ボケ バラ科 落葉低木
別名=カラボケ
原産地=中国と日本の一部
丈夫な樹で暑さ寒さに強く、日本の気候に合うため日本各地に植えられている。
品種は30種以上あり、花の色には紅、桃、白、紅白、黄緑などがあります。
開花時期により寒ボケと春ボケの2種類がありますが、庭植えの殆どが春ボケです。
日当たりと排水の良い場所と腐植質に飛んだ土を好むが、普通の土質なら特に選ばない。
寒さに強いことから北海道南部まで植えられている。
代表品種
チョウジュラク、トウヨウニシキ、コッコウ、ヒノミハタ、カンサラサ、ギンチョウジュ
肥料、施肥
元肥として12月から1月に完熟堆肥、鶏糞を混ぜたものを株周りに穴を掘って埋め込みます。
追肥として、花後にお礼肥えとして油かすに化成肥料を少量混ぜたものを株元にばら撒きします。
9月頃にリン酸、カリ分の多い化成肥料を少量ばら撒きします。
植え付け、移植
9月下旬から11月頃が適期で、完熟堆肥を早めに準備して土にすき込んでやり、更に乾燥を嫌うので敷き藁をする。
せん定、整枝
自然樹形で育て、9月下旬から11月頃に行います。
強いせん定にも耐えますが、花芽も見分けられる時期なので来年開花の枝(花芽のついた枝)を残して、細い枝を中心にせん定します。
古枝や弱い枝は根本から切り取り、ヒコバエも発生するので根元から切り取ります。
徒長する枝や交叉する枝が多いのでせん定は毎年行います。
萌芽力が旺盛ですので色々な仕立てが可能です。
樹形は種類により株立性と矮性の横広形があり、苗木の段階から仕立てれば庭の広さに応じた樹形が自由に作れるでしょう。
庭木の他に盆栽にも用いられる。
花芽は今年伸びた枝にはつきません。
翌年のその枝の基部が少し伸びて8月頃に花芽が形成され、翌々年の春にその位置で開花します。
時々、それより古い枝に花をつけることもあります。
花になる芽は充実した太い枝の基部に、丸みを帯びた豆状のものがついているので、これを切らないように注意します。
新しい枝は先端を切り詰め、翌年の開花枝とします。
若木は上に向かって徒長(徒長枝)している枝や、絡み合っている枝を切る程度にします。
この場合、不要な枝は枝元から切り取りますが、その他は先端部を切り詰めて翌年の開花枝として育てるようにします。
古くて大きくなった木のせん定は、古い枝を根元から30cmくらい残して切ります。
この時、逆さ枝や根元近くに発生する地下茎枝、ふところ(樹幹内)の枯れた枝や弱い枝も切り取ります。
次に高さを決めてたら、その位置に合わせて伸びた枝を切り詰めて樹形を整えます。
枝が混みすぎている部分も整理し、花芽の位置に注意しながら切り取ります。
花後に伸びた新梢が樹形を乱している場合は、新梢の先端を2節くらい止める程度とします。
病害虫
一番怖い病気は「根頭がんしゅ病」です。
その他に赤星病も発生します。
ボケの植え替えや植え付けを秋に行うのは「根頭がんしゅ病」を避けるためです。
この病気の病原は暖かい時期に活動するので、秋に植えれば感染が少なく、病原の活動する時期までには傷んだ根が回復します。
植え付けの際には苗木の根際部をよく検査し、多少でも「コブ」があるものは廃棄する。
コブを切除して外見健全と見られるものも、すでに感染が進行している。
定植後発病に至るのでこのような苗木は用いないことです。
健全な苗木であっても、念の為ストレプトマイシン剤に根部を浸漬けした後、植え付けるようにすることが最適です。
また、生物農薬としてアグロバクテリウム、ラジオバクター剤(商品名=バクテローズ)はバラの根頭がんしゅ病に対し、苗木の定植前処理に用いられている。
病原菌は土の中で繁殖し、一般の殺菌剤では死なずに土中にずっと残り、病気に侵された株を取り去って苗を植え替えてもまた病気が発生します。
病気になった株を植えていた場所の土は大きく取り除き、良い土と入れ替えます。
この病気は一度がかかると治りにくいと考えた方がよいでしょう。
「樹幹地際部や接ぎ木部が徐々に肥大してコブとなる根頭がんしゅ病。」
赤星病
葉身、新梢、果実が侵されます。
新葉展開直後から葉の表面に病斑を生じ、やがて病斑表面が窪んでそこに橙色のち黒色となる微小粒点(サビ柄子殻)が形成される。
「ボケの赤星病」
病菌は糸状菌の一種で、バラ科樹木を侵して赤星病を起こし、ビャクシン類(ヒノキ科針葉樹)を中間宿主とする異種寄生性のさび病菌である。
さび病菌は、ナシやボケなど感受性の果樹や緑化樹木とビャクシン類との間を往復寄生して生活環を全うしている。
「病斑部葉裏面に形成された毛状群塊」
防除法
中間宿主で、伝染源となるビャクシン類を近くに植栽しないことが重要です。
病葉など早期に摘除処分する。
薬剤防除として、ビャクシン類には3月から4月にマンネブ剤、ポリオキシン剤などを用い、降雨時前後を重点に2〜3回散布する。
ボケに対しては、4月から5月の「小生子」(担子胞子)が飛散する時にトリアジメホン剤、トリフルミゾール剤、ビテルタノール剤、フェナリモル剤などを用いて、10日おきに3〜4回散布して感染防止を図るのが有効です。
症状による対応
①葉がしおれる。
葉がしおれる症状は水不足による乾燥が原因です。
ボケは乾燥に弱いので夏場は土の乾燥に気をつけて、十分な水を与えます。
②花つきが悪い。
原因の多くはせん定の間違いや日照量の不足です。
せん定は花芽が判別できるようになってから行うことが大切です。
また、混んだ枝を整理して日当たりをよくしてやらないと日照量が不足します。
株そのものの日当たりが悪い場合は、別の場所へ植え替える必要があります。
その場合は根頭がんしゅ病を避けるために、植え替えは秋になってから行いましょう。
害虫
アブラムシ、ハダニ、ハマキムシ、グンバイムシが発生します。
⑴アブラムシは反射光線を嫌うので、銀色のポリエチレン製フィルムを敷くとあまり寄ってきません。
また樹木では、適度なせん定をして風通しを良くすることも効果があります。
スミチオン等の薬剤を散布して駆除します。
⑵ハダニは強い雨などに弱いので時々、ホースを使って葉に水をかけてやると発生を抑えることができます。
ハダニの被害が確認できたら、専用の殺ダニ剤を葉の裏を中心に散布します。
⑶ハマキムシの場合、落葉樹では秋になったら幹にムシロを巻いておき、これを冬場に処分して駆除します。
幼虫に直接薬剤がかからないので、効果は低いがスミチオン、アセフェートなどは多少効果があります。
常緑樹では、冬の間に綴られた葉を見つけ、葉ごと幼虫を駆除しておきます。
⑷グンバイムシは風通しの悪いところを好んでつくので、枝の手入れをして通風を良くすることまた、乾燥を防ぐと被害が少なくなります。
葉の裏に黒いヤニのような排泄物がついているのが特徴で、被害を確認できたら1〜2週間おきに2〜3回MEP、マラソン、アセフェート、ホルモチなどの薬剤を散布します。
殖やし方
✻さし木
さし木の時期は2月下旬から3月下旬、そして9月中旬から10月上旬です。
さし木には新梢を使います。
さし穂の発根を促すために発根剤を使用すると良いでしょう。
さし木の発根促進剤ルチエース、ルートン
✻取り木
3月上旬から6月下旬が取り木の適期です。
環状削りか切り込み削りが適しており、取り木用土はミズゴケ単用が一般的です。
水につけたミズゴケを軽くしぼり、取り木部分を包みビニールを被せて上下をひもで縛っておきます。
取り木の期間中は乾燥しないように、時々取り木部分に水を与えます。
✻株分け
2月下旬から5月中旬と9月が株分けの適期です。
株全体を掘り起こして根張りの良いものを選び、親株から鋭利な刃物で切り離します。
鉢植えは水やりを多くして乾かないように注意します。