緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/06/01

光合成をしない、やめてしまった植物 No.483

 菌従属栄養植物

葉緑素を持たない腐生植物のことで光合成を行わず、キノコやカビの菌糸に寄生して育つ植物である。

光合成能力を失い、菌根菌や腐朽菌から栄養を奪うようになった植物は、ツツジ科、ヒメハギ科、リンドウ科、ヒナノシャクジョウ科、コルシア科、タヌキノショクダイ科、ラン科、サクライソウ科、ホンゴウソウ科などが該当し、これまで日本からは約50種が報告されている。

2016年10月、神戸大研究グループにより沖縄、石垣島の於茂登岳(おもとだけ)
周辺で見つかり、その地名から「オモトソウ」と名付けられた菌従属栄養植物の新種は、既存種のホンゴウソウ科の「ホンゴウソウ」に近縁であるものの、雄花の先端の突起を3つ持つホンゴウソウに対し、6つの球状の突起を持つ点が異なることから、ホンゴウソウ科の新種と判明された。


                            「オモトソウ」


この植物はほとんど地中で生息するため、見つけにくく、1〜2ヶ月間だけ地上部の高さ5〜10cmほど伸び、直径2㍉ほどの紫色の花を咲かせます。

菌従属栄養植物が育つには、寄生しても生態系が崩れない安定した森林が必要である。

新種が見つかったことで、於茂登岳周辺の原生林の重要性が改めて示された発見である。


                「近縁種のホンゴウソウ」


✿菌従属栄養植物


                   「ラン科タシロラン」


               「ラン科に見えないラン」









2021/05/31

6月のバラの手入れ No,482

 バラ 6月の手入れ

6月は梅雨入りの時期です。
地域によっては5月中に梅雨入りする所もあるでしょう。

咲き終えたバラも多くなって淋しくなりますが、品種によっては花を咲かせ始める種もあります。

⑴咲き柄摘み

咲いた分だけ咲き柄を摘みますがヒップ(果実)をつけると、四季咲きのバラは途端に生育が鈍り、花をつけなくなるのでこまめに摘み取りましょう。

一季咲きのつるバラの場合は、逆にヒップをつけさせて茂り過ぎや伸びを抑制します。


⑵シュートの処理

開花が終わる頃にはシュートの発生が本格化してきます。

株元から伸びた若枝を「ベルサルシュート」枝の途中から伸びた若枝を「サイドシュート」と呼びます。


                         「伸びだしたシュート」

シュートを見つけたらピンチ(芯止め)します。
ピンチ後に出た枝につく花は咲かせても構いません。

つるバラのシュートは太過ぎると誘引がしにくくなるので、1㍍くらいの所でピンチし、そこから2本に枝分かれさせると扱いやすくなります。

また、かなり伸びたら支柱やフェンスに数本ずつ軽く結束します。

成長期のバラは根からどんどん養分や水を吸い上げ、枝先へと送っていきます。

花柄摘みをする事で、養分や水分の行き場を求めて伸びてくるのがシュートです。

シュートは株を大きくし、花数を増やすためには大切な枝ですが、養分や水分がシュートに集中するため、他の枝の生育を抑えてしまいます。


その結果、芽吹きや樹形が乱れて枯れてしまう場合もあるので、株全体のバランスを考え、花後の切り戻しは少し深めに樹形が整う様にせん定することが重要です。

そうする事で、すべての枝の勢いも平均化されて養分が行き渡り、日光も全体に当たるようになり、花芽も多くつき樹形も良くなります。

シュラブのシュートはホウキ状に咲かせても良いでしょう。

シュラブはブッシュとクライマーの中間的なもので、やや高性になるものや半つる性になるものです。

花が終わったら、下の枝2本を残して、上を切り取ります。

⑶病害虫の防除

うどん粉病の発生が盛んになり、黒星病(黒点病)も出始めます。




早い所ではすでに病気が発生しています。


黒星病(黒点病)

見つけ次第サプロールなどEBI剤を散布して広がるのを阻止します。

病気発生時期に複数の殺菌剤、できれば3種類以上を取り揃えて、症状の発生前から計画的に散布します。

地面に近い下葉の辺りから発生する事が多いが、つるバラなどでは高い部分でも発生が見られる。

雨の跳ね返りで、土中のカビの仲間の胞子がつくことで発生する。
株元にマルチングすることで予防すると効果的です。

主な薬剤はトップジンMゾル、サプロール、ダコニールなど

その他に、バラのうどん粉病と黒星病の予防と治療に、マイローズ殺菌スプレーやバラの害虫と病気に使用するベニカXファインエアゾールなどもある。

また、ハダニの発生が日増しに激しくなるので、定期散布に殺ダニ剤を追加して常用します。

雨が多い時期での薬剤散布は悩むところです。

この時期は雨の合間に散布することが多くなりますが、散布した薬液が乾いていれば雨が降っても大丈夫です。

雨の後でも葉面が乾けば散布しても大丈夫です。

雨で伝播する黒点病には雨の前後の散布は効果的です。


下旬頃にはカミキリムシが飛来して産卵を始めるので、モスピランなどのネオニコチノイド系かスプラサイドなどの、成虫に効果のある殺虫剤に切り替えます。

⑷新苗の植え付け

植え付けはできるだけ上旬には終えるようにしましょう。

4月に植えた新苗はかなり育ってきているので、鉢裏から白根が見えたら鉢を2サイズ大きなものに替えます。

⑸施肥

花後のお礼肥(追肥)として、化成肥料を一株当たり50g程度与えることもありますが、必ず与えなければならないものではありません。

樹勢を見ながら与えるとよいでしょう。

鉢植えのものには、これまで通り置き肥と液肥を続けます。

⑹水やり

この時期、鉢植えは株が茂っているので雨が降っても、葉を伝わって外に流れてしまい鉢の中に水が入りません。

雨が降ったとしても油断していると、晴れてからぐったりしているのを見て、慌てて水やりをする事になります。

雨が降った日でもその日だけ水やりは、お休み程度に考えましょう。


⑺除草

雑草もどんどん増えていくので早めに除草します。
病害虫の防除のためにも株元をきれいにしましょう。


⑻梅雨明け後

梅雨が明けたら夏に負けない栽培法に切り替えます。

寄植え鉢や2重鉢、庭植えの場合は周囲の植栽を工夫して夏バテから守りましょう。

多肥性の植物が近くにある場合、バラの肥料を横取りされる場合もあるので注意しましょう。












2021/05/30

作物の必須要素 No.481

 植物の生育に不可欠な元素

作物はその目的に応じて改良した植物であり、基本的には植物が生育するのに不可欠な元素を作物も必須要素とするが、作物の種類やその使用目的に応じてはこの他にも必要な養分がある。

高等植物の体内には60を超える元素が検出されている。

この元素のうち、すべての植物の生育に不可欠な元素は16種が挙げられる。

16種の不可欠な元素

比較的植物の要求量が多い元素
多量必須要素と呼ばれる9種

①炭素(C)②水素(H)③酸素(O)④チッ素(N)⑤リン(P)⑥カリウム(K)⑦カルシウム(Ca)⑧マグネシウム(Mg)⑨イオウ(S)

微量必須要素と呼ばれる7種

①鉄(Fe)②マンガン(Mn)③銅(Cu)④亜鉛(Zu)⑤ホウ素(B)⑥モリブデン(Mo)⑦塩素(Cl)

高等植物の必須要素のうち、炭素、水素、酸素は生体の有機骨格成分として重要である。

これらは通常、大気や土壌水から十分に供給される。

また、塩素は要求量が少なく風によって海水の飛沫として、あるいは雨として十分量が供給されるので、大陸内部の地域を除いては問題としない。


一般に施肥管理を必要とするのは炭素、水素、酸素、塩素を除く12の必須要素である。

なかでも作物の要求量が大きく、土壌中で不足しやすいチッ素、リン、カリウムを三大栄養素あるいは三要素と呼んでいる。

これらの必須要素以外にも水稲(すいとう)やサトウキビのケイ素(Si)✫テンサイのナトリウム(Na)などのように作物の生育の好影響を与えるものがあり、特殊成分あるいは有用元素と呼ばれている。

✫甜菜(てんさい)は北海道の特産でサトウキビと並んで、砂糖の原料になるヒユ科フダンソウ属2年生の植物で別名サトウダイコンとも言う。

根を搾ってその汁を煮詰めると砂糖がとれる。

また、植物の生育にとって必ず必要でないものでも、それを食べる家畜には不可欠である。

コバルト(Co)ナトリウム(Na)セレン(Se)などがあり、作物としてはそれらを利用する家畜や人間の栄養をも考えた、肥培管理が重要である。

作物が健全な生育をするには、少なくとも必須養分16種が十分供給される必要がある。

これらの養分の一つが不足すると、作物の生育、収穫量は不足した養分量によって規制される。

必須要素が欠乏すると、植物体は各要素に特徴的な白化や壊死、葉の形態異常などを引き起こす事が知られています。

また、その欠乏症状の現れ方には大まかな規則性があり、体内を再移動しにくいカルシウム、ホウ素、鉄などはその時に盛んに生長している部位に欠乏症が現れ、作物の生育に致命的な障害を与えます。

これらの要素は作物の生育期間中に、必要量を絶えず供給する必要があります。

これに対し、体内での移動性が大きいチッ素、リン、カリウム、マグネシウムなどは不足すると古い葉から新しい葉に✫転流されるため、欠乏症状は下位葉から発生する場合が多い。

✫転流とは、植物の葉に形成される養分や根、地下茎などにある養分、あるいは発芽に際して貯蔵した養分が適当に変質、移動して他の部位に送られることを言う。




2021/05/29

マリーゴールド No.480

 マリーゴールド キク科 一年草

別名=センジュギク、クジャソウ、マンジュギク

花言葉=健康

原産地=中南米(メキシコ)

アフリカンマリーゴールドとフレンチマリーゴールドの2つの系統に分類されます。

マリーゴールドの根からは、ネグサレセンチュウを殺す成分が出ています。

殺線虫物質の一部、糸状菌、細菌、昆虫等に対しても活性を有する。

花壇に植えておくと他の植物を守ることができます。

マリーゴールドは濃いオレンジ色や、黄色の明るい雰囲気の花で知られ親しまれている。

小型のフレンチ種と大型のアフリカン種、または両者の交配種がある。




植え付け

定食は6月から9月に行います。

日当たりと水はけの良い場所に元肥を与えて、株間を20〜30cm程とって植え付けます。

地植えなら植え付けるときにたっぷりと水を与え、その後は感想が続いたときだけ与えます。

苗は本葉が2枚ほど出たら仮植えします。
仮植え地には堆肥を事前に施しておきます。


肥料、施肥

元肥として、堆肥に化成肥料を少量加えて土によく混ぜます。

花期が長いので月に2〜3回液肥で追肥するか、又は花の生育状態を見て化成肥料を与えます。


手入れ

花がらはこまめに摘み取ります。

フレンチ種は暑さで真夏に花が少なくなる時があるので、一度株元から切り戻すと秋にはまた花が増えます。




病気

✻青枯れ病

株が天気の良い昼間になるとしおれ、夕方や曇の日は回復すると言うことを繰り返しながら、病気の進行が早いため、株全体を侵して枯死する。

被害株の茎を割ると、乳白色の菌でいっぱいになっています。

土壌伝染性の細菌で傷口から侵入します。

被害株はすぐに抜き取り処分します。

被害の出た場所では、翌年の植え付けは避けるようにします。

モザイク病

ウイルスがアブラムシ、コナジラミなどの吸汁性害虫に媒介され感染します。

殆どがアブラムシによる感染なので、アブラムシの防除を行います。

スミチオン、マラソンなどを散布し、また使用するナイフやハサミの殺菌消毒も効果的です。

他の作物からの伝染にも注意が必要です。

被害を受けた株に触ったあとはきちんと消毒するまで、他の株には触らないようにしましょう。

病気が発生した株は引き抜いて処分し、他の株には被害が広がるのを防ぎます。

害虫

✣ハダニ

ハダニは高温と乾燥を好み夏場に多く発生します。

葉に寄生すると白い小さな斑点ができ、葉が巻いたり生育が悪くなったりします。

ハダニの確認ができたら、殺ダニ剤を葉の裏を中心に散布します。

強い雨などに弱いので時々ホースで、水をかけてやると発生を抑えることができます。


✣アザミウマ

高温と乾燥を好むので夏に被害が多く出ます。

花では生育が悪くなったり、つぼみは吸汁されて開花しないなどの被害が出ます。
葉では白や黒の小さな斑点ができます。

果実や球根に加害する種類もいます。

被害が確認できたら薬剤を散布します。

マラソンやアセフェート、防虫菊乳剤などが適しています。

一週間おきに2〜3回散布することが必要です。

アザミウマは葉裏にいることが多いので、薬剤が裏までかかるように散布しましょう。

咲き終わった花から発生することが多いので、咲き終わった花は放置しないでこまめに摘み取ることが重要です。

✣ヨトウムシ

昼間は土中に隠れていて、夜になると地上に出て葉を食害します。

若齢幼虫のうちであれば薬剤も効くので、オルトランなどを散布します。

被害に気づくのは幼虫が大きくなってからのことが多いので、この場合は株の根元を探して捕殺します。

雑草地での生息が多いので害虫なので、雑草を除去することが予防に繋がります。


✣ナメクジ

夜間に活動し花や新芽わ若葉を食害する。
這ったあとの痕跡を残すのでナメクジの被害とわかる。

昼間は鉢の底などに隠れているので見つけたら捕殺します。

酢水に入れると死にます。

ナメクジ専用の薬剤で駆除します。

その他、ナメクジはビールを好むのでビンなどにビールを入れて土の上に置いておくと、ビールに誘われて集まり溺れ死にます。

土に石灰が不足すると被害が大きくなる傾向があるので、石灰を施しておくと予防になります。

✻殖やし方

3月から6月頃にさし芽や種まきで殖やします。

✫マリーゴールドの成分研究

マリーゴールドの茎葉を乾燥、粉砕しこれをトマト青枯れ病菌の人工汚染土壌に混入して、土壌中の菌密度を調査、その結果いずれの品種も混入一週間後には、青枯れ病菌の密度が低下した。

特にセントール品種で最も強い殺菌効果が見られた。

セントールの茎葉粉末を6%以上混入することで、普通汚染土壌では7日後に病菌が消え、高密度汚染土壌では、14日後には青枯れ病菌が検出されなくなった。
しかし、混入量が多いと生育障害も現れるなど、まだ研究段階である。

また、アミノ酸の1種であるヒスチジンなど、病害抵抗力を利用した、アルギニン、リシン等のアミノ酸が有効である事が発見され、研究開発が進められている。

近い将来青枯れ病菌の特効薬が開発されることだろう。









2021/05/28

スイートピー No,479

 スイートピー マメ科ツル性植物

別名=ジャコウレンリソウ、ジャコウエンドウ
英名で香り良いえんどう豆の意味
花言葉=優しい思い出

原産地=地中海沿岸

もともと地中海沿岸の雑草だったのだから、イギリス、エドワード王朝の花とも言われる花である。

ツル性で2㍍ほどまで伸びる。
鉢植えでも地植えでもつるを伸ばして楽しむことができる。

夏咲き種と春咲き種があり、夏咲きは6月、春咲きは4月から5月が開花期です。

花は蝶形花で赤、ピンク、紫、白など豊富にあり香りがします。

ツルを活かしてフェンスなどの近くに植えると、ツルがどんどん巻き付いて広がります。

プランターでも支柱を立てると良いでしょう。
また、草丈が30cmほどの改良種もある。




生育環境

日当たりの良い場所を好みます。

土壌は中性が適し、酸性の土には苦土石灰で中和する必要があります。

水はけのよい弱アルカリ性の土が適しています。
発芽した数が多い時は2、3本づつ残して間引きます。

真冬はワラなどで霜よけをします。

支柱を3月頃に立て、ツルヒゲが巻き付くようにします。

肥料、施肥

元肥として、堆肥に有機肥料と骨粉、カリウムを加え土とよく混ぜます。

根がデリケートなので、苗が小さいうちにチッ素分の少ない元肥を与えて植え付けます。

追肥として3月に化成肥料を与えます。

生育中は月に1〜2回液肥を与え、土の表面が乾いたらたっぷりと水を与えますが、特に初夏の開花期には多めに与えるようにします。

殖やし方

種まき
スイートピーは直まきで育てます。

播種は10月下旬から11月に行います。
種は一晩水につけておき吸水して、膨らむものと吸水しないものがあるので、吸水して膨らんだものだけを蒔くようにする。

病気

葉が下から黄変し、枯死する萎(い)ちょう病が発生する。

土壌伝染性の病気で、葉や茎が翌年の発生源になります。

被害株はすぐに取り除いて処分します。

病気が発生した場所での翌年の栽培は避けましょう。

害虫

アブラムシ、ヨトウムシ、ハモグリバエ、タネバエが発生します。

①アブラムシは薬剤に弱いので、薬剤を散布して駆除します。

殆どの殺虫剤が効きます。

②ヨトウムシは昼間には土中に隠れていて、夜になると地上に出て葉を食害します。

夜になると被害を起こすことから「夜盗虫」と呼ばれる。

若齢幼虫のうちは、昼間も葉の裏にいて土の中に隠れるのは成長してからです。

いくつかの種類がいますが、特に野菜類の害虫として知られている。

若齢幼虫には薬剤がよく効くので、オルトラン、DDVPなどを散布します。

幼虫が大きくなってしまうと薬剤は効きにくくなります。

しかし、被害に気付くのは幼虫が大きくなってからのことが多いので、株元を探して捕殺します。

雑草地で育ち、被害をもたらす場合があるので、近くに雑草地がある時は雑草を除去することが予防に繋がります。


③ハモグリバエは小さな幼虫が葉に潜り込み、葉の中を食害しながら移動します。

そのため、葉には蛇行状や円形の白い跡ができます。
この様子から「絵描き虫」とも呼ばれます。

主に4月頃発生し、10月頃まで被害が続きます。

発生初期であれば葉の中に幼虫がいるのでそのまま捕殺しますが、大きくなると薬剤はあまり効果がありません。

アセフェート、エルサン、ディプテレックスなどを散布すると多少効果があります。

4月に成虫が葉に卵を産み付ける前に予防殺虫剤を散布しておきます。

④タネバエは幼虫ウジムシがタネや幼植物の茎に食入します。

枯れた苗の茎の中にはウジムシがいます。

この虫の被害の場合は、いつまでも芽が出ないタネを掘り返すとウジムシが見つかります。

成虫は3月から5月と9月から10月に多く発生し、タネの近くの地面に卵を産み付けます。

被害が出てからでは遅過ぎて、適当な駆除方法がありません。

成虫であるハエは堆肥や鶏糞などを好んで集まるので、有機肥料の使い過ぎに注意しましょう。

特に大粒のタネは被害が多いので用心です。

スイートピーの香り

日本でのスイートピーの切り花栽培は大正時代(神奈川県)に始まって以来、今日まで全国各地に広がりました。

品種改良も盛んに行われ花色、花型も豊富です。

原種系のスイートピーには芳香成分がバランスよく含まれていて、全体を通して質の高い香りを持っていることが分かっています。

マメ科の特徴である蝶のような花の形と、ジャコウに似た強めの甘い良い香りがすることから、ジャコウエンドウなどの別名がある。

スイートピーを原料とした香水など商品化されたものも多い。






2021/05/27

ボケ No,478

 ボケ バラ科 落葉低木  

別名=カラボケ
原産地=中国と日本の一部

丈夫な樹で暑さ寒さに強く、日本の気候に合うため日本各地に植えられている。

品種は30種以上あり、花の色には紅、桃、白、紅白、黄緑などがあります。

開花時期により寒ボケと春ボケの2種類がありますが、庭植えの殆どが春ボケです。

日当たりと排水の良い場所と腐植質に飛んだ土を好むが、普通の土質なら特に選ばない。

寒さに強いことから北海道南部まで植えられている。




代表品種

チョウジュラク、トウヨウニシキ、コッコウ、ヒノミハタ、カンサラサ、ギンチョウジュ

肥料、施肥

元肥として12月から1月に完熟堆肥、鶏糞を混ぜたものを株周りに穴を掘って埋め込みます。

追肥として、花後にお礼肥えとして油かすに化成肥料を少量混ぜたものを株元にばら撒きします。

9月頃にリン酸、カリ分の多い化成肥料を少量ばら撒きします。

植え付け、移植

9月下旬から11月頃が適期で、完熟堆肥を早めに準備して土にすき込んでやり、更に乾燥を嫌うので敷き藁をする。

せん定、整枝

自然樹形で育て、9月下旬から11月頃に行います。

強いせん定にも耐えますが、花芽も見分けられる時期なので来年開花の枝(花芽のついた枝)を残して、細い枝を中心にせん定します。

古枝や弱い枝は根本から切り取り、ヒコバエも発生するので根元から切り取ります。

徒長する枝や交叉する枝が多いのでせん定は毎年行います。

萌芽力が旺盛ですので色々な仕立てが可能です。

樹形は種類により株立性と矮性の横広形があり、苗木の段階から仕立てれば庭の広さに応じた樹形が自由に作れるでしょう。

庭木の他に盆栽にも用いられる。

花芽は今年伸びた枝にはつきません。

翌年のその枝の基部が少し伸びて8月頃に花芽が形成され、翌々年の春にその位置で開花します。

時々、それより古い枝に花をつけることもあります。

花になる芽は充実した太い枝の基部に、丸みを帯びた豆状のものがついているので、これを切らないように注意します。

新しい枝は先端を切り詰め、翌年の開花枝とします。

若木は上に向かって徒長(徒長枝)している枝や、絡み合っている枝を切る程度にします。

この場合、不要な枝は枝元から切り取りますが、その他は先端部を切り詰めて翌年の開花枝として育てるようにします。

古くて大きくなった木のせん定は、古い枝を根元から30cmくらい残して切ります。

この時、逆さ枝や根元近くに発生する地下茎枝、ふところ(樹幹内)の枯れた枝や弱い枝も切り取ります。


次に高さを決めてたら、その位置に合わせて伸びた枝を切り詰めて樹形を整えます。

枝が混みすぎている部分も整理し、花芽の位置に注意しながら切り取ります。

花後に伸びた新梢が樹形を乱している場合は、新梢の先端を2節くらい止める程度とします。




病害虫

一番怖い病気は「根頭がんしゅ病」です。
その他に赤星病も発生します。

ボケの植え替えや植え付けを秋に行うのは「根頭がんしゅ病」を避けるためです。

この病気の病原は暖かい時期に活動するので、秋に植えれば感染が少なく、病原の活動する時期までには傷んだ根が回復します。

植え付けの際には苗木の根際部をよく検査し、多少でも「コブ」があるものは廃棄する。

コブを切除して外見健全と見られるものも、すでに感染が進行している。

定植後発病に至るのでこのような苗木は用いないことです。

健全な苗木であっても、念の為ストレプトマイシン剤に根部を浸漬けした後、植え付けるようにすることが最適です。

また、生物農薬としてアグロバクテリウム、ラジオバクター剤(商品名=バクテローズ)はバラの根頭がんしゅ病に対し、苗木の定植前処理に用いられている。

病原菌は土の中で繁殖し、一般の殺菌剤では死なずに土中にずっと残り、病気に侵された株を取り去って苗を植え替えてもまた病気が発生します。

病気になった株を植えていた場所の土は大きく取り除き、良い土と入れ替えます。

この病気は一度がかかると治りにくいと考えた方がよいでしょう。



「樹幹地際部や接ぎ木部が徐々に肥大してコブとなる根頭がんしゅ病。」


赤星病

葉身、新梢、果実が侵されます。

新葉展開直後から葉の表面に病斑を生じ、やがて病斑表面が窪んでそこに橙色のち黒色となる微小粒点(サビ柄子殻)が形成される。


                             「ボケの赤星病」


病菌は糸状菌の一種で、バラ科樹木を侵して赤星病を起こし、ビャクシン類(ヒノキ科針葉樹)を中間宿主とする異種寄生性のさび病菌である。

さび病菌は、ナシやボケなど感受性の果樹や緑化樹木とビャクシン類との間を往復寄生して生活環を全うしている。


    「病斑部葉裏面に形成された毛状群塊」


防除法

中間宿主で、伝染源となるビャクシン類を近くに植栽しないことが重要です。

病葉など早期に摘除処分する。

薬剤防除として、ビャクシン類には3月から4月にマンネブ剤、ポリオキシン剤などを用い、降雨時前後を重点に2〜3回散布する。

ボケに対しては、4月から5月の「小生子」(担子胞子)が飛散する時にトリアジメホン剤、トリフルミゾール剤、ビテルタノール剤、フェナリモル剤などを用いて、10日おきに3〜4回散布して感染防止を図るのが有効です。

症状による対応

①葉がしおれる。
葉がしおれる症状は水不足による乾燥が原因です。

ボケは乾燥に弱いので夏場は土の乾燥に気をつけて、十分な水を与えます。

②花つきが悪い。
原因の多くはせん定の間違いや日照量の不足です。

せん定は花芽が判別できるようになってから行うことが大切です。

また、混んだ枝を整理して日当たりをよくしてやらないと日照量が不足します。

株そのものの日当たりが悪い場合は、別の場所へ植え替える必要があります。

その場合は根頭がんしゅ病を避けるために、植え替えは秋になってから行いましょう。

害虫

アブラムシ、ハダニ、ハマキムシ、グンバイムシが発生します。

⑴アブラムシは反射光線を嫌うので、銀色のポリエチレン製フィルムを敷くとあまり寄ってきません。

また樹木では、適度なせん定をして風通しを良くすることも効果があります。

スミチオン等の薬剤を散布して駆除します。

⑵ハダニは強い雨などに弱いので時々、ホースを使って葉に水をかけてやると発生を抑えることができます。

ハダニの被害が確認できたら、専用の殺ダニ剤を葉の裏を中心に散布します。

⑶ハマキムシの場合、落葉樹では秋になったら幹にムシロを巻いておき、これを冬場に処分して駆除します。

幼虫に直接薬剤がかからないので、効果は低いがスミチオン、アセフェートなどは多少効果があります。

常緑樹では、冬の間に綴られた葉を見つけ、葉ごと幼虫を駆除しておきます。

⑷グンバイムシは風通しの悪いところを好んでつくので、枝の手入れをして通風を良くすることまた、乾燥を防ぐと被害が少なくなります。

葉の裏に黒いヤニのような排泄物がついているのが特徴で、被害を確認できたら1〜2週間おきに2〜3回MEP、マラソン、アセフェート、ホルモチなどの薬剤を散布します。

殖やし方

✻さし木
さし木の時期は2月下旬から3月下旬、そして9月中旬から10月上旬です。

さし木には新梢を使います。
さし穂の発根を促すために発根剤を使用すると良いでしょう。
さし木の発根促進剤ルチエース、ルートン


ルートンは球根の発根促進としても使える


✻取り木
3月上旬から6月下旬が取り木の適期です。

環状削りか切り込み削りが適しており、取り木用土はミズゴケ単用が一般的です。

水につけたミズゴケを軽くしぼり、取り木部分を包みビニールを被せて上下をひもで縛っておきます。

取り木の期間中は乾燥しないように、時々取り木部分に水を与えます。

✻株分け
2月下旬から5月中旬と9月が株分けの適期です。

株全体を掘り起こして根張りの良いものを選び、親株から鋭利な刃物で切り離します。

鉢植えは水やりを多くして乾かないように注意します。