりがロウソク状に盛り上がる独特の花を咲かせる。




日本の山野に自生するトチノキは
紅白の花を密につけ、マロニエの名で親しまれているヨーロッパ南部原産のセイヨウトチノキは、淡白色や紅色のやや大ぶりの花をつけます。

パリのシャンゼリゼ通りを模した
セイヨウトチノキの並木道が、日本でも各地で見られます。

北アメリカ原産のアメリカアカバナトチノキは、やや小形で日本ではあまり見られない。

街路樹や公園木としてもよく見かけるのは、セイヨウトチノキとアメリカアカバナトチノキの園芸交配種として、19世紀に作り出された紅色花をつけるベニバナトチノキです。

こちらは日本での歴史が30年余りで、比較的新しい園芸種といえます。

トチノキの「ト」は数字の(十)に由来しており、実が多い木の意味と言われている。

花から「蜜」が、種子からでんぷんが採れ食用とされます。

特に蜜は[トチ蜜]と呼ばれ、最高品質の蜜として珍重されます。

秋に熟す実「トチの実」はすりつぶして渋抜きしたものを[栃餅]にしたり、蕎麦に似た(栃麺=とちめん)を作ります。


縄文時代にはどんぐりなどとともに、重要な主食の一部だった事も知られています。

チョコレート色の模様がある種子は有毒だが長い時間水に晒して、飢饉の時には食料とされた。

木材は家具や楽器などに幅広く用いられます。

◉生育管理、環境
土質は特に選びませんが、日当たりがよく保湿性のある腐植質に富んだ肥沃な場所が最適です。

◉植え付け、植え替え

大木になるのでそれなりのスペースが必要、庭植えに向くのはやや小ぶりのベニバナトチノキですが、枝葉を大きく張るので混植を避け、独立木として広いスペースに植えるようにします。

高さ1メートル程の2〜3年生の接ぎ木苗で開花する「カルネア·ブリオッティ」など小庭向きの矮性の園芸品種もあります。

植え付け、植え替えは11月下旬〜12月及び、2月下旬〜3月中旬に行います。

寒冷地での植え付けは春に行った方が良いでしょう。

◉肥料
やせ地でない限り、通常は必要ありません。

が状況に応じて油粕、鶏ふん、堆肥などを寒肥として2月頃に根元にすき込むと良いでしょう。

❆病害虫

クスサンなどの幼虫がつく場合があります。

幼虫が発生した場合は、捕殺した後ディプテレックス乳剤などを散布して予防します。




✿せん定、整姿

放任しても大きな球状に樹形を整えるので、若木のうちは落葉期にふところの細かい枝を切る程度で、せん定、整姿の必要はほとんどありません。


萌芽力があまり強くないので切る場合は、必ず付け根から切るようにすることが大事です。

ある程度の大きさに育ったら、大きくなり過ぎないように切り詰める必要があります。


花後伸びた新梢の先端に花芽が分化します。

花が終わったらすぐに開花枝を、大きめの定芽の上で切り戻すようにします。

✪殖やし方

園芸によく使われるベニバナトチノキは、あまり結実が良くないので接ぎ木で殖やします。

台木は2年生以上のトチノキの実生苗木を利用し、3月中旬から下旬にかけて切り接ぎにします。

活着率も比較的よい樹種です。

高接ぎ比較的容易に行えるので、
10年~15年生くらいの大きなトチノキの枝に数カ所高接ぎをすると、3年程で立派な苗木ができます。







2020/11/19

葉の部分、形、つき方に関する用語 No,332

 葉の部分に関する用語について

「葉」は植物学的には、根、茎とともに植物の栄養器官を構成し、通常茎のまわりに規則的につき、葉緑体を持ち光合成を行い呼吸、蒸散を行うものを「葉」と言います。


ほとんどの樹種の葉は、偏平な形である。

✿気孔❨きこう❩

気孔は葉の表面にあり、空気が出入りするための孔で開閉できる。

✿鋸齒❨きょし❩

葉の縁[葉縁=ようえん]につくノコギリ状のギザギザのこと。

✿全縁❨ぜんえん、ぜんふち❩

葉縁に鋸歯や切れ込みがないもの。

✿托葉❨たくよう❩

葉の付け根に生じる葉状、突起状
刺状などの構造物。
ドクダミなどに見られる。

✿葉腋❨ようえき❩

葉が茎にくっついている根元の部分のこと。

✿葉茎❨ようけい❩

葉と一体になった茎のこと。
草木類にみられる。

✿葉身❨ようしん❩

葉の本体とも言える部分で、普通は偏平で葉脈がある。

厚さ、光沢、質感、毛の有無や性質が樹種によって異なる。

✿葉枕❨ようちん❩

葉の付け根のやや膨らんだ部分。
内部の圧力を調節して葉を動かすことを可能にする。

✿葉柄❨ようへい❩

葉身と茎を繋ぐ柄のような部分。
葉身を適当な位置に差支える。

葉柄がない場合は無柄ある場合は有柄と言う。

✭図5葉の付き方参照

✿葉脈❨ようみゃく❩

葉身内を走る維管束。

中央の主脈、主脈から出て葉縁へ向かう側脈、網目状に走る網脈などがある。

✪図1=葉の部分


「葉」の形に関する用語について

樹種によって形は多様です。

◉複葉❨ふくよう❩

2枚以上の小葉が集まってできている葉の
事で、全体で一枚の葉と考えられるもの。

複葉がさらに集まっているものを
2回複葉と言う。
✭図2を参照

◉羽状複葉❨うじょうふくよう❩

小葉が軸(葉の中心の軸)の両側に羽のようにつき、全体として1枚の葉を形成しているもの。


◉小葉(しょうよう)

複葉を形成する1枚の葉のこと。

◉鱗片葉❨りんぺんよう❩

魚の鱗(ウロコ)のような形の葉が重なっている形態のもの。
針葉樹に多く見られる。

✪図4=葉の切れ方参照


◉裂❨れつ❩

葉の切れ込んだもの。
切れ込みの形状により浅裂〜深裂などに分かれる。

✪図4参照

✭図=2主な複葉の種類



✭図3=主な葉の形


✪図4葉の切れ方


葉のつき方に関する用語について


❆互生❨ごせい❩

葉が一枚ずつ交互についている状態。

❆対生❨たいせい❩

葉が1つの節から2枚相対して
出るようなつき方。

❆輪生❨りんせい❩

葉が茎の1箇所から3枚以上出ること。

✭図5葉のつき方







2020/11/17

ミモザ(アカシア) No,331

 ミモザ マメ科アカシア属

原産地=オーストラリア、タスマニア
別名=ミモザアカシア 常緑中低木

日本には明治時代の初期に渡来しました。

ミモザはフランス語で和名はフサアカシアと言いますが、日本では北海道から九州まで自生が見られるハリエンジュ(ニセアカシア)を俗にアカシアと称する事が多く、園芸店では混同を避けてミモザと呼ぶのが一般的です。

アカシア属の植物は世界に500種以上あると言われていますが、日本の園芸店でよく見かけるのは「フサアカシア」と同じく明治時代に渡来した近縁種の「ギンヨウアカシア」の2種です。

海外ではネムノキの属名も「ミモザ」といい、混乱しそうですがいずれも30~40対の、二回羽状複葉をつける共通点が名前と関係しているようです。

ミモザは、2月から4月頃にふんわり丸い数十個の黄色い小花が、枝先に房状に咲き芳香を放ちます。


夏から秋にかけて8~10個の豆が入ったサヤができます。

日本ではあまり馴染みがありませんが茹でると食用にもなります。

他のマメ科の植物同様、空中のチッ素を固定して栄養分とする能力があり、痩せ地でもよく育ちます。

暖地性で寒さには弱い傾向がありますが大気汚染に強いことから、関東地方以西では、街路樹、緑化樹などに多く利用されている。

その他、生け花やフラワーアレンジメントの花材としても高い人気があります。


フランスのカンヌ地方では、ミモザの花束を投げ合う春祭りがあるほか、イタリアでも男性が女性にミモザの花を贈る記念日があるなど、欧米では最もポピュラーな春の花の一つです。




★1931年から開催されているミモザ祭りフランス、カンヌ映画祭が行われるコートダジュールの町、マンドリュー·フナープル毎年2月の約1週間、ミモザ祭りで町中が黄色く染まる。

ミモザの花を中心に春の花で飾られた山車によるフラワーパレードが行われる。

訪れた人々は、ミモザの街道を散策したりミモザの香水を作ったりと、春の訪れを告げるミモザを満喫します。


★イタリアミモザの日
3月8日の「国際女性デー」をミモザの日

と呼んで男性が妻や恋人、身近な女性に日頃の感謝の気持ちを込めて、ミモザの花を贈ります。

第二次世界大戦直後の1946年からの習慣である。

ミモザの花の香りは、咲き始めが最も強く、ヨーロッパの人々に春の訪れを知らせるものとして愛されてきました。


ミモザの香りは、イヴ・サンローランの「YSLパリ」、ジパンシーの「アマリージュ」など、有名な香水の原料に使われている。

原産地のオーストラリアでは「ギンヨウアカシア」が国花になっている。




◉近縁種として
花房、葉ともやや小ぶりで葉が白銀に輝くギンヨウアカシア、葉が三角形のサンカクバアカシアなどがあります。


◉成育管理、環境
日当たり、水はけのよい場所好みます。

土は多少の痩せ地でも問題ありません。

ミモザアカシア属の中では耐寒性がある方で、関東地方中部までは
庭植えが可能です。

冬の冷たい風が当たらないような
日溜まりができる場所が理想です。


◉植え付け、植え替え
植え付け、植え替えは完熟堆肥を十分にすき込みやや高植えにします。

生長が早く、生育環境が良ければ
10~15㍍大木に生長しますが、根は意外に少なく、樹冠が大きくなるので支柱を取り付けるようにします。

幼苗の移植は容易であるが、成木になってからは難しくなります。

適期は秋植えも可能ですが、4月中旬から5月上旬の春植えが適しています。


◉肥料
必要に応じて花後に粒状化成肥料を少量与えます。

追肥として秋に、骨粉や油粕などを与えると樹勢維持に効果的です。

◉病害
まれにカイガラムシやテッポウムシの被害を受ける事があります。

カイガラムシは冬期に石灰硫黄合剤やマシン油乳剤を散布して防除します。

テッポウムシ(カミキリムシ幼虫)は食害を受けた孔(穴)にスミチオン乳剤などの殺虫剤を注入して駆除します。


◉せん定
放任してもよく樹形を整えますが
生長が早く幹の太さに比べて樹冠が大きく広がるので、その都度枝抜きする必要があります。

花芽は枝先に形成されるので、花が終わったらすぐにせん定しないと、翌年の開花枝を切ってしまうことになります。

太い枝を思い切って抜いて樹冠を軽くし、混み合った枝も整理して風通しをよくします。

その後伸びる枝には基本的に手をつけないようにします。

◉殖やし方
夏以降に実ったサヤから種子を取り出し赤玉土、川砂など水はけの良い用土に蒔いて管理します。

実生そのものは簡単ですが、通常の花後せん定をすると種子は採れません。

実生を行う場合は、花後実らせるための枝を残しておく必要があります。







2020/11/13

トサミズキ No,330

 トサミズキ マンサク科

トサミズキ科

落葉広葉中低木 「土佐水木」

高知県の土佐に生えることから

この名がある。




蛇紋岩地質帯や石灰岩などの岩礫地に多く中国地方や、九州の同質地帯にのみ自生しています。


限られた地域にのみ自生する樹種ですが、花の美しさは江戸時代から各地の園芸愛好家に親しまれてきた名花である。


樹勢が強く蛇紋岩でなくてもよく育つ事から、暖地の庭木として各地に広まりました。


葉は互生で、裏に白味がかった短い毛が生えているのが特徴です。


葉の展開前の3月から4月にかけて、淡黄色の釣り鐘形の花を6~10個程穂状に下垂して咲かせます。


樹冠を覆う鈴なり花穂の様を、たわわに実った稲穂に例えて「満つ木」と呼んだものが、「ミズキ」に転訛したと言われています。


また、春の枝を切ると樹液を多く含むため「水木」となったとする説もあります。


秋には黄葉も楽しめることから庭の下植えや茶木、盆栽、生け花など幅広く利用されています。


トサミズキ属の植物は東アジア一帯に20~30種あると言われていますが、日本にはコウヤミズキ(高野水木)ヒュウガミズキ(日向水木)キリシマミズキ(霧島水木)があります。


いずれもトサミズキに似ていますがヒュウガミズキは花、樹形とも小ぶりで一房の花数が少なく、キリシマミズキは花房が斜め下に垂れるなどの特徴がある。





◉生育管理

日当たり、水はけのよい腐植質に富んだ場所を好みますが、日陰にも比較的よく耐えるので、高木の下植えに適している。


ただし、日当たりがよい程花つきはよい。


◉剪定、整姿

放任しても樹形は株立ちの卵形状に比較的よくまとまります。


春に切ると樹液が多く出るので、せん定は5月から花芽の分化前の6月中旬までにとどめる。


強い刈り込みにも耐えますがあまり枝が密生しない性質なので、自然樹形で楽しむのが一般的です。


基本的には、徒長枝や込み合った枝を切り詰めます。


花後は不要な枝を切る程度に止め

樹形を整える剪定は、落葉中に行います。


葉芽だけの徒長枝は4~5芽を残して切り込み合う枝やふところ枝、弱い小枝は根元から切り取ります。


ひこばえもよく発生するので見つけ次第切り取り、5~6本の株立ちを保つようにします。


花芽分化期は7月から8月で、今年伸びた新梢の葉腋にでき翌春に開花します。


花芽は若木の頃は短い枝にのみつき、大きくなるにつれて長い枝にもつくようになります。





◉植え付け、植え替え

土質は特に選びませんが、乾燥を嫌うので植え付けの際は、やや湿気のある場所を選びます。


浅根性で横に広く根を張るので、植え付けた地面は強く蛇も踏み固めないよにします。

元肥には堆肥を十分施す。

植え付け、植え替えの適期は、葉がつく前の3月と10~11月です。


◉肥料

樹勢が強く耐寒性も比較的強い樹種です。


肥料は寒肥として油粕や鶏ふん、骨粉などの有機肥料を与え、樹勢を良くしておく。


花つきが悪い場合は夏に少量の化成肥料を株元にすき込むとよいでしょう。


◉病害虫

まれにカイガラムシやケムシ類が

発生する事があります。


カイガラムシは冬期の消毒、マシン油乳剤、カルホスで防除、ケムシは捕殺や殺虫剤散布で駆除し病葉、病枝などを処分して防除します。


◉殖やし方

2月上旬に充実した枝を一本取り

15㎝程の長さに切り分けて束ね、

日陰の土中に埋めて貯蔵します。


3月上旬~中旬に掘り起こし赤玉土もしくは鹿沼土の用土に挿します。


一ヶ月程で発根するので、そのまま乾燥に注意しながら管理し翌春に定植。


発根率はあまり高くないので、さし穂は多めに取っておいた方がよいでしょう。


実生は9月から10月に熟した果実から種を取り、そのまま取り蒔きにするか湿った砂で低温貯蔵してから翌春にまきます。





2020/11/12

スノードロップ No,329

 スノードロップ ヒガンバナ科

別名=ガランサス、ユキノハナ、マツユキソウ

スノードロップは英名で「雪のしずく」の意味です。

ヒガンバナ科ガランサス属の仲間の総称にも使われ、和名が付いているのはガランサス·ニワァーニス(ユキノハナ又はマツユキソウ)とガランサス·エルウエシー(オオユキノハナ)の二つです。


南ヨーロッパ、南西アジアが原産地とされ正月前にこの花を見つけると、翌年幸運に恵まれると言うスコットランドの言い伝えの存在や、英国の花暦で1月の花とされていること、ロシア民話に登場する事などから、ヨーロッパでは古くから身近な山野草として親しまれていたことが分かります。

草丈は低く7~20㎝、花径は2㎝程でひとつの茎に一つの白い花が咲きます。

開花期は12月~3月末

小球形の球根植物で耐寒性が強いが暑さは苦手なので、夏の高温には気をつける必要がある。

園芸品種は色々出回っていますが、いずれも内側の3枚の花びらに黄色や緑の斑点があるのが特徴です。

地味な姿なので、寄せ植えにするより単独の鉢に群生させると清楚な姿が際立ちます。




◉植え付け、管理

球根の植え付けは9月から10月に行う。

場所は水はけがよく、秋から春にかけては日当たりがよく、5月頃から半日陰になる所が理想的です。

落葉樹の下などが適しているでしょう。

球根が小さく、しかも1球にひとつの花しかつかないので、10球くらいまとめて1ヶ所に植えます。

発根温度は15~20℃で、植える前に球根を湿った土の上に置き、十分に水分を吸収させます。

土壌には、化成肥料を1㎡当たり一握り程施し、2~4㎝の深さに3~5㎝間隔で植え付けます。

霜柱が立つ所では深めにしておきます。

排水が悪く湿度の高い所は、夏に球根が腐りやすいので、植え付ける時には球根の下に2~3㎝の砂を入れ、くんたん、酸性白土を混ぜ、腐敗防止をすると効果があります。

★鉢植えの場合は、鉢の深さの中間深さ5㎝位の部分に球根を植え込みます。

5号鉢に5~7球の割合で、赤玉土の小粒に半量の腐葉土を加えた水はけのよい混合土に植え付けます。

半日陰に置き、発芽したら日当たりのよい場所で管理します。

水は11月~5月中旬までは1日1回たっぷり与え、夏は土が湿る程度に5~6日に一回与えるようにします。

植え込んだ年は、霜柱で球根が浮かないように鉢を土中に埋め、軽い霜除け程度をして寒さに十分遭わせます。

2月頃には葉が地面に現れ、間もなく葉の間からつぼみが見えるようになる。

暖かい日当たりに置くと10日位で
開花します。

鉢を涼しい所に置くと、花は長持ちしますが、暖かい室内に置くと長持ちしません。

★掘り上げは3年に1度で、葉が黄変した5月頃に行います。

(A)
葉をつけたまま球根を傷つけないように深く掘り、そのままで一週間ほど日陰に置いておきます。

この間に葉の養分はすべて球根に移動しやがて葉が枯れます。

その後は乾燥しないように少し湿らせたバーミキュライトに埋めて保管します。A,)





◉花後の管理、生育環境

花後は追肥を庭植え同様に施します。

花後には2~3回くらいリン酸、カリ分の多い化成肥料を与え、4月にカリ分が多めの化成肥料を与えます。

花後は花柄を摘んで、葉は枯れるままにしおきます。

花後は花柄を摘んで葉は見た目が悪くても切り落とさずにおいて光合成をさせます。

この時期に肥料を施すのは養分づくりを手助けするためです。

葉がなくなったら雨を避けた涼しい所に移動し、球根が乾燥しないように時々水を与えて貯蔵します。

植え付けから3年位はそのままで球根を充実させ、3年目以降には用土の更新を兼ねて、花後に古い土を落として新しい用土に植え直します。

夏の暑さは非常に苦手なので、午前中のやわらかい日差しのみ当て、午後の強い光や西日は避けるようにします。

また、表土の地温が上がらないようにワラや落ち葉を敷き詰めておきます。

◉病害虫
3月から5月にアブラムシの防除が必要乾燥に気を付けるとともに月に一回薬剤を散布しておきます。


◉殖やし方
掘り上げた球根の子球を外さずそのまま(A)のように保管しておき、植え付ける時に切り離して植えます。

手で軽く引っ張ってとれるもの以外は無理には外さないでおきます。

分球した球根がさらに殖え、花数が次第に多くなっていきます。